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予知[予言だとファンタジーで予知だとSFな気がする]
お嬢さまだけだった 前
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人類が超能力を正式に見いだし、それも利用して宇宙に本格進出して何年になるだろうか?
そんなことを思わず考えてしまうような風景が窓の外には広がっている。
土星の輪が肉眼で見えるなんて昔の人は夢にも思わなかったらしいが、現に見えているのだから仕方ない。
ここは世界でも選ばれた人しかこれないと言われる人工衛星にあるレトロ風に作られたホテルの最上階であり、そのレストランの個室だ。
ここにいられるのはスタッフか、セレブとそのお供だけだと言われている。
私は強いて言うならそのお供だろう。お嬢さまの婚約者にと買われた奴隷だ。
奴隷と言ってもいろいろあって、犯罪者がなる奴隷、借金でなる奴隷、家族が作ったそれを引き継いだ奴隷、一部は誘拐された子供が交じっているらしいといわれている孤児の奴隷。いずれに対しても最低限の人権は認められており非人道的な扱いは許されておらず、ノルマを果たせば希望者には研修と猶予期間を経て最低でも一般市民にはなれる。孤児の場合は少し特殊でノルマというのは払ってもらった生活費や養育費で、要するに一定年齢までは最低でも一般的に持ち主により育てられる。働ける年齢になった途端その持ち主の元で借金奴隷と同じ扱いになるものもいれば、違うところで借金奴隷になるもの、そのまま養子などに収まってしまうものもいる。
私は孤児奴隷で表向きは将来の養子としてだが、その実お嬢さまの婚約者になるべく買われた。それも嫌ならば断れる権利はあるのだが、正直お嬢さまの相手に選ばれて恐れ多い以外の理由で断る気になるヤツがいるなら会ってみたい。
お嬢さまは少なくとも私にとっては完璧だった。姿はいうまでもなく、性格も、家柄も、そして微弱とは言え予知能力まで持っている。そして言葉に出来ない何か人を惹きつけるものがある。
だからこそ、何故幼い頃から特に特殊な能力を持っているでもない奴隷を買って婚約者に据えるのかが分からない。引く手のあまただろうし、幼い頃から教育する必要があったにしろ奴隷相手である必要がない。
疑問は持ちつつもそんな理由で、私とお嬢さまは幼少の頃から一緒にすごし……私のうぬぼれでなければ嫌われてはいないとおもう。
このホテルへは、そろそろ結婚ということになり顔合わせの真似事をするために集まった。
既に同居しているし、私は奴隷なので持ち主が後見人なのだから会うも会わないも当人だし、血のつながった家族もおそらくいないのだから、本当に真似事でしかない。
ちなみにその後見人かつお嬢さまのご両親の旦那さまと奥さまは「後はお若いお二人だけで」とある意味間違っていることを言って先に帰っていた。
本当に何を考えているんだろうと思う。
不意に食器が割れるような硬質な音が響く。
ありえない。
一流ホテルなのでそんな粗忽なスタッフは居ない……という話ではなく。食器には反重力装置が組み込まれ床には落とせないのだ。そして特殊なものを除きよほどの高さから落とさなければ割れないだけの強度もある。
床以外の反重力が作動しない場所に叩きつけたか……。
続けて聞こえてくるのは銃声と悲鳴。今時銃弾が出るような銃は子供のおもちゃか威嚇のためのものぐらいしかないので、脅すために音を出しているのだろう。
そして近づいてくるのは……ここ!? 確かにここはVIPルームだが。
そんな思考と同時にアンティークを取り寄せたであろう扉が蹴破られる。
銃を構えた男がお嬢さまの方見つける。
何が起こったのかよく分からない。
気がつくとお嬢さまは目の前で倒れており、乱入者はどこにいたのか分からないほどの人数のSPに囲まれ、銃をとりあげられていた。
「誰かお嬢さまをっ」
叫んでからしゃがみ込みお嬢さまの様子を見る。
見たところ外傷はないし、呼吸もある。脈は少し早いが不自然な乱れはない。
ショックで気絶しただけだろうか? だとしても倒れたときに頭を打っていないか心配だ。
私の左肩がえぐれているところから考えるにお嬢さまの前に飛び出したらしい。手が動かないが、傷口は焼き切れているし、痺れているのか痛みなどはない。それにこの程度なら今時は綺麗に治るので問題はない。
やがて容疑者は連れて行かれ、お嬢さまも運び出され、私も病院に向かうことになった。
そんなことを思わず考えてしまうような風景が窓の外には広がっている。
土星の輪が肉眼で見えるなんて昔の人は夢にも思わなかったらしいが、現に見えているのだから仕方ない。
ここは世界でも選ばれた人しかこれないと言われる人工衛星にあるレトロ風に作られたホテルの最上階であり、そのレストランの個室だ。
ここにいられるのはスタッフか、セレブとそのお供だけだと言われている。
私は強いて言うならそのお供だろう。お嬢さまの婚約者にと買われた奴隷だ。
奴隷と言ってもいろいろあって、犯罪者がなる奴隷、借金でなる奴隷、家族が作ったそれを引き継いだ奴隷、一部は誘拐された子供が交じっているらしいといわれている孤児の奴隷。いずれに対しても最低限の人権は認められており非人道的な扱いは許されておらず、ノルマを果たせば希望者には研修と猶予期間を経て最低でも一般市民にはなれる。孤児の場合は少し特殊でノルマというのは払ってもらった生活費や養育費で、要するに一定年齢までは最低でも一般的に持ち主により育てられる。働ける年齢になった途端その持ち主の元で借金奴隷と同じ扱いになるものもいれば、違うところで借金奴隷になるもの、そのまま養子などに収まってしまうものもいる。
私は孤児奴隷で表向きは将来の養子としてだが、その実お嬢さまの婚約者になるべく買われた。それも嫌ならば断れる権利はあるのだが、正直お嬢さまの相手に選ばれて恐れ多い以外の理由で断る気になるヤツがいるなら会ってみたい。
お嬢さまは少なくとも私にとっては完璧だった。姿はいうまでもなく、性格も、家柄も、そして微弱とは言え予知能力まで持っている。そして言葉に出来ない何か人を惹きつけるものがある。
だからこそ、何故幼い頃から特に特殊な能力を持っているでもない奴隷を買って婚約者に据えるのかが分からない。引く手のあまただろうし、幼い頃から教育する必要があったにしろ奴隷相手である必要がない。
疑問は持ちつつもそんな理由で、私とお嬢さまは幼少の頃から一緒にすごし……私のうぬぼれでなければ嫌われてはいないとおもう。
このホテルへは、そろそろ結婚ということになり顔合わせの真似事をするために集まった。
既に同居しているし、私は奴隷なので持ち主が後見人なのだから会うも会わないも当人だし、血のつながった家族もおそらくいないのだから、本当に真似事でしかない。
ちなみにその後見人かつお嬢さまのご両親の旦那さまと奥さまは「後はお若いお二人だけで」とある意味間違っていることを言って先に帰っていた。
本当に何を考えているんだろうと思う。
不意に食器が割れるような硬質な音が響く。
ありえない。
一流ホテルなのでそんな粗忽なスタッフは居ない……という話ではなく。食器には反重力装置が組み込まれ床には落とせないのだ。そして特殊なものを除きよほどの高さから落とさなければ割れないだけの強度もある。
床以外の反重力が作動しない場所に叩きつけたか……。
続けて聞こえてくるのは銃声と悲鳴。今時銃弾が出るような銃は子供のおもちゃか威嚇のためのものぐらいしかないので、脅すために音を出しているのだろう。
そして近づいてくるのは……ここ!? 確かにここはVIPルームだが。
そんな思考と同時にアンティークを取り寄せたであろう扉が蹴破られる。
銃を構えた男がお嬢さまの方見つける。
何が起こったのかよく分からない。
気がつくとお嬢さまは目の前で倒れており、乱入者はどこにいたのか分からないほどの人数のSPに囲まれ、銃をとりあげられていた。
「誰かお嬢さまをっ」
叫んでからしゃがみ込みお嬢さまの様子を見る。
見たところ外傷はないし、呼吸もある。脈は少し早いが不自然な乱れはない。
ショックで気絶しただけだろうか? だとしても倒れたときに頭を打っていないか心配だ。
私の左肩がえぐれているところから考えるにお嬢さまの前に飛び出したらしい。手が動かないが、傷口は焼き切れているし、痺れているのか痛みなどはない。それにこの程度なら今時は綺麗に治るので問題はない。
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