我が罪への供物

こうやさい

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蛇足

隠されたこと

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 男親というのは娘が女房よりも大切だという話は本当らしい。
 うちは一族の年頃になった娘を幾人か海神様の花嫁として捧げる。海神様に見染められながら嫁ぐことができなかった大伯母の代わりらしい。
 そんな経緯があってうちの濃い親戚は大変に少ない、最初慌てで大伯母ににた者を幾人も送り出したせいもあるが、娘が生まれれば結局殺されると分かっている家に嫁いでくる人はそうそういないし、残っている娘にだって話は来ない。
 母は二度と会うことのないであろうよそ者に体を開き、周りにそれでもさげすまれながら幾人も子をなし、病を得、亡くなった。
 父の違う私たちはもちろん母方の祖父と祖母に育てられ、一番大伯母に似ていた姉はすでに海神様に嫁いでいる。特に何事もなければ次はこれから生まれる女児のうちの誰かということになるだろう。
 そんな私がなぜ嫁ぐことが出来たかというと、相手もあぶれものだったからだ。大伯母が戻ってきた時、減らした口はもうないものだと理由も聞かずなぶり殺したのは旦那の祖父だ。そのくせ自分で責任をとろうとせずこちらに全てを押し付けた輩の孫だ、好かれるはずもない。
 いわば一族の仇とも言えなくない相手だったか、こちらも子供は作らなければいけない。自分はやっていないからと開き直るには海神様は畏れ多すぎる。
 こうして利害は一致した……ついこの間まで。
 あったことだけいうなら、生まれた子供が女児だった。
 花嫁の筆頭候補のはずのその女児は、旦那の両親が自分たちの血を惜しみ、乳離れがすんだ途端赤子を取り上げ、私を追い出した
 旦那は両親に賛同した。
 子供が可愛い気持ちが分からないとは言わない。女児だった場合捧げる覚悟はしていたつもりだったが、それでもそれまでは精一杯慈しむつもりだった。
 なのにその前に取り上げられた。まだ手放すつもりは無かった。
 それでも他の家なら許せたかもしれない。そこまで愛情を持たれ、守られる子供にどこか憧れがあったから。
 けれどおまえらは元凶なのに。それを知っているはずなのに。
 また責任を取らないつもりなのかと。
 今はまだ残る慈しみが無くなった時、私はきっと娘を海に突き落とす。
 私の一族の理由が半分、相手への恨みが半分。
 けれどその次に捧げる人はどうしたらいいだろう?
 私はもう誰かに嫁ぐことは出来ないだろうし、母の真似をしても上手く子供を産み育てられるか分からない。その子達にとっての祖父母はいない。庇護してくれる存在が足りない。
 だから妹よ。
 遠い土地の何も知らない豪商に後添えという名の違う意味でのいけにえに望まれた妹よ。
 私たちの事を思うならどうか嫁いでおくれ。
 相手には何も教えずに、きっと反対するだろうから
 そして娘を産んで、その子にだけ伝えておくれ。
 ――もう、この場所では伝えられない。
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