タイムリープとおれと高校生

bun

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1時間目

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一時間目
んー、めが覚めた。
おはよう。
あれ?なんか部屋狭いなあ。あ?ここは昔住んでいた社宅の自分の部屋かあ。
と、言うことはまだ夢の中。なんやろ、やけにリアルやな。とりあえずなんか眠い。寝よう。

「ふみひろ!ふみひろ!はよ起きい!今日から学校やろ!もう7時やで!」
ん?おかんか?あれ?俺おかんの家に泊まりにきてたっけ?あら?またまたまた三畳の間や。あ、おかんなんか若いなあ。あれ?まだ夢?
「なにぼーっとしてんの!早くごはん食べ!」「え?」「なに寝ぼけてんの!はよたべ!」
ん?高校?社宅?今日から?おかん若い?寝起き体が軽い。
居間にでるとおとんがタバコをふかしてコーヒーのんでる。せまい食卓でたかのりがムスッとして朝飯食べてる
胸がドキドキする。目の前に広がる景色が理解できるけど現実感がない。
「おかん?いま何年?」「は?いまは平成10年やで!」あ、いまおれ高一の時の夢をみてるやな。
しかし、リアルやなあ。ごはんも味するし。フワフワした気持ちになる。
とりあえず学校行くかあ。
あ、新しい制服。懐かしいなあ、たしかこの年から新しくなってんなあ。
さて、着てネクタイしめて。なんか会社行くみたいやな(笑)
「ほな行ってくるわあ」
「あら?ネクタイ締めれたんやな!」
「あ、うん」
「なんや!ぼうっとして!今日から高校生やで!」おかんがいつものハイテンションでまくし立てる。ああ、朝からこんなテンションやったんや、こりゃきついわ。
「頑張れ!高校生!ビシッときめてこい!帰ってきたら祝杯のビールや!」おとんが寝ぼけ眼で親指を立ててる。
「もう、わけわからん事いってないで!あんたも遅刻するで!」ああ、懐かしいやりとり。まあ、いまでも似た感じやけど二人とも若いなあ。しかし、どう考えでもリアルだ。全てがリアル。これは、ゆめじゃないんじゃないかな?と色々確かめてみる。
手を動かす。
髪をわさる。
ほっぺをつねる。
どれもリアルな感覚だ。
夢ではない。現実だ。間違いない。
ああ、理解してきた。おれ、高校生になったんや。まぢかあ、え?ああああああ、どうしよ。
夢で戻った事はあるけど。
ほんまに戻るとは・・・・
あ、ひろむ。ひろむ。ひろむがいない。産まれてない。そりゃそうか、そりゃそうだ。まだ童貞やし、あきとも出会ってない時代に戻ってしまったんや。ああ、ひろむ。いない。え?どうしよ。いまから何年かかる?25歳で産まれたからあと約10年?そもそもまたあきと出会えて結婚してひろむとあえるの?って考えてると涙がでてくる。
そりゃそうだいきなり息子を亡くしたのだから。
「ちょ、あんたどうしたん!?涙でてるで!」なんか怪訝な顔しておかんが言う。
おとんはぼーっと髭をそってる。
「あ、なんでもない。なんでもない。とりあえず行ってくるわ。」無理矢理笑顔をつくる。
「う、うん。行ってらっしゃい!ほら、しっかりな!」おかんがわらう。うわあ、ぎこちない笑顔してるわ。

とりあえず学校いこう。
晴れてる。言い天気や、清々しい。
この世界にはひろむはいない。なんだろ、帰りたい。ああ、あんなに戻りたかったのに、もどったらこんな気持ちか、学校なんかどうでもいいわ、戻りたいや。
西大路駅まであるく。
うわ、しかし、この駅はずっと変わらんな。ぼろぼろやん!
電車にると梅小路公園がみえる。そうかあ、まだ芝生広場だけで他はないんやなあ。
あ、比叡山。いまどんなんやろ。
山かあ大文字をひろむと登ったんっていつやろ?懐かしいなあ。学校かあ、どんな顔してみんなに会えばいいねん。きまづいわ。俺だけやけど。
なんだろ、学校いきたくねえなあ。なんかなあ、大文字。あそこから見える景色を見てぼーっとしたい。
バスでいこ。京都駅から。
バスにのる。
いまは1998年、人々は携帯ばかりいじっている2020年とは違い小説を読んだり景色をみたりしている。
まだ携帯も全員持ってないんや。

俺も一緒や、携帯持ってないわ(笑)だから景色を眺める。2020年とさほど変わらんなあ、いまは1998年。未来から来た俺は一人でいる。ここにいるみんなとは違う人生を歩もうとしている。ボッチだ。なんでここにいる。
また戻れるか?あの時代に、成長して生きていればいつかはいける。あの時代に、、、、

銀閣寺前~

何回登っただろ、ここも変わらない。
よし、登るか、靴も適当。服も制服。まあ、ここならいけるか。
あ、あれ?なんか体が軽いぞ!
しかし、しかし、足が重い。え?もう息切れ?ええ?ちょ、まだ半分いってないよ!きしくんやばいやん!俺が時代に戻ったとしてもこれはヤバい。しかも10代でこの腹!やばい気持ちわるい。足が火をふくようにつらい。きゅうけしよ。
「こんにちわー」見知らぬ登山者に挨拶さるる。
「高校生?学校はどうしはったの?」60代くらいのおばさんが話しかける。
「今日は昼からなんでこれ登ってから行くんです!」
「そうですかぁ、きをつけてー」
「ありがとうございます。」
しもた、制服目立ちすぎるな・・・まあ、登るか。
火床が見えてきた。ああ、つらい。つらい。こんなしんどかったっけ?
最後の階段を登りきると心地よい春先の風が全身を包む。ああ、この感覚もあの時代となんら変わらない。相変わらず綺麗な景色や。京都市内を一望できる、綺麗やなあ。寝たら元の時代に戻るんかなあ?まあ、わからんか、すでにわからん事が起きてるんやから。過去と同じ事はできひんよ。考え方が違うから。大文字登ってる時点で俺の歴史を変えてしまってる。この行動がどう影響してしまうか分からへんけど、今を生きてみようか。未来は分からないから楽しい。いまから始まる人生はどうだろ。俺にも分からない。まあ、出来なかった事をたくさんしてみよう。いつも通り火床中心の祠に一礼し帰路につく。

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