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幸せな日々ードンファンー
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500年前を私は思い出す。
壮大な森、
美しい水。
小鳥の囀り。
私は、この土地が大好きだった。
当時、私は精霊王になったばかりだった。
気負って、色んなことを上手くやろうと懸命だった。
ある時、象の象牙を狙う密猟に私の仲間たちが襲われた。
その日から、平穏な日々は終わった。
私は戦ったが、お金に目が眩んだ密猟の奴らは、やっつけてもやっつけてもまた湧いてきた。
密猟者を退治する前に、人間がよごした水を浄化した。その時に魔力を使いすぎた。
私は迂闊にも重傷を負ってしまった。
精霊は後継が出来るまで死なない。だが傷付けば痛いし、魔力が弱まれば治るまで時間がかかる。
余りにも疲れた。人間なんて嫌いだ。
消えてしまえばいい。
私は綺麗な湧水が湧く水の中で魔力を養い、傷ついた体を癒していた。
周りには、心配そうな水の精霊たちが集まってくる。
月の光に照らされる。
何故だろう、いつもと変わらないのに
悔しい。
寂しい。寒い。
辛い。しんどい。痛い。
他の精霊王なら、私の友は密猟にやられなかったかもしれない。
私が上手くやらないから、
沢山の犠牲がでた。
涙がポタポタと落ちる。
私のの弱さや戦略や性格に嫌気がさす。
すると、森の奥で真っ白な小さな女の子がこちらを伺っている。
私は、片目を開けて彼女をみる。
忌々しい人間の子供だ。
私は、無視を決め込んだ。
女の子はわたしの傷を見てハッと驚いた顔をした。
5歳ぐらいの女の子は、トテトテと走り寄ってきた。
「白い象さん。痛そうなの。痛いの痛いの飛んでいけ。」
そう言って、ワタシの体をそっと撫でた。
ヤメロ!私はお前が嫌いだ。
彼女は魔力が強いのだろう、ワタシの中に魔力が流れ込む。
優しく、陽だまりのようなそんな暖かさを感じる。
なんだろう、心も温かい。
心地よい。段々と痛く無くなってくる。
わたしの目から、涙が溢れた。
ああ、そうか私は人間に絶望していたのだ。
彼女の分けてくれた魔力で私は早期回復することが出来た。
気がつくと彼女は、ゴミを拾ったり、汚染された水を物理的に濾し器で綺麗にしようとしていた。
私は、川が綺麗になって無かろうが、彼女のその行動が嬉しかった。
小さいながらに考え、川を綺麗にしようと、私を助けようとしてくれていたのだ。
私は、ほっこりしながら
彼女のそばで水を浄化してみせた。
たくさんの魔力を使った為疲れてしまう。
すると、女の子はとてとてとやってきて顔に抱きつく。魔力を分けてくれた。
私と彼女は仲良しになった。
彼女の名前はメールと言うらしい。
「私と一緒白いの!」
と彼女は私に懐いた。
何故か彼女は、早朝か夕方に侍女と護衛を遠巻きにして遊びに来る。
良いとこ出のお嬢様だった。
話を聞くと、
彼女は、生まれつき肌のメラニンと呼ばれる色素が作られにくいらしい。
その為、太陽に当たると火傷のようになってしまうらしい。
その為中々友達ができなかった。
メールは友達が欲しいと言っていた。
しかし、ある地域ではこういった色素の薄い子を狙う輩がいる。
迷信を信じて彼等を殺し、願いを叶えるのだそうだ。
実際に、願いは叶うことはない。
迷信だからだ。
ただの殺人者になり、恨まれるだけだ。
そもそも願いを叶える人間は、そんなものに頼らない。自分で夢を掴みに行く。
メールは、色んな国の人が集まる王都で生まれたらしい。
誘拐されそうになったりと危険なことがあり、家族が心配して、比較的安全なこの村に来たのだそうだ。
まったく、よく深い人間は動物だけでなく人間同士も売り買いするのか。
密猟にやってくる汚い笑い方をする人間を思い出す。
何故だろうな、生活に困って苦渋の決断でやってる奴と、儲かるからと安易に手に染める奴の笑い方がちがうんだ。
後者はタチが悪く、根こそぎ殺していく。
そして、なにか都合が悪い事が起これば、他人や自分以外を差し出した。
ムカムカする。
ある日メールは、日差しがキツくない朝にやって来て、一人で木陰でお花を摘んで遊んでいた。
なぜかメールはその日護衛と侍女は連れてなかった。
私は心配だが、遠くで見守る。
すると。村の小さな子供たちが近くで隠れんぼをして遊んでいた。
ある村の女の子が、隠れる時にメールの処に走って来る。
「うぁ!びっくり!人が居たのね!貴方誰?!此処の村の子じゃないよね。それに?髪の毛や肌が私たちより白い。外国人??綺麗!」
「あっあっ。」
メールは緊張して話せなかった。
女の子は
「フフフ!わたしの名前はエリ!エリって呼んでね!私より幼い!私がお姉さんね!なんて可愛いのかしら!私たちと一緒に遊びましょ。名前は言える?」
「めっめっメール」
「メールって言うのね!宜しく!ヤーコブ!!その他の野郎どもと女の子たち!出てきて!新しい友達を紹介するわ!メールよ!」
いつも一人でどこか寂しそうだったメールは、村の子供たちと友達になり嬉しそうに遊んでいた。
メールは珍しくキャッキャと声を上げて遊んでいた。
ふと、私は太陽の下で遊んでも大丈夫か心配になったが、あの様子は大丈夫だなと思ってしまった。
翌日また村の子供たちと遊ぼうと約束していたが、メールはそれ以降しばらく現れなかった。
1週間ぐらいして、また私の所にやって来た。日に沢山当たってしまい、体調を崩したそうだ。
メールは泣きながら言った。
「またやっちゃった。王都にいた時も、そうだったの。皆、腫物を触るかのように遊んでくれなくなった。
しばらくしたら、遠巻きでコソコソと悪口を言われるようになった。
その内、自分が嫌になった。
光の加減で、目が悪いから近づいて見ないといけない自分。
太陽を避けながら生きる自分。
他の人がコソコソと
何か言ってるのを見てから
自分の事が好きになれない。」
と言いながら泣き出した。
私は側に寄り添うことしかできなかった。
すると、村のエリという女の子が
メールを見て、
ヒソヒソと村の子たちと話してる。
ちょっとムッとしてしまった。
この子の悪口を言ったら許さないと睨んだ。
すると、エリは
「メールこっち来て!うわ!何なのこの白いデッカい象さん!睨まないでよ!メールの友達?ごめん!ちょっとメールを借りるわよ!」
と手を引いて行ってしまった。
あいつ何をするつもりだ?
もしメールの嫌がる事をしたら
許さない。
コッソリ私はついていき見守った。
メールは、エリという女の子が連れて行った森を見て目を見開いて驚いていた。
太陽の日差しがキツく差すところは、
布が木にくくりつけられて
影になるように、道が沢山できていた。
広場には、支柱が何本か立ち
テントの様に日差しが入らない様に工夫されていた。
木や蔦で作った秘密基地や、隠れ家、トンネル、通路など、日をさえぎる遊具が作られていた。
周囲には笑顔でそれらを作ったであろう、村の大人たちや子供たちが嬉しそうに誇らしげにメールを見ていた。
村の男の子の1人が
「俺ら友達だろ!俺たちの友情は日差しより熱いんだぜ!なっ!!コレでお前も一緒に気兼ねなく遊べるだろ!
俺らも気をつけるからさ!
それにな、この日差し避けのお陰で、俺らは熱中症になりにくいらしいぞ!
隠れ場所がいっぱいあって、かなり難易度の高い隠れんぼが出来るぞ!
あのトンネルを使えば、鼠のようにコッソリ逃げられるんだ。
凄いだろ!
村の医者の偏屈ジジイが、
インテリぶって、
どんな人も使えるデザインを
ユニバースデザインとか言ってたぞ!」
「ヤーコブ!注射が嫌いだからってお医者さんを目の敵にするのはどうかと思うわよ!其れにユニバーサルデザインでしょ!もう!カッコつけて喋らないでよ!」
エリはそう言いながらメールに
「ごめんね。
日差しに弱いの気がつかなかったの。
また一緒に遊びましょ。
大丈夫!工夫すれば遊べるわ!」
メールはポタポタと泣き出した。
「ウッヴッ。また遊んでくれるの?」
っと聞いていた。
すると、前に一緒に遊んでいた子供たちは
メールに
「当たり前だろ!」
「そうよ!それにね、コレ作るの結構楽しかったのよ!」
「凄いんだぜ!ブランコも有るんだぜ!後から乗せてやるよ。ちゃんと日差し避けのもついてるから大丈夫だ!」
「また、何かあれば工夫すればいいんだしな!」
また、メールは泣いてしまった。
嬉し泣きのようだ。
「おい!エリ!お前の綻んだ顔が変だから泣いたんだぞ!」
「ハァ?アンタ馬鹿なんじゃない?!この流れでなんで私の顔のせいなのよ!」
村の大人たちは大笑い。
「また恒例のエリとヤーコブの喧嘩が始まったかー。ハッハッハッ!」
その光景を見て、
私は人間の強さを垣間見た気がした。
優しさとは、こんなにも心揺さぶるんだな。
人間も捨てたもんじゃない。
私も、彼らを喜ばせたくなった。
鼻から勢いよく水を吸い込んで、吐き出すと
空には、沢山の虹が架かる。
村の人たちは、その光景を見て
「おいなんだこの虹の数は?!」
「おおー何か凄い良い事が起きそうだ!」
「これも、メールちゃんが来てくれた祝福なのかもな!」
と言って喜んでいた。
私は、あれからこの村を守り生きる。
メールが寝込む前日は、メールの母親の誕生日だった。だから、サプライズしようとして一人でメールは花を摘みに来たのだ。
メールの母親は、メールが寝込んだ日、村の人達に話をした。
メールが太陽に弱い事、王都ではそのせいで友達から避けられ、辛い思いをさせてしまった事や、また遊んであげて欲しいと、おねがいしてまわっだそうだ。
村の子供達は、
「メールのかーちゃん。それは、おかしい。だって、本当に友達なら、そんな事で避けたりしないだろ!
それに、遊んであげて欲しいってお願いするのもおかしな話だぜ。
その言い方は俺たちが遊んでやってる感じじゃん。
俺たちは、一緒に遊んでるんだぜ!」
「そうだ。兄ちゃんより、メールの方がしっかりしてるよね。どっちかといえば、兄ちゃんが遊んでもらってる感じ。情けない。メールより4つも上の癖に。」
「うるせー。」
「工夫すれば、また遊べるんじゃない?」
「ねえ皆んなで話し合おうよ。」
皆んなで、話し合った結果、
こうなったらしいとメールが嬉しそうに話してくれた。
村人たちは、メールから私の存在を教えてもらった様で、
「なにっ!精霊様が居る?あの白い足に青い不思議な模様がある象さんか!!
密猟と戦ってくださってるが、水が汚れすぎて弱って魔力が足りなくて、怪我をしただと!
なんて事だ!!
わしらの汚した水が森をダメにしてしまうとは!
直ぐに、汚染水の浄化を考えよう!」
「汚染水を垂れ流すなと言っても、皆んな聞いてくれるでしょうか?」
「なに、大丈夫さ!
互いの利益も考えながら、
相手を互いに尊重すれば
良い解決方法がそのうち出てくる。
ようは、利益が無いから
揉めるんじゃ。
全員に失うものよりも
自分達が享受できる利益が
大きいと分かれば自ずと動き出す。
これこそ!言葉と知恵の使い道よのー!
ハッハッハッ!」
村長と村人たちは、前向きに話し合う。
誰も不利益をさせない、絶対利益にさせる。
彼らはそれを目標に、諦めずに根気強く周囲を説得して、知恵を絞り、仕組みや研究に取り組む。
儲かる事業には企業も喜んで取り組んだ。
そういった事業は、生活の中に組み込まれて無くてはならない事業となり、沢山の長期的な利益を得たようだ。
和は大きくなり次第に国中で水を綺麗にする取り組みが行われた。
そして、ベルトランは水が美しい水の国と言われる様になった。
ベルトランの国旗には、
私の動物の姿の象が描かれている。
あれから500年
私は、精霊王の集い以外は
このベルトラン王国の
レノスト村から離れる事はない。
メールは王族だった。
母親は皇后で、メールは家族から溺愛されていた。
メールと皇后が村を気に入り、王宮に帰らないと言うと、皇帝や兄が王宮をレノスト村に移すと騒ぐなど一悶着あったが、週に2回王宮に戻る事で解決したようだ。
メールは成人してからも、
村で王族の政務に取り組みながらも、村人として村の平民男性と結婚し、子を産み、村の人たちと幸せに暮らした。
私とは良き親友だった。
彼女が居なくなってから500年が経とうとしている。
そんな時、メールとにた魔力を持った女の子が池に現れた。
その子の母親はメールの子孫だった。
母親はメールがいつも首からかけていた、メールが愛した夫から送られた、魔法のペンダントがかけられていた。
ーーーー
学生時代、私の友人にメールちゃんと同じような子がいました。
私は太陽に弱いって事を理解してなくて、無理をさせてしまったことがあります。
その子は、何も言わずに、それからも変わらず一緒に遊んでくれました。
本当に申し訳なかったと思います。
クラス分けや一緒にいる友達が変わって疎遠になりましたが・・・。
遊んだり、何かを集団でする時、全員がフラットにものが言えるよう、パワーバランスに気をつける事を学びました。
壮大な森、
美しい水。
小鳥の囀り。
私は、この土地が大好きだった。
当時、私は精霊王になったばかりだった。
気負って、色んなことを上手くやろうと懸命だった。
ある時、象の象牙を狙う密猟に私の仲間たちが襲われた。
その日から、平穏な日々は終わった。
私は戦ったが、お金に目が眩んだ密猟の奴らは、やっつけてもやっつけてもまた湧いてきた。
密猟者を退治する前に、人間がよごした水を浄化した。その時に魔力を使いすぎた。
私は迂闊にも重傷を負ってしまった。
精霊は後継が出来るまで死なない。だが傷付けば痛いし、魔力が弱まれば治るまで時間がかかる。
余りにも疲れた。人間なんて嫌いだ。
消えてしまえばいい。
私は綺麗な湧水が湧く水の中で魔力を養い、傷ついた体を癒していた。
周りには、心配そうな水の精霊たちが集まってくる。
月の光に照らされる。
何故だろう、いつもと変わらないのに
悔しい。
寂しい。寒い。
辛い。しんどい。痛い。
他の精霊王なら、私の友は密猟にやられなかったかもしれない。
私が上手くやらないから、
沢山の犠牲がでた。
涙がポタポタと落ちる。
私のの弱さや戦略や性格に嫌気がさす。
すると、森の奥で真っ白な小さな女の子がこちらを伺っている。
私は、片目を開けて彼女をみる。
忌々しい人間の子供だ。
私は、無視を決め込んだ。
女の子はわたしの傷を見てハッと驚いた顔をした。
5歳ぐらいの女の子は、トテトテと走り寄ってきた。
「白い象さん。痛そうなの。痛いの痛いの飛んでいけ。」
そう言って、ワタシの体をそっと撫でた。
ヤメロ!私はお前が嫌いだ。
彼女は魔力が強いのだろう、ワタシの中に魔力が流れ込む。
優しく、陽だまりのようなそんな暖かさを感じる。
なんだろう、心も温かい。
心地よい。段々と痛く無くなってくる。
わたしの目から、涙が溢れた。
ああ、そうか私は人間に絶望していたのだ。
彼女の分けてくれた魔力で私は早期回復することが出来た。
気がつくと彼女は、ゴミを拾ったり、汚染された水を物理的に濾し器で綺麗にしようとしていた。
私は、川が綺麗になって無かろうが、彼女のその行動が嬉しかった。
小さいながらに考え、川を綺麗にしようと、私を助けようとしてくれていたのだ。
私は、ほっこりしながら
彼女のそばで水を浄化してみせた。
たくさんの魔力を使った為疲れてしまう。
すると、女の子はとてとてとやってきて顔に抱きつく。魔力を分けてくれた。
私と彼女は仲良しになった。
彼女の名前はメールと言うらしい。
「私と一緒白いの!」
と彼女は私に懐いた。
何故か彼女は、早朝か夕方に侍女と護衛を遠巻きにして遊びに来る。
良いとこ出のお嬢様だった。
話を聞くと、
彼女は、生まれつき肌のメラニンと呼ばれる色素が作られにくいらしい。
その為、太陽に当たると火傷のようになってしまうらしい。
その為中々友達ができなかった。
メールは友達が欲しいと言っていた。
しかし、ある地域ではこういった色素の薄い子を狙う輩がいる。
迷信を信じて彼等を殺し、願いを叶えるのだそうだ。
実際に、願いは叶うことはない。
迷信だからだ。
ただの殺人者になり、恨まれるだけだ。
そもそも願いを叶える人間は、そんなものに頼らない。自分で夢を掴みに行く。
メールは、色んな国の人が集まる王都で生まれたらしい。
誘拐されそうになったりと危険なことがあり、家族が心配して、比較的安全なこの村に来たのだそうだ。
まったく、よく深い人間は動物だけでなく人間同士も売り買いするのか。
密猟にやってくる汚い笑い方をする人間を思い出す。
何故だろうな、生活に困って苦渋の決断でやってる奴と、儲かるからと安易に手に染める奴の笑い方がちがうんだ。
後者はタチが悪く、根こそぎ殺していく。
そして、なにか都合が悪い事が起これば、他人や自分以外を差し出した。
ムカムカする。
ある日メールは、日差しがキツくない朝にやって来て、一人で木陰でお花を摘んで遊んでいた。
なぜかメールはその日護衛と侍女は連れてなかった。
私は心配だが、遠くで見守る。
すると。村の小さな子供たちが近くで隠れんぼをして遊んでいた。
ある村の女の子が、隠れる時にメールの処に走って来る。
「うぁ!びっくり!人が居たのね!貴方誰?!此処の村の子じゃないよね。それに?髪の毛や肌が私たちより白い。外国人??綺麗!」
「あっあっ。」
メールは緊張して話せなかった。
女の子は
「フフフ!わたしの名前はエリ!エリって呼んでね!私より幼い!私がお姉さんね!なんて可愛いのかしら!私たちと一緒に遊びましょ。名前は言える?」
「めっめっメール」
「メールって言うのね!宜しく!ヤーコブ!!その他の野郎どもと女の子たち!出てきて!新しい友達を紹介するわ!メールよ!」
いつも一人でどこか寂しそうだったメールは、村の子供たちと友達になり嬉しそうに遊んでいた。
メールは珍しくキャッキャと声を上げて遊んでいた。
ふと、私は太陽の下で遊んでも大丈夫か心配になったが、あの様子は大丈夫だなと思ってしまった。
翌日また村の子供たちと遊ぼうと約束していたが、メールはそれ以降しばらく現れなかった。
1週間ぐらいして、また私の所にやって来た。日に沢山当たってしまい、体調を崩したそうだ。
メールは泣きながら言った。
「またやっちゃった。王都にいた時も、そうだったの。皆、腫物を触るかのように遊んでくれなくなった。
しばらくしたら、遠巻きでコソコソと悪口を言われるようになった。
その内、自分が嫌になった。
光の加減で、目が悪いから近づいて見ないといけない自分。
太陽を避けながら生きる自分。
他の人がコソコソと
何か言ってるのを見てから
自分の事が好きになれない。」
と言いながら泣き出した。
私は側に寄り添うことしかできなかった。
すると、村のエリという女の子が
メールを見て、
ヒソヒソと村の子たちと話してる。
ちょっとムッとしてしまった。
この子の悪口を言ったら許さないと睨んだ。
すると、エリは
「メールこっち来て!うわ!何なのこの白いデッカい象さん!睨まないでよ!メールの友達?ごめん!ちょっとメールを借りるわよ!」
と手を引いて行ってしまった。
あいつ何をするつもりだ?
もしメールの嫌がる事をしたら
許さない。
コッソリ私はついていき見守った。
メールは、エリという女の子が連れて行った森を見て目を見開いて驚いていた。
太陽の日差しがキツく差すところは、
布が木にくくりつけられて
影になるように、道が沢山できていた。
広場には、支柱が何本か立ち
テントの様に日差しが入らない様に工夫されていた。
木や蔦で作った秘密基地や、隠れ家、トンネル、通路など、日をさえぎる遊具が作られていた。
周囲には笑顔でそれらを作ったであろう、村の大人たちや子供たちが嬉しそうに誇らしげにメールを見ていた。
村の男の子の1人が
「俺ら友達だろ!俺たちの友情は日差しより熱いんだぜ!なっ!!コレでお前も一緒に気兼ねなく遊べるだろ!
俺らも気をつけるからさ!
それにな、この日差し避けのお陰で、俺らは熱中症になりにくいらしいぞ!
隠れ場所がいっぱいあって、かなり難易度の高い隠れんぼが出来るぞ!
あのトンネルを使えば、鼠のようにコッソリ逃げられるんだ。
凄いだろ!
村の医者の偏屈ジジイが、
インテリぶって、
どんな人も使えるデザインを
ユニバースデザインとか言ってたぞ!」
「ヤーコブ!注射が嫌いだからってお医者さんを目の敵にするのはどうかと思うわよ!其れにユニバーサルデザインでしょ!もう!カッコつけて喋らないでよ!」
エリはそう言いながらメールに
「ごめんね。
日差しに弱いの気がつかなかったの。
また一緒に遊びましょ。
大丈夫!工夫すれば遊べるわ!」
メールはポタポタと泣き出した。
「ウッヴッ。また遊んでくれるの?」
っと聞いていた。
すると、前に一緒に遊んでいた子供たちは
メールに
「当たり前だろ!」
「そうよ!それにね、コレ作るの結構楽しかったのよ!」
「凄いんだぜ!ブランコも有るんだぜ!後から乗せてやるよ。ちゃんと日差し避けのもついてるから大丈夫だ!」
「また、何かあれば工夫すればいいんだしな!」
また、メールは泣いてしまった。
嬉し泣きのようだ。
「おい!エリ!お前の綻んだ顔が変だから泣いたんだぞ!」
「ハァ?アンタ馬鹿なんじゃない?!この流れでなんで私の顔のせいなのよ!」
村の大人たちは大笑い。
「また恒例のエリとヤーコブの喧嘩が始まったかー。ハッハッハッ!」
その光景を見て、
私は人間の強さを垣間見た気がした。
優しさとは、こんなにも心揺さぶるんだな。
人間も捨てたもんじゃない。
私も、彼らを喜ばせたくなった。
鼻から勢いよく水を吸い込んで、吐き出すと
空には、沢山の虹が架かる。
村の人たちは、その光景を見て
「おいなんだこの虹の数は?!」
「おおー何か凄い良い事が起きそうだ!」
「これも、メールちゃんが来てくれた祝福なのかもな!」
と言って喜んでいた。
私は、あれからこの村を守り生きる。
メールが寝込む前日は、メールの母親の誕生日だった。だから、サプライズしようとして一人でメールは花を摘みに来たのだ。
メールの母親は、メールが寝込んだ日、村の人達に話をした。
メールが太陽に弱い事、王都ではそのせいで友達から避けられ、辛い思いをさせてしまった事や、また遊んであげて欲しいと、おねがいしてまわっだそうだ。
村の子供達は、
「メールのかーちゃん。それは、おかしい。だって、本当に友達なら、そんな事で避けたりしないだろ!
それに、遊んであげて欲しいってお願いするのもおかしな話だぜ。
その言い方は俺たちが遊んでやってる感じじゃん。
俺たちは、一緒に遊んでるんだぜ!」
「そうだ。兄ちゃんより、メールの方がしっかりしてるよね。どっちかといえば、兄ちゃんが遊んでもらってる感じ。情けない。メールより4つも上の癖に。」
「うるせー。」
「工夫すれば、また遊べるんじゃない?」
「ねえ皆んなで話し合おうよ。」
皆んなで、話し合った結果、
こうなったらしいとメールが嬉しそうに話してくれた。
村人たちは、メールから私の存在を教えてもらった様で、
「なにっ!精霊様が居る?あの白い足に青い不思議な模様がある象さんか!!
密猟と戦ってくださってるが、水が汚れすぎて弱って魔力が足りなくて、怪我をしただと!
なんて事だ!!
わしらの汚した水が森をダメにしてしまうとは!
直ぐに、汚染水の浄化を考えよう!」
「汚染水を垂れ流すなと言っても、皆んな聞いてくれるでしょうか?」
「なに、大丈夫さ!
互いの利益も考えながら、
相手を互いに尊重すれば
良い解決方法がそのうち出てくる。
ようは、利益が無いから
揉めるんじゃ。
全員に失うものよりも
自分達が享受できる利益が
大きいと分かれば自ずと動き出す。
これこそ!言葉と知恵の使い道よのー!
ハッハッハッ!」
村長と村人たちは、前向きに話し合う。
誰も不利益をさせない、絶対利益にさせる。
彼らはそれを目標に、諦めずに根気強く周囲を説得して、知恵を絞り、仕組みや研究に取り組む。
儲かる事業には企業も喜んで取り組んだ。
そういった事業は、生活の中に組み込まれて無くてはならない事業となり、沢山の長期的な利益を得たようだ。
和は大きくなり次第に国中で水を綺麗にする取り組みが行われた。
そして、ベルトランは水が美しい水の国と言われる様になった。
ベルトランの国旗には、
私の動物の姿の象が描かれている。
あれから500年
私は、精霊王の集い以外は
このベルトラン王国の
レノスト村から離れる事はない。
メールは王族だった。
母親は皇后で、メールは家族から溺愛されていた。
メールと皇后が村を気に入り、王宮に帰らないと言うと、皇帝や兄が王宮をレノスト村に移すと騒ぐなど一悶着あったが、週に2回王宮に戻る事で解決したようだ。
メールは成人してからも、
村で王族の政務に取り組みながらも、村人として村の平民男性と結婚し、子を産み、村の人たちと幸せに暮らした。
私とは良き親友だった。
彼女が居なくなってから500年が経とうとしている。
そんな時、メールとにた魔力を持った女の子が池に現れた。
その子の母親はメールの子孫だった。
母親はメールがいつも首からかけていた、メールが愛した夫から送られた、魔法のペンダントがかけられていた。
ーーーー
学生時代、私の友人にメールちゃんと同じような子がいました。
私は太陽に弱いって事を理解してなくて、無理をさせてしまったことがあります。
その子は、何も言わずに、それからも変わらず一緒に遊んでくれました。
本当に申し訳なかったと思います。
クラス分けや一緒にいる友達が変わって疎遠になりましたが・・・。
遊んだり、何かを集団でする時、全員がフラットにものが言えるよう、パワーバランスに気をつける事を学びました。
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「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
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