【最終選考残作品】異世界サバイバー!〜異世界でも、狩りガールは余裕で生き抜いてみせます!〜【4章終】

みやこ。@他コン2作通過

文字の大きさ
33 / 46
シャルム村編

和解

しおりを挟む




「おい、貴様!!」

 仁王立ちをしたリアムは、険しい顔で座り込むアリスに声をかけた。
 ビクリと肩を震わせたアリスは、その迫力に圧倒されつつも、なんとか足腰に力を入れて勢いよく立ち上がる。

「はっ、はい! なんでしょう!?」

(なんでフレイアさんは怒ってるの!? もしかして、自分たちに当たる可能性があったのにそれでも撃ったことにご立腹とか⋯⋯!?)

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 アリスは慌てて返事をしたが、肝心のリアムはむっつりと黙り込んでしまっている。

(えっ! 本当に何なの!? 怖い怖いっ⋯⋯!!)

 不可解なリアムの態度に、アリスはブルブルと震え上がる。


「⋯⋯⋯⋯っ⋯⋯た」

 しかし、よくよく耳を澄ますと俯き加減のリアムは、彼らしからぬボソボソとした小声で何かを呟いていた。リアムの表情は長い前髪に隠れてしまいよく見えない。


「⋯⋯え?」
「っ⋯⋯だからっ! 先ほどは助かったと言っているんだ!!」
「⋯⋯⋯⋯!!」

 予想外のリアムの言葉にアリスはポカンと口を開ける。
 リアムは一度口にしたことで吹っ切れたのだろうか、いつもの調子に戻ってぶっきらぼうに話し始めた。

「⋯⋯あの時は咄嗟にあいつを庇ったが、魔力切れを起こしているオレにはどうすることも出来なかった。だから⋯⋯オレたちを救ってくれたことに感謝する。それに、此度の戦闘でお前の実力も充分に理解した」
「⋯⋯っ! じゃあ⋯⋯!!」
「ああ、オレは約束は違わない。お前を認めよう。⋯⋯⋯⋯アリス」

 最後の方の言葉は再びボソボソと小さく消えてしまいそうな声量であったが、アリスの耳にはしっかりと届き、初めて名前を呼んでくれたことに思わず頬が緩む。

「⋯⋯! ありがとうございます、フレイアさん!!」
「リュカ様がお前を気にかける理由も分からなくはない気がするな⋯⋯」

 リアムは困ったような笑みを浮かべ、ぽつりと呟く。

「え? それってどういう⋯⋯」
「なんでもない、気にするな。それと、オレのことはリアムで良い。これからは対等な立場でリュカ様の為に身を粉にして働くのだから、堅苦しい敬語も必要ない」
「ええっ!? わ、わかりました⋯⋯じゃなくて、分かったわ! 改めてこれからよろしくね、リアム!」
「ああ。⋯⋯だが、勘違いするなよ。リュカ様の隣はオレのものだ! 側近の座は絶対に渡さん!」
「ええ~⋯⋯そんなもの狙ってないわよ⋯⋯」

 アリスが呆れ顔で言うと、リアムは「そんなものとは何だ!」と顔を赤くして憤る。

 すると、少し離れたところで事の成り行きを見守っていたリュカが声をかけてきた。

「アリス、良かったじゃないか。リアムと仲良くなれたんだな」
「うーん⋯⋯仲良くなれたかは分からないけれど、前よりは距離が近づいたのかも⋯⋯?」
「自分に厳しい分、他人にも厳しい態度になってしまうから誤解されやすいが、リアムは仲間思いの良い奴なんだ。どうか仲良くしてやってくれ」
「もちろんよ! それに、リアムが仲間思いの優しい人だってことはさっきの出来事で充分に理解出来たわ」
「⋯⋯⋯⋯そうか」

 リュカはそう言って、ふわりと微笑んだ。

(私からすれば、リュカだって仲間思いの優しい人だと思うのだけど、気付いてるのかしらね⋯⋯?)




「さあ、帰ろう」

 昼間の敗北から一転して、僅かに明るい声でリュカが言った。彼の言葉に、皆が弾んだ声で答える。

 真夜中の戦闘から幾分か時が経ち、いつの間にか優しい朝日が森を照らしていた。
 一行は足取りも軽く、討ち取ったペリュトンを手土産にシャルム村への帰路につくのだった。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g
ファンタジー
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」 20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。 一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。 毎日19時更新予定。

花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜

文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。 花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。 堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。 帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは? 異世界婚活ファンタジー、開幕。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

処理中です...