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04 素敵な辺境伯②
呆然とした王子様と何故か歓声を上げて拍手をした貴族たちに見送られ、両側に居たドアマンが大きく扉を開いて、私たちは夜会を開催していた大広間から出ることになった。
わー……すっごい。豪華ー! 私たちが居たのは、美しい白亜のお城だった。
ヴィクトルさんは迷いない足取りで、城の広い廊下を歩いた。足が長い人って、普通に歩いているだけで、こんなにも速度が出てしまうものなの……?
しかも、彼の身長が高いものだから、私からすると若干ジェットコースターみたいな感覚がある。
「レティシア……大丈夫ですか?」
考え事をしてぼうっとしていた私は、不意に声を掛けられて慌てて頷いた。
「あ……はい。大丈夫です」
「本当に?」
ヴィクトルさんの整った顔は息がかかるまで近く、私はもうそれだけで、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしかった。
……近いー! 近いー! すっごく、格好良いけど!
美形の問い正し、ときめき過ぎて、一乙女の胸を痛くした罪で完全に有罪だよ……慰謝料を払ってもらいたい。
無理無理……こういうのって、画面越しだから、尊くてキュン死とか、愛し過ぎて病むとか悠長なこと言っていられるけど、リアルでこんなの難易度高すぎて、ここで可愛いこと言ったりなんなら強がりツンしたり、そんなの絶対無理ゲーだよ。
……これは、もう早々に恋が始まる予感しかしない。ここは乙女ゲームの世界っぽいけど、本当のところどうなんだろう。
……もし、そうならば、話は早いはず。多分、ヒロインはリアム殿下を攻略して結ばれているはずだから、ヴィクトルさんは攻略されていない。
ここで彼本人に、面と向かって聞くわけにはいかないけど……ヴィクトルさんは、私のことをどう思っているんだろう……。
乙女ゲームで婚約破棄されてしまう悪役令嬢って、役割上の問題で、ヒロインに負けていないくらい容姿は良いと思う。
だけど、私の脳内では自分を飾ることに興味がない独身喪女が、美男に抱きかかえられている光景しか想像出来なくて、なんだかシュール。
脳内自分像の修正が必要だから、取り急ぎ鏡が欲しいです。
というか、いけない。このままずっと見るだけでいられそうだけど、ヴィクトルさんは、私の反応を待っているみたいだった!
「あ……あのっ、ごめんなさい……初対面なのに、こうして助けて頂いて……ヴィクトルさんが居てくださって、本当に助かりました」
美男が間近なシチュエーションへの緊張のあまり、私がたどたどしく感謝の言葉を伝えると、ヴィクトルさんは不思議そうな表情をしてから頷いた。
「……? ああ。レティシア。僕のことは、ヴィクトルと。君の方が身分は上なので……しかし何故、君がリアム殿下に、婚約破棄されることになったんですか?」
ん? あ。私……つまり、レティシアが属するルブラン公爵家より、ヴィクトルさんのデストレ辺境伯家の方が、格下になってしまうって話なのかな?
公爵家って王家の血筋が入った最上位爵位だから、そうなっているのかもしれない。自分の死因もわからないうろ覚え現代知識によると、きっとそう。
それに……うんうん。ヴィクトルだって、婚約破棄されるなんて、どうしてって思うよね。
婚約破棄された理由、とても気になるよね……私だって、実際のところ、気にはなってる。普通に覚えてないし。
けど、大丈夫。
よしんば記憶がなかったとしても、悪役令嬢が婚約者の王子様から婚約破棄される理由は、大体、この理由一択だから。
わー……すっごい。豪華ー! 私たちが居たのは、美しい白亜のお城だった。
ヴィクトルさんは迷いない足取りで、城の広い廊下を歩いた。足が長い人って、普通に歩いているだけで、こんなにも速度が出てしまうものなの……?
しかも、彼の身長が高いものだから、私からすると若干ジェットコースターみたいな感覚がある。
「レティシア……大丈夫ですか?」
考え事をしてぼうっとしていた私は、不意に声を掛けられて慌てて頷いた。
「あ……はい。大丈夫です」
「本当に?」
ヴィクトルさんの整った顔は息がかかるまで近く、私はもうそれだけで、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしかった。
……近いー! 近いー! すっごく、格好良いけど!
美形の問い正し、ときめき過ぎて、一乙女の胸を痛くした罪で完全に有罪だよ……慰謝料を払ってもらいたい。
無理無理……こういうのって、画面越しだから、尊くてキュン死とか、愛し過ぎて病むとか悠長なこと言っていられるけど、リアルでこんなの難易度高すぎて、ここで可愛いこと言ったりなんなら強がりツンしたり、そんなの絶対無理ゲーだよ。
……これは、もう早々に恋が始まる予感しかしない。ここは乙女ゲームの世界っぽいけど、本当のところどうなんだろう。
……もし、そうならば、話は早いはず。多分、ヒロインはリアム殿下を攻略して結ばれているはずだから、ヴィクトルさんは攻略されていない。
ここで彼本人に、面と向かって聞くわけにはいかないけど……ヴィクトルさんは、私のことをどう思っているんだろう……。
乙女ゲームで婚約破棄されてしまう悪役令嬢って、役割上の問題で、ヒロインに負けていないくらい容姿は良いと思う。
だけど、私の脳内では自分を飾ることに興味がない独身喪女が、美男に抱きかかえられている光景しか想像出来なくて、なんだかシュール。
脳内自分像の修正が必要だから、取り急ぎ鏡が欲しいです。
というか、いけない。このままずっと見るだけでいられそうだけど、ヴィクトルさんは、私の反応を待っているみたいだった!
「あ……あのっ、ごめんなさい……初対面なのに、こうして助けて頂いて……ヴィクトルさんが居てくださって、本当に助かりました」
美男が間近なシチュエーションへの緊張のあまり、私がたどたどしく感謝の言葉を伝えると、ヴィクトルさんは不思議そうな表情をしてから頷いた。
「……? ああ。レティシア。僕のことは、ヴィクトルと。君の方が身分は上なので……しかし何故、君がリアム殿下に、婚約破棄されることになったんですか?」
ん? あ。私……つまり、レティシアが属するルブラン公爵家より、ヴィクトルさんのデストレ辺境伯家の方が、格下になってしまうって話なのかな?
公爵家って王家の血筋が入った最上位爵位だから、そうなっているのかもしれない。自分の死因もわからないうろ覚え現代知識によると、きっとそう。
それに……うんうん。ヴィクトルだって、婚約破棄されるなんて、どうしてって思うよね。
婚約破棄された理由、とても気になるよね……私だって、実際のところ、気にはなってる。普通に覚えてないし。
けど、大丈夫。
よしんば記憶がなかったとしても、悪役令嬢が婚約者の王子様から婚約破棄される理由は、大体、この理由一択だから。
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