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後編
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「な、なんだったんだ今の」
エールに口を付けるが従来のものだった。ノンアルコール風味な訳でもない。
「……バグだろうな」
それが直る瞬間を目にしてしまったのだろう。
「なんでバグが説教かますんだ……?」
「多分、将来実装予定の機能をうっかり表に出るようにしてしまったんじゃね?」
「実装?」
ギギギと音が出そうな動きでカードを仕舞っている。
「カルマがばれるのが?」
小さいとはいえ罪は罪、累積すれば周りに悪質だと周知されされ、あげくの果てにはプレイキャラ、場合によってはアカウントを消される。
あとNPCに知られれば相応に接せられる。おまけをしてくれなくなったり、情報を出し渋られたり、避けられたり、逆に質の悪いキャラが近寄ってきたりする。
なのでカルマが溜まっていると知られない方がいいし、そもそも溜めない方がいい。
「そうなったプレイスタイルにもよるだろうが取り返しの付くささいなうちに消そうとするだろうな」
数値上のカルマは単純で、反省を見せるという名目で奉仕活動をしたり罰金を払ったりすれば減る。
そして奉仕活動などより罰金の方が一般的だ。
「コインでだけど、それをリアルマネーでも買うことも出来るからな。運営の収入になる」
課金は時間の短縮のためと思っている人なら奉仕活動に時間を取られるならサクッと払ってしまうだろう。
「払うのがめんどくさければそれでも溜めるヤツもいるだろうけど、カードで簡単に払えるみたいだし?」
今まで罰金は規定の場所にコインを運ばなければならなかったため、溜まれば持って行くこと自体がお金が減ること以上に罰ゲームと呼ばれていたが、カートで支払えるなら余計な荷物は持たなくていいし危険も減る。場合によってはいずれ他の場所からも振り込めるようになるかもしれない、何せデータはカードに紐付いている。
「なんでそんな機能が後出しで付くんだよ!?」
まったくもって正しい言い分だと思うが。
「最初から計画されてたか、使えそうだから利用しようとしたかだな」
そういうことはよくある。
「い、いやけどそんなシステムの根底に関わるような機能ついてるものを持つかどうかが任意だなんて」
自分が恩恵を受ける分には構わないが、罰を余計に受けるのは避けたいのは一般的な考えだろう。
「最終的には義務にするんだろ。いきなり変えたらどんなものでも反発はあるだろうけど、選択肢を与えた上で先に利便性を押し出しだせば自主的に発行するだろうし、既に持っている人は後で義務化となっても今更それで反対はしないだろ、それでも自分で選んで取得してしまったわけだし。反対が少なくなれば押し切りやすいし」
デメリットが出てくれば持っている人はむしろ持っていない人を巻き込もうとするだろうし。
「なんだよ、任意って建前かよ」
それでも不満に思う人はいるわけだが。
「あくまでも任意で押し通すかもな。ただカードでないと支払い出来なくなったり、単独のギルドカードが発行されなくなったりするだけで」
完全自給自足が出来るならとにかく、食料もポーションも武器防具も入手するには大概は金がいる。
ギルドカードは所属証明である。その証明により受ける恩恵は多い。
「殺す気か」
多くの人はそれよりはマシだとカードに縛られることを選ぶだろう。
「だからって給仕のオバちゃんにまでバレるのか!?」
「さすがにそこは参照出来る項目は制限されると思うけど」
NPCにバレたところで困らない情報はいいが、なまじ人間くさい動きをするだけに、噂話など始めないかと知られれば不安になる。たとえばブラックリストに入れているアカウントなど知られたら困る。
「今回のは意図的じゃない分、権限が多かったんだろ」
まだ内部でも試験段階なのかもしれない。
「でなきゃ登録されてる年齢くらい運営は今でも知っている訳だし、その気になれば今までも規制されてただろ」
現にカルマは付いている。
「ロールプレイに付き合う気は有るんだろ、それでも」
とはいえ、それはNPCはプレイヤーの正確なプロフィールを簡単に知る手段がないという前提でのロールプレイだ。知る手段が出来てしまったら覆る可能性はある。
「……おまえじゃないけど身軽の腕輪も義務化とかしそうだな」
いかにもうんざりした口調だった。
「簡単にカルマ付けられて、踏み倒される心配も減る」
そのうち今居る場所からカードだけで振り込めるようにもなるかもしれない。
「手軽さも良し悪しだな」
「その場で直接徴収されるわけでもないから詐欺も防げる。代わりに別人だととぼけることも出来ない」
現行犯で即コインでの徴収となれば、偽徴収員なども出てくるかもしれない。イベント以外でそんなことが横行していては騙されるほうも調査する運営もたまらないだろう。もっともプラットホームの性質上完全に逃げられるならそもそもカルマのシステムが成り立たないだろうが。
「しかも意図的に持ち忘れることも出来ないってか」
現実ならば過失といういいわけも出来るが、カードはシステム上常に側にある。カードがなくとも逃げられないわけだが。
「クソゲーが」
良くも悪くもシステムがそこまで変わればそう言いたくもなるだろう。ましてや今回考えたことは不利益としか思えていない。
「ゲームだけで済むといいな」
「恐いこと言うなよー」
「まー、ゲームの方も単なる予想だけどな。どうしてもやる気だったら今まででも出来てたんだししつこいけど」
「けどおばちゃん怪しい事言ってた」
「言ってたな」
「さっきのバグってなんで起こったんだろ?」
「転用出来るように作ってるはずのシステムが、いざ転用始めようとすると不具合が出るのもデフォだろ」
「うわ。……念のためアプデ入る前に飲みまくってやる。カルマはギリギリまで無視る」
「いやオレ別に飲むの引っかからないし」
「嘘だろ!?」
エールに口を付けるが従来のものだった。ノンアルコール風味な訳でもない。
「……バグだろうな」
それが直る瞬間を目にしてしまったのだろう。
「なんでバグが説教かますんだ……?」
「多分、将来実装予定の機能をうっかり表に出るようにしてしまったんじゃね?」
「実装?」
ギギギと音が出そうな動きでカードを仕舞っている。
「カルマがばれるのが?」
小さいとはいえ罪は罪、累積すれば周りに悪質だと周知されされ、あげくの果てにはプレイキャラ、場合によってはアカウントを消される。
あとNPCに知られれば相応に接せられる。おまけをしてくれなくなったり、情報を出し渋られたり、避けられたり、逆に質の悪いキャラが近寄ってきたりする。
なのでカルマが溜まっていると知られない方がいいし、そもそも溜めない方がいい。
「そうなったプレイスタイルにもよるだろうが取り返しの付くささいなうちに消そうとするだろうな」
数値上のカルマは単純で、反省を見せるという名目で奉仕活動をしたり罰金を払ったりすれば減る。
そして奉仕活動などより罰金の方が一般的だ。
「コインでだけど、それをリアルマネーでも買うことも出来るからな。運営の収入になる」
課金は時間の短縮のためと思っている人なら奉仕活動に時間を取られるならサクッと払ってしまうだろう。
「払うのがめんどくさければそれでも溜めるヤツもいるだろうけど、カードで簡単に払えるみたいだし?」
今まで罰金は規定の場所にコインを運ばなければならなかったため、溜まれば持って行くこと自体がお金が減ること以上に罰ゲームと呼ばれていたが、カートで支払えるなら余計な荷物は持たなくていいし危険も減る。場合によってはいずれ他の場所からも振り込めるようになるかもしれない、何せデータはカードに紐付いている。
「なんでそんな機能が後出しで付くんだよ!?」
まったくもって正しい言い分だと思うが。
「最初から計画されてたか、使えそうだから利用しようとしたかだな」
そういうことはよくある。
「い、いやけどそんなシステムの根底に関わるような機能ついてるものを持つかどうかが任意だなんて」
自分が恩恵を受ける分には構わないが、罰を余計に受けるのは避けたいのは一般的な考えだろう。
「最終的には義務にするんだろ。いきなり変えたらどんなものでも反発はあるだろうけど、選択肢を与えた上で先に利便性を押し出しだせば自主的に発行するだろうし、既に持っている人は後で義務化となっても今更それで反対はしないだろ、それでも自分で選んで取得してしまったわけだし。反対が少なくなれば押し切りやすいし」
デメリットが出てくれば持っている人はむしろ持っていない人を巻き込もうとするだろうし。
「なんだよ、任意って建前かよ」
それでも不満に思う人はいるわけだが。
「あくまでも任意で押し通すかもな。ただカードでないと支払い出来なくなったり、単独のギルドカードが発行されなくなったりするだけで」
完全自給自足が出来るならとにかく、食料もポーションも武器防具も入手するには大概は金がいる。
ギルドカードは所属証明である。その証明により受ける恩恵は多い。
「殺す気か」
多くの人はそれよりはマシだとカードに縛られることを選ぶだろう。
「だからって給仕のオバちゃんにまでバレるのか!?」
「さすがにそこは参照出来る項目は制限されると思うけど」
NPCにバレたところで困らない情報はいいが、なまじ人間くさい動きをするだけに、噂話など始めないかと知られれば不安になる。たとえばブラックリストに入れているアカウントなど知られたら困る。
「今回のは意図的じゃない分、権限が多かったんだろ」
まだ内部でも試験段階なのかもしれない。
「でなきゃ登録されてる年齢くらい運営は今でも知っている訳だし、その気になれば今までも規制されてただろ」
現にカルマは付いている。
「ロールプレイに付き合う気は有るんだろ、それでも」
とはいえ、それはNPCはプレイヤーの正確なプロフィールを簡単に知る手段がないという前提でのロールプレイだ。知る手段が出来てしまったら覆る可能性はある。
「……おまえじゃないけど身軽の腕輪も義務化とかしそうだな」
いかにもうんざりした口調だった。
「簡単にカルマ付けられて、踏み倒される心配も減る」
そのうち今居る場所からカードだけで振り込めるようにもなるかもしれない。
「手軽さも良し悪しだな」
「その場で直接徴収されるわけでもないから詐欺も防げる。代わりに別人だととぼけることも出来ない」
現行犯で即コインでの徴収となれば、偽徴収員なども出てくるかもしれない。イベント以外でそんなことが横行していては騙されるほうも調査する運営もたまらないだろう。もっともプラットホームの性質上完全に逃げられるならそもそもカルマのシステムが成り立たないだろうが。
「しかも意図的に持ち忘れることも出来ないってか」
現実ならば過失といういいわけも出来るが、カードはシステム上常に側にある。カードがなくとも逃げられないわけだが。
「クソゲーが」
良くも悪くもシステムがそこまで変わればそう言いたくもなるだろう。ましてや今回考えたことは不利益としか思えていない。
「ゲームだけで済むといいな」
「恐いこと言うなよー」
「まー、ゲームの方も単なる予想だけどな。どうしてもやる気だったら今まででも出来てたんだししつこいけど」
「けどおばちゃん怪しい事言ってた」
「言ってたな」
「さっきのバグってなんで起こったんだろ?」
「転用出来るように作ってるはずのシステムが、いざ転用始めようとすると不具合が出るのもデフォだろ」
「うわ。……念のためアプデ入る前に飲みまくってやる。カルマはギリギリまで無視る」
「いやオレ別に飲むの引っかからないし」
「嘘だろ!?」
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