10 / 19
死に戻り[ループはSFですかファンタジーですか?]
本当に愛していました 前
しおりを挟む
「おいっ!!」
目の前を優雅に歩いていた彼女のむき出しの肩を掴む。
「何でしょう?」
特に慌てるでもなく彼女は振り返る。
彼女はさりげなく肩から手を外すとこちらに向き直り礼を取る。
「ごきげんよう殿下、先ほどぶりですわね」
何の乱れもない完璧な礼だった。
「どうしてそんなに落ち着いている!?」
もう一度、今度は両肩を掴む。
「たった今、婚約破棄されたんだぞ!?」
私との。
「もう婚約者でないと分かってらっしゃるならば、幾ら殿下といえど気軽に女性の肩を掴むものではありませんわ」
やんわりとたしなめられた。やんわりだぞ!? 無茶苦茶余裕だぞ?
「もう少し他に反応はないのか!?」
思わず持ったままの肩を軽く揺する。
この、私との、婚約を破棄されたんだぞ!?
彼女が片手を頬に当てる。
「では取り乱せばもう一度婚約してくださいますの?」
無邪気にすら聞こえる口調で言われ言葉につまる。
事の経緯はこうだ。
この国の王子である私は、どうやら先日訪問された宗主国の姫に見初められたらしい。
とてもかわいらしい方で将来はとても美人になるだろう。
そう将来。
今は些かというか、かなり幼い。
なのに私と結婚すると言い張って、側妃も妾も許さないらしい。誰が教えたそんな言葉。
はっきり言って誰もが驚いたし、誰もがもう少しすればはしかのように過ぎ去り忘れてしまうであろうと予想を付けた。
とはいえそれでも宗主国の姫である。ないがしろには出来ないし断れない。
王族は一夫多妻もあり得ることを身近な見本がいるのに納得しないだろうし、仮にしたとしても自分が一番でなければならない質の子供だろう。
だから私に婚約者がいてはいけない。
なので今日婚約破棄を告げた。
彼女は淡々とそれを受けた。
取り乱さないのは貴族の矜恃からかと思ったが、今も完全に落ち着いているようにしか見えない。
この、私との、婚約を破棄されたんだぞ。
仮に姫が途中で飽きてこの婚姻が成立しなかったとしても、私によって付けられた傷により、私とは結婚出来ないのだぞ? 私以上の良縁はもうないし、今後縁のあるのは精々後添え程度だぞ?
ふと、彼女はため息を付く。
「そうですわね」
どこか遠い目をする。
「……一度目は殿下と離れたくないと泣いてすがりましたわ」
「一度目?」
「けれど覆らないどころか排除されたので、失意のあまり自殺しました」
何を言っている?
どう見ても生きているではないか?
「何故かその後目が覚めて……一年前に戻っていましたわ」
言っていることが明らかにおかしいが、おかしすぎてどこから突っ込めばいいのか分からない。
「その時、莫迦な私は姫様さえいなくなればいいと暗殺を企てましたの。もちろん露見して縛り首になりましたけど。あの後も世界が続いていたならばこの国は滅んでいるでしょうね」
微笑みながら怖い仮定を話す。
目の前を優雅に歩いていた彼女のむき出しの肩を掴む。
「何でしょう?」
特に慌てるでもなく彼女は振り返る。
彼女はさりげなく肩から手を外すとこちらに向き直り礼を取る。
「ごきげんよう殿下、先ほどぶりですわね」
何の乱れもない完璧な礼だった。
「どうしてそんなに落ち着いている!?」
もう一度、今度は両肩を掴む。
「たった今、婚約破棄されたんだぞ!?」
私との。
「もう婚約者でないと分かってらっしゃるならば、幾ら殿下といえど気軽に女性の肩を掴むものではありませんわ」
やんわりとたしなめられた。やんわりだぞ!? 無茶苦茶余裕だぞ?
「もう少し他に反応はないのか!?」
思わず持ったままの肩を軽く揺する。
この、私との、婚約を破棄されたんだぞ!?
彼女が片手を頬に当てる。
「では取り乱せばもう一度婚約してくださいますの?」
無邪気にすら聞こえる口調で言われ言葉につまる。
事の経緯はこうだ。
この国の王子である私は、どうやら先日訪問された宗主国の姫に見初められたらしい。
とてもかわいらしい方で将来はとても美人になるだろう。
そう将来。
今は些かというか、かなり幼い。
なのに私と結婚すると言い張って、側妃も妾も許さないらしい。誰が教えたそんな言葉。
はっきり言って誰もが驚いたし、誰もがもう少しすればはしかのように過ぎ去り忘れてしまうであろうと予想を付けた。
とはいえそれでも宗主国の姫である。ないがしろには出来ないし断れない。
王族は一夫多妻もあり得ることを身近な見本がいるのに納得しないだろうし、仮にしたとしても自分が一番でなければならない質の子供だろう。
だから私に婚約者がいてはいけない。
なので今日婚約破棄を告げた。
彼女は淡々とそれを受けた。
取り乱さないのは貴族の矜恃からかと思ったが、今も完全に落ち着いているようにしか見えない。
この、私との、婚約を破棄されたんだぞ。
仮に姫が途中で飽きてこの婚姻が成立しなかったとしても、私によって付けられた傷により、私とは結婚出来ないのだぞ? 私以上の良縁はもうないし、今後縁のあるのは精々後添え程度だぞ?
ふと、彼女はため息を付く。
「そうですわね」
どこか遠い目をする。
「……一度目は殿下と離れたくないと泣いてすがりましたわ」
「一度目?」
「けれど覆らないどころか排除されたので、失意のあまり自殺しました」
何を言っている?
どう見ても生きているではないか?
「何故かその後目が覚めて……一年前に戻っていましたわ」
言っていることが明らかにおかしいが、おかしすぎてどこから突っ込めばいいのか分からない。
「その時、莫迦な私は姫様さえいなくなればいいと暗殺を企てましたの。もちろん露見して縛り首になりましたけど。あの後も世界が続いていたならばこの国は滅んでいるでしょうね」
微笑みながら怖い仮定を話す。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】「政略結婚ですのでお構いなく!」
仙冬可律
恋愛
文官の妹が王子に見初められたことで、派閥間の勢力図が変わった。
「で、政略結婚って言われましてもお父様……」
優秀な兄と妹に挟まれて、何事もほどほどにこなしてきたミランダ。代々優秀な文官を輩出してきたシューゼル伯爵家は良縁に恵まれるそうだ。
適齢期になったら適当に釣り合う方と適当にお付き合いをして適当な時期に結婚したいと思っていた。
それなのに代々武官の家柄で有名なリッキー家と結婚だなんて。
のんびりに見えて豪胆な令嬢と
体力系にしか自信がないワンコ令息
24.4.87 本編完結
以降不定期で番外編予定
その断罪、三ヶ月後じゃダメですか?
荒瀬ヤヒロ
恋愛
ダメですか。
突然覚えのない罪をなすりつけられたアレクサンドルは兄と弟ともに深い溜め息を吐く。
「あと、三ヶ月だったのに…」
*「小説家になろう」にも掲載しています。
そのご令嬢、婚約破棄されました。
玉響なつめ
恋愛
学校内で呼び出されたアルシャンティ・バーナード侯爵令嬢は婚約者の姿を見て「きたな」と思った。
婚約者であるレオナルド・ディルファはただ頭を下げ、「すまない」といった。
その傍らには見るも愛らしい男爵令嬢の姿がある。
よくある婚約破棄の、一幕。
※小説家になろう にも掲載しています。
婚約破棄? あら、それって何時からでしたっけ
松本雀
恋愛
――午前十時、王都某所。
エマ=ベルフィールド嬢は、目覚めと共に察した。
「…………やらかしましたわね?」
◆
婚約破棄お披露目パーティーを寝過ごした令嬢がいた。
目を覚ましたときには王子が困惑し、貴族たちは騒然、そしてエマ嬢の口から放たれたのは伝説の一言――
「婚約破棄されに来ましたわ!」
この事件を皮切りに、彼女は悪役令嬢の星として注目され、次々と舞い込む求婚と、空回る王子の再アタックに悩まされることになる。
これは、とある寝坊令嬢の名言と昼寝と誤解に満ちた優雅なる騒動録である。
姉の引き立て役の私は
ぴぴみ
恋愛
アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。
「どうしたら、お姉様のようになれるの?」
「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」
姉は優しい。でもあるとき気づいて─
すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした
珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。
色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。
バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。
※全4話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる