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彼女にとっての異世界転生設定
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彼女が目の前でオンノベを読んでいる。
……いや、話してる最中にそれと無関係にスマホを見に行くこととか最近めったにしないんだけど、今回は引きがえぐかったからなー。オレでもちょっと続き気になる。その間分彼女遠慮なく見つめられる方が重要だからやらないけど。
変わっていく表情から展開予想とかしたら嫌がられるかな?
「ごめんね、放っといて……どうかした?」
ヤベ。
「あー、いや、えーっと……」
見てましたとか素直に言えるわけはなく。
「その話の主人公が現代日本から転生してきたって設定なんのためにあるのだろうなー、とか考えてた」
……今じゃないけどな。
「この話というか、一般論というか、私見も入ってると思うけど」
うんうん、誤魔化せるなら何でもいい。
「主人公と自分って共通点がある方が感情移入しやすいっていうでしょう?」
聞いたことあるようなないような。
「どこを共通するかにもよるし、現実とじゃなく面白いと思う部分とか憧れる部分とかとだったり、まるっきり逆だったり、ほとんど客観に近い読み方出来る人もいるだろうけど、とっかかりにはなるわけで」
ああうん、昔古典の授業で興味を持つよう作者を身近に感じるエピソード披露とかされたなそういや。……歴史だったか? よく眠れたからなー。
「つまり読者取得に役立つ」
うおぃ。
「そうなのか?」
「あたしは読み慣れてるし好きだからそこまでじゃないけど、いきなり全然わかんない世界観に放り込まれると読みづらいからねー」
それで最初薦められた話があれなのか。
「で、共通認識って話になると、例えばこれを『レッフェル』って呼んでる国を書かれるとどう思う?」
そう言って彼女はスプーンを手に取る。
「…………異世界だな」
「この世界にあるからね。異世界にもあるけど」
……単位に関係する講義じゃなかろうな。
「で、現地主人公の場合当然あるものを今更どういう意味か上手く読者に説明出来なくてスルーしたり不自然になる可能性があるでしょ。小説だとイラスト見れば分かるにも限度があるし」
語感から推測も正直出来ない。
「けどそこで前世の記憶があったら、前世だと理解するためとか最初に見たときの回想とかでこっちでの名称を説明する機会が出来るでしょう? 一度説明すればルビだったり思考内では置き換えるなりしても不自然さが減るし」
なるほど?
「共通認識がすんなり通じないのも困るけど、ストレートに書くとファンタジーな雰囲気が崩れるって意見もあるからねー、どれがいいかとかバランスとかは結構好みだと思うけど、本文は結局日本語なの読んでるしね」
スプーンがレッフェルな国の文とか絶対読めないな。
「それと同じで主人公だけにステータス画面が見える系とか」
「いや、ステータス見えるのって結構ないか?」
自分だけ見えるとかギルドカードが教えてくれるとかパターンはあるが。
「世界観としてステータスが見える世界は知識もあるはずだから主人公が混乱することもないし、あったとしても教えてくれる存在を出せるからそれの解明に延々時間を割く必要がないのよ」
そこまで言って彼女は紅茶を飲む……だいぶ冷めてるな。
「まー、解明していく話も面白そうだと思うけど、読者はある程度どういうものかわかってることが多いから、そこ興味ない人もいると思うのよね。そういう意味ではわからない人には不親切な訳だけど」
確かにオレは読みたくないかも説明。
「けどそこで主人公にしか見えなくて心当たりもないとなったら?」
それ、誰かに聞くのも難しそうだな。
「完全にスルーするのも不自然だな」
「スルーしたものを当てにあれこれやり出したら特にね」
なんでいきなり確信持つんだよとか思うな。別の意味でバカなのかと。
「見えるようになったのは昔で既に使いこなせてるって設定とかでもいいけど、別の文化では普通って設定になったらそこから来たのなら詳しい判明過程がなくとも不自然じゃないわけだし」
「けど転生でもないのに説明なく使いこなせてるのあるよな」
「それはお約束というか、ちょっと違う部分に共通認識があるから、それを利用してるんだと思う。単に苦手な人もいるかもだけど」
それで最初薦められた話があれなのか。
「そんな感じだから、話が進んで、知らないとしても学習でなんとかなるくらいの時間が作中で経過すると他に特徴がないなら転生設定がそこまで重要じゃなくなるのもあるのよ、読者も慣れるし忘れるしね」
「読者もいきなりそこから読まないし?」
「……それはわかんないかなー」
「ところで面白かった?」
そう尋ねると彼女は輝かんばかりの笑顔を浮かべる。
「タイムリーな話題だったわよ」
……レッなんちゃらの方じゃないだろうな?
……いや、話してる最中にそれと無関係にスマホを見に行くこととか最近めったにしないんだけど、今回は引きがえぐかったからなー。オレでもちょっと続き気になる。その間分彼女遠慮なく見つめられる方が重要だからやらないけど。
変わっていく表情から展開予想とかしたら嫌がられるかな?
「ごめんね、放っといて……どうかした?」
ヤベ。
「あー、いや、えーっと……」
見てましたとか素直に言えるわけはなく。
「その話の主人公が現代日本から転生してきたって設定なんのためにあるのだろうなー、とか考えてた」
……今じゃないけどな。
「この話というか、一般論というか、私見も入ってると思うけど」
うんうん、誤魔化せるなら何でもいい。
「主人公と自分って共通点がある方が感情移入しやすいっていうでしょう?」
聞いたことあるようなないような。
「どこを共通するかにもよるし、現実とじゃなく面白いと思う部分とか憧れる部分とかとだったり、まるっきり逆だったり、ほとんど客観に近い読み方出来る人もいるだろうけど、とっかかりにはなるわけで」
ああうん、昔古典の授業で興味を持つよう作者を身近に感じるエピソード披露とかされたなそういや。……歴史だったか? よく眠れたからなー。
「つまり読者取得に役立つ」
うおぃ。
「そうなのか?」
「あたしは読み慣れてるし好きだからそこまでじゃないけど、いきなり全然わかんない世界観に放り込まれると読みづらいからねー」
それで最初薦められた話があれなのか。
「で、共通認識って話になると、例えばこれを『レッフェル』って呼んでる国を書かれるとどう思う?」
そう言って彼女はスプーンを手に取る。
「…………異世界だな」
「この世界にあるからね。異世界にもあるけど」
……単位に関係する講義じゃなかろうな。
「で、現地主人公の場合当然あるものを今更どういう意味か上手く読者に説明出来なくてスルーしたり不自然になる可能性があるでしょ。小説だとイラスト見れば分かるにも限度があるし」
語感から推測も正直出来ない。
「けどそこで前世の記憶があったら、前世だと理解するためとか最初に見たときの回想とかでこっちでの名称を説明する機会が出来るでしょう? 一度説明すればルビだったり思考内では置き換えるなりしても不自然さが減るし」
なるほど?
「共通認識がすんなり通じないのも困るけど、ストレートに書くとファンタジーな雰囲気が崩れるって意見もあるからねー、どれがいいかとかバランスとかは結構好みだと思うけど、本文は結局日本語なの読んでるしね」
スプーンがレッフェルな国の文とか絶対読めないな。
「それと同じで主人公だけにステータス画面が見える系とか」
「いや、ステータス見えるのって結構ないか?」
自分だけ見えるとかギルドカードが教えてくれるとかパターンはあるが。
「世界観としてステータスが見える世界は知識もあるはずだから主人公が混乱することもないし、あったとしても教えてくれる存在を出せるからそれの解明に延々時間を割く必要がないのよ」
そこまで言って彼女は紅茶を飲む……だいぶ冷めてるな。
「まー、解明していく話も面白そうだと思うけど、読者はある程度どういうものかわかってることが多いから、そこ興味ない人もいると思うのよね。そういう意味ではわからない人には不親切な訳だけど」
確かにオレは読みたくないかも説明。
「けどそこで主人公にしか見えなくて心当たりもないとなったら?」
それ、誰かに聞くのも難しそうだな。
「完全にスルーするのも不自然だな」
「スルーしたものを当てにあれこれやり出したら特にね」
なんでいきなり確信持つんだよとか思うな。別の意味でバカなのかと。
「見えるようになったのは昔で既に使いこなせてるって設定とかでもいいけど、別の文化では普通って設定になったらそこから来たのなら詳しい判明過程がなくとも不自然じゃないわけだし」
「けど転生でもないのに説明なく使いこなせてるのあるよな」
「それはお約束というか、ちょっと違う部分に共通認識があるから、それを利用してるんだと思う。単に苦手な人もいるかもだけど」
それで最初薦められた話があれなのか。
「そんな感じだから、話が進んで、知らないとしても学習でなんとかなるくらいの時間が作中で経過すると他に特徴がないなら転生設定がそこまで重要じゃなくなるのもあるのよ、読者も慣れるし忘れるしね」
「読者もいきなりそこから読まないし?」
「……それはわかんないかなー」
「ところで面白かった?」
そう尋ねると彼女は輝かんばかりの笑顔を浮かべる。
「タイムリーな話題だったわよ」
……レッなんちゃらの方じゃないだろうな?
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