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第1章 存在の意義
26話 黒雲
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☆
翌日、朝靄の立つ中僕とペンネはリュックを背負い、南門にいた。今日から始める街道の巡察を行う為だ。
「両親にはちゃんと言ってきた?」
「当たり前よ、無事に帰るって約束もしてきたし」
「良し、なら出発しよう」
肌を刺すような寒さの中、リュックを背負い直しながら、南の村を目指して歩き出した。
街道の治安は物流に直結する。ここアーク大陸は基本的に金銭でのやり取りが主流であり、物々交換は獣人族が行っていると聞く。地方は都会の新しいものを求め、都会は田舎の新鮮な食料を求める。
キロスカ村と南の村は海産物と鉱石、木材などのやり取りで栄えている。どちらにとっても生活に欠かせないもののため、この街道の維持は死活問題なのである。
「ここら辺で一旦休憩しませんか」
キロスカ村を出て1時間ほど歩いた時に、ペンネに提案を受ける。一気に走破したほうがよいと思われがちだが、こまめに休憩を挟んだほうが疲労も溜まりにくく、精神衛生的にもよい。
2人して脇沿いの木陰に腰を下ろす。真冬にしては日差しは柔らかく風もない。南の村の方角は少し黒い雲が出始めていた。
「途中で天候が悪くなったら引き返す、ってことでもいいかな?」
「えぇ、無理しない程度に行きましょう」
15分ほど足を休め、再度並んで歩き出す。今の所は異常はないが注意していこう。
・
・
・
キロスカ村と南の村の中間地点に広がる森に入る。迂回してもいいのだが、目的は巡察だ。警戒をしつつ先に進む。木々は手入れをされており見通しも悪くない。接敵した際の手順を確認し合いながら歩いていると泉に差し掛かる。
泉の周りは動物が集まる。それだけでなく魔物や魔獣も水がなければ生きていけない。今回の巡察で1番気をつけるべき場所だ。注意しつつあたりを見回す。
街道脇のちょっとした広場に野営テントが広げられている。焚き火の跡もあり、人がつい先程まで今のだろう。しかし、人影は見当たらない。昼間のこの時間に野営テントを広げる理由もない。
ペンネと目配せをし、同調をする。彼女に後方の注意をしてもらいつつ森へ足を踏み入れる。
50mほど歩くと巨木の下の茂みから足が生えていた。
嫌な予感がしつつも回り込んで確認する。
膝から上は失くなっていた。
「ウ、ウボェェェッ、、、ウェェ・・・」
脇でソレが人間のものだと分かったのだろう、ペンネが吐く。膝から上は失くなっていたが何かを引きずったような跡が森の奥へと続いている。
ペンネの体調を心配しつつも先へ進む。引きずられた跡には血痕や衣服の端など所々に散らばっていた。指などが落ちてくるようなるといよいよ救出は困難であると判断した。
ふいに視界が開ける。あの現場から100m程進んだが目の前には絶壁が立っている。その中腹には洞窟が開いており、崖の前には木が何本か生えていた。何かが木からぶら下がっている。
ぶら下がっていたは皆、首を木の枝で貫かれていた。
彼らの中には何十日も放置されたのかひどく腐っているものや肉片だけのものもある。見知った人がぶら下がっていた。
昨日見たトスタとクロスが、光を失った目でぶら下がっていたのだ。
視界の脇が酸欠で黒くなりつつあったが、気を静める。よく観察をしてみる。
奴等は一撃か二撃ほどでしとめいるのだろう。外傷は驚くほど少ない。先ほど見つけた膝はクロスのものらしく片足が失かった。
「まるで百舌の様だな」
小さく独り言を言う。
『現世の魔物は奇天烈な習性を持つのだな』
サタンが反応する。
不意に、大気が震える感覚を覚える。ペンネを隣に呼び寄せ、ソイツらがいる洞窟を見上げる。
赤い目が4つ、此方を見ていた。
翌日、朝靄の立つ中僕とペンネはリュックを背負い、南門にいた。今日から始める街道の巡察を行う為だ。
「両親にはちゃんと言ってきた?」
「当たり前よ、無事に帰るって約束もしてきたし」
「良し、なら出発しよう」
肌を刺すような寒さの中、リュックを背負い直しながら、南の村を目指して歩き出した。
街道の治安は物流に直結する。ここアーク大陸は基本的に金銭でのやり取りが主流であり、物々交換は獣人族が行っていると聞く。地方は都会の新しいものを求め、都会は田舎の新鮮な食料を求める。
キロスカ村と南の村は海産物と鉱石、木材などのやり取りで栄えている。どちらにとっても生活に欠かせないもののため、この街道の維持は死活問題なのである。
「ここら辺で一旦休憩しませんか」
キロスカ村を出て1時間ほど歩いた時に、ペンネに提案を受ける。一気に走破したほうがよいと思われがちだが、こまめに休憩を挟んだほうが疲労も溜まりにくく、精神衛生的にもよい。
2人して脇沿いの木陰に腰を下ろす。真冬にしては日差しは柔らかく風もない。南の村の方角は少し黒い雲が出始めていた。
「途中で天候が悪くなったら引き返す、ってことでもいいかな?」
「えぇ、無理しない程度に行きましょう」
15分ほど足を休め、再度並んで歩き出す。今の所は異常はないが注意していこう。
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キロスカ村と南の村の中間地点に広がる森に入る。迂回してもいいのだが、目的は巡察だ。警戒をしつつ先に進む。木々は手入れをされており見通しも悪くない。接敵した際の手順を確認し合いながら歩いていると泉に差し掛かる。
泉の周りは動物が集まる。それだけでなく魔物や魔獣も水がなければ生きていけない。今回の巡察で1番気をつけるべき場所だ。注意しつつあたりを見回す。
街道脇のちょっとした広場に野営テントが広げられている。焚き火の跡もあり、人がつい先程まで今のだろう。しかし、人影は見当たらない。昼間のこの時間に野営テントを広げる理由もない。
ペンネと目配せをし、同調をする。彼女に後方の注意をしてもらいつつ森へ足を踏み入れる。
50mほど歩くと巨木の下の茂みから足が生えていた。
嫌な予感がしつつも回り込んで確認する。
膝から上は失くなっていた。
「ウ、ウボェェェッ、、、ウェェ・・・」
脇でソレが人間のものだと分かったのだろう、ペンネが吐く。膝から上は失くなっていたが何かを引きずったような跡が森の奥へと続いている。
ペンネの体調を心配しつつも先へ進む。引きずられた跡には血痕や衣服の端など所々に散らばっていた。指などが落ちてくるようなるといよいよ救出は困難であると判断した。
ふいに視界が開ける。あの現場から100m程進んだが目の前には絶壁が立っている。その中腹には洞窟が開いており、崖の前には木が何本か生えていた。何かが木からぶら下がっている。
ぶら下がっていたは皆、首を木の枝で貫かれていた。
彼らの中には何十日も放置されたのかひどく腐っているものや肉片だけのものもある。見知った人がぶら下がっていた。
昨日見たトスタとクロスが、光を失った目でぶら下がっていたのだ。
視界の脇が酸欠で黒くなりつつあったが、気を静める。よく観察をしてみる。
奴等は一撃か二撃ほどでしとめいるのだろう。外傷は驚くほど少ない。先ほど見つけた膝はクロスのものらしく片足が失かった。
「まるで百舌の様だな」
小さく独り言を言う。
『現世の魔物は奇天烈な習性を持つのだな』
サタンが反応する。
不意に、大気が震える感覚を覚える。ペンネを隣に呼び寄せ、ソイツらがいる洞窟を見上げる。
赤い目が4つ、此方を見ていた。
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