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強制力はどこまでですか? 前編
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わたしが前世を思い出したのは物心がついた頃、転生した世界が前世で読んだ小説の中の可能性が高いと気づいたのは家の近くのその屋敷で働き始めてからでした。
あいにくとわたしはモブではなく、冤罪を着せられ婚約破棄の上追放されたお嬢様にお供として連れて行かれて、お嬢様を庇い大けがを負い、生きるか死ぬかというところで次巻に引いた一応主要キャラといえるメイドでございました。
そこまでしか読んだ記憶がないというのならその後助かる可能性は五分五分といったところでしょうが、エピソードゼロとして婚約破棄前の話を出すという予告が同時にされたところでございまして。
当時はやっと謎に包まれたヒロインの過去がハッキリと明かされると楽しみにしていたものですが。
今となっては死にゆくメイドの走馬灯、その死を盛り上げるための演出としか思えません。
前世の思考のせいもあるかもしれませんけれど、高飛車な子供のために命を失うなんてまっぴらごめんですわ。
……高飛車とはいいましたが、前世と違い身分制度がある世界ですから、お嬢様はもしかしたら普通よりは優しいくらいかもしれませんけど、細かいところに同じ人間として見られていないように感じて。育ちの差というものでしょうか?
そもそも仮に天使のように優しかったとしてもわたしの性格上、命を投げ出してまで助けようとはしないでしょうが。
とはいえ、もし命じられたならお供をするのは避けられません。庇うつもりはなくてもタイミングが悪く結果的にそうならないとは限らないでしょう。
ならばちまちまフラグを折るよりいっそその前に舞台そのものから降りる方が安全でしょうね。
この世界は女性の立場は弱く公的には男性を立てるもの。これも腹立たしいですが、今回はそれを利用させて頂きましょう。……まぁ、単純に結婚したら特殊な場合を除き妻は夫の家に同居しなければならないというだけの話ですけれど。
という理由で遠く閉鎖的なところに住んでる人との婚活を頑張りまして、上手く結婚にこぎ着ける事が出来ました。……愛はないですけど。
そうして仕事を辞め、お嬢様においとまを告げましたところ、よりにもよってこのタイミングでお嬢様にも前世の記憶がある可能性が発覚いたしました。
しかも同じ世界で小説まで知っているご様子。
高飛車な子供なら見捨てることも吝かではないですが、他にいないかもしれない前世が同じ世界の者と考えると、途端にやりづらくなるのはなぜでしょう?
とはいえ自分を犠牲にしようとまではやはりそれでも思えず、そもそも予定は簡単に変えられる訳もなく、倒れたお嬢様に連絡をくれるよう日本語で書き置きを残し、出発いたしました。
恐らく倒れたのは記憶が戻ったショックでしょう。
旅路はなれない事もあり大変でした。
それでも徐々に時折気が抜けるというか、考え事をする余裕が出てきました。
当然マリッジブルーに……なったわけもなく。気になるのはお嬢様の事でした。正確にはエピソードゼロの事が。
自分の安全はこれで確保されたと思うと、前世で読めなかった大好きな小説の続きが気になっても仕方ないでしょう? エピソードゼロですから続きといっていいのか微妙ですけれど。
わたしが居なくなったことでどう影響が出るのかも気になりますし。
それは嫁ぎ先に着いても変わらず、新婚生活もそこそこ、日々お嬢様からの手紙が来ないかとそわそわと待ち続けていました。
お嬢様が考えをまとめていたのか、それとも郵便事情が予想よりも悪かったのか、手紙が来たのはずいぶん経ってからでした。
手紙が来たということはお嬢様は恐らく小説の記憶があり、更にいえば日本語が読める程度には向こうには詳しいということ。
もしかしたら小説について語り合えるかもしれません。
ウキウキと手紙を読んでは返事を考え、出してからも無駄に想像力を働かせ浮かれておりました。
それが周りからどう見えるかなどと考えもせずに。
あいにくとわたしはモブではなく、冤罪を着せられ婚約破棄の上追放されたお嬢様にお供として連れて行かれて、お嬢様を庇い大けがを負い、生きるか死ぬかというところで次巻に引いた一応主要キャラといえるメイドでございました。
そこまでしか読んだ記憶がないというのならその後助かる可能性は五分五分といったところでしょうが、エピソードゼロとして婚約破棄前の話を出すという予告が同時にされたところでございまして。
当時はやっと謎に包まれたヒロインの過去がハッキリと明かされると楽しみにしていたものですが。
今となっては死にゆくメイドの走馬灯、その死を盛り上げるための演出としか思えません。
前世の思考のせいもあるかもしれませんけれど、高飛車な子供のために命を失うなんてまっぴらごめんですわ。
……高飛車とはいいましたが、前世と違い身分制度がある世界ですから、お嬢様はもしかしたら普通よりは優しいくらいかもしれませんけど、細かいところに同じ人間として見られていないように感じて。育ちの差というものでしょうか?
そもそも仮に天使のように優しかったとしてもわたしの性格上、命を投げ出してまで助けようとはしないでしょうが。
とはいえ、もし命じられたならお供をするのは避けられません。庇うつもりはなくてもタイミングが悪く結果的にそうならないとは限らないでしょう。
ならばちまちまフラグを折るよりいっそその前に舞台そのものから降りる方が安全でしょうね。
この世界は女性の立場は弱く公的には男性を立てるもの。これも腹立たしいですが、今回はそれを利用させて頂きましょう。……まぁ、単純に結婚したら特殊な場合を除き妻は夫の家に同居しなければならないというだけの話ですけれど。
という理由で遠く閉鎖的なところに住んでる人との婚活を頑張りまして、上手く結婚にこぎ着ける事が出来ました。……愛はないですけど。
そうして仕事を辞め、お嬢様においとまを告げましたところ、よりにもよってこのタイミングでお嬢様にも前世の記憶がある可能性が発覚いたしました。
しかも同じ世界で小説まで知っているご様子。
高飛車な子供なら見捨てることも吝かではないですが、他にいないかもしれない前世が同じ世界の者と考えると、途端にやりづらくなるのはなぜでしょう?
とはいえ自分を犠牲にしようとまではやはりそれでも思えず、そもそも予定は簡単に変えられる訳もなく、倒れたお嬢様に連絡をくれるよう日本語で書き置きを残し、出発いたしました。
恐らく倒れたのは記憶が戻ったショックでしょう。
旅路はなれない事もあり大変でした。
それでも徐々に時折気が抜けるというか、考え事をする余裕が出てきました。
当然マリッジブルーに……なったわけもなく。気になるのはお嬢様の事でした。正確にはエピソードゼロの事が。
自分の安全はこれで確保されたと思うと、前世で読めなかった大好きな小説の続きが気になっても仕方ないでしょう? エピソードゼロですから続きといっていいのか微妙ですけれど。
わたしが居なくなったことでどう影響が出るのかも気になりますし。
それは嫁ぎ先に着いても変わらず、新婚生活もそこそこ、日々お嬢様からの手紙が来ないかとそわそわと待ち続けていました。
お嬢様が考えをまとめていたのか、それとも郵便事情が予想よりも悪かったのか、手紙が来たのはずいぶん経ってからでした。
手紙が来たということはお嬢様は恐らく小説の記憶があり、更にいえば日本語が読める程度には向こうには詳しいということ。
もしかしたら小説について語り合えるかもしれません。
ウキウキと手紙を読んでは返事を考え、出してからも無駄に想像力を働かせ浮かれておりました。
それが周りからどう見えるかなどと考えもせずに。
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