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第二話 新人研修

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新人研修が始まった。

まずは総務課長から、社内規定に関するお話しがあり、眠たい話が続く。

朝は見る暇が無かったが、休憩時間に周りを見渡した。自然と配属先のメンバーで固まって座っている。道夫達も同じである。

女性だけのグループ、男女混合のグループとあり、彼女のいない道夫は羨ましそうに見てしまう。

「あかん、あかん、そんな目で見てたら、"イケミチ"どころか"エロミチ"ってあだ名がついてしまう」と独り言。

でも、前から2列目の女性だけのグループに釘付けになった。道夫のドストライクの女性が座っていた。

それ以降の講義は、全く頭に入らなかった。

次の日も同じである。なんとか所属と名前がわからないものかと、必死で聞き耳を立ていたが駄目だった。

10日目、事務系の研修は今日までという事で、対象者が一人ずつ研修の成果発表を行うそうだ。道夫はガッツポーズを作り、今日こそはと聞き耳を立てて話しを聞いた。

その甲斐あって、総務部の佐々木萌絵もえさんだという所属と名前がわかった。

明日からはシステム部門だけの研修になると、いよいよ内容も専門的な講義となり、難しくなった。

講師はシステム課の課長が主に担当を割り振っていた、今日はシステム三課の山田課長だ。

自分の所属部署の課長が講師となると、失敗は今後の評価にも繋がるし、真剣勝負なのだ。

薄い赤のシャツにタイトスカートで入って来た山田課長、会議室が一瞬"オー"となるほどかっこいい。講義の説明も解りやすく新入社員には好印象で、休憩の間も三課はいいなぁとの声が他の部署から聞こえたのも最初だけだった。

「はい、今から午前中の講義がどれほど理解できたかテストを行います。」

問題が配られた。

「…、難しい」

テストが終わると解答を、当てられた人が答え、その理由まで発表させられる。
間違えると、ちゃんと話し聞いていたのかと罵られる。午前中の好印象は何処に行ったか、皆下を向いている。

道夫が当てられた。しかもあだ名で。

「次、イケミチ君!」

他の部署の人間は、まだ名前も覚えられて無いので、"イケミチ"が本名だと思われるじゃないか、と道夫は憤る。

「○○です。」と解答を言うと、

「ブー!」と言われ、正解と理由を山田課長が説明してくれた。

「私、男前には優しいの…」と付け加え。

「えー!」とあちらこちらから不平の声があがった。

道夫はホッと胸を撫で下ろして座った。

こうしたエコ贔屓な二ヶ月間の研修も、やっと終わりそれぞれが配属部署ヘ戻って行った。




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