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前編
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「なんでそんな美人なのよっ!?」
そう、近づきざまにこの辺りでは見かけない制服の中学生に指を突きつけられながら叫ばれたとき、正直思考が止まった。
いやこれ、どういう反応すれば正しいわけ? お礼でも言うべきだろーか? それとも彼氏を子供に手を出したのかと問い詰めるべきだろーか?
他人を美人と言った当人こそ、そんじょそこらじゃ見かけないレベルの美少女だった。今時の若い子とか都会の子とかってこんなもん?
「なんでそんなにカケルにそっくりなの!? なんでなのよぉ……」
そう、しゃくりだしたのを見て彼氏ではなくカケルの関係者だということが分かった。彼氏、ごめん。
カケルというのはわたしの兄弟で、やたらとスポーツがよく出来て、この片田舎のちょっとした有名人だった。
けど有名なのは田舎だけかと思っていたから、都会の方の全寮制の中高一貫のスポーツ強豪校からスカウトが来て、近所中が驚いた。世の中の情報網は侮れない。
成長期である中学時代に完璧に体を育成し、高校で結果を出すというのが教育コンセプトらしい。
ちょうど自尊心が強まり反抗期に入るくらいのオトシゴロだ。
家族や知り合い以外、そして都会の人にそこまで認められたのが嬉しいのか、こっちの感情おかまいなしに笑顔で出発していったのを覚えている。
そして結果だけいえば挫折した。
井の中の蛙という人もいたけれど、タイミングか競技の選択が悪かっただけだと身びいきもあるせいか今でも思っている。
スタートで少し躓き、追いつこうとして無茶ばかり、結局はその学校では復帰できないレベルに体を壊した。
そこで周りを見渡せば、最初の最初で運動ばかりしていたため部活以外に友達もおらず、その部活もやめてしまったため皆から取り残され、家族も知り合いも近くにおらず、塞ぎ込む日々が続き。
最終的には一番になりたいと望んだとおり屋上から飛び降り自殺した。
井の中の蛙でも空の蒼さを知っていたはずなのに、それに気づかなかった。
そう、聞いている。
「何か飲む?」
衣替えも済み日差しも強い中、道の真ん中で泣かせておく訳にもいかず、近くにあった自販機とその影になったベンチのところに連れて行く。安くはなく色の濃い制服で座らせるにはペンキのはげが気になる程度にはボロいのでハンカチを敷いた後、そう尋ねる。
ずいぶんと落ち着いて来たらしい中学生は尋ねたせいかそこに座らずに自販機を確認に来た。
「……ずいぶんと高いですね」
「大丈夫よ、奢るから」
別に田舎イコール観光地ではないから定価だし、見知らぬとはいえ中学生相手にジュースの一つぐらい奢るくらいの見栄も余裕もある。
彼女の選んだ銘柄は昔は家に缶が箱でストックされていたスポーツドリンクだった。……運動してたとはいえよくあれで太らなかったわよね、恐るべし小学生。
自分の分は新製品の紅茶を買って、ハンカチの横に腰を下ろす。服は汚れるが、簡単に洗えるものだし諦めよう。
おずおずと彼女がハンカチの上に腰を下ろした。
彼女がペットボトルを開けて、一口飲んで、蓋を閉めるまで黙って見守る。
そう、近づきざまにこの辺りでは見かけない制服の中学生に指を突きつけられながら叫ばれたとき、正直思考が止まった。
いやこれ、どういう反応すれば正しいわけ? お礼でも言うべきだろーか? それとも彼氏を子供に手を出したのかと問い詰めるべきだろーか?
他人を美人と言った当人こそ、そんじょそこらじゃ見かけないレベルの美少女だった。今時の若い子とか都会の子とかってこんなもん?
「なんでそんなにカケルにそっくりなの!? なんでなのよぉ……」
そう、しゃくりだしたのを見て彼氏ではなくカケルの関係者だということが分かった。彼氏、ごめん。
カケルというのはわたしの兄弟で、やたらとスポーツがよく出来て、この片田舎のちょっとした有名人だった。
けど有名なのは田舎だけかと思っていたから、都会の方の全寮制の中高一貫のスポーツ強豪校からスカウトが来て、近所中が驚いた。世の中の情報網は侮れない。
成長期である中学時代に完璧に体を育成し、高校で結果を出すというのが教育コンセプトらしい。
ちょうど自尊心が強まり反抗期に入るくらいのオトシゴロだ。
家族や知り合い以外、そして都会の人にそこまで認められたのが嬉しいのか、こっちの感情おかまいなしに笑顔で出発していったのを覚えている。
そして結果だけいえば挫折した。
井の中の蛙という人もいたけれど、タイミングか競技の選択が悪かっただけだと身びいきもあるせいか今でも思っている。
スタートで少し躓き、追いつこうとして無茶ばかり、結局はその学校では復帰できないレベルに体を壊した。
そこで周りを見渡せば、最初の最初で運動ばかりしていたため部活以外に友達もおらず、その部活もやめてしまったため皆から取り残され、家族も知り合いも近くにおらず、塞ぎ込む日々が続き。
最終的には一番になりたいと望んだとおり屋上から飛び降り自殺した。
井の中の蛙でも空の蒼さを知っていたはずなのに、それに気づかなかった。
そう、聞いている。
「何か飲む?」
衣替えも済み日差しも強い中、道の真ん中で泣かせておく訳にもいかず、近くにあった自販機とその影になったベンチのところに連れて行く。安くはなく色の濃い制服で座らせるにはペンキのはげが気になる程度にはボロいのでハンカチを敷いた後、そう尋ねる。
ずいぶんと落ち着いて来たらしい中学生は尋ねたせいかそこに座らずに自販機を確認に来た。
「……ずいぶんと高いですね」
「大丈夫よ、奢るから」
別に田舎イコール観光地ではないから定価だし、見知らぬとはいえ中学生相手にジュースの一つぐらい奢るくらいの見栄も余裕もある。
彼女の選んだ銘柄は昔は家に缶が箱でストックされていたスポーツドリンクだった。……運動してたとはいえよくあれで太らなかったわよね、恐るべし小学生。
自分の分は新製品の紅茶を買って、ハンカチの横に腰を下ろす。服は汚れるが、簡単に洗えるものだし諦めよう。
おずおずと彼女がハンカチの上に腰を下ろした。
彼女がペットボトルを開けて、一口飲んで、蓋を閉めるまで黙って見守る。
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