3,021 / 3,215
奈々ちゃんの極道な日々 Ⅵ
しおりを挟む
「風花さんはお仕事でいないんです。ああ、奈々はすっかり眠ってますね」
笑いながら中へ案内され、3階の寝室へ奈々様を横たえた。
体形の割にずっしりと重い方だった。
筋肉の付が良いのだろう。
まあ、あれだけ喰って、対物ライフルを軽々と扱うお人だ。
俺と濡木は下で紅茶をいただいた。
あの皇紀さんのお宅でこんなことを。
お手間を掛けさせたことを詫びた。
「別にいいですよ。僕も奈々に会えて嬉しいし」
「すいません」
俺は一応、皇紀さんに奈々さんを預かった顛末を説明した。
「ああ、「五頭会」ね、僕も聞いています。災難でしたね」
「いいえ、平敷の奴がバカをしやがって。まさか道間家の方に失礼を働くとは」
「アハハハハハハ!」
皇紀さんは優しいお方なので、俺は平敷のことを聞いてみた。
俺がこんなことはしているが、「五頭会」に対して道間家から処分の要請は無かったのだ。
本来であれば何らかの要求があってもおかしくはない。
10億は包んだが、他には奈々様を連れ出すこと以外は何も言われていない。
道間家に関わるどなたかの手が差し伸べられたとしか考えられない。
「あの、平敷の処分に口添えして下さったのは皇紀さんですか?」
「まあ、ちょっとしたトラブルでしたからね」
「ちょっとした……」
皇紀さんが爆笑された。
「奈々は前からああなんですよ。タカさんの影響で、幼い頃から武器の扱いに興味を持ってて」
「あの、今も幼いんですが」
また皇紀さんが笑った。
「まあね。でもタカさんの子だから、もうソルジャーとしても十分にやれる実力を持ってます」
「はい、自分も拝見しました。重いバレットM82を軽々と構えて。携帯ミサイルの「スティンガー」も9門も抱えて突っ込まれたようで」
「アハハハハハハ!」
いや、笑い事じゃないですが……
でも、皇紀さんがお話し下さった。
「《デモノイド》って知ってますか?」
「はい。バイオノイドの発展形で、恐ろしく戦闘力が高い奴らと」
「そうですよ。前に道間家が《デモノイド》とスペツナズの精鋭に襲われたことがあるんです。「道間城」の建設中で、生憎護衛妖魔も動けない状態で」
「そんなことが」
「天狼は6歳。奈々はまだ4歳でした。でも奈々の機転でクレイモア地雷やグレネードで《デモノイド》を撃破したんです」
「え、4歳!」
「そうです。僕も驚きました。通常の兵器で《デモノイド》を撃破なんて、多分他にはないでしょう。天狼も道間家の技で他の《デモノイド》を撃破しましたし、お姉ちゃんが最後は突入して助かったんですけどね。でも奈々の攻撃が無ければ天狼も奈々も夜羽も死んでいました」
「そんなことがあったんですか」
「奈々は凄いですよ。あれからタカさんも面白がって奈々に武器の扱いをどんどん教えてましたし。ああ、自衛隊の特殊戦群やイギリスの特殊部隊のSASの教官も呼んでました。他にもいろいろな専門家、ああ、聖さんにも頼んでましたしね。多分、僕たちの中では奈々が一番銃火器の扱いは上手いです」
「それはもう、凄まじいお方で」
皇紀さんはしばらく俺たちに付き合って、いろいろなお話をして下さった。
「え、「宝来屋」に行ったんですか!」
「はい、奈々様の御希望で」
「そうかぁ、ああ、また行きたくなったなぁ」
俺が奈々様が召し上がった量を話すと、また皇紀さんが笑った。
「天狼は普通なんですけどね。奈々は僕たちに似てまして」
「そうなんですか。お見事な喰いっぷりでした」
「ワハハハハハハ!」
楽しく話していると、3時になり、奈々様が起きて来られた。
デュールゲリエの久流々さんに手を引かれている。
「皇紀兄様!」
「やあ、奈々、起きたんだね」
「申し訳ございません! ご挨拶も出来ず」
「いいよ。奈々は相変わらずカワイイね」
「はい!」
奈々様が皇紀さんに甘えて抱き着いた。
本当に奈々様は皇紀さんが大好きのようだ。
「折角だからお茶を飲んで行きなよ。子どもたちも呼ぶからさ」
「よろしいのですか!」
「もちろんだ。ちょっと待っててね」
皇紀さんが立ち上がり、お子さんたちを連れて来られた。
そして尖塔の豪華なお部屋へ案内された。
「奈々はここが大好きだよね?」
「はい!」
本当に美しい部屋だった。
八角形の壁で、ステンドグラスが美しい色とりどりの光を投げかけている。
皇紀さんと風花さんのお子さん、金華様、銀華様、聖矢様、日葵様がいらっしゃった。
金華様と銀華様は奈々様と同い年で特別に仲が良いようだ。
並んで座って楽しそうに話している。
猫耳のメイドさんが紅茶とモンブランを持って来た。
俺たちは部外者だったのだが、皇紀さんが会話の中に入れてくれた。
そういう優しいお方だ。
俺などのヤクザなども色目で見てはいない。
石神さんの下、ということで、平等に扱って下さる。
「奈々、あんまり神さんたちを困らせないでね」
「うん!」
いや、もう既に……
お邪魔したことを詫び、皇紀さんの家を出た。
「奈々様、次は行きたい所はございますか?」
「セツの見舞いに行きたい」
「え!」
まさか、そんな……
どうして……
「今、入院してるって聞いたの。だからね?」
「はい、喜んで!」
俺が最も行きたい場所だった。
奈々様を案内する仕事が無ければ、行っていた場所だ。
まさかそこへ奈々様が行きたいとおっしゃるとは。
なんというお方だ。
この方は自分が楽しみたいためではなく、姐さんに会いたいと仰っている。
口ぶりでは姐さんのことは御存知のようだったが、そんなことまで気にかけて下さるとは。
俺はすぐに病院へご案内した。
濡木が姐さんに電話した。
姐さんも奈々様が来るのであれば用意も必要だろう。
奈々様はまたリュックサックを大事そうに前に抱えてニコニコされていた。
時々俺の顔を見上げて、一層微笑まれる。
天使のようなお方だと思った。
ああ、やっぱり石神さんのお血筋だ。
まあ、暴れっぷりもだけど。
笑いながら中へ案内され、3階の寝室へ奈々様を横たえた。
体形の割にずっしりと重い方だった。
筋肉の付が良いのだろう。
まあ、あれだけ喰って、対物ライフルを軽々と扱うお人だ。
俺と濡木は下で紅茶をいただいた。
あの皇紀さんのお宅でこんなことを。
お手間を掛けさせたことを詫びた。
「別にいいですよ。僕も奈々に会えて嬉しいし」
「すいません」
俺は一応、皇紀さんに奈々さんを預かった顛末を説明した。
「ああ、「五頭会」ね、僕も聞いています。災難でしたね」
「いいえ、平敷の奴がバカをしやがって。まさか道間家の方に失礼を働くとは」
「アハハハハハハ!」
皇紀さんは優しいお方なので、俺は平敷のことを聞いてみた。
俺がこんなことはしているが、「五頭会」に対して道間家から処分の要請は無かったのだ。
本来であれば何らかの要求があってもおかしくはない。
10億は包んだが、他には奈々様を連れ出すこと以外は何も言われていない。
道間家に関わるどなたかの手が差し伸べられたとしか考えられない。
「あの、平敷の処分に口添えして下さったのは皇紀さんですか?」
「まあ、ちょっとしたトラブルでしたからね」
「ちょっとした……」
皇紀さんが爆笑された。
「奈々は前からああなんですよ。タカさんの影響で、幼い頃から武器の扱いに興味を持ってて」
「あの、今も幼いんですが」
また皇紀さんが笑った。
「まあね。でもタカさんの子だから、もうソルジャーとしても十分にやれる実力を持ってます」
「はい、自分も拝見しました。重いバレットM82を軽々と構えて。携帯ミサイルの「スティンガー」も9門も抱えて突っ込まれたようで」
「アハハハハハハ!」
いや、笑い事じゃないですが……
でも、皇紀さんがお話し下さった。
「《デモノイド》って知ってますか?」
「はい。バイオノイドの発展形で、恐ろしく戦闘力が高い奴らと」
「そうですよ。前に道間家が《デモノイド》とスペツナズの精鋭に襲われたことがあるんです。「道間城」の建設中で、生憎護衛妖魔も動けない状態で」
「そんなことが」
「天狼は6歳。奈々はまだ4歳でした。でも奈々の機転でクレイモア地雷やグレネードで《デモノイド》を撃破したんです」
「え、4歳!」
「そうです。僕も驚きました。通常の兵器で《デモノイド》を撃破なんて、多分他にはないでしょう。天狼も道間家の技で他の《デモノイド》を撃破しましたし、お姉ちゃんが最後は突入して助かったんですけどね。でも奈々の攻撃が無ければ天狼も奈々も夜羽も死んでいました」
「そんなことがあったんですか」
「奈々は凄いですよ。あれからタカさんも面白がって奈々に武器の扱いをどんどん教えてましたし。ああ、自衛隊の特殊戦群やイギリスの特殊部隊のSASの教官も呼んでました。他にもいろいろな専門家、ああ、聖さんにも頼んでましたしね。多分、僕たちの中では奈々が一番銃火器の扱いは上手いです」
「それはもう、凄まじいお方で」
皇紀さんはしばらく俺たちに付き合って、いろいろなお話をして下さった。
「え、「宝来屋」に行ったんですか!」
「はい、奈々様の御希望で」
「そうかぁ、ああ、また行きたくなったなぁ」
俺が奈々様が召し上がった量を話すと、また皇紀さんが笑った。
「天狼は普通なんですけどね。奈々は僕たちに似てまして」
「そうなんですか。お見事な喰いっぷりでした」
「ワハハハハハハ!」
楽しく話していると、3時になり、奈々様が起きて来られた。
デュールゲリエの久流々さんに手を引かれている。
「皇紀兄様!」
「やあ、奈々、起きたんだね」
「申し訳ございません! ご挨拶も出来ず」
「いいよ。奈々は相変わらずカワイイね」
「はい!」
奈々様が皇紀さんに甘えて抱き着いた。
本当に奈々様は皇紀さんが大好きのようだ。
「折角だからお茶を飲んで行きなよ。子どもたちも呼ぶからさ」
「よろしいのですか!」
「もちろんだ。ちょっと待っててね」
皇紀さんが立ち上がり、お子さんたちを連れて来られた。
そして尖塔の豪華なお部屋へ案内された。
「奈々はここが大好きだよね?」
「はい!」
本当に美しい部屋だった。
八角形の壁で、ステンドグラスが美しい色とりどりの光を投げかけている。
皇紀さんと風花さんのお子さん、金華様、銀華様、聖矢様、日葵様がいらっしゃった。
金華様と銀華様は奈々様と同い年で特別に仲が良いようだ。
並んで座って楽しそうに話している。
猫耳のメイドさんが紅茶とモンブランを持って来た。
俺たちは部外者だったのだが、皇紀さんが会話の中に入れてくれた。
そういう優しいお方だ。
俺などのヤクザなども色目で見てはいない。
石神さんの下、ということで、平等に扱って下さる。
「奈々、あんまり神さんたちを困らせないでね」
「うん!」
いや、もう既に……
お邪魔したことを詫び、皇紀さんの家を出た。
「奈々様、次は行きたい所はございますか?」
「セツの見舞いに行きたい」
「え!」
まさか、そんな……
どうして……
「今、入院してるって聞いたの。だからね?」
「はい、喜んで!」
俺が最も行きたい場所だった。
奈々様を案内する仕事が無ければ、行っていた場所だ。
まさかそこへ奈々様が行きたいとおっしゃるとは。
なんというお方だ。
この方は自分が楽しみたいためではなく、姐さんに会いたいと仰っている。
口ぶりでは姐さんのことは御存知のようだったが、そんなことまで気にかけて下さるとは。
俺はすぐに病院へご案内した。
濡木が姐さんに電話した。
姐さんも奈々様が来るのであれば用意も必要だろう。
奈々様はまたリュックサックを大事そうに前に抱えてニコニコされていた。
時々俺の顔を見上げて、一層微笑まれる。
天使のようなお方だと思った。
ああ、やっぱり石神さんのお血筋だ。
まあ、暴れっぷりもだけど。
2
あなたにおすすめの小説
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
砕けた愛
篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。
あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる