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後編
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……いや、さすがに無茶言ってる自覚はある。仮に記憶があると知ったとしてもわざわざ巻き込まれるフラグから離れられる機会を捨てるとは思えないし、そもそも主家の令嬢かどわかしたとかってなったら当然違うフラグが立つ。
それに小説のアメリアって、当時は思わなかったけど、こっちの常識で考えると結婚適齢期過ぎてたのよね。追放付き合わせた理由ってそれかも、結婚出来なかった同士ってことで。
女性は結婚するのが当たり前と思われてるこの世界、そういう意味でもアメリア機会逃したくないよね。
……一応レギュラーキャラであるアメリアがお嬢様から離れることで運命が変わるかもと思った可能性もあるし。
けど刊行してる部分でやってたのは庶民生活の説明とサイフだったので他の人でも代替可能だと思う。……最初に住み処を手に入れるために出した結構な大金、アメリアの結婚資金だったんじゃと今思った。
「けれど手紙を預かっております」
「そう。渡してちょうだい」
受け取ると、二つに折られた便せんに容体の心配とキチンと挨拶もせずに出発することのわびと機会があればまた手紙を書くかもしれないということが書かれ……その途中にミミズがのたくっていた。
……ああうん、そうだよね。真っ先に裏切る人に託す手紙に直接的に事情に関すること書けないよね。
他の人が読めない文字でとなると日本語で書くのってテンプレだよね、あたしが日本語を読めない程度にしか記憶戻ってない可能性の確認と、その場合の保険にもなるし。異世界に日本という国があってとかから説明するくらいならなかなか信じてくれないだろうからスルーするか前提適当に誤魔化すよな。
けど、かろうじてこっちの言葉じゃないと判別つくようなレベルの悪筆って日本語でもやっぱり読めないんだけど?
アメリアはこっちの文字は仕込まれたのか凄い綺麗に書けるから落差が凄すぎ。
いやうん、あたしも人のことはいえないけど。文字とかフリックで出すものと思ってたし、手書きで比較的綺麗に書けてたのって一番書き慣れてる署名くらいだし、変換とか機械がしてくれるから漢字とか元からあんま覚えてない上、忘れてるの多いよ。
けどアメリア、試してないけどここまではたぶん酷くならないよあたしは。
急いで書いたせいとか長いこと書いてないせいとか日本語を書いた経験のある筆記具じゃないせいとかもあるだろうけど、ひらがなカタカナは崩れたり引っかかってたり繋がってたりして、漢字はあいまいなのを無理に書こうとしたのを誤魔化すためかぐしゃっとやってさらに読みにくい。
……下手な暗号の方が読みやすいよ、多分。
結局そのミミズ……もとい日本語が、状況はわかっているか? そうならどの程度までなのか教えて欲しいという趣旨を書いてある事が判明するまでずいぶんと時間がかかり、当たり障りのないこととその部分を日本語で書いた返事を出したがあいにくとこの世界では手紙が簡単に届くわけもなく、そこそこ代金もかかるのでアメリアから気軽に返事が来るはずもなく。ちなみにやっぱりあたしの方が日本語は上手かった。
その後やっとそれでも来た返事の日本語部分がこれまた読むのに時間がかかり。
それでも幾度かのやりとりを経て、小説はあの後版権を引き上げて改訂してWebで発表したらなぜか人気が出て再書籍化、続編も書かれ、完結の前にエピソードゼロとして婚約破棄の前日譚が出ると発表されたところまでアメリアの記憶にあると分かった。
……入学、そろそろなんだけど。肝心の婚約破棄の避け方、あるいは円満に婚約解消を済ます方法のヒントとかにならなかったんだけど!?
婚約者が冤罪着せてまで婚約破棄しようとする前に段階があるのかどうかとかも不明だし、完結の前に前日譚が出るって事は多分ネタバレになるから恐らくよりが戻るエンドはない。つまりその後どうなるか分からない。
その上改訂入ってるって事は今持ってる知識が役に立たない可能性が中途半端に出てきてるわけで。Webと再書籍化部分と続編の具体的なとこまで聞けてないんだけど!?
オマケにアメリアってば相手が浮気したとかで離婚して慰謝料はもらって、向こうに居場所がなかったから近々こっちに戻ってくるそうで……フラグが戻って来てしまった。
けどこれでまどろっこしい事をせず直接話し合いが出来る……と言いたいところだけど、今度はあたしが寮な訳で。情報を交換するならまた日本語を解読しなければならないだろう。
てかさ、可能性が高いと分かってたんだから、ミミズ解読する前に婚約自体を解消するよう働きかけるとか、冤罪を晴らすための証拠を集め易くする努力をするとか、そもそも冤罪を被せられないよう隙を作らないようにするとか、せめて追放に備えて準備するとかした方がよかったんじゃ今更だけど。
今からで間に合うかなぁ。
それに小説のアメリアって、当時は思わなかったけど、こっちの常識で考えると結婚適齢期過ぎてたのよね。追放付き合わせた理由ってそれかも、結婚出来なかった同士ってことで。
女性は結婚するのが当たり前と思われてるこの世界、そういう意味でもアメリア機会逃したくないよね。
……一応レギュラーキャラであるアメリアがお嬢様から離れることで運命が変わるかもと思った可能性もあるし。
けど刊行してる部分でやってたのは庶民生活の説明とサイフだったので他の人でも代替可能だと思う。……最初に住み処を手に入れるために出した結構な大金、アメリアの結婚資金だったんじゃと今思った。
「けれど手紙を預かっております」
「そう。渡してちょうだい」
受け取ると、二つに折られた便せんに容体の心配とキチンと挨拶もせずに出発することのわびと機会があればまた手紙を書くかもしれないということが書かれ……その途中にミミズがのたくっていた。
……ああうん、そうだよね。真っ先に裏切る人に託す手紙に直接的に事情に関すること書けないよね。
他の人が読めない文字でとなると日本語で書くのってテンプレだよね、あたしが日本語を読めない程度にしか記憶戻ってない可能性の確認と、その場合の保険にもなるし。異世界に日本という国があってとかから説明するくらいならなかなか信じてくれないだろうからスルーするか前提適当に誤魔化すよな。
けど、かろうじてこっちの言葉じゃないと判別つくようなレベルの悪筆って日本語でもやっぱり読めないんだけど?
アメリアはこっちの文字は仕込まれたのか凄い綺麗に書けるから落差が凄すぎ。
いやうん、あたしも人のことはいえないけど。文字とかフリックで出すものと思ってたし、手書きで比較的綺麗に書けてたのって一番書き慣れてる署名くらいだし、変換とか機械がしてくれるから漢字とか元からあんま覚えてない上、忘れてるの多いよ。
けどアメリア、試してないけどここまではたぶん酷くならないよあたしは。
急いで書いたせいとか長いこと書いてないせいとか日本語を書いた経験のある筆記具じゃないせいとかもあるだろうけど、ひらがなカタカナは崩れたり引っかかってたり繋がってたりして、漢字はあいまいなのを無理に書こうとしたのを誤魔化すためかぐしゃっとやってさらに読みにくい。
……下手な暗号の方が読みやすいよ、多分。
結局そのミミズ……もとい日本語が、状況はわかっているか? そうならどの程度までなのか教えて欲しいという趣旨を書いてある事が判明するまでずいぶんと時間がかかり、当たり障りのないこととその部分を日本語で書いた返事を出したがあいにくとこの世界では手紙が簡単に届くわけもなく、そこそこ代金もかかるのでアメリアから気軽に返事が来るはずもなく。ちなみにやっぱりあたしの方が日本語は上手かった。
その後やっとそれでも来た返事の日本語部分がこれまた読むのに時間がかかり。
それでも幾度かのやりとりを経て、小説はあの後版権を引き上げて改訂してWebで発表したらなぜか人気が出て再書籍化、続編も書かれ、完結の前にエピソードゼロとして婚約破棄の前日譚が出ると発表されたところまでアメリアの記憶にあると分かった。
……入学、そろそろなんだけど。肝心の婚約破棄の避け方、あるいは円満に婚約解消を済ます方法のヒントとかにならなかったんだけど!?
婚約者が冤罪着せてまで婚約破棄しようとする前に段階があるのかどうかとかも不明だし、完結の前に前日譚が出るって事は多分ネタバレになるから恐らくよりが戻るエンドはない。つまりその後どうなるか分からない。
その上改訂入ってるって事は今持ってる知識が役に立たない可能性が中途半端に出てきてるわけで。Webと再書籍化部分と続編の具体的なとこまで聞けてないんだけど!?
オマケにアメリアってば相手が浮気したとかで離婚して慰謝料はもらって、向こうに居場所がなかったから近々こっちに戻ってくるそうで……フラグが戻って来てしまった。
けどこれでまどろっこしい事をせず直接話し合いが出来る……と言いたいところだけど、今度はあたしが寮な訳で。情報を交換するならまた日本語を解読しなければならないだろう。
てかさ、可能性が高いと分かってたんだから、ミミズ解読する前に婚約自体を解消するよう働きかけるとか、冤罪を晴らすための証拠を集め易くする努力をするとか、そもそも冤罪を被せられないよう隙を作らないようにするとか、せめて追放に備えて準備するとかした方がよかったんじゃ今更だけど。
今からで間に合うかなぁ。
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