決まったルートだったしても

こうやさい

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前編

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 あの時、目の前が真っ赤になった気がした。
 けれどそれが前世を思い出した切っ掛けという訳じゃない。


 よく晴れた安息日の朝、目を覚ますと前世を思い出していた。
 夢に見たと言うわけでもなく、本当にトートツだった。

 様々な、前世での知識や経験、死ぬ直前の記憶。
 そして読んでいたマンガ。
 思い出したマンガの内容と今世での記憶や知識に被るものが多い。
 どうもフィクションの中に転生というパターンのようだ。

 ジャンルは人によってはダークをつけるファンタジーになるだろうか?
 平和な村に両親と共に住んでいた主人公の少年が、出稼ぎから帰ってきた兄貴分の青年から魔王復活の噂を聞かされる。
 少年らしい好奇心と正義感と万能感で魔王を倒すことを決意し、青年を保護者に旅に出るという話だ。
 主人公と対比させるためもあるだろうが、この青年がとにかくクール……というか暗い。なんで旅とか付き合ってやるんだよこいつがというくらい暗い。そんな面倒見がいいタイプに見えない。
 その上、出稼ぎに出る前はもっと明るかったとか、一緒にやんちゃをしたとかって話が出てくるもんだから、当人は大人になったと言っていたが魔王軍の魔族とかなんなら魔王当人がなにか目的があって入れ替わってるんじゃと密かに疑ったものだ。
 ところがその青年はあっさりと主人公を庇って死ぬ。あっさりは言い過ぎかもしれないが引くだけ引いてぶん投げられた感ハンパない。
 まぁそれは青年に限った話じゃないけど。

 そこに行くまでに、魔王を倒す方法を探すため、細々と人助けと仲間捜しと修行もしながら各地を回り、手がかりとして聖剣の存在を知る。
 その聖剣は、なんと主人公が生まれ育った村にあった。
 村に舞い戻る一行。村は出発前と変わらず、否、出発前よりもよほどのどかで平和だった。
 気を緩める主人公に突然住人が襲いかかる。村人は全員殺され今居るのは魔族が化けたものだった。
 そして青年が主人公を庇い命を落とす。その隙に主人公は態勢を立て直し魔族を倒す。
 それでも青年を殺してしまった自分の無力さへの嘆きに聖剣が応え姿を現す。
 ここで魔王がその後主人公たちによって倒されたことが文章で説明されるナレし
 その後英雄とたたえられながらも表舞台から姿を消した主人公は、村の跡地に佇みながら両親や村人の名前をつぶやく。
 そして皆の分まで精一杯生きることを地面に墓標のように刺された聖剣に向かって誓うのだった。

 うん、明らかに打ち切られてるよな、これ。
 最初の仲間の死とか聖剣見つかるとことかって第一部ぐらいでやるもんだよな?
 魔王戦って裏ボスが控えてなきゃクライマックスだからそんな簡単に終わらないよな? 俺TUEEEだと逆に最初に倒される事もあるけど。
 そんな理由で重要なとこがわかんないのかよ!?

 転生先がその青年だった以上すげーそこ重要。

 今の年齢から考えて数年後の話として。
 マジで当人な可能性。
 魔族に入れ替わられて既に殺されている可能性。
 入れ替わりはされたがどこかで何らかの形で生きてる可能性。
 あるいは予想のつかない何か。
 その辺りが多分続いたら絞り込めたのに。
 最後の名前呼ぶとこでそこまで絡んでないモブの名前も一部言ってたのに青年オレの名前すっとばすしさぁ。おかげで、体張ってるのに実は魔族疑惑消えなかったし……裏切ったんじゃなきゃそれでも被害者だろうのに。

 しかし打ち切られるから殺された可能性もあり、続いたなら、つまり現実ならば変わるかもしれない。
 中途半端にいろいろ知識があるせいで最良が分からない。
 何にしろ避けたいという目的は変わらないが。
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