お前なんかに喰われてたまるかコノヤロー!

只野ぱんだ

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早い夏休み

衝動 その2

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首筋を噛みつかれた恐怖と近衛自身が何て事をしてしまったと言いそうな顔を思い出す。

一体あいつは何なのだ?

まさか、本気であいつ私自身を『食べ物』として見てたって事なのか?カニバリズム...と言う言葉が頭を過ぎる...

しかしこの日本で...この時代でだぞ?

洗面台へ向かう...噛みつかれた場所が痛むからタオルで冷やそうと思ったからだ。

鏡に映る姿、噛みつかれた後がある...があれ???

「消えて...きてる????」

さっきの噛みつかれた後がはっきり目で見てわかるくらいの速度で回復しているのだ...

噛み跡も痛みもいつの間にか消え、そんな事無かったかの様に綺麗に無くなってしまった。

驚いてしまっただけでそこまでの怪我にならなかった?

いや...あの痛みは間違いなく食いちぎられそうになるほどの痛みだった。

ただ噛みつかれた場所だけは拭ってしまおう...とタオルを取り出して濡らし拭いた...そんな事実すら拭えればと思いながら。

───

「若さ故の衝動だ...仕方ねぇよ、俺にもあった」

自室のベッドに潜りこみ、落ち込む近衛を春信は慰める。

「でも史絵をより一層怖がらせる結果になった...」

「じゃあ諦めるか?代わりなんて幾らでもいる...むしろ『食われる』事を望んでる娘だっているんだぞ?諦めればいい」

「...嫌だ...他なんて無理だ...」

春信は呆れ顔になる。

「じゃあ無理矢理にでも...」

「それも嫌だ!」

春信の言葉に近衛はそう叫ぶ。

「我儘な...本来理解してもらおうなんて無理な話何だぞ、慶秋」

「...」

「まぁ暫くはじっとしてろ、俺が見てるからな...」

そう言って春信は近衛の寝室を出る...

「俺たちはどうせ『人』じゃあねぇんだから...納得すりゃあいいのに」

面倒くさそうな顔をしながらキッチンにある冷蔵庫からミネラルウォーターを出して封を開け一気に飲み干す。

「まぁまだ成人になったばかりだから仕方ねぇか」

そう言ってため息を吐き、近衛のマンションの部屋を出る。

空は曇り気味で、夏なのにひんやりとする...雨が降るか?と思った時に嫌な視線を春信は感じた。

「まぁ目をつけられんのは仕方ねぇか...」

クク...と春信は笑う...何故ならあの年若い甥っ子は本来なら大それた事をしているのだからだ。

「まぁ俺も同じようなもんだったからな」

そう呟いて春信はエレベーターに乗りこんだ。


───────
※すみません!別仕事のため其方に時間を取られたストック切れました、ストックを書き溜めてから即再開させます!
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