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始まったはずの何かと現実の
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「お前が殿下に婚約破棄された……いや、婚約したときかな」
「はい?」
想定外に昔に遡られ、一瞬ついて行けなくなります。
「最初はかわいい義妹が離れて行くのがさみしいのかと思ってた」
確かにある意味義兄離れといえなくはないですわね。
「けれど、お前に婚約破棄されたことを謝られたときに」
……それは本当に誤解なんですけれど、説明した方がややこしくなりますし、一応破棄が切っ掛けでしたからもういいですわよね?
「殿下に対する怒りとお前を守りたい気持ちとともに、婚約相手が原因でないなら、今後その役目を一番に担うのは私ではない事に気づいた」
現実は結婚しても実家べったりの人もいますから一概にはいえませんけど、乙女ゲームの場合好きな方に守ってもらうのはときめくポイントですから、そうなりますわよね。
「それを譲りたくないと」
言葉だけなら、主観だけなら、それもシナリオが現状に合わせて変わったせいだと否定できてしまうけれど。
お義兄さまは確かにあの頃からより優しく、そしてほんの少し優しさの種類が変わったとずっと側に居たから知っています。
「わたくしは……」
ずっとお義兄さまの幸せを願っているつもりでした。
けれどそれでもお義兄さまを諦めきれませんでした。
わたくしの気持ちは本当に負担にならないのでしょうか?
「お義兄さま……」
お義兄さまさえよろしいのなら。
――ううん、今言うべき、言いたい言葉はそうじゃない。
「お義兄さまが――」
「はい?」
想定外に昔に遡られ、一瞬ついて行けなくなります。
「最初はかわいい義妹が離れて行くのがさみしいのかと思ってた」
確かにある意味義兄離れといえなくはないですわね。
「けれど、お前に婚約破棄されたことを謝られたときに」
……それは本当に誤解なんですけれど、説明した方がややこしくなりますし、一応破棄が切っ掛けでしたからもういいですわよね?
「殿下に対する怒りとお前を守りたい気持ちとともに、婚約相手が原因でないなら、今後その役目を一番に担うのは私ではない事に気づいた」
現実は結婚しても実家べったりの人もいますから一概にはいえませんけど、乙女ゲームの場合好きな方に守ってもらうのはときめくポイントですから、そうなりますわよね。
「それを譲りたくないと」
言葉だけなら、主観だけなら、それもシナリオが現状に合わせて変わったせいだと否定できてしまうけれど。
お義兄さまは確かにあの頃からより優しく、そしてほんの少し優しさの種類が変わったとずっと側に居たから知っています。
「わたくしは……」
ずっとお義兄さまの幸せを願っているつもりでした。
けれどそれでもお義兄さまを諦めきれませんでした。
わたくしの気持ちは本当に負担にならないのでしょうか?
「お義兄さま……」
お義兄さまさえよろしいのなら。
――ううん、今言うべき、言いたい言葉はそうじゃない。
「お義兄さまが――」
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