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パオパオ Ⅵ
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ジェイたちが覆われた「ゲート」の多重結界は、《御虎シティ》に配備していた「マルドゥック」たちによりすぐに破壊された。
更に、逸早く斬が大穴を開けてくれていたお陰で、商業地区の様子は全て把握していた。
そのため「マルドゥック」たちも内部に影響がないように「ゲート」を内側から素早く破壊出来た。
ジェイたちの変身ももちろん観測していた。
俺も呆気にとられたが。
想定外過ぎる。
一瞬、あいつらが妖魔に憑依されたかとも思ったくらいだ。
俺はすぐに現場へ飛んだが、既に戦いは終わっていた。
230体もの《地獄の悪魔》が数分で斃されていたことにまた驚いた。
しかもほとんどを「マンモスの牙隊」の連中で屠ったのだ。。
斬は数体をやったに過ぎない。
完全に「マンモスの牙隊」の戦果だった。
俺が行った時も、まだジェイたちはマンモス人間の姿のままだった。
こんな身体になって心配もしたが、何しろ周囲は濃厚な「栗の花の臭い」でなんかどうでもよくなった。
恐ろしく強い連中なのだが、下品なことこの上ない。
褒める気も失せた。
まあ、このままでも問題ねぇだろう、とすら思ってしまった。
ジェイたちはまだ呆然として動いてはいないが、負傷は無いことは《ミトラ》の観測で分かっている。
大分放心しているが、意識もある。
あいつらがマンモス人間に変化した時には俺も驚いたが、とにかく凄まじい攻撃力だった。
股間から伸びた黒い触手が縦横無尽に《地獄の悪魔》たちを切り裂いて行ったのも見ている。
「おい、お前、説明しろ」
斬が物凄く不快そうな顔で俺に言った。
恐らく折角の獲物をジェイたちに奪われたことと、こんなとんでもねぇものを見せられたご立腹だ。
斬も決してお上品な人間じゃねぇのだが、何しろ無茶苦茶過ぎる。
性的絶頂の中で凄まじい攻撃を繰り広げたのだ。
冗談にもならねぇ。
「ジェイたちだよ。マンモスの牙を装着して、ああなったんだ」
「だからそれを説明しろと言っておる!」
「俺にも分かんねぇんだよ!」
しょうがねぇだろう!
分かるわけねぇだろうがぁ!
「おい、ジェイ、大丈夫か?」
激怒している斬を放っておいて、俺は突っ立ったままでいるジェイたちに声を掛けた。
どいつがジェイなのかも分からねぇ。
牙の根元に名前が書いてあることを思い出したが、確認したくもねぇ。
ドロドロとした白い粘液が股間に滴っている。
絶対ぇ触りたくねぇ。
「あいつら、射精していたようじゃぞ」
「ああ、双子が牙の中にオナニーシリコンを仕込んだんだ」
「なんじゃぁ!」
「うるせぇよ!」
その時ジェイたちの全身から激しい水蒸気が噴き出た。
数分後、ジェイたちが元の姿のままで立っていた。
「ヘイ?」
もう顔で見分けがつくので、ジェイに声をかけた。
こいつ、にやけてやがる。
「タイガー、やったぜ」
「あ、ああ、そうだな」
多少放心した顔をしているが、意識ははっきりしているようだ。
股間から大量の精液が零れているので、放心の原因は分かっている。
「気分はどうだ?(心配してねぇが)」
「ああ、いい気分だぜ、あんなにイッたのは初めてだ」
「そうか(バカヤロウ)」
ジェイが顔を歪ませた。
「あ!」
「おい、どうした!」
「キンタマがいてぇ!」
「……(死ね!)」
斬がなんか構えたので慌てて止めた。
俺は輸送用のトラックを呼び、ジェイたちを病院に運んだ。
マンモスの牙は自分で外させた。
斬は不貞腐れた顔でそのまま飛んで帰って行った。
あいつ、また来てくれるかなー。
ジェイたちを基地内の医療施設で全身を念入りに調べたが、異常は無かった。
もちろん霊素反応も調べたのだが、妖魔の反応は一切無い。
蓮花も呼んで一緒にデータを見たが、何も分からなかった。
ライカンスロープ化での人体変化は、仕組みは分かっている。
妖魔霊素が瞬時に元素変換と結合返還を行ない、身体がメタモルフォーゼするのだ。
ジェイたちのあのマンモス人間への変化も同じ仕組みだろうが、ジェイたちの体内に妖魔の霊素は無かった。
「おい、どんな気分だった?」
「とにかくよ! ものすっげぇ気持ち良かった!」
「……」
「チンコがさ、ニュルニュルニュルニュルでよぉ! ありゃ最高だぜぇ」
「……」
「何度も逝っちまった。でもよ、幾らでも出るんだよなぁ。あ、聞いてる?」
「……(おい、そんな話は聞いてねぇぞ)」
検査入院の最中に、ジェイたちが俺に頼んで来た。
「タイガー、お願い」
「あんだよ?」
「マンモスの牙、洗っといて」
「ふざけんなぁ!」
「だってよ! 精液を落としとかねぇと!」
「後で自分らでやれ!」
「たのむよー!」
「……(やるわけねぇだろうがぁ!)」
一応、装備部門の連中に相談したが、断られた。
建前は、特殊過ぎるものなので、手が出せないと言われた。
まーなー。
検査入院を終えて、ジェイたちが自ら洗った。
ガビガビにこびり付いた「モノ」をブラシで落としたら、下のマジックの名前まで消えた奴もいた。
だが、「正装」になってみると、自分のものが分かるようだった。
「あ、俺んじゃねぇ!」
「早く次を試せ!」
「おう!」
全員が自分の「モノ」を取り戻した。
良かったね。
蓮花と話した。
二人でジェイたちの戦闘映像を観た。
「あの触手の攻撃はやっぱ「クロピョン」だよなぁ」
「そうですね」
俺は一つの仮説を立てた。
元々「マンモスの牙隊」が使っているマンモスの牙は、子どもたちが庭に温泉を掘っている途中で見つけたものだ。
100本以上あったらしい。
それを双子が冗談半分でジェイたちに与えたのだ。
俺の家の庭に埋まっていたということは、当然クロピョンが絡んでいる。
「また双子の悪戯かぁ」
「そういうことでございますね」
要は、クロピョンの能力を使えるアイテムということか。
それも「黒笛」以上に。
もしかすると、あれはマンモスの牙とは違うものなのかもしれない。
クロピョンの趣味は分からねぇ。
後日、御堂に話した。
「あの「マンモスの牙隊」の「正装」な」
「うん」
「ありゃ、防衛で絶対に必要なもんだった」
「……」
御堂も「マンモスの牙隊」の今回の活躍は知っている。
顔を物凄く顰めながら無言だった。
「な、そういうことだから」
「……」
「すまんね」
「……」
御堂は「分かった」とは言わなかった。
ジェイたちには今後も御堂を警戒しろと言っておいた。
更に、逸早く斬が大穴を開けてくれていたお陰で、商業地区の様子は全て把握していた。
そのため「マルドゥック」たちも内部に影響がないように「ゲート」を内側から素早く破壊出来た。
ジェイたちの変身ももちろん観測していた。
俺も呆気にとられたが。
想定外過ぎる。
一瞬、あいつらが妖魔に憑依されたかとも思ったくらいだ。
俺はすぐに現場へ飛んだが、既に戦いは終わっていた。
230体もの《地獄の悪魔》が数分で斃されていたことにまた驚いた。
しかもほとんどを「マンモスの牙隊」の連中で屠ったのだ。。
斬は数体をやったに過ぎない。
完全に「マンモスの牙隊」の戦果だった。
俺が行った時も、まだジェイたちはマンモス人間の姿のままだった。
こんな身体になって心配もしたが、何しろ周囲は濃厚な「栗の花の臭い」でなんかどうでもよくなった。
恐ろしく強い連中なのだが、下品なことこの上ない。
褒める気も失せた。
まあ、このままでも問題ねぇだろう、とすら思ってしまった。
ジェイたちはまだ呆然として動いてはいないが、負傷は無いことは《ミトラ》の観測で分かっている。
大分放心しているが、意識もある。
あいつらがマンモス人間に変化した時には俺も驚いたが、とにかく凄まじい攻撃力だった。
股間から伸びた黒い触手が縦横無尽に《地獄の悪魔》たちを切り裂いて行ったのも見ている。
「おい、お前、説明しろ」
斬が物凄く不快そうな顔で俺に言った。
恐らく折角の獲物をジェイたちに奪われたことと、こんなとんでもねぇものを見せられたご立腹だ。
斬も決してお上品な人間じゃねぇのだが、何しろ無茶苦茶過ぎる。
性的絶頂の中で凄まじい攻撃を繰り広げたのだ。
冗談にもならねぇ。
「ジェイたちだよ。マンモスの牙を装着して、ああなったんだ」
「だからそれを説明しろと言っておる!」
「俺にも分かんねぇんだよ!」
しょうがねぇだろう!
分かるわけねぇだろうがぁ!
「おい、ジェイ、大丈夫か?」
激怒している斬を放っておいて、俺は突っ立ったままでいるジェイたちに声を掛けた。
どいつがジェイなのかも分からねぇ。
牙の根元に名前が書いてあることを思い出したが、確認したくもねぇ。
ドロドロとした白い粘液が股間に滴っている。
絶対ぇ触りたくねぇ。
「あいつら、射精していたようじゃぞ」
「ああ、双子が牙の中にオナニーシリコンを仕込んだんだ」
「なんじゃぁ!」
「うるせぇよ!」
その時ジェイたちの全身から激しい水蒸気が噴き出た。
数分後、ジェイたちが元の姿のままで立っていた。
「ヘイ?」
もう顔で見分けがつくので、ジェイに声をかけた。
こいつ、にやけてやがる。
「タイガー、やったぜ」
「あ、ああ、そうだな」
多少放心した顔をしているが、意識ははっきりしているようだ。
股間から大量の精液が零れているので、放心の原因は分かっている。
「気分はどうだ?(心配してねぇが)」
「ああ、いい気分だぜ、あんなにイッたのは初めてだ」
「そうか(バカヤロウ)」
ジェイが顔を歪ませた。
「あ!」
「おい、どうした!」
「キンタマがいてぇ!」
「……(死ね!)」
斬がなんか構えたので慌てて止めた。
俺は輸送用のトラックを呼び、ジェイたちを病院に運んだ。
マンモスの牙は自分で外させた。
斬は不貞腐れた顔でそのまま飛んで帰って行った。
あいつ、また来てくれるかなー。
ジェイたちを基地内の医療施設で全身を念入りに調べたが、異常は無かった。
もちろん霊素反応も調べたのだが、妖魔の反応は一切無い。
蓮花も呼んで一緒にデータを見たが、何も分からなかった。
ライカンスロープ化での人体変化は、仕組みは分かっている。
妖魔霊素が瞬時に元素変換と結合返還を行ない、身体がメタモルフォーゼするのだ。
ジェイたちのあのマンモス人間への変化も同じ仕組みだろうが、ジェイたちの体内に妖魔の霊素は無かった。
「おい、どんな気分だった?」
「とにかくよ! ものすっげぇ気持ち良かった!」
「……」
「チンコがさ、ニュルニュルニュルニュルでよぉ! ありゃ最高だぜぇ」
「……」
「何度も逝っちまった。でもよ、幾らでも出るんだよなぁ。あ、聞いてる?」
「……(おい、そんな話は聞いてねぇぞ)」
検査入院の最中に、ジェイたちが俺に頼んで来た。
「タイガー、お願い」
「あんだよ?」
「マンモスの牙、洗っといて」
「ふざけんなぁ!」
「だってよ! 精液を落としとかねぇと!」
「後で自分らでやれ!」
「たのむよー!」
「……(やるわけねぇだろうがぁ!)」
一応、装備部門の連中に相談したが、断られた。
建前は、特殊過ぎるものなので、手が出せないと言われた。
まーなー。
検査入院を終えて、ジェイたちが自ら洗った。
ガビガビにこびり付いた「モノ」をブラシで落としたら、下のマジックの名前まで消えた奴もいた。
だが、「正装」になってみると、自分のものが分かるようだった。
「あ、俺んじゃねぇ!」
「早く次を試せ!」
「おう!」
全員が自分の「モノ」を取り戻した。
良かったね。
蓮花と話した。
二人でジェイたちの戦闘映像を観た。
「あの触手の攻撃はやっぱ「クロピョン」だよなぁ」
「そうですね」
俺は一つの仮説を立てた。
元々「マンモスの牙隊」が使っているマンモスの牙は、子どもたちが庭に温泉を掘っている途中で見つけたものだ。
100本以上あったらしい。
それを双子が冗談半分でジェイたちに与えたのだ。
俺の家の庭に埋まっていたということは、当然クロピョンが絡んでいる。
「また双子の悪戯かぁ」
「そういうことでございますね」
要は、クロピョンの能力を使えるアイテムということか。
それも「黒笛」以上に。
もしかすると、あれはマンモスの牙とは違うものなのかもしれない。
クロピョンの趣味は分からねぇ。
後日、御堂に話した。
「あの「マンモスの牙隊」の「正装」な」
「うん」
「ありゃ、防衛で絶対に必要なもんだった」
「……」
御堂も「マンモスの牙隊」の今回の活躍は知っている。
顔を物凄く顰めながら無言だった。
「な、そういうことだから」
「……」
「すまんね」
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