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《オペレーション・チャイナドール》 Ⅸ
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午前5時。
全部隊が北京から50キロの地点に集結した。
今回の全部隊5000名と新たにアラスカから10万のソルジャーも呼んだ。
石神家の剣聖、虎白さんたち41名に上級剣士1万。
それが作戦の主力となる。
亜紀ちゃんと真夜と真昼。
「ニーズヘッグ」と「ウラール」。
デュールゲリエ30万と《スズメバチ》400万、「マルドゥック」120機。
聖も「セイントPMC」の精鋭400を連れて来てくれた。
一旦、聖が準備していたロシア侵攻作戦は中断だ。
「聖!」
「トラ!」
聖の顔を見ると、やはり頼もしい。
「悪いな、作戦変更だ」
「いいよ、今回は大事なんだろ?」
「間違いない」
「ああ、分かるぜ。ここは相当ヤバいな」
呼んではいなかったが、やはり斬も来た。
「やっぱり来たかよ」
「ふん、ここはなかなかの戦場になる」
「分かるか」
「当然じゃ。あやつの臭いがするわ」
「そうか」
斬も独特の感覚で「業」のこの戦略を感じていた。
俺の予想通りだ。
しかも斬は「業」自身の濃厚な気配を感じてもいる。
俺も同様だ。
午前6時。
「トラキリー」の部隊全員が北京全市に呼び掛けた。
「ブレイド・ハート」たちも全体を観測し、救助者の存在を求めていた。
やはりいなかった。
30秒という短い時間だったが、見逃すはずもない。
もう北京には「人間」はいない。
そればかりか、地上でうごめく《ソリッドバイオレンサー》はおろか、何の動く存在すら無かった。
完全なる死滅都市だ。
茜たちが悔しそうな顔をしていた。
だが同時に真剣な表情だ。
これからあいつらが担うのは、激しい戦闘で傷ついた仲間なのだ。
俺は北京への攻撃を命じた。
「そろそろだぜ」
まずは「ウラール」の編隊が北京に「シャンゴ」を2000発投下する。
地上にいた生物は全て死に絶えるはずだ。
そして北京の地表も数億度の高熱によって崩壊していく。
御影からの提案を受け、特殊な観測部隊を贈ったことにより、《ウラノス》はその下に巨大な空間があることを解析していた。
地下13キロもの下のことであり、《ウラノス》でなければ察知出来なかっただろう。
それも、御影のお陰だ。
あいつが北京に突っ込むと言い、俺が《ウラノス》に北京に集中した徹底的な解析を命じたせいだ。
予想通りに地表が崩れ、直径200キロの大穴が見えた。
俺たちは即座にその周囲に展開する。
《《フェートン》、射出します》
《レイ》からの通信があった。
上空の衛星軌道から《フェートン》の「ヴォイド機関兵器」が地上に射出される。
大空洞の中心に落下し、超高熱と共に巨大な振動が地面を揺るがす。
《《フェートン》の攻撃での振動により大空洞の構造を解析。直径200キロ、深さ33キロ、ほぼ真円の構造です》
《レイ》がすかさず解析データを送って来る。
《妖魔の数、80%の推測で総勢23垓、《フェートン》の攻撃により400万の妖魔消滅。攻撃をレジストする存在あり。敵、上昇します》
「!」
とんでもねぇ数だ。
京を超えて垓だと!
俺はすぐに蓮花に連絡した。
「《ルシファー》を派遣しろ! 急げ!」
「はい!」
既に準備していたので、30分後には到着するだろう。
聖と斬が俺を見ていた。
二人共、以前に戦場で運用した《ルシファー》を見ている。
「トラ、またあれを使うのか?」
「そうだ、とんでもねぇ数だ。23垓もいんだぞ!」
「なにそれ?」
「!」
そうだ、聖はバカだった。
だけど、この膨大さをどうやって伝えれば良いのか。
「あんな機械など必要ない。わしが相手してやる」
「おい、だから23垓なんだって!」
「なんじゃ?」
「あーもう!」
言ってる場合じゃねぇ!
「「イシガミ・レギオン」! 最大戦力で大空洞を攻撃! 「魔法陣」限定解除! 敵は23垓だ!」
何人にその数が伝わっただろうか。
まあ、石神家に関しては関係無い。
俺の「限定解除」という単語だけ理解すれば、あとは自然に悟るだろう。
「聖、行くぞ!」
「おう!」
俺は「虎王」を両方抜き、聖は「聖光」を持って上昇した。
直径200キロの大穴から夥しい妖魔が上がって来る。
俺は全部隊に最大戦力で妖魔を駆逐するように命じた。
今は作戦などない。
全ての人間が観たままだ。
「聖! 「魔法陣」は三重でやれ!」
「おい、いいのかよ」
「一発で1000兆殺さねぇと間に合わんぞ!」
「おう!」
聖は軽く返事をした。
こいつの場合、恐怖は無い。
即座に《ウラノス》と連携した《レイ》が、各員の配置を指示する。
最も効率よく迎撃する計算をしているのだ。
大空洞の直上や周縁にソルジャーたちが並び、「マルドゥック」やデュールゲリエたちも配備していく。
俺は「魔法陣」を三重に描いて「虎王」で連山をぶっ放した。
聖も臆することなく「聖光」で三重の「魔法陣」で撃って行く。
確実に異次元の怪物が出て来るが、今はそいつらを利用しながら攻撃していく。
俺にも何がどうなっているのかは分からんが、出て来た異次元の怪物は目の前の妖魔を喰らい、そして俺たちの次の攻撃で死んでいく。
もう次元の壁は崩壊しながら更に破壊されていく。
不味いのかもしれないが、今はこれで行くしかない。
幸いにも直径200キロというのも俺たちの攻撃で埋め尽くしている。
だから妖魔が地上に出て来るのを何とかギリギリで押さえ込んでいる状態だ。
しかし23垓というのは途轍もない。
一撃で1000兆斃したとしても、それを23万回だ。
石神家の剣聖たちも三重の「魔法陣」を使っている。
三重の「魔法陣」は石神家の剣聖の他、一握りの人間しか知らない。
石神家以外には聖と亜紀ちゃん、それに双子と竹流だけだ。
あまりにも威力が巨大過ぎるのだ。
でも今はそれを使っても危ない状況だった。
「魔法陣」は上級ソルジャーには教えているが、異次元の怪物を呼びださない程度の威力だ。
妖魔を一撃で百万も殺せない。
《《ルシファー》到着します》
やっと来てくれたか!
「すぐに大空洞に行かせろ!」
巨大な6対の黒い羽を拡げた《ルシファー》が大空洞へ下降した。
たちまち密集した妖魔の塊に大穴が開いて行く。
凄まじい《ルシファー》の攻撃が始まり、周囲を瞬時に攻撃して消していくので、空間が生じているのだ。
そしてその空隙は徐々に拡大していく。
桁違いの戦闘力だ。
「《ルシファー》になるべく攻撃は当てるな! 周囲の空隙の外側を狙え!」
俺は指示したが、《ルシファー》には三重「魔法陣」以外の攻撃はダメージはないだろう。
石神家の人間であれば、そういうことも自然に悟るはずだった。
2時間も激しい攻防を繰り返し、なんとか妖魔を外へ出さずにいた。
まだまだ妖魔は残っている。
更に、最悪の状況になった。
全部隊が北京から50キロの地点に集結した。
今回の全部隊5000名と新たにアラスカから10万のソルジャーも呼んだ。
石神家の剣聖、虎白さんたち41名に上級剣士1万。
それが作戦の主力となる。
亜紀ちゃんと真夜と真昼。
「ニーズヘッグ」と「ウラール」。
デュールゲリエ30万と《スズメバチ》400万、「マルドゥック」120機。
聖も「セイントPMC」の精鋭400を連れて来てくれた。
一旦、聖が準備していたロシア侵攻作戦は中断だ。
「聖!」
「トラ!」
聖の顔を見ると、やはり頼もしい。
「悪いな、作戦変更だ」
「いいよ、今回は大事なんだろ?」
「間違いない」
「ああ、分かるぜ。ここは相当ヤバいな」
呼んではいなかったが、やはり斬も来た。
「やっぱり来たかよ」
「ふん、ここはなかなかの戦場になる」
「分かるか」
「当然じゃ。あやつの臭いがするわ」
「そうか」
斬も独特の感覚で「業」のこの戦略を感じていた。
俺の予想通りだ。
しかも斬は「業」自身の濃厚な気配を感じてもいる。
俺も同様だ。
午前6時。
「トラキリー」の部隊全員が北京全市に呼び掛けた。
「ブレイド・ハート」たちも全体を観測し、救助者の存在を求めていた。
やはりいなかった。
30秒という短い時間だったが、見逃すはずもない。
もう北京には「人間」はいない。
そればかりか、地上でうごめく《ソリッドバイオレンサー》はおろか、何の動く存在すら無かった。
完全なる死滅都市だ。
茜たちが悔しそうな顔をしていた。
だが同時に真剣な表情だ。
これからあいつらが担うのは、激しい戦闘で傷ついた仲間なのだ。
俺は北京への攻撃を命じた。
「そろそろだぜ」
まずは「ウラール」の編隊が北京に「シャンゴ」を2000発投下する。
地上にいた生物は全て死に絶えるはずだ。
そして北京の地表も数億度の高熱によって崩壊していく。
御影からの提案を受け、特殊な観測部隊を贈ったことにより、《ウラノス》はその下に巨大な空間があることを解析していた。
地下13キロもの下のことであり、《ウラノス》でなければ察知出来なかっただろう。
それも、御影のお陰だ。
あいつが北京に突っ込むと言い、俺が《ウラノス》に北京に集中した徹底的な解析を命じたせいだ。
予想通りに地表が崩れ、直径200キロの大穴が見えた。
俺たちは即座にその周囲に展開する。
《《フェートン》、射出します》
《レイ》からの通信があった。
上空の衛星軌道から《フェートン》の「ヴォイド機関兵器」が地上に射出される。
大空洞の中心に落下し、超高熱と共に巨大な振動が地面を揺るがす。
《《フェートン》の攻撃での振動により大空洞の構造を解析。直径200キロ、深さ33キロ、ほぼ真円の構造です》
《レイ》がすかさず解析データを送って来る。
《妖魔の数、80%の推測で総勢23垓、《フェートン》の攻撃により400万の妖魔消滅。攻撃をレジストする存在あり。敵、上昇します》
「!」
とんでもねぇ数だ。
京を超えて垓だと!
俺はすぐに蓮花に連絡した。
「《ルシファー》を派遣しろ! 急げ!」
「はい!」
既に準備していたので、30分後には到着するだろう。
聖と斬が俺を見ていた。
二人共、以前に戦場で運用した《ルシファー》を見ている。
「トラ、またあれを使うのか?」
「そうだ、とんでもねぇ数だ。23垓もいんだぞ!」
「なにそれ?」
「!」
そうだ、聖はバカだった。
だけど、この膨大さをどうやって伝えれば良いのか。
「あんな機械など必要ない。わしが相手してやる」
「おい、だから23垓なんだって!」
「なんじゃ?」
「あーもう!」
言ってる場合じゃねぇ!
「「イシガミ・レギオン」! 最大戦力で大空洞を攻撃! 「魔法陣」限定解除! 敵は23垓だ!」
何人にその数が伝わっただろうか。
まあ、石神家に関しては関係無い。
俺の「限定解除」という単語だけ理解すれば、あとは自然に悟るだろう。
「聖、行くぞ!」
「おう!」
俺は「虎王」を両方抜き、聖は「聖光」を持って上昇した。
直径200キロの大穴から夥しい妖魔が上がって来る。
俺は全部隊に最大戦力で妖魔を駆逐するように命じた。
今は作戦などない。
全ての人間が観たままだ。
「聖! 「魔法陣」は三重でやれ!」
「おい、いいのかよ」
「一発で1000兆殺さねぇと間に合わんぞ!」
「おう!」
聖は軽く返事をした。
こいつの場合、恐怖は無い。
即座に《ウラノス》と連携した《レイ》が、各員の配置を指示する。
最も効率よく迎撃する計算をしているのだ。
大空洞の直上や周縁にソルジャーたちが並び、「マルドゥック」やデュールゲリエたちも配備していく。
俺は「魔法陣」を三重に描いて「虎王」で連山をぶっ放した。
聖も臆することなく「聖光」で三重の「魔法陣」で撃って行く。
確実に異次元の怪物が出て来るが、今はそいつらを利用しながら攻撃していく。
俺にも何がどうなっているのかは分からんが、出て来た異次元の怪物は目の前の妖魔を喰らい、そして俺たちの次の攻撃で死んでいく。
もう次元の壁は崩壊しながら更に破壊されていく。
不味いのかもしれないが、今はこれで行くしかない。
幸いにも直径200キロというのも俺たちの攻撃で埋め尽くしている。
だから妖魔が地上に出て来るのを何とかギリギリで押さえ込んでいる状態だ。
しかし23垓というのは途轍もない。
一撃で1000兆斃したとしても、それを23万回だ。
石神家の剣聖たちも三重の「魔法陣」を使っている。
三重の「魔法陣」は石神家の剣聖の他、一握りの人間しか知らない。
石神家以外には聖と亜紀ちゃん、それに双子と竹流だけだ。
あまりにも威力が巨大過ぎるのだ。
でも今はそれを使っても危ない状況だった。
「魔法陣」は上級ソルジャーには教えているが、異次元の怪物を呼びださない程度の威力だ。
妖魔を一撃で百万も殺せない。
《《ルシファー》到着します》
やっと来てくれたか!
「すぐに大空洞に行かせろ!」
巨大な6対の黒い羽を拡げた《ルシファー》が大空洞へ下降した。
たちまち密集した妖魔の塊に大穴が開いて行く。
凄まじい《ルシファー》の攻撃が始まり、周囲を瞬時に攻撃して消していくので、空間が生じているのだ。
そしてその空隙は徐々に拡大していく。
桁違いの戦闘力だ。
「《ルシファー》になるべく攻撃は当てるな! 周囲の空隙の外側を狙え!」
俺は指示したが、《ルシファー》には三重「魔法陣」以外の攻撃はダメージはないだろう。
石神家の人間であれば、そういうことも自然に悟るはずだった。
2時間も激しい攻防を繰り返し、なんとか妖魔を外へ出さずにいた。
まだまだ妖魔は残っている。
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