25 / 64
第1章 存在の意義
25話 悪い予感
しおりを挟む
☆
ゴブリンの小指が入った袋をカウンターに置く。ルカさんはそれの本数を数えていく。
「ゴブリンの小指20本、確認しました。街道の安全確保の協力、ありがとうございます」
「それで、本題の方なんですけど・・・」
「冒険者登録ですか?それなら問題ないと思います。初戦でこれだけのゴブリンをやっつけれるのですから」
「冒険者登録と同時にパーティー登録もしたいのですがよろしいでしょうか」
「はい、では手続きの羊紙を持ってきますで少々お待ちください」
南の草原でゴブリン討伐を終えた僕らは、冒険者ギルドで手続きを行なっていた。
登録を行うと素材の買取などが相場よりも高くなる。安い薬草でもその差を積み重ねると大きな額になる。フリーで働くよりかは受けれる恩恵は大きいし、受けておこう。
「それにしても、最近は魔物や魔獣が多く出現するようになりましたね」
「そうなんですか?」
あまり大きな声では言えないんだけど、とルカさん。
「前は街道沿いですら、そうそう出なかったのよ。昨日に続いて今日も出るなんて・・・」
ルカさんの顔に影が差す。目もとの隈と相まってとても怖い。
「それなら、僕たちが街道の巡察を買ってみてもいいですか?」
「貴方たちが?」
ルカさんは首を傾げる。少し考える素振りを見せると、
「それなら依頼してもいいかしら。ただし、あくまで安全第一、何かあったらすぐ撤退して報告よ」
「はい、ありがとうございます!」
こうして僕らは街道の巡察をすることになった。考えていたプランが実行できそうだ。
・
・
・
「何を狙ってるの?」
「経験とか、戦闘のセンスとかだよ。僕らの姿はあまり人に見せられないしね。見せた後の説明が大変だ」
ギルドからの帰り道、そんな会話をしつつ家路に着く。仮とは言え依頼を受けたのだ。両親にも報告しなければならない。そんなことを考えていると僕らの前に、3人組が立ちはだかる。
幼馴染である水属性魔術師のクロス、帝級剣士であるトスタ、そして王級剣術士のジールだ。トスタが前に出る。
「よぉ、無能力」
「やあトスタ、それにみんなも。何かあったのかい?」
「いや、最近冒険者ギルドに足を運んでる出来損ないがいるって聞いたもんだから様子を見にきたんだよ」
「ふーん、そんな奴がいたんだね」
軽いジャブの打ち合いをする。相手の発言からイラついているようだ。トスタが間合いを詰めてこようとする。
「おめぇよぉ・・・」
ヒュッッッ ザクッ
トスタの足元に横一文字の斬撃が彫り込まれる。僕はトスタに指揮棒を向けながら忠告する。
「何をしようとしたかは知らないけど、それ以上入ってくると危ないよ」
トスタは足元と僕を交互に見比べるとみるみる内に顔が赤くなる。挑発されたと思っているようだ。
「お前、こんな街中で魔術で人を傷つけてもいいと思ってるのか?」
「当たってないから問題ないでしょ?それに挑発をしてきたのは君らの方だ。これは忠告だよ」
そこにジールが割り込む。身長が僕らとたいして変わらない茶髪の少女だ。腰にはポーチと剣が差し込まれている。元々僕はこれ以上やるつもりもないので引き下がる。トスタは悔し顏だ。
「ごめんなさい、今日はどうしてギルドに行ったか聞きたかっただけなの」
「あぁ、それはね・・・」
ギルドで街道の巡察を依頼されたことを伝える。反応は予想していた通りだ。
「なんだよ、それなら俺たちも行こうぜ。無能力でも出来るなら俺らならもっと余裕だろ!」
トスタが強気な発言をする。
「ジール達は冒険者登録してあるの?」
「んなもんしなくても、魔物を狩った証拠でも見せればすぐに登録できるだろ」
「危険な仕事だから、先に報告したほうがいいと思うけど・・・」
「仕事が取られそうだからって焦んなよ、お前らの分までこなしてきてやるよ。無能力は指咥えて村から見ていな」
トスタが僕のことを見下しそう言い放つと、踵を返して去っていった。クロスが後ろについて行き、ジールはこちらを振り返ると、
「まあ、何かあれば止めてでも帰ってくるよ」
そういう時彼らの背中を追って行ってしまった。冬の太陽が彼らの背中を照らす。白く反射したその姿はまるで蜃気楼のように見えた。
ゴブリンの小指が入った袋をカウンターに置く。ルカさんはそれの本数を数えていく。
「ゴブリンの小指20本、確認しました。街道の安全確保の協力、ありがとうございます」
「それで、本題の方なんですけど・・・」
「冒険者登録ですか?それなら問題ないと思います。初戦でこれだけのゴブリンをやっつけれるのですから」
「冒険者登録と同時にパーティー登録もしたいのですがよろしいでしょうか」
「はい、では手続きの羊紙を持ってきますで少々お待ちください」
南の草原でゴブリン討伐を終えた僕らは、冒険者ギルドで手続きを行なっていた。
登録を行うと素材の買取などが相場よりも高くなる。安い薬草でもその差を積み重ねると大きな額になる。フリーで働くよりかは受けれる恩恵は大きいし、受けておこう。
「それにしても、最近は魔物や魔獣が多く出現するようになりましたね」
「そうなんですか?」
あまり大きな声では言えないんだけど、とルカさん。
「前は街道沿いですら、そうそう出なかったのよ。昨日に続いて今日も出るなんて・・・」
ルカさんの顔に影が差す。目もとの隈と相まってとても怖い。
「それなら、僕たちが街道の巡察を買ってみてもいいですか?」
「貴方たちが?」
ルカさんは首を傾げる。少し考える素振りを見せると、
「それなら依頼してもいいかしら。ただし、あくまで安全第一、何かあったらすぐ撤退して報告よ」
「はい、ありがとうございます!」
こうして僕らは街道の巡察をすることになった。考えていたプランが実行できそうだ。
・
・
・
「何を狙ってるの?」
「経験とか、戦闘のセンスとかだよ。僕らの姿はあまり人に見せられないしね。見せた後の説明が大変だ」
ギルドからの帰り道、そんな会話をしつつ家路に着く。仮とは言え依頼を受けたのだ。両親にも報告しなければならない。そんなことを考えていると僕らの前に、3人組が立ちはだかる。
幼馴染である水属性魔術師のクロス、帝級剣士であるトスタ、そして王級剣術士のジールだ。トスタが前に出る。
「よぉ、無能力」
「やあトスタ、それにみんなも。何かあったのかい?」
「いや、最近冒険者ギルドに足を運んでる出来損ないがいるって聞いたもんだから様子を見にきたんだよ」
「ふーん、そんな奴がいたんだね」
軽いジャブの打ち合いをする。相手の発言からイラついているようだ。トスタが間合いを詰めてこようとする。
「おめぇよぉ・・・」
ヒュッッッ ザクッ
トスタの足元に横一文字の斬撃が彫り込まれる。僕はトスタに指揮棒を向けながら忠告する。
「何をしようとしたかは知らないけど、それ以上入ってくると危ないよ」
トスタは足元と僕を交互に見比べるとみるみる内に顔が赤くなる。挑発されたと思っているようだ。
「お前、こんな街中で魔術で人を傷つけてもいいと思ってるのか?」
「当たってないから問題ないでしょ?それに挑発をしてきたのは君らの方だ。これは忠告だよ」
そこにジールが割り込む。身長が僕らとたいして変わらない茶髪の少女だ。腰にはポーチと剣が差し込まれている。元々僕はこれ以上やるつもりもないので引き下がる。トスタは悔し顏だ。
「ごめんなさい、今日はどうしてギルドに行ったか聞きたかっただけなの」
「あぁ、それはね・・・」
ギルドで街道の巡察を依頼されたことを伝える。反応は予想していた通りだ。
「なんだよ、それなら俺たちも行こうぜ。無能力でも出来るなら俺らならもっと余裕だろ!」
トスタが強気な発言をする。
「ジール達は冒険者登録してあるの?」
「んなもんしなくても、魔物を狩った証拠でも見せればすぐに登録できるだろ」
「危険な仕事だから、先に報告したほうがいいと思うけど・・・」
「仕事が取られそうだからって焦んなよ、お前らの分までこなしてきてやるよ。無能力は指咥えて村から見ていな」
トスタが僕のことを見下しそう言い放つと、踵を返して去っていった。クロスが後ろについて行き、ジールはこちらを振り返ると、
「まあ、何かあれば止めてでも帰ってくるよ」
そういう時彼らの背中を追って行ってしまった。冬の太陽が彼らの背中を照らす。白く反射したその姿はまるで蜃気楼のように見えた。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる