彼女にとっての俺との雑談

こうやさい

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彼女にとっての冬の恋人

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「あたしはストーブと結婚してこたつと不倫をするの!!」
「はぁ」
 好きな子が、結婚だ不倫だ言ってるのだから焦るべきなのかもしれないが、相手がストーブとこたつでは正直どう反応していいか分からない。
 ……アレだな、新しいコートを着てきたはいいが、季節先取りのせいで薄い上に、天気予報が外れて気温がそうとう下がったからだな。
 下に着込めばと言いたいところだが、重ね着しすぎるとシルエットが崩れる……と誰かが言っていたし、そもそもうちの大学は個人の荷物置き場がない。そういう意味では席とか決まってた高校までは楽だったな。
 単なる荷物ならサークル棟や先輩なら研究室に置かせて貰うという手もあるが、何せコートだ。そこから授業を受ける教室までに暖房がかかっていないところそとを通る可能性が高い以上手放せない。
 そして教室もころころ移動するものだから持ち物を増やすと管理がややこしい。忘れたり落としたり慌てたときに持ちきれなくなる確率が高くなる。建物内を移動なら着直すのもアレだしな。
 彼女は昨日まではもこもこで埋まりそうな上着を着ていて大変にかわいらしかったのだが……いや、今のコートも似合うから着たい気持ちは凄い分かる。

 まぁ、雑談が出来る程度には寒くなくなったようで良かった。
 ……多分温かい飲み物飲みすぎでおなかたぽたぽだろうけど。

「えーっとこたつと結婚じゃなく?」
 とりあえずどうでもいいことを聞いてみる。
「あれは束縛が激しいから日常生活を一緒に送る相手には向いてない」
 それ俺らがこたつから出られないだけだからな?
 ……うん、俺の部屋の惨状は思い出さないことにしよう。へたすりゃそのまま気がついたら朝だし。ああ、体痛い。
 てことはストープは持ち運べる大きさなのか?
「エアコンは?」
「見下されそうだから近くにいるだけならいいけど付き合うのは嫌」
 ……まぁ、位置的には大概上の方にあるよな、とちらりと天井に視線を向ける。
 ファミレスは大概エアコンだよなー。
「使い捨てカイロは?」
「遊び相手? 最初だけしか優しくしてくれない相手ならこっちだけしがみついてもむなしいだけだし」
 まぁ確かに持って一晩だよな、暖かいの。確かにそれは遊びの付き合いだな、取っ替え引っ替えするし。

「で、春になったら離婚するのか?」
「梅雨明けぐらいまでは偶に会うけどねー、秋になったらより戻すし」
 強敵だな、それ。


 ……ところでこれ、暖房を擬人化して遊んでるだけだよな?
 正しく男の好み言ってる訳じゃないよな!?
 俺はどのタイプなんだ?

 表情をうかがおうにも彼女は今席を外している。
 ……これはドリンクバーじゃない方だ。
 触れないでおこう。
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