彼女にとっての俺との雑談

こうやさい

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彼女にとっての転生論

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「考えてみるとさ」
 そう言って、彼女は一口アイスティーを飲む。彼女お気に入りのドリンクバーでしか出来ないらしい白ブドウジュースとのカクテルだ。
「『前世が特別な存在だった』って言ってた頃はまだまだ世の中は元気だったよね」

「オンノベ?」
 尋ねてはみたものの、彼女に紹介された話と自主的に読んでみた話は、少なくとも最初は自称平凡、あるいは虐げられていた存在が転生後何らかの特別になることが多い。あるいは転生後から始まるか。
「んーん、一昔前の小説。叔母さんに借りた」
 なんか続編が間おいて出て、そっちは蛇足だから割り切れないなら読まない方がいいって言ってた……と続ける。
 彼女のオンノベ好きはその叔母さんの影響だろうか?
 前世とか言い始めたってことはファンの作者がまた転生物でも書き始めたのかもしれない。

「どうして元気だったと思うの?」
「だってさ、何か根拠とかは欲しいと思うにしろ、その前世を元に現世で何かを成し遂げたいって意欲はあったってことでしょう?」
「確かに今は現世を真っ先にぶん投げるの多いな」
 さっき思った事を口にする。
「どのみち逃避にしても、その差はあると思うのよ」
 一理あると思う。つまり前世の特別では今更どうにもならないという無力感があるのだろう。

 しかし逃避と言い切る辺り、彼女は本当に疲れているのだろう。
 元気ならばやってる事は変わらなくても趣味という。
 あと彼女の場合後ろめたさの有無に直結していることが多い。
「昨日課題せずに徹夜でオンノベ読んだ?」
 確か今日中に提出のはずだったが。
 それを分かっていながら読書をしたなら確かに逃避もあるだろう。

「写させて下さい、お願いします」
 頭を下げられる。
「いいけど」
 小学生のような事を。写せる課題でよかったな。
「ありがとう」
 顔を上げて微笑う。
 かわいらしい表情が見えたのはいい……と言いたいが、うっすらと隈が。
 なんか今日ずいぶんと伏し目がちだと思ったのはそのせいか。

 それから彼女はドリンクバーをおかわりしに立ち上がった。
 今度はコーヒーだった。
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 厳密には別物らしいですが詳しくはしりません。
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