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05 都合の良い提案①
「あの……私が殿下の女性関係に嫉妬して、女性に嫌がらせをしたんだと思います!」
私は確信を持って言った。婚約破棄された原因は、99%の確率で、これよ……っていうか、他に何か理由ある?
悪役令嬢のほとんどは、ヒロインに嫌がらせして、断罪されるよね? っていうか、存在自体がそういう必要性に基づいたキャラクターでしょう。
悪役令嬢は乙女ゲームなどで、ヒロインの邪魔する存在なんだから。多分、検索したら大体の辞書にだって、そう掲載されてあると思う。
「将来結婚する相手なのならば、異性関係への嫉妬は当たり前のことでしょう。その程度のことで、幼い頃から婚約していた公爵令嬢にあのような場で婚約破棄を告げるとは……本当に、信じられないです。許し難い」
私の話を聞いたヴィクトルは美しい金の瞳を見開いて、言葉通りに信じがたいと言わんばかりの表情だった。
ここで何の関係もない感想だけど、ヴィクトルはどんな表情を浮かべていても、本当に格好良い。素敵。結婚します?
出来れば会話することなんて忘れて、何時間かほうっと見惚れていたい。
けど、実際は私たちは会話している訳で……私の反応を待っているヴィクトルに、気がついて慌ててお礼を言った。
「ありがとうございます。けど、ああして婚約破棄されたからには、自分の非を認めて、これからは清く正しく生きていくつもりです」
ええ。今のところ自分が何したかわからないけど、悪事なんて働かないに越したことはない。
十分ほど前に前世の記憶を思い出して、まるで実感はないけど、婚約破棄されても結構なんとかなっているヒロインを数多く読んでこの異世界に転生して来ているので、私だってきっと大丈夫なはず!
……多分。うん。多分ね。
「……田舎は、好きですか?」
こうして話している間も、器用に歩みを止めないヴィクトルさんの唐突な質問に、私は首を傾げつつも答えた。
「あ。好きです」
田舎は、好き好き。大都会東京で生まれ育った私だけど、地方出身の両親の実家には、長い休みがあれば必ず帰っていた。
のんびりとした別世界に行ったような感覚を味わい、忙しない日常へ戻る時はいつも嫌だった。
田舎に住めるのなら、それは最高かもしれない。
「レティシア……今なら、僕の恋人になれます。なりませんか」
それを言ったヴィクトルの目の下は赤く、ひどく緊張しているようだった。
……わかる。真剣な愛の告白は、誰だって緊張すると思う……けど、そうよ。私に?
「……え?」
急展開過ぎて、すぐには脳が理解不能だったけど、これって、ヴィクトルは私に愛の告白しているよね?
私は少し前に、婚約者に婚約破棄されたばっかりで、間違いなく誰とも付き合っていなくてフリーな状態なので……ここで頷いても、全く問題ない訳で。
私は確信を持って言った。婚約破棄された原因は、99%の確率で、これよ……っていうか、他に何か理由ある?
悪役令嬢のほとんどは、ヒロインに嫌がらせして、断罪されるよね? っていうか、存在自体がそういう必要性に基づいたキャラクターでしょう。
悪役令嬢は乙女ゲームなどで、ヒロインの邪魔する存在なんだから。多分、検索したら大体の辞書にだって、そう掲載されてあると思う。
「将来結婚する相手なのならば、異性関係への嫉妬は当たり前のことでしょう。その程度のことで、幼い頃から婚約していた公爵令嬢にあのような場で婚約破棄を告げるとは……本当に、信じられないです。許し難い」
私の話を聞いたヴィクトルは美しい金の瞳を見開いて、言葉通りに信じがたいと言わんばかりの表情だった。
ここで何の関係もない感想だけど、ヴィクトルはどんな表情を浮かべていても、本当に格好良い。素敵。結婚します?
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けど、実際は私たちは会話している訳で……私の反応を待っているヴィクトルに、気がついて慌ててお礼を言った。
「ありがとうございます。けど、ああして婚約破棄されたからには、自分の非を認めて、これからは清く正しく生きていくつもりです」
ええ。今のところ自分が何したかわからないけど、悪事なんて働かないに越したことはない。
十分ほど前に前世の記憶を思い出して、まるで実感はないけど、婚約破棄されても結構なんとかなっているヒロインを数多く読んでこの異世界に転生して来ているので、私だってきっと大丈夫なはず!
……多分。うん。多分ね。
「……田舎は、好きですか?」
こうして話している間も、器用に歩みを止めないヴィクトルさんの唐突な質問に、私は首を傾げつつも答えた。
「あ。好きです」
田舎は、好き好き。大都会東京で生まれ育った私だけど、地方出身の両親の実家には、長い休みがあれば必ず帰っていた。
のんびりとした別世界に行ったような感覚を味わい、忙しない日常へ戻る時はいつも嫌だった。
田舎に住めるのなら、それは最高かもしれない。
「レティシア……今なら、僕の恋人になれます。なりませんか」
それを言ったヴィクトルの目の下は赤く、ひどく緊張しているようだった。
……わかる。真剣な愛の告白は、誰だって緊張すると思う……けど、そうよ。私に?
「……え?」
急展開過ぎて、すぐには脳が理解不能だったけど、これって、ヴィクトルは私に愛の告白しているよね?
私は少し前に、婚約者に婚約破棄されたばっかりで、間違いなく誰とも付き合っていなくてフリーな状態なので……ここで頷いても、全く問題ない訳で。
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