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02 言い分
当の本人セシルに認められ、隣で愛らしく振る舞うデイジーは、彼を取り巻く皆から支持されている。身体も弱く儚い雰囲気。彼女を批難すればこちらが悪者になってしまうだろう。
そんな二人を見ながら、私は心の中でまたひとつ諦める。セシルは何をどうしたって私のことを、少しも尊重しようともしない。
貴族として婚約者の家が主催するお茶会を欠席するわけにもいかずに、義務としてただここに居るだけだけれど、彼の振るまいはとても許せるようなことでもなかった。
セシルは背が高く姿が良い、少し長めの前髪も素敵な黒目黒髪の貴公子だ。その隣に居るデイジーはストロベリーブロンドの髪はふわふわで、綺麗な青色の瞳は海を映した宝石のよう。
まるで、物語の主人公のようにお似合いの二人。
対して私は茶色の髪に同色の瞳、この国では良く居る色合い……と言ってはなんなのだけど、幼い頃から容姿が良いと褒められたこともあまりない。
本来ならば、セシルの隣に居るのは私だ……そう心の中では思うのに、あたかも自分がセシルの恋人や婚約者のように振る舞うデイジーに強く言うことは出来なかった。
彼女はまるで小さな小動物のようでとても愛らしく、身体は虚弱な体質を持っているらしい。
そんなデイジーに貴女の場所はここではないのよという正当なことを訴えるだけで、私が何故か悪者になってしまう事は目に見えていた。
ええ。理不尽だわ。こんな三角関係は、私にとっては、とても理不尽に思える。
けれど、セシルにはデイジーが大事に思えていて、私は単なる親に決められた婚約者という位置づけでしかない。
……おそらくは、結婚式を挙げたとしても私とは仮面夫婦で、貴族の血を持たないというデイジーと共に離れで暮らすのかもしれない。
きっと私はセシルとデイジーの子を、クレイヴン公爵家の血を繋ぐ跡取り……自分の子として育てることになるのだ。
それはそれで良いと思うくらいには、私も疲れてきた。
生まれ持った性格なのか、常に無言で無表情なセシル。その隣には、天使のような幼馴染デイジー。距離を取って離れている私婚約者アイリーン。
私だって貴族の娘、リンスコット伯爵で当主である父が決めた政略結婚に、逆らえるはずもない。
けれど、この状況には……もう本当に、うんざりだわ。
どうしても我慢ができなくて、私は大きくため息をついた。周囲の空気はより緊張感を増した。実際、ここに集まっているのはクレイヴン公爵家に縁強い令嬢ばかり。
将来的にはクレイヴン公爵夫人になる予定の私には、嫌われるわけにはいかないのだ。
皆、固唾を飲んで私の様子をうかがっている。
もし……私が国王陛下なら、婚約者の居る男性に近付く女性は、すべて国外追放にしてしまうところだけど、残念ながら一介の伯爵令嬢で、法律制定の権利は持ち合わせていない。
私とセシルの二人は両家のしがらみその他諸々で、政略結婚するしかない。けれど、私とセシルの間には愛らしい妹のような幼馴染みデイジーが居る。
私が父に『あんな男と結婚したくない』と訴えても『結婚すればわかりあえるから、今は堪えてくれ』と、困った顔で繰り返すだけで埒が明かない。
仕方ない……仕方ないと思いながらも、どうしても真に納得はまだ出来ていない。いえ。こんな状況にあって、真に納得なんて出来るのかしら。
そんな二人を見ながら、私は心の中でまたひとつ諦める。セシルは何をどうしたって私のことを、少しも尊重しようともしない。
貴族として婚約者の家が主催するお茶会を欠席するわけにもいかずに、義務としてただここに居るだけだけれど、彼の振るまいはとても許せるようなことでもなかった。
セシルは背が高く姿が良い、少し長めの前髪も素敵な黒目黒髪の貴公子だ。その隣に居るデイジーはストロベリーブロンドの髪はふわふわで、綺麗な青色の瞳は海を映した宝石のよう。
まるで、物語の主人公のようにお似合いの二人。
対して私は茶色の髪に同色の瞳、この国では良く居る色合い……と言ってはなんなのだけど、幼い頃から容姿が良いと褒められたこともあまりない。
本来ならば、セシルの隣に居るのは私だ……そう心の中では思うのに、あたかも自分がセシルの恋人や婚約者のように振る舞うデイジーに強く言うことは出来なかった。
彼女はまるで小さな小動物のようでとても愛らしく、身体は虚弱な体質を持っているらしい。
そんなデイジーに貴女の場所はここではないのよという正当なことを訴えるだけで、私が何故か悪者になってしまう事は目に見えていた。
ええ。理不尽だわ。こんな三角関係は、私にとっては、とても理不尽に思える。
けれど、セシルにはデイジーが大事に思えていて、私は単なる親に決められた婚約者という位置づけでしかない。
……おそらくは、結婚式を挙げたとしても私とは仮面夫婦で、貴族の血を持たないというデイジーと共に離れで暮らすのかもしれない。
きっと私はセシルとデイジーの子を、クレイヴン公爵家の血を繋ぐ跡取り……自分の子として育てることになるのだ。
それはそれで良いと思うくらいには、私も疲れてきた。
生まれ持った性格なのか、常に無言で無表情なセシル。その隣には、天使のような幼馴染デイジー。距離を取って離れている私婚約者アイリーン。
私だって貴族の娘、リンスコット伯爵で当主である父が決めた政略結婚に、逆らえるはずもない。
けれど、この状況には……もう本当に、うんざりだわ。
どうしても我慢ができなくて、私は大きくため息をついた。周囲の空気はより緊張感を増した。実際、ここに集まっているのはクレイヴン公爵家に縁強い令嬢ばかり。
将来的にはクレイヴン公爵夫人になる予定の私には、嫌われるわけにはいかないのだ。
皆、固唾を飲んで私の様子をうかがっている。
もし……私が国王陛下なら、婚約者の居る男性に近付く女性は、すべて国外追放にしてしまうところだけど、残念ながら一介の伯爵令嬢で、法律制定の権利は持ち合わせていない。
私とセシルの二人は両家のしがらみその他諸々で、政略結婚するしかない。けれど、私とセシルの間には愛らしい妹のような幼馴染みデイジーが居る。
私が父に『あんな男と結婚したくない』と訴えても『結婚すればわかりあえるから、今は堪えてくれ』と、困った顔で繰り返すだけで埒が明かない。
仕方ない……仕方ないと思いながらも、どうしても真に納得はまだ出来ていない。いえ。こんな状況にあって、真に納得なんて出来るのかしら。
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