「異世界の守護者たち」

はぐ

文字の大きさ
1 / 9

プロローグ: 異世界への幕開け

しおりを挟む
薄暗い空に隠れた太陽の光が、地平線の彼方で微かに輝いている。
草原の小さな花々が風に揺れ、その彩りが淡い光を受けてぼんやりと浮かび上がる。
清盛は指先に感じる柔らかな草の感触と、
その生命力を帯びた香りに、無意識のうちに胸がざわつくのを覚えた。

耳を澄ませば、小川のせせらぎだけでなく、
遠くで響く鳥の鳴き声が絶え間なく耳に届く。

それらはまるで未知なる歓迎の調べのように彼を包み込む。

彼の目は、あたりの奇妙な地形に吸い寄せられる。

青々と茂った木々は平安の山林とは異なり、
その葉は煌めくような異国の色をまとっていた。

「ここは一体どこなのだ……」

立ち上がると、平清盛は足元の草の感触を確かめるかのように一歩踏み出しながら、周囲を見渡した。
無数の山々が連なり、空の薄明かりに縁取られるように浮かび上がる。
その中心には、まるで絵巻物の中の幻想が具現化したかのごとく、
巨大な城がそびえ立っていた。

美しいのに、どこか冷たさを感じさせるその姿は、
過去の栄光と失墜の象徴のようだった。

背後から聞こえた声に、清盛は直感的に身を翻した。

「平清盛様…ではないですか?」
柔らかながら芯のあるその声には、聞き覚えのない不思議な響きがあった。

そこに立っていたのは一人の女性だった。
白い衣を纏い、黒髪が風に舞う中で、
彼女の姿はまるで幻のように揺れている。

その瞳に宿る深い知識と決意の光が、
彼女のただならぬ存在感を一層引き立てていた。

清盛は瞬時に彼女の名を問いただした。
「静御前…お前もここに迷い込んだのか?」

「はい、そうです。」
静御前は小さくうなずいた。
その表情には微かな哀愁と使命感が入り混じっている。
「ここには私だけではなく、多くの歴史上の人物がいます。
この世界は、私たちが知る現実とは全く異なる法則に支配されているのです。」

彼女の言葉に、清盛は眉をひそめた。

その説明をすぐには飲み込めなかったが、
戦場で幾多の奇跡を目の当たりにしてきた彼の本能は、
この地がただの幻想ではないと告げていた。
そして、その胸には不思議な昂揚感が生まれていた。
「戦乱の世を生きた者にとって、
新たな冒険ほど血をたぎらせるものはないと、
どこかで思い出した言葉が脳裏をかすめる。

「この地には、あなたの力が必要とされています。」
静御前の声は再び清盛の思考を現実に引き戻した。
その瞳はどこまでも真っ直ぐで、迷いが感じられない。
「共にこの異世界の謎を解き明かしましょう。
そして新たな戦いを乗り越えましょう。」

清盛は再び静御前を見据えた。
彼女の決意に触発され、彼自身も覚悟を固めた。

異世界の風が二人を包み込む中、清盛は歩みを始めた。
彼の運命は、再び歴史の舞台に立ち上がろうとしていた。
この未知の世界で、彼の名がどのように響き渡るのか、その物語が今、始まる。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

その狂犬戦士はお義兄様ですが、何か?

行枝ローザ
ファンタジー
美しき侯爵令嬢の側には、強面・高背・剛腕と揃った『狂犬戦士』と恐れられる偉丈夫がいる。 貧乏男爵家の五人兄弟末子が養子に入った魔力を誇る伯爵家で彼を待ち受けていたのは、五歳下の義妹と二歳上の義兄、そして王都随一の魔術後方支援警護兵たち。 元・家族の誰からも愛されなかった少年は、新しい家族から愛されることと癒されることを知って強くなる。 これは不遇な微魔力持ち魔剣士が凄惨な乳幼児期から幸福な少年期を経て、成長していく物語。 ※見切り発車で書いていきます(通常運転。笑) ※エブリスタでも同時連載。2021/6/5よりカクヨムでも後追い連載しています。 ※2021/9/15けっこう前に追いついて、カクヨムでも現在は同時掲載です。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

処理中です...