選ばれた天職は✳︎✳︎✳︎です!! 〜剣と魔術の世界で生き残れ!〜

Nishy

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第1章 存在の意義

27話 初の使役

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 崖から紅い目が4つ、僕たちを見下ろす。茶色の毛並みに鋭く尖った爪のある四肢。猿と見た目は似ているが、体格は大人よりも大きい。その見た目から、冒険者達の間では″ボス猿″と呼ばれていた。
 

 餌が来たと思ったのかしわがれた声を上げる。笑っているのだろうか。


『「ペンネ、気をつけて。奴はとても速い」』

『「ええ、」』


 既に同調チューニングはお互い済ませている。タクトを振り上げ奴がいる洞窟に向かって真空の刃を叩き込む。

 
 爆音とともに崖に斬撃が刻まれる。煙が晴れたその先には何もいなかった。


 不意に背後から迫る気配。咄嗟に左前方に飛んだ。次の瞬間、頭の合った位置を横一文字の黒い影が通る。少し遅れていたら首がもげていただろう。


 初撃の攻撃を互いに避けた。避けれないことはないがこちらからも攻撃を当てられない。体力を考えると魔物のあっち側に軍配が上がってしまう。短期決戦にするか。


 頭の中でそう判断し、ペンネに目配せをする。ボス猿がこちらに突進してきた。彼女が神霊操壁アイギスを僕らの周りに展開する。


 凄まじい音ともに奴の動きが止まる。破壊しようとしているのか長い手足を使いアイギスを何度も殴りつけている。


 突然奴の動きが止まる。よく見ると背後から剣を刺されていた。ボス猿が血を吐きながら後ろを振り返る。
 首から木の枝が生えたトスタが光のない目で剣を押し込んでいた。


 ボス猿が派手に殴り飛ばす。その際、彼の右手が吹き飛んでしまったが、ノロノロと立ち上がり近づいていく。
 あまりの異様な光景にボス猿が奇声を発する。奴がトスタに飛びかかろうとした瞬間、首が転がり落ちた。


 「安らかに眠れ」


 そう僕は呟くとタクトを奴の胸元に刺し込んだ。










 今回の作戦は僕の操魂士の能力の確認のは一つである。死霊使役者ネクロマンサーの上位互換だとサタンは言っていたが、どれほど使えるのか試したことがなかったので、行き当たりだったが成功した様だ。
 ペンネの時と違い、死体に入り込むイメージをするだけで使役をすることができた。魂のない体にはイメージを送り込むだけで使役ができる。この事実が得れただけでも十分だろう。
 また、生前までのステータスが反映されるのか、難なくボス猿を刺せたことができ良かった。あれが僕のステータスだったら刺すどころか満足に剣すら振れないだろう。


『「さて、お目当てのものはあるかな~」』


 サタンと一緒に魔石を探す。それ以外の素材の回収はペンネの役割だ。僕と違いサクサク解体をする彼女の姿が羨ましい。しかし、魔石一つで能力を上げれる僕からすると素材などはそれ程必要でないのでwin-winなのかもしれない。


 指の先に何か固いものが当たる。場所は首の少し下のあたり、切断された面に近かった。ほじくり返し、発見を試みる。
 少しの時間格闘したが無事に取り出せた。緑色の拳ほどの大きさで表面は引っ掻き傷の様な模様が刻まれていた。


『ほお、上玉じゃな』

『大きいね』

『それだけでない、それは珍しい声帯魔術の魔石じゃ』

「声帯魔術?」

『うむ、人間で使えるものは極小数と聞く。獣人や竜は使うとは聞くがな』

『どんなの魔術なんだろう』


 タクトの魔法陣を起動する。魔法陣よりやや大きい魔石を乗せると少しずつ青紫の炎に呑まれていく。いつもより時間はかかったが、無事に取り込んだ様だ。


『では、早速・・・』 

 すうっ、と大きく息を吸い呪文を意識しつつ腹から声を出した。


 ガアァッッ!!!!!


 凄まじい音ともにともに衝撃が辺りを包む。木は揺れ、斬撃を受けた崖は石を落としている。近くにいたペンネは体を硬直させていた。


『「大丈夫?」』


 そう声をかけるが、彼女は目だけを動かしている。身体を動かす素振りもない。


『これは咆哮じゃな』

『何それ?』

『言わば、威嚇の最上位に位置する脅しの一つじゃな。見よ、体を硬直させてしまっている』

『魔物や魔獣にも使えるかな?』

『竜族などが使用するくらいじゃから、いけるのではないか?それより小娘を見てやれ』


 サタンに指摘され慌てて彼女の介抱にあたる。硬直していたのはほんの2、3分ほどで直ぐに回復した。


「まさか私が拘束系の魔術を受けるとは」


「体に異常はない?」


「ええ、それは特に。魔術の耐性も少しはあるはずなのに」


 額に冷や汗を浮かべながら彼女からどんな症状になったか聞いた。どうやら対象の身体を硬直させるものみたいだ。戦闘でも使えるだろう。戦略の幅が広がった。


「ねぇ、アイル。あの中にまだ人がいるかな?」


 ペンネはボス猿が出てきた洞窟を指さす。確かにまだ人がいるかもしれない。彼女に同意をもらい、僕らは中腹にある洞窟を目指し岩山を登り始めた。
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