52 / 64
第1章 存在の意義
52話 大将戦
しおりを挟む
☆
ー キロスカ村 南門 ー アイル視点
炎を纏った風の鞭で白骨死体達を屠っていく。打撃が通過した後には燃え盛る火だるまが残り、やがて崩れていく。
未だ敵の指導者には会えていないが、鞭のおかげで効率よく敵を処理していく。ちまちま斬撃を放っていたのが馬鹿らしくなってくる。
そんことを考えていると、スカル達が足を止めていることに気づく。こちらから攻めても良いが、背中が開いてしまい。村へ侵攻されてしまう。嫌な間合いである。
鞭の長さを伸ばそうか考えていると、スカル達の奥から一際大柄なスカルが出てきた。手にし戦斧は乾燥した血がこびりついており、右手に埋め込まれた鉱物は先日の日でないほど禍々しさを放っていた。
村がいつまで経っても陥落しない為、態々前線に来たようだ。
『「貴方がこの群体の指導者か」』
「・・・ヶ、・レ・ヶ・・・」
誰何してみるがブツブツと呟いている為ハッキリとは聞き取れない。
一歩前へ踏み出したところ、窪んだ眼窩をこちらに向け
「ツレテケエェェェ!!!」
低くしわがれた声ではっきりと叫んだ。叫びに合わせて鉱物も黒く発光していく。
紅狼戦以来の武者振るいにサタンが歓喜の声を上げる。
『征くぞ、アイル。此奴を倒せばこの群体は士気がなくなる。此処が勝負どころじゃ』
『待って、様子がおかしい』
白骨頭首と周りにいたスカル達が鉱物の光の中に呑み込まれていく。その口は笑っているように見えた。嫌な予感がし、タクトを振り上げ風の鞭を見舞わせる。
光の中から5本の戦斧が伸び鞭を断ち切った。魔力で練り上げた鞭だ。よっぽどの切断力がなければ切れることは決して無い。
魔力の操作がなくなった鞭の先端が地面を叩きつけ、砂埃が立ち上る。
砂埃が舞う中、鉱物の発している光はしっかりと見える。
砂埃の中から先ほど見た5本の戦斧が現れ、地面に食い込む。次いで現れた姿を見て、思わず後ずさる。恐怖による者では無い。巨大なのだ。
次に見えたのは白の球体のものだった。白く、ひび割れたそれが最初は何か分からなかった。しかし、球体は向きを変えたかと思えば2つの黒の空間がこちらを向く。
それは頭蓋骨だった。
下半身は未だ砂埃に覆われている。しかし、立ち上がれば間違いなく10m程の巨体になるだろう。
指の代わりに先ほど見た5本の戦斧が生えている。あれに握られたら一巻の終わりだろう。
白骨頭首は魔力の過剰吸収により、周りのスカルを取り込んだのだ。
・
・
・
後から聞いた話ではソレは、古の時代に東の国で言い伝えられてきた魔物だという。
その名を餓者髑髏と言うそうな。
・
・
・
『「おおぉ」』
思わず声を出してしまった。元々大柄だったスカルがその体躯を3倍程まで大きくなったのだ。威圧感が半端では無い。
風の鞭を断ち切った指代わりの戦斧が一番の脅威と考え、再度鞭を使い、肩の付け根辺りを狙う。
しかし、反応速度は早いのか、見切られて先ほどのように断ち切られてしまった。
『「鞭はダメか・・・。ならこれはどうだ!」』
指揮棒から伸びる魔力を切り、思い切り刺突した。魔力がタクトの先端に集まり、凝縮されていく。
やや時間をおいて、先端からレーザーの様に細く鋭い衝撃波が餓者髑髏に刺さる。
肩の付け根に当たった衝撃波は骨を抉り、後方に突き抜けていく。右肩から先が地面に落ちる。其処に火炎の柱を唱え、燃やし尽くす。
片腕を切り落とすことは成功し、安堵のため息をついた。その一瞬が命取りになるところであった。
片腕を失ったことなど気にするそぶりもなく餓者髑髏は素早く間合いを詰めると、反対の腕で殴りつけてきた。
斧の部分でなく柄の部分だった為、体が真っ二つになりはしなかった。
しかし、打撃の威力は凄まじく、防柵に激突するまでの間10m程は弾き飛ばされた。
同調によりサタンの加護はあれども生身だったのがいけなかった。遠距離戦は敵なしのアイルでも、近距離に持ち込まれるとほぼ何も出来ない。
其処へ餓者髑髏の追撃が入る。今度は斧の部分で斬りつけようと五指を叩きつけた。
・
・
・
捉えたと思った餓者髑髏。土煙が晴れると其処には何も無かった。
あれだけの怪我だ。避けるにしてもそれ程遠くまではいけまい。
そう判断すると近くを見渡す。しかし、いくら探せど奴はいなかった。
視認はできないがまあいい。防柵の一部は破損し、奴もいなくなったことでようやく村を襲える。
本能で仲間を増やそうとするスカル。本能に従い、村へ向け歩み始めた時だった。
横から煌めく光が見えたかと思えば先行していたスカル達が蒸化されていく。
飛来してきた方を向くと頭からは流血し片腕を抑えた、先ほど逃した奴がいた。
ー キロスカ村 南門 ー アイル視点
炎を纏った風の鞭で白骨死体達を屠っていく。打撃が通過した後には燃え盛る火だるまが残り、やがて崩れていく。
未だ敵の指導者には会えていないが、鞭のおかげで効率よく敵を処理していく。ちまちま斬撃を放っていたのが馬鹿らしくなってくる。
そんことを考えていると、スカル達が足を止めていることに気づく。こちらから攻めても良いが、背中が開いてしまい。村へ侵攻されてしまう。嫌な間合いである。
鞭の長さを伸ばそうか考えていると、スカル達の奥から一際大柄なスカルが出てきた。手にし戦斧は乾燥した血がこびりついており、右手に埋め込まれた鉱物は先日の日でないほど禍々しさを放っていた。
村がいつまで経っても陥落しない為、態々前線に来たようだ。
『「貴方がこの群体の指導者か」』
「・・・ヶ、・レ・ヶ・・・」
誰何してみるがブツブツと呟いている為ハッキリとは聞き取れない。
一歩前へ踏み出したところ、窪んだ眼窩をこちらに向け
「ツレテケエェェェ!!!」
低くしわがれた声ではっきりと叫んだ。叫びに合わせて鉱物も黒く発光していく。
紅狼戦以来の武者振るいにサタンが歓喜の声を上げる。
『征くぞ、アイル。此奴を倒せばこの群体は士気がなくなる。此処が勝負どころじゃ』
『待って、様子がおかしい』
白骨頭首と周りにいたスカル達が鉱物の光の中に呑み込まれていく。その口は笑っているように見えた。嫌な予感がし、タクトを振り上げ風の鞭を見舞わせる。
光の中から5本の戦斧が伸び鞭を断ち切った。魔力で練り上げた鞭だ。よっぽどの切断力がなければ切れることは決して無い。
魔力の操作がなくなった鞭の先端が地面を叩きつけ、砂埃が立ち上る。
砂埃が舞う中、鉱物の発している光はしっかりと見える。
砂埃の中から先ほど見た5本の戦斧が現れ、地面に食い込む。次いで現れた姿を見て、思わず後ずさる。恐怖による者では無い。巨大なのだ。
次に見えたのは白の球体のものだった。白く、ひび割れたそれが最初は何か分からなかった。しかし、球体は向きを変えたかと思えば2つの黒の空間がこちらを向く。
それは頭蓋骨だった。
下半身は未だ砂埃に覆われている。しかし、立ち上がれば間違いなく10m程の巨体になるだろう。
指の代わりに先ほど見た5本の戦斧が生えている。あれに握られたら一巻の終わりだろう。
白骨頭首は魔力の過剰吸収により、周りのスカルを取り込んだのだ。
・
・
・
後から聞いた話ではソレは、古の時代に東の国で言い伝えられてきた魔物だという。
その名を餓者髑髏と言うそうな。
・
・
・
『「おおぉ」』
思わず声を出してしまった。元々大柄だったスカルがその体躯を3倍程まで大きくなったのだ。威圧感が半端では無い。
風の鞭を断ち切った指代わりの戦斧が一番の脅威と考え、再度鞭を使い、肩の付け根辺りを狙う。
しかし、反応速度は早いのか、見切られて先ほどのように断ち切られてしまった。
『「鞭はダメか・・・。ならこれはどうだ!」』
指揮棒から伸びる魔力を切り、思い切り刺突した。魔力がタクトの先端に集まり、凝縮されていく。
やや時間をおいて、先端からレーザーの様に細く鋭い衝撃波が餓者髑髏に刺さる。
肩の付け根に当たった衝撃波は骨を抉り、後方に突き抜けていく。右肩から先が地面に落ちる。其処に火炎の柱を唱え、燃やし尽くす。
片腕を切り落とすことは成功し、安堵のため息をついた。その一瞬が命取りになるところであった。
片腕を失ったことなど気にするそぶりもなく餓者髑髏は素早く間合いを詰めると、反対の腕で殴りつけてきた。
斧の部分でなく柄の部分だった為、体が真っ二つになりはしなかった。
しかし、打撃の威力は凄まじく、防柵に激突するまでの間10m程は弾き飛ばされた。
同調によりサタンの加護はあれども生身だったのがいけなかった。遠距離戦は敵なしのアイルでも、近距離に持ち込まれるとほぼ何も出来ない。
其処へ餓者髑髏の追撃が入る。今度は斧の部分で斬りつけようと五指を叩きつけた。
・
・
・
捉えたと思った餓者髑髏。土煙が晴れると其処には何も無かった。
あれだけの怪我だ。避けるにしてもそれ程遠くまではいけまい。
そう判断すると近くを見渡す。しかし、いくら探せど奴はいなかった。
視認はできないがまあいい。防柵の一部は破損し、奴もいなくなったことでようやく村を襲える。
本能で仲間を増やそうとするスカル。本能に従い、村へ向け歩み始めた時だった。
横から煌めく光が見えたかと思えば先行していたスカル達が蒸化されていく。
飛来してきた方を向くと頭からは流血し片腕を抑えた、先ほど逃した奴がいた。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる