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第1章 存在の意義
59話 存在の意義
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☆
村の噴水広場に向かうとペンネがルカさんと立ち話をしていた。ペンネが気付いて此方に手を振る。
「早かったですね、お二人とも」
「お待たせしました。遅れてすいません」
「いえ、私達も今来たところですから」
ペンネとユラさんが挨拶を交わす。南へ向かうのは僕ら3人のはずだ。ルカさんがどうして?
「ルカさんは私達の見送りに来てくださったんですよ」
「お仕事中なのに、わざわざありがとうございます」
「丁度仕事もひと段落したのでマスターに話して席を外させて貰ったんです。マスターも見送りに来たかったそうですがお仕事が多くて・・・」
「いえ、とんでもないです。戻ったらよろしく伝えて貰ってもいいですか?」
「はい、お任せください!」
其処へ12時を知らせる鐘が鳴り響いた。出発の時間だ。
村を見渡す。生まれてから先月まで村から出たことすらなかった人生。内容が人より薄くとも、思い入れは誰よりもあった。
無力な自分を変えようとしたこの1年はとても濃密な時間だ。
「アイルさん、お時間になりました。そろそろ・・・」
ユラさんが後ろから控えめに声をかけてきた。振り返りつつペンネとユラさんに力強く呟いた。
「征こう、出発だ」
「「はい!」」
最後にルカさんの方に正対する。無力な僕を励まし続けた彼女に万感の思いを込めたお礼を送った。
「大変、大変お世話になりました。必ず異変の原因を突き止めます」
「はい、お気を付けてください。行ってらっしゃいませ、世界神の加護があらんことを・・・」
短く挨拶を交わすと、僕らは後ろを振り向くことなく南の街道を進んで行った。
・
・
・
「ママ、彼が行ったよ。逞しい姿になって、ママの思いも受け取って・・・」
ルカはアイル達を見送る中、胸のロザリオを両手で握りながら呟く。真鍮で出来た成功なロザリオは、長年の手垢によって鈍い輝きを放つ。
「あの吹雪の日、ママが最後に助産した赤ちゃんが世界の為に、行っちゃ・・たよ・・・」
アイルが産まれてから母の言いつけの通りに、人の外見ではなく中身を知って人間関係を築いてきた。
人は生まれや、出征した家の権力によって大きく歪むことがある。ましてや天職発表の日を境に特に顕著になる。
そんな中、アイルは決して腐らなかった。誰かのためになろうと一生懸命に下請けをこなす姿を見て、母に言われた意味を初めて理解した。
彼が少しでも息を抜きやすい様に、ギルド内にきた際もお茶を出し談笑に花を咲かせた。
「貴方は、決して死んでいい人ではない。必ず帰ってきてください。それだけが私の望みです」
ルカは昼の休憩が明けるまで、その場でロザリオを握り目をつぶって祈り続けた。
村の噴水広場に向かうとペンネがルカさんと立ち話をしていた。ペンネが気付いて此方に手を振る。
「早かったですね、お二人とも」
「お待たせしました。遅れてすいません」
「いえ、私達も今来たところですから」
ペンネとユラさんが挨拶を交わす。南へ向かうのは僕ら3人のはずだ。ルカさんがどうして?
「ルカさんは私達の見送りに来てくださったんですよ」
「お仕事中なのに、わざわざありがとうございます」
「丁度仕事もひと段落したのでマスターに話して席を外させて貰ったんです。マスターも見送りに来たかったそうですがお仕事が多くて・・・」
「いえ、とんでもないです。戻ったらよろしく伝えて貰ってもいいですか?」
「はい、お任せください!」
其処へ12時を知らせる鐘が鳴り響いた。出発の時間だ。
村を見渡す。生まれてから先月まで村から出たことすらなかった人生。内容が人より薄くとも、思い入れは誰よりもあった。
無力な自分を変えようとしたこの1年はとても濃密な時間だ。
「アイルさん、お時間になりました。そろそろ・・・」
ユラさんが後ろから控えめに声をかけてきた。振り返りつつペンネとユラさんに力強く呟いた。
「征こう、出発だ」
「「はい!」」
最後にルカさんの方に正対する。無力な僕を励まし続けた彼女に万感の思いを込めたお礼を送った。
「大変、大変お世話になりました。必ず異変の原因を突き止めます」
「はい、お気を付けてください。行ってらっしゃいませ、世界神の加護があらんことを・・・」
短く挨拶を交わすと、僕らは後ろを振り向くことなく南の街道を進んで行った。
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「ママ、彼が行ったよ。逞しい姿になって、ママの思いも受け取って・・・」
ルカはアイル達を見送る中、胸のロザリオを両手で握りながら呟く。真鍮で出来た成功なロザリオは、長年の手垢によって鈍い輝きを放つ。
「あの吹雪の日、ママが最後に助産した赤ちゃんが世界の為に、行っちゃ・・たよ・・・」
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そんな中、アイルは決して腐らなかった。誰かのためになろうと一生懸命に下請けをこなす姿を見て、母に言われた意味を初めて理解した。
彼が少しでも息を抜きやすい様に、ギルド内にきた際もお茶を出し談笑に花を咲かせた。
「貴方は、決して死んでいい人ではない。必ず帰ってきてください。それだけが私の望みです」
ルカは昼の休憩が明けるまで、その場でロザリオを握り目をつぶって祈り続けた。
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