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彼女にとっての読書感想文
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「読書感想文って得意だったか?」
「嫌いだったわ」
彼女に尋ねてみたところ、きっぱりと言い切られた。
「夏休みの宿題で誰かがやってたの?」
「親戚が」
田舎なのか仲がいいのか知らないが、お盆となれば一家総出でやってきたり行ったりする。この歳になれば選べるが、子供の頃は拒否権がなかった。
そんなときは宿題をお供に持っていっていたわけだが、同じことをしてるヤツがちらほら。
……もっとも俺はそろそろ始めないと間に合わないと言われて嫌々持ってって結局荷物になっただけだったが、向こうは大人に楽しくない行事に誘われたときに盾にするためらしい。……確かに勉強すると言われたら誘いにくい。
そんなことを聞かされた俺は恐らく大人にカテゴライズされていないのだろう。
そこで読書感想文のコンクールをまだやっていることに気付いたわけだ。
彼女が紅茶を二口飲む。
「本を読むきっかけは多い方がいいとはおもうのよ、内容はエンタメでも読むための基礎はいるわけだし。オンノベなんて基礎が理解されなくなったら今の状況結構崩壊するもの」
そういう問題!?
「直接的ではないかもしれないけど、いろいろな文章をそこそこ読めば勉強になるしね。だからたまには自分で選ばない話を読める機会も必要だと思うわ。自分の思考を言語化できるように考えるのも役に立つだろうし」
それは何かわかる。
「けどコンクールで読むのって、よくて作者の意図、わるけりゃ先生の機嫌なんだもの」
「分かる」
そうか、これが思考の言語化。そこがもやもやしてたのか。
「宿題だから途中で投げ出すのはよっぽどの理由がないならダメだと思うけど、感想というならつまらなかったでも、難しかったでも、主人公を理解できなかったでもいいじゃないの。けどそんなこと書いたら最後なんて下手したら人格否定まで来るのよ?」
それはひどい。
「枚数制限もあるしね。あらすじで稼ぐしかなかったわ」
「え、ガチで苦手だったのか?」
あらすじで字数稼ぎって苦手なヤツがする事だよな? 今オンノベについて語れるほどなのに。
「人格否定されるのがね」
……なるほど。
「えーっと俺やらかしてない?」
なんかいろいろ言ったような。
「語り合うのはいいのよ、むしろ楽しいわ。そりゃきつい言葉で言われるのは苦手だけど、盛り上がれば多少はしょうがないし、周り中に同じ感想を持てってのはそれこそ人格否定だもの」
とりあえずセーフっぽいな。
「……こっちこそやってない?」
「特には」
そもそも俺のメインはオンノベじゃないしな。
けど幻滅した記憶がないからやってないのも事実だ。
あと様子を窺うような上目遣いが滅茶苦茶かわいい。
「そんな感じだったから、ギリギリまで誰が読んでも間違いないようなあらすじで埋めて、一部褒められても貶されてもいいような無難なとこを掘り下げて、適当に纏めて終わらせてたわ」
「貶されるのはとにかく、褒められるのもダメなのか?」
「褒められたからって信じられる人ばっかでもないからねー」
……人格否定した教師、相当だな。
オンノベについて話すときはあんなに嬉しそうだから、その教師はもったいないことをしたな。
語り合うのは楽しいと思ってくれて幸いだった。
「ところで技術が確立されてるって得意って言わないか?」
「賞とか取ったことないもの」
「嫌いだったわ」
彼女に尋ねてみたところ、きっぱりと言い切られた。
「夏休みの宿題で誰かがやってたの?」
「親戚が」
田舎なのか仲がいいのか知らないが、お盆となれば一家総出でやってきたり行ったりする。この歳になれば選べるが、子供の頃は拒否権がなかった。
そんなときは宿題をお供に持っていっていたわけだが、同じことをしてるヤツがちらほら。
……もっとも俺はそろそろ始めないと間に合わないと言われて嫌々持ってって結局荷物になっただけだったが、向こうは大人に楽しくない行事に誘われたときに盾にするためらしい。……確かに勉強すると言われたら誘いにくい。
そんなことを聞かされた俺は恐らく大人にカテゴライズされていないのだろう。
そこで読書感想文のコンクールをまだやっていることに気付いたわけだ。
彼女が紅茶を二口飲む。
「本を読むきっかけは多い方がいいとはおもうのよ、内容はエンタメでも読むための基礎はいるわけだし。オンノベなんて基礎が理解されなくなったら今の状況結構崩壊するもの」
そういう問題!?
「直接的ではないかもしれないけど、いろいろな文章をそこそこ読めば勉強になるしね。だからたまには自分で選ばない話を読める機会も必要だと思うわ。自分の思考を言語化できるように考えるのも役に立つだろうし」
それは何かわかる。
「けどコンクールで読むのって、よくて作者の意図、わるけりゃ先生の機嫌なんだもの」
「分かる」
そうか、これが思考の言語化。そこがもやもやしてたのか。
「宿題だから途中で投げ出すのはよっぽどの理由がないならダメだと思うけど、感想というならつまらなかったでも、難しかったでも、主人公を理解できなかったでもいいじゃないの。けどそんなこと書いたら最後なんて下手したら人格否定まで来るのよ?」
それはひどい。
「枚数制限もあるしね。あらすじで稼ぐしかなかったわ」
「え、ガチで苦手だったのか?」
あらすじで字数稼ぎって苦手なヤツがする事だよな? 今オンノベについて語れるほどなのに。
「人格否定されるのがね」
……なるほど。
「えーっと俺やらかしてない?」
なんかいろいろ言ったような。
「語り合うのはいいのよ、むしろ楽しいわ。そりゃきつい言葉で言われるのは苦手だけど、盛り上がれば多少はしょうがないし、周り中に同じ感想を持てってのはそれこそ人格否定だもの」
とりあえずセーフっぽいな。
「……こっちこそやってない?」
「特には」
そもそも俺のメインはオンノベじゃないしな。
けど幻滅した記憶がないからやってないのも事実だ。
あと様子を窺うような上目遣いが滅茶苦茶かわいい。
「そんな感じだったから、ギリギリまで誰が読んでも間違いないようなあらすじで埋めて、一部褒められても貶されてもいいような無難なとこを掘り下げて、適当に纏めて終わらせてたわ」
「貶されるのはとにかく、褒められるのもダメなのか?」
「褒められたからって信じられる人ばっかでもないからねー」
……人格否定した教師、相当だな。
オンノベについて話すときはあんなに嬉しそうだから、その教師はもったいないことをしたな。
語り合うのは楽しいと思ってくれて幸いだった。
「ところで技術が確立されてるって得意って言わないか?」
「賞とか取ったことないもの」
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