選ばれた天職は✳︎✳︎✳︎です!! 〜剣と魔術の世界で生き残れ!〜

Nishy

文字の大きさ
24 / 64
第1章 存在の意義

24話 初心者殺し

しおりを挟む


 ルカさんと別れて暫くすると広場に1人の少女が飛び込んできた。そのまま僕の前に来たと思ったら頭を下げきた。


「遅れてごめんなさい!」


 慌てて飛び出してきたのだろう。後ろ髪が少しはねている。忘れていた訳では無さそうなので頭を上げるように言う。
 それにしても、彼女が寝坊するのは珍しい。何かあったのだろうか?


「何か急ぎの用事でもあったの?そっちを優先してもよかったけど・・・」

「何にもないから!私のせいで時間が推してるから急ぎましょう」



 そう彼女に背中を押されるように広場から南門へ移動する。今日は南に広がる草原である魔物を討とうと計画していた。
 







 その魔物は元々家の手伝いをしてくれる妖精の一種であった。しかし、生来の悪戯好きが祟り今では洞窟や草原に現れるは魔物と認知されるようになってしまった。


 暫く門も出て南下していく。1km程歩いただろうか。正面の木の下に目的の魔物がいた。


 ゴブリンである。緑の体に小さな角。手には木の棒を握り、その身には革製の擦り切れた防具のようなものを身に纏っている。


 元々妖精の一種だったので、体つきも小さい。しかし彼らは徒党を組んで襲ってくることで有名である。
 個々の力は弱くとも大勢のゴブリンに囲まれると数の暴力が始まる。それ故商隊や冒険者が被害に遭うことも珍しくなかった。


 しかし、駆け出しの冒険者にとって、ゴブリンは登竜門である。彼らを1人で10体討つことができれば駆け出しから新人へと階級を上げることができる。
 冒険者家業でひと財産を築いた人物も1人や2人の規模でなく、子供からすれば憧れの職業であるのも事実だ。


「どうするの?相手は1体しかいないみたいだけど」

「恐らく仲間が近くに潜んでいるだろう。奴が仲間を呼んだら作戦開始だ」


 ペンネが小声で聞いてきたので打ち合わせの通りに進めるよう伝える。ゴブリンまで気配をできるだけ消して近く。15mを切ったところで奴はこちらに気付き叫んだ。
 奴の背後から20体以上のゴブリンが茂みから現れる。どうやら見張り役だったようだ。無意味に突撃しないでよかった。


「じゃあ、始めるよ」

「はい!」

「「同調チューニング」」


 僕とペンネが変化する。奴らはこちらの様子を見ている。身に纏った魔力の強さを、直感で感じ取ったのだろうか。
 

『それでは、サタンよろしくね』

『あい、分かった。魔石が出ることを祈るとするかの』


 指揮棒タクトを振り、開戦の合図となる斬撃を放った。







「こんなとこかな、怪我はない?」

「はい、問題ないです」


 あれから5分もかからないうちに戦闘は終わった。僕が攻撃担当、ペンネは防御とデバフ担当だ。斬撃と爪撃で2~3体を攻撃する間、怠惰の感情スロース神霊操壁アイギスでひたすら補助に回ってもらう。カバーができない時は聖白光球ホーリーボールで牽制をしてもらう。
 

 初戦にしては中々のチームワークだったであろう。サタンの食事きゅうさいを兼ねて、ゴブリンから倒した証拠である左手の小指を集めて回っていた。


『アイルよ、其奴の死体匂うぞ。』

『ん?』


 念話でサタンから指摘をされたゴブリンの死体を見る。斬撃でやられたのであろう、右肩から左脇腹まで綺麗に切断されている。体液などは流れで切っており、表面が乾燥をし始めていた。


『どこら辺から?』

『心臓の辺りではなかろうか、ちょいと見ておくれ』

『う~ん・・・、あれ?』


 手の先に何か硬いものが当たる。あまり褒められないが鋭利なタクトの先端で胴体を弄る。穿る要領で何度か試すとソレが転がり落ちてくる。透明度は高くないが紫色の鉱物のようだ。
 魔石である。まだ風化は始まっていない。急ぎタクトの魔法陣を展開し、呑ませた。


『う~む、味は悪くはないが量が少ないな』


 残りの死体からは何も感じなかったようである。


『残念じゃが、此奴ら魔術は使えないようじゃな』

『まぁ、おいおいそれは解決していこう』

『うむ、しかし長い期間が開くと空腹感が体に出てくるからな。注意したほうがよいぞ』


 タクトのことは残念であったが、本日の目標はクリアしたので良しとしよう。ペンネを労い、同調を解除する。さあ、小指を冒険者ギルドへ持っていこう。


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...