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彼女にとっての他者視点
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「視点いりまじりって大丈夫な方?」
ミルクティーを飲んでいた彼女にふと思い出したように尋ねられたが、意味が分からない。
「えっと、一人称とか、視点固定の三人称とかで、語り手のキャラ以外の視点の物語が入ること?」
表情に出ていたのか説明された。
「あー」
ちなみに今のはオンノベの話かと分かっただけで、視点いりまじりがどういうものか分かった訳ではない。一人称とか三人称とかって現国で出てくるものだったっけ?
「そう聞くって事は苦手だったり?」
けどなんとなく説明しづらそうな感じがしたのでそこはつっこまないことにする。……後で困る気もするが。
「視点が分かりにくのなるのとか、知りたくないこと知っちゃうときとかもあるし……話によるかなぁ?」
「たとえば?」
「とある政略結婚が結ばれることになった途端暗殺者に狙われ始める話があったとする」
政略結婚で暗殺者……で、オンノベって事はファンタジーだな。
「この場合どういう方向に進むと思う?」
「やっぱり暗殺依頼した黒幕捜しじゃないのか?」
恋愛結婚なら痴情のもつれだろうが、政略の場合陰謀の可能性もあるだろうし。
「ところがこれが恋愛物で政略結婚の相手同士がどう恋に落ちるかが焦点で、暗殺はそれを引き立てる一要素にすぎなかったら?」
「……命狙われてるときにずいぶん余裕だな」
「あはは。確かにそういうのが身近なら四六時中そればかりでもいられないし、庇われるとか手当とかときめくイベントもあるだろうけど、大丈夫か心配になるよね。横断歩道でキスしてたカップルみたい」
「アレか」
学校の近くのそこそこ交通量がある道にある横断歩道で、信号変わって他の人も結構渡っている中立ち止まってキスしてたカップルいたよ。
こうやって思い返せば前後のやりとりが気になるとか、リア充爆発しろとか、恋人といちゃつけるのうらやましいとかいろいろ思うことはあるが、見た当初は危ない邪魔だ後にしろよそでやれ何考えてるんだで、車が来るかもしれない危険な場所で通行の邪魔になってることが問題であって、細かいやりとりの感想とかは二の次だったな、インパクトはあったけど。
てか、あの時別に一緒じゃなかったんだけど……同じ事やってるか、ああいうカップル複数いるって事か?
「で、そう思って恋愛面に集中されないのは作者の意図に反してるって場合、さっさと黒幕を読者に教えてしまえば、舞台によったらさほど暗殺を心配しなくていい場面が分かって恋愛に集中出来るし、場合によっては暗殺の犯人にたどり着く前に恋愛が成就してそれ以上続けるのが野暮って時に解決までの時間を減らせたり場合によってはぶん投げたり出来る」
本筋じゃないにしろそれ謎のままは確かに嫌だから、教えてくれるのは親切なのか?
「けど語り手が早々に知っちゃったら大概は事件を解決する方に動くわよね。そしたらせっかくのイベント装置が早々に使えなくなるから、語り手がまだ知らないかつ読者が知る方法として語り手以外の別視点で黒幕について知ったり語ったりするって方法がとられる訳で」
「なるほど」
つまりアレか。この間会ったときに読んでたの。
何読んでるか聞いたらタイトル教えてくれて、薦められもしなかったけど止められもしなかったから検索して読んだんだよ……ストーカー言うな。
まだ終わりそうもないのにいきなり出番終わったと思ってた人が別の人に暗殺計画なんでかほのめかしてたんだよ。
そこがちょうど最新で、黒幕分かってこれから展開どうするのかと思ってたが、読み方がおかしかったのか。
「感想の返信の受け売りとそこからの推測だけど」
いやけど多分正しいだろ、いろいろと腑に落ちる。
「つまり展開を分かりやすくあるいは早くするため主人公が知り得ない情報を読者に知らせるための方法って事か?」
尋ねると彼女は答えずカップに口をつけた。
「うーん?」
ほとんど飲み干してから口を開く。
「そう言われると微妙な気がするけど……今回は間違ってないかな?」
どうもそれこそ微妙な質問をしたらしい。考える間の間が持たなくて飲んだのか。
「他にもいろいろあるけど」
「他?」
……このまま聞いていいんだろうかとちょっと思いつつ。
「たとえばヘイト管理」
「ヘイト管理」
意味が分からず思わず繰り返す。
「これも知り得ない情報といえばそうなんだけど、今は敵だけど今後味方になるキャラとか逆に今は味方だけどいずれ敵になるキャラとか考えてるとする」
まぁあるよなそういう展開。オンノベに限らず。
「オンノベの場合、意外性よりも伏線というか匂わせというかでそういうキャラってある程度は分かるようになってる場合が多いんだけど、たまにその辺全然読み取れなかったりする場合があって」
……それ、作者が下手なんじゃないか? あるいは行き当たりばったり。
「だから現状のポジで読者に嫌われすぎて味方になってもそれが尾を引きそうだったり、人気が出すぎで立場変えたら作品ごとぶん投げられそうとかってなったら困るけど、今までの書き方じゃ通じないと考えて当人に語らせるとか」
「いやいいのかそれ」
というか、それ考えなきゃならない時点で既にアウトじゃないか?
「別に裏切るとかじゃなくても与えたい印象からずれればそっちを中心にした話を書いてフォローしてるなって感じのとか逆に印象を強めたりもある」
「話が長くなるな」
「とりあえず俺も『話による』だなそれだと」
なんか上手く情報が拾える自信がないし。
そもそも今の話を理解出来てるかどうかも怪しい。
もうちょっと現国頑張っておくべきだった。
「あと勘違いものだとか、中心人物はいるけど群像劇めいたものだったとか、語り手ではあるけど主役じゃなかったとか、マンガだとしたらよくあるのとか、普通に補足とか、……視点が固定されてると誤認してたのとか」
「ややこしい」
「説明が悪いだけで具体例を読めばそんなでもないと思うけど。それと人気が出たとかキャラが気に入ったとかで、本筋にあんま絡まないのとか、本筋を別視点で見ただけで重要な新事実とかあまり出ない話とかもあるわね」
「……それは分けるべきでは?」
「好きなキャラが好きな感じて活躍してるとかだったらそれでも楽しいのよこれが。……確かに進まないし、嫌いなキャラとかだったらせめて終わってからやってと思うけどねー」
ミルクティーを飲んでいた彼女にふと思い出したように尋ねられたが、意味が分からない。
「えっと、一人称とか、視点固定の三人称とかで、語り手のキャラ以外の視点の物語が入ること?」
表情に出ていたのか説明された。
「あー」
ちなみに今のはオンノベの話かと分かっただけで、視点いりまじりがどういうものか分かった訳ではない。一人称とか三人称とかって現国で出てくるものだったっけ?
「そう聞くって事は苦手だったり?」
けどなんとなく説明しづらそうな感じがしたのでそこはつっこまないことにする。……後で困る気もするが。
「視点が分かりにくのなるのとか、知りたくないこと知っちゃうときとかもあるし……話によるかなぁ?」
「たとえば?」
「とある政略結婚が結ばれることになった途端暗殺者に狙われ始める話があったとする」
政略結婚で暗殺者……で、オンノベって事はファンタジーだな。
「この場合どういう方向に進むと思う?」
「やっぱり暗殺依頼した黒幕捜しじゃないのか?」
恋愛結婚なら痴情のもつれだろうが、政略の場合陰謀の可能性もあるだろうし。
「ところがこれが恋愛物で政略結婚の相手同士がどう恋に落ちるかが焦点で、暗殺はそれを引き立てる一要素にすぎなかったら?」
「……命狙われてるときにずいぶん余裕だな」
「あはは。確かにそういうのが身近なら四六時中そればかりでもいられないし、庇われるとか手当とかときめくイベントもあるだろうけど、大丈夫か心配になるよね。横断歩道でキスしてたカップルみたい」
「アレか」
学校の近くのそこそこ交通量がある道にある横断歩道で、信号変わって他の人も結構渡っている中立ち止まってキスしてたカップルいたよ。
こうやって思い返せば前後のやりとりが気になるとか、リア充爆発しろとか、恋人といちゃつけるのうらやましいとかいろいろ思うことはあるが、見た当初は危ない邪魔だ後にしろよそでやれ何考えてるんだで、車が来るかもしれない危険な場所で通行の邪魔になってることが問題であって、細かいやりとりの感想とかは二の次だったな、インパクトはあったけど。
てか、あの時別に一緒じゃなかったんだけど……同じ事やってるか、ああいうカップル複数いるって事か?
「で、そう思って恋愛面に集中されないのは作者の意図に反してるって場合、さっさと黒幕を読者に教えてしまえば、舞台によったらさほど暗殺を心配しなくていい場面が分かって恋愛に集中出来るし、場合によっては暗殺の犯人にたどり着く前に恋愛が成就してそれ以上続けるのが野暮って時に解決までの時間を減らせたり場合によってはぶん投げたり出来る」
本筋じゃないにしろそれ謎のままは確かに嫌だから、教えてくれるのは親切なのか?
「けど語り手が早々に知っちゃったら大概は事件を解決する方に動くわよね。そしたらせっかくのイベント装置が早々に使えなくなるから、語り手がまだ知らないかつ読者が知る方法として語り手以外の別視点で黒幕について知ったり語ったりするって方法がとられる訳で」
「なるほど」
つまりアレか。この間会ったときに読んでたの。
何読んでるか聞いたらタイトル教えてくれて、薦められもしなかったけど止められもしなかったから検索して読んだんだよ……ストーカー言うな。
まだ終わりそうもないのにいきなり出番終わったと思ってた人が別の人に暗殺計画なんでかほのめかしてたんだよ。
そこがちょうど最新で、黒幕分かってこれから展開どうするのかと思ってたが、読み方がおかしかったのか。
「感想の返信の受け売りとそこからの推測だけど」
いやけど多分正しいだろ、いろいろと腑に落ちる。
「つまり展開を分かりやすくあるいは早くするため主人公が知り得ない情報を読者に知らせるための方法って事か?」
尋ねると彼女は答えずカップに口をつけた。
「うーん?」
ほとんど飲み干してから口を開く。
「そう言われると微妙な気がするけど……今回は間違ってないかな?」
どうもそれこそ微妙な質問をしたらしい。考える間の間が持たなくて飲んだのか。
「他にもいろいろあるけど」
「他?」
……このまま聞いていいんだろうかとちょっと思いつつ。
「たとえばヘイト管理」
「ヘイト管理」
意味が分からず思わず繰り返す。
「これも知り得ない情報といえばそうなんだけど、今は敵だけど今後味方になるキャラとか逆に今は味方だけどいずれ敵になるキャラとか考えてるとする」
まぁあるよなそういう展開。オンノベに限らず。
「オンノベの場合、意外性よりも伏線というか匂わせというかでそういうキャラってある程度は分かるようになってる場合が多いんだけど、たまにその辺全然読み取れなかったりする場合があって」
……それ、作者が下手なんじゃないか? あるいは行き当たりばったり。
「だから現状のポジで読者に嫌われすぎて味方になってもそれが尾を引きそうだったり、人気が出すぎで立場変えたら作品ごとぶん投げられそうとかってなったら困るけど、今までの書き方じゃ通じないと考えて当人に語らせるとか」
「いやいいのかそれ」
というか、それ考えなきゃならない時点で既にアウトじゃないか?
「別に裏切るとかじゃなくても与えたい印象からずれればそっちを中心にした話を書いてフォローしてるなって感じのとか逆に印象を強めたりもある」
「話が長くなるな」
「とりあえず俺も『話による』だなそれだと」
なんか上手く情報が拾える自信がないし。
そもそも今の話を理解出来てるかどうかも怪しい。
もうちょっと現国頑張っておくべきだった。
「あと勘違いものだとか、中心人物はいるけど群像劇めいたものだったとか、語り手ではあるけど主役じゃなかったとか、マンガだとしたらよくあるのとか、普通に補足とか、……視点が固定されてると誤認してたのとか」
「ややこしい」
「説明が悪いだけで具体例を読めばそんなでもないと思うけど。それと人気が出たとかキャラが気に入ったとかで、本筋にあんま絡まないのとか、本筋を別視点で見ただけで重要な新事実とかあまり出ない話とかもあるわね」
「……それは分けるべきでは?」
「好きなキャラが好きな感じて活躍してるとかだったらそれでも楽しいのよこれが。……確かに進まないし、嫌いなキャラとかだったらせめて終わってからやってと思うけどねー」
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