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第十話 調べる側と調べられる側
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プログラムの製造フェーズに入ると今まで以上にパソコンに向かう時間が多くなる。
今朝も道夫は出社すると直ぐにパソコンの電源を入れメールと会議予定をチェックする。
課長が夜まで掛かる作業をメールで依頼してくる時は、帰りに飲みに行く事も多いし、多分二人だけの暗号のつもりなんだろうと思っている。
依頼された作業を定時内で出来たら、なんて言うだろうと、出来もしない妄想で顔が綻ぶ。
そこへ新人A君がやってきて、作業進捗の話をしてきた。
「山田君、どう進捗?、オンスケ?…」
「俺は、皆んなより少なくしてもらってるから今のところ順調だよ。…お前は?」
「少し遅れてきてるから、課長に残業してもいいか聞こうと思って…」
「そっか、がんばれよ!」
課長が出社して来て席に着くと、新人Aは残業申請を持って許可を得に行った。
そういえば、道夫は一回も申請を出した事が無いけど社内的にはどうなってるのか少し気になったので、今度課長に聞いてみようと思い、作業に取り掛かった。
終業のチャイムが鳴ると、道夫は座ったまま伸びをしてから、自販機のコーヒーを買いに席を立った。
後を追う様に課長も席を立ち、自販機の前で話しかけられた。
「どう思う?…」
「?…ここで言うんですか?…」
「バァカ…それもいいね…ほら言ってごらん」
少しSを出す課長に、顔が引きつる道夫。
「新人Aの事だよ、今日から3日間2時間の残業申請してきたよ?」
「そっちですか…僕の所にも今朝やってきて作業が少し遅れ気味だから残業して取り戻さないとって言ってました。」
「彼は今年の新人の中で一番優秀なの…その彼が作業が遅れるなんて、ちょっと気になるなぁ…イケミチだったら毎日でも残業だろうけど…あはは」
「所で課長、僕一度も残業申請出して無いんですけど?…そこは大丈夫なんですか?」
「今、私の事なんて呼んだ!」
「すいません、孝恵さん、でも社内ではやはり課長では駄目ですか?」
「その事は今夜飲みに行ってゆっくり話しようか?」
そういうと課長はコーヒーを握りしめ嬉しそうに戻って行った。
道夫も席に戻ると、新人Aが課長に呼ばれて作業で困ってる所を聞かれている。
さっき話してた、優秀な彼がこの位で困るとは思えないのを調べてるんだなと思い、そうだとすると道夫も、何故残業してるんだろうと気になってきた。
2時間の残業時間が過ぎても帰らない新人Aに、痺れを切らした課長が僕と彼を呼んで、3人で飲みに行こうと誘った。
場所はいつもの小料理屋だ。
カウンターに課長を挟む様に、3人並んで座った。
ビールで乾杯して、少し速いペースでおかわりしながら、新人Aに課長が話し出した。
「あなたは今年の新人の中で一番優秀なんだから、こんな簡単な初期段階で残業してたらダメ…優秀だからうちの課に採ったんだから何があったか知らないけど、期待を裏切らないで…」
「はい、すいません期待に応えられるよう頑張ります。…残業して頑張ってる人が多いのに自分だけ定時で帰っていいのかな?…自分のやり方で間違い無いのかなと、不安になって作業が遅れてしまいました。…課長からのお言葉で俄然やる気が出ましたので明日からまた頑張ります。」
「そう、それは良かったわ…こっちのイケミチもそれくらいやる気出してくれたら私も早く帰れるのに…」
まるでとばっちりだと、道夫は思いながらも
「すいません…」と謝るしかなかった。
その後、課長がトイレで席を外した時に、道夫は新人Aに話しかけた。
「凄いなぁ、課長にあんなに期待されてるなんて…僕なんて仕事出来ないから…」
「そんな事ないよ、山田君だって課長が期待してるから残ってみてくれてるんだろう」
「今はそうかもしれないけど、こいつはダメだと分かった瞬間、首切られるんじゃ無いかと…」
課長がトイレから帰ってくると、会計をして帰ろうという事になった。
そして店を出ると、課長が先にタクシーに乗り帰って行った。
道夫達も後のタクシーにそれぞれ乗り込んで別れた。
今朝も道夫は出社すると直ぐにパソコンの電源を入れメールと会議予定をチェックする。
課長が夜まで掛かる作業をメールで依頼してくる時は、帰りに飲みに行く事も多いし、多分二人だけの暗号のつもりなんだろうと思っている。
依頼された作業を定時内で出来たら、なんて言うだろうと、出来もしない妄想で顔が綻ぶ。
そこへ新人A君がやってきて、作業進捗の話をしてきた。
「山田君、どう進捗?、オンスケ?…」
「俺は、皆んなより少なくしてもらってるから今のところ順調だよ。…お前は?」
「少し遅れてきてるから、課長に残業してもいいか聞こうと思って…」
「そっか、がんばれよ!」
課長が出社して来て席に着くと、新人Aは残業申請を持って許可を得に行った。
そういえば、道夫は一回も申請を出した事が無いけど社内的にはどうなってるのか少し気になったので、今度課長に聞いてみようと思い、作業に取り掛かった。
終業のチャイムが鳴ると、道夫は座ったまま伸びをしてから、自販機のコーヒーを買いに席を立った。
後を追う様に課長も席を立ち、自販機の前で話しかけられた。
「どう思う?…」
「?…ここで言うんですか?…」
「バァカ…それもいいね…ほら言ってごらん」
少しSを出す課長に、顔が引きつる道夫。
「新人Aの事だよ、今日から3日間2時間の残業申請してきたよ?」
「そっちですか…僕の所にも今朝やってきて作業が少し遅れ気味だから残業して取り戻さないとって言ってました。」
「彼は今年の新人の中で一番優秀なの…その彼が作業が遅れるなんて、ちょっと気になるなぁ…イケミチだったら毎日でも残業だろうけど…あはは」
「所で課長、僕一度も残業申請出して無いんですけど?…そこは大丈夫なんですか?」
「今、私の事なんて呼んだ!」
「すいません、孝恵さん、でも社内ではやはり課長では駄目ですか?」
「その事は今夜飲みに行ってゆっくり話しようか?」
そういうと課長はコーヒーを握りしめ嬉しそうに戻って行った。
道夫も席に戻ると、新人Aが課長に呼ばれて作業で困ってる所を聞かれている。
さっき話してた、優秀な彼がこの位で困るとは思えないのを調べてるんだなと思い、そうだとすると道夫も、何故残業してるんだろうと気になってきた。
2時間の残業時間が過ぎても帰らない新人Aに、痺れを切らした課長が僕と彼を呼んで、3人で飲みに行こうと誘った。
場所はいつもの小料理屋だ。
カウンターに課長を挟む様に、3人並んで座った。
ビールで乾杯して、少し速いペースでおかわりしながら、新人Aに課長が話し出した。
「あなたは今年の新人の中で一番優秀なんだから、こんな簡単な初期段階で残業してたらダメ…優秀だからうちの課に採ったんだから何があったか知らないけど、期待を裏切らないで…」
「はい、すいません期待に応えられるよう頑張ります。…残業して頑張ってる人が多いのに自分だけ定時で帰っていいのかな?…自分のやり方で間違い無いのかなと、不安になって作業が遅れてしまいました。…課長からのお言葉で俄然やる気が出ましたので明日からまた頑張ります。」
「そう、それは良かったわ…こっちのイケミチもそれくらいやる気出してくれたら私も早く帰れるのに…」
まるでとばっちりだと、道夫は思いながらも
「すいません…」と謝るしかなかった。
その後、課長がトイレで席を外した時に、道夫は新人Aに話しかけた。
「凄いなぁ、課長にあんなに期待されてるなんて…僕なんて仕事出来ないから…」
「そんな事ないよ、山田君だって課長が期待してるから残ってみてくれてるんだろう」
「今はそうかもしれないけど、こいつはダメだと分かった瞬間、首切られるんじゃ無いかと…」
課長がトイレから帰ってくると、会計をして帰ろうという事になった。
そして店を出ると、課長が先にタクシーに乗り帰って行った。
道夫達も後のタクシーにそれぞれ乗り込んで別れた。
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