選ばれた天職は✳︎✳︎✳︎です!! 〜剣と魔術の世界で生き残れ!〜

Nishy

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第1章 存在の意義

33話 同調の成れの果て

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 身体が熱い。初めはそう感じた。しかし、実際には周りを取り巻く黒の渦が熱を発しているのであって、僕の体自身はとても冷えている様だ。

ーナニカで暖めないとー


 そう思いあたりを見渡すとペンネに襲い掛かろうとする紅狼やつが見えた。


ーアイツの魔力ねつなら暫くは大丈夫そうだー


 そう判断した僕は、鋭く尖り硬く曲がった爪の伸びた脚で奴に向かって踏み出した。


 奴の顔が驚きに染まる。しかし、そんなこと関係ない。彼女を傷つけたのだから。


 頭では冷静のつもりだったが、心は正直だ。後から後へと怒りの感情が湧いてくる。


 奴の大きく開いた口の付近までくると、タクトを突き刺しゼロ距離で奴から魔力を吸う。


「ギャァァァァア!!」


恐ろしい悲鳴をあげる紅狼は放っておき、ペンネを担ぎ広場の外苑で横に寝かせる。体を見るとあちこちで中度の火傷の症状が見られた。早く措置せねば一生の傷になってしまう。


「懺悔の用意はしたか?」


 紅狼を振り返りつつ言い放つ。


 相変わらず心は荒ぶったままだ。冷静な意識が何か違和感を感じる。大事なことを忘れている様な。


 そんな考えを持ちつつも、再度タクトを振りかざす。左目が冷気を放つ。


「許さない・・、許さないぞぉぉぉぉぉ!!」


 憎しみの感情と共に、在らん限りのイメージを持って魔力を変化させ奴に振りかけた。






ー 北の森 最深部ー  ペンネ視点

 ううっ、痛い。アツイ。ここは・・?


 アイルのアイギスがあっても先程の衝撃でやられたのだろう。身体中が熱を持ち只々熱い。出血もしているのだろう、体が怠く思う様に動かなかった。


 すぐ側で何かが蒸発した様な音が聞こえる。近くにアイルの反応は無く、今度こそはダメかもしれないと悟る。

 前回と違い親にも挨拶はしてある。心残りは村のみんなもこいつのせいでやられてしまうかもしれないことだけであった。


 念話でベルフェゴールに問いかけても慌てた様子で持っている書物を必死になって捲る音が聞こえるだけである。


 結局彼女の力にもなれなかったな、と思いつつも迫りくる口と思われる気配が来るのを待つ。


「ギャァァァァア!!」


 直上で紅狼と思われる叫び声が響く。


 横向きの視界からは黒い肌に鋭く尖る爪のある足が見える。まるで野獣の様な脚だ。
 黒い渦がから放射状に立ち昇っている。
 黒の魔力は″暴走″をした時しか見られないとされている。
 通常の人間であれば本能的なブレーカーがあるため、暴走にはならず魔力切れという体調不良に陥る。
 

 だが、極稀に素質がある者は暴走と言いまるで鬼人の様にステータスが上昇し正気に戻るまで、自己の身体も関係なしに暴れ回るそうだ。
 

 しかし、暴走は幼い者が起こせばその過程で体は魔力に変換され終いにはその渦の一部として霧散してしまう。
 魔術士は訓練を行う前に口を酸っぱくする程、何度も頭に入れられる常識であった。


 以前のアイルとは違い、まるで聖書に出てくる悪魔の様な姿になってしまったアイルからは女性の声は聞こえなかった。


 そのかわり、しわがれた彼の声が辺りに響き渡る。


「懺悔の用意はしたか?」


 その声を聞いた時、心臓を握られたかの様に身体から汗が吹き出した。
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