彼女にとっての俺との雑談

こうやさい

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彼女にとってのレトロフューチャー

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「レトロフューチャーに携帯電話は出しちゃいけないと思うの」
 彼女の言葉に首をかしげる。
「レトロフューチャーってなんだ?」
「昔の人が考えた未来像」
 ……うーん、分かるような分からないような?
「オンノベ? ジャンルとしては何?」
「SF」
 つまりフィクションでも科学よりって事だよな?
「ならケータイぐらい出てきても構わなくないか?」
「けどあたし昔書かれたSFで携帯電話が出てきたのなんか知らないもん」
 それに関しては反論できないというか、そもそもそんなに詳しくないからなー。
 にしても「もん」ってとこかわいかった。

「けどケータイとかってないと不便だろ?」
 俺にとっては小さい頃は家の判断とかで個人差はあったけど、既に身近だったからなー。子供用どころかスマホ持ってたやつもいたし。
「電話自体はあるんだろ? どんなシロモノなんだ?」
「んとねー、小型化持ち運びというより固定されたテレビ電話とか通話相手の立体映像がリアルタイムに送られてくるとかそんな感じ」
 テレビ電話はとにかく立体映像はまだSFだよな。
「夢がある話だな」
「そうね、たまにだったらね」
 え、けどいつでも擬似的とはいえ会える方がよくないか?

「電話ってね、前もって約束してる時はとにかく、相手の予定を無視していきなり話始めるって事でしょう? まぁ会いに行くのとかもそうといえばそうだけど」
 それに関しては反論しない。
「つまりこっちが何をやっててもお構いなしな訳で」
 そう、トイレの時とか焦るよな。スマホ持ち込むなと言われそうだが外出時に貴重品を離すわけはないし、特に一人の時は。
「持ち運ばない固定電話だったとしてもいつも顔を合わせられる格好をしているとは限らないでしょう? やってる作業中断して身だしなみ整えて電話に向かっているうちに切れるわよ」
 ……それは不便だ。相手がなんで取れなかったかわかんないし。こっちからかけ直すにしても時間差によったら上手く合うとは限らないし。今の比じゃない。
「えーっとダミー映像用意しとくとか?」
「そこまでするなら別に映さなくていいと思う。今の状況を見せなきゃならないとか特殊な場合は別だけど」
 ……いや、ダミーでも顔見たいけど。
「とにかくいきなりリアルタイムの映像が相手に送られるってのは駄目だと思うのよね」
 まぁ、それもそうかもな、それでも。

「けどそれとケータイ許さないのになんの関係があるんだ? 割り込むという意味なら持ちはこぶ分ケータイの方が酷いぞ?」
 まぁ、今は留守電マナーにしてあるけど。せっかくの彼女とのお茶だというのに邪魔されてはたまらない。
 例えそれがいつものファミレスのドリンクバーで、デートではなくとも会ってくれていることにはちがいない。
 ……ところでレモンスカッシュはレトロフューチャーの気分にあっているのだろうか?
「それはそうなんだけど、その辺りははぐれたとかの時の便利さと相殺で」
「なら、レトロフューチャーに出てきてもよくないか?」

「そういう現実味のないひたすら技術という夢を追いかけてるのを求めてるの」

 なるほど。
 つまり科学的っぽく見えるファンタジーを、求めてる訳か。
 それは見分けづらいだろうなぁ。

「ちなみにスマホだと?」
「…………場合によってはありかも」
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