お前なんかに喰われてたまるかコノヤロー!

只野ぱんだ

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近衛お前は一体...

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さっきの地震で化学準備室の棚が倒れて多くのガラス器具や薬剤なども飛び散り、その割れたガラスが身体中に刺さった上、棚に潰されて伊藤は死んでしまった...

しかも地震はどうやら実習棟だけで発生したらしく、実習棟付近の一部陥没している場所がある事から、地下に空洞があってそれが崩れたのでは...という話らしい。

でもそんなタイミングで生じるなんて...

どうやら学校も原因究明が分かるまで休校になるらしい...

近衛は伊藤の遺体の第一発見者として、今警察に事情聴取を受けている...

本来なら私もと思ったが近衛が『あの場所には僕しかいなかった事にするから』と言って1人で受けている。

やや早い夏休み、しかし生徒1人の事故死や担任の伊藤の死...立て続けに起こった事態から何だか重苦しい夏休みスタートになってしまった。

ひなたと一緒に下校する。

「まさか伊藤先生がね...」

「うん」

何も知らないひなたは、伊藤が死んだ事に対して落ち込んでいる...私だってあんな事が無ければひなたと同じ気持ちだったと思う...

でも伊藤に襲われた事実は消えない...複雑な気持ちが沸き起こる。

近衛はあの事実を教師達に伝えた方が良いとは言ったが、黙ってて欲しいと頼んだ。

だから近衛は私はそこに居なかった事にさせたのだ。

今回の件は事件性も無いからきっと近衛もすぐに解放されるだろう。

伊藤の話は無かった事にしたかったのだ...せめて今いるクラスメイト達...特にひなたには綺麗な思い出のままで終わらせたかったから。

この三日間...何故そんな事になったのか...近衛がやって来てから...いいや近衛との接触が引き金なのか...

「しえちゃん...しえちゃん?」

ひなたが話しかけてたことに気がつく。

「あ!ごめん...ちょっと考えてて...何だか色々ありすぎて...」

「そうだよね...あのね!それこそ早めの夏休みだしさ、勉強がてら街の図書館行かない?」

笑顔を見せるもどこか無理してるのかもと思う...でもひなたと一緒に図書館ならいいかも、なんなら家でお昼ご馳走してもいいし。

「そうだね、そうしよう!」

「で、近衛君も誘ったらきっと近衛君すごい喜ぶんじゃ無いかなって」

「な!」

「あのね...今日しえちゃんお昼何処かに行ってたじゃない...近衛君しえちゃんが居ないって私にも声かけててね、なんか居ても立っても居られない感じで大急ぎで探しに行ったんだよ...きっと近衛君しえちゃんの事本当に好きなんじゃ無いかなぁと思うの」

「それは無いよぉ」

そうだよ...私みたいなもっさりオタク女子なぞ恋愛対象になりえんだろ...

「でもしえちゃんの事、結構男子が見てるよ」

「奴らはエロ餓鬼だからきっと胸ばっかり見てるだけだ、それはそれでムカつくのだ!」

制服とか私服だと誤魔化せてもどうにも体操着だと誤魔化せ無いからなぁ...くっそ...

そういえば伊藤もそんな事言ってたな...もしや近衛も???

いや...どちらかと言うと近衛は食べ物だよなぁ...

『市橋さんは美味しいなぁ』

カップケーキを食べた近衛のその言葉に背中がざわりと走る。

「...しえちゃん?」

「なんだかざわざわしちゃって...」

伊藤に襲われ...そしてそのまま死んだ件もだが、何よりも近衛 慶秋に対する得体知れない恐怖...

何度も助けてもらっているのに、とても良い奴なのに時折見せる不穏な表情や言動...そしてその目...

一体近衛お前は何者なのだ?
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