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吸血魔の徒然
『Mobius Cross_メビウスクロス徒然:吸血鬼の昼間』
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『メビクロ徒然:吸血鬼の昼間』
🦇これは貧血少女パーニャと吸血剣ヴァンが出会ってからのお話。🦇
日の下に出られない二人はお邸で昼間どうしてるの…?
貴族街の豪邸、
部屋に朝食を届けに来た使用人がパーニャを起こす。
最近、パーニャはねぼすけだ。
まあ使用人の多くはそんなことに興味は無いが。
パーニャはたまーに使用人に話しかける。
「…っねーえ、この食べ物は何?」
赤く水水しい粒粒の物体…
それが種?なのか肉?なのかすらわからなかった。
使用人曰くそれは、“ザクロ”。
果実らしい。
それだけ教えると使用人は足早に部屋を去る。
…ふーん。
飛び散った“人の中身”みたい。
おいしいのかな…?
ということで一口。
…甘酸っぱい…優しい味。見た目からは想像もできない。
知らない食べ物は必ず教えてもらうけど、やっぱりモノは食べてみないとわからないなぁ。
朝食は完食し、残るは銀のゴブレットに入った貝紫色の、血。
今までは憂鬱だったこのまずーい飲み物。
でも今は違う…
{おはよう。パーニャ。良い朝だね。}
「…っヴァン!おはよう!
ねえ…乾杯しましょ♡」
{勿論。}
吸血剣、ヴァンブレラヘルスレイヴ。通称ヴァン。
彼はベッドの下からゴリリゴリリと出てくると、宙に浮かび、ゴブレットに剣先を浸け、血を吸い上げる。
それをパーニャは飲ませてもらう。
ヴァンを通すことで味が良くなり、貧血が治ったかと思うほどとてつもなく元気になる。
「っちゅぷはっ…!
んん~。。ヴァン…もっとぉ~…」
{勿論あげるとも。賢くお勉強をした後でね。}
ヴァンは甘やかすだけではない。
パーニャが清栄で聡明な淑女になれるよう、
血を与え、
治を与え、
智を与える。
パーニャはとりわけ智に貪欲で、知らないこと気になったことをなんでも質問する。
ヴァンとて何でも知っているわけではないのだが…パーニャの為に血から得た知識を絞り出し、予想と創作のエッセンスも加えて献上するようにしている。
…なのでパーニャの知識の多くはお花畑である。
…
日が高くなり、昼食を運んでくる使用人に見つからないように“かくれんぼ”するヴァン。
日が落ち、夕食を運んでくる使用人に見つかりそうになるヴァン。でも蝙蝠はかくれんぼが得意だたから大丈夫。
…
「ねーえヴァン教えて…?」
{なんだい?}
「赤ちゃんは何処から来るの?」
{…うーむ、とだね…}
実はヴァンは知っている。剣のくせに。
血にはその宿主の叡智が滲み出ているが、生物の叡智の源はずばり“欲”。
欲に関する知識が必然的に多く手に入るのだ。
同時にヴァンは、自身の体がそういった生命の営みと無縁であることももう知っている。
パーニャのことは愛しているがそれは肉体的にではない。ヴァンはパーニャの穢れなき魂を気に入っているのだ。
…さて、この無垢な問いにどう紳士的に答えよう…
{…蝙蝠…}
「え?」
{蝙蝠が運んで来るんじゃないかと思う。
愛し合う二人のもとに。}
「…えーっ!信じられない!」
…流石に無茶だったかな…?
{ごめんよ。
君がもっと素敵だと思う方法があったらそれでいいのさ。}
「ううん!とってもステキよ!絵本のお話みたい!」
{ハハ。何よりだね。}
「…ヴァンとずーっと一緒にいたら、ここにも蝙蝠さんが来るのかしら…?」
…それは無いよ。
{…君がその方が素敵だと思うのなら…}
「ねーえヴァン?」
{ん?}
チュ。
パーニャはおもむろにヴァンの宝石にキスをした。
{パーニャ?ワイン狩りはこれからだよ?}
「ううん…。ワインを貰うためじゃないわ。なんとなくなの。ダメ…?」
{…ふ。おませさんだが、嫌いじゃない。
さあ行こう。今夜はいきのいいワインの匂いがする。楽しみにしていたまえ?}
「うんっ♪
(蝙蝠さんが早く私たちのところに来ますように…)」
{ん?何か言ったかい?}
「///なーいしょっ♪」
🦇
🎁
この紳士的な発想が絵本になるのはもう少し後世のお話。
see you
🦇これは貧血少女パーニャと吸血剣ヴァンが出会ってからのお話。🦇
日の下に出られない二人はお邸で昼間どうしてるの…?
貴族街の豪邸、
部屋に朝食を届けに来た使用人がパーニャを起こす。
最近、パーニャはねぼすけだ。
まあ使用人の多くはそんなことに興味は無いが。
パーニャはたまーに使用人に話しかける。
「…っねーえ、この食べ物は何?」
赤く水水しい粒粒の物体…
それが種?なのか肉?なのかすらわからなかった。
使用人曰くそれは、“ザクロ”。
果実らしい。
それだけ教えると使用人は足早に部屋を去る。
…ふーん。
飛び散った“人の中身”みたい。
おいしいのかな…?
ということで一口。
…甘酸っぱい…優しい味。見た目からは想像もできない。
知らない食べ物は必ず教えてもらうけど、やっぱりモノは食べてみないとわからないなぁ。
朝食は完食し、残るは銀のゴブレットに入った貝紫色の、血。
今までは憂鬱だったこのまずーい飲み物。
でも今は違う…
{おはよう。パーニャ。良い朝だね。}
「…っヴァン!おはよう!
ねえ…乾杯しましょ♡」
{勿論。}
吸血剣、ヴァンブレラヘルスレイヴ。通称ヴァン。
彼はベッドの下からゴリリゴリリと出てくると、宙に浮かび、ゴブレットに剣先を浸け、血を吸い上げる。
それをパーニャは飲ませてもらう。
ヴァンを通すことで味が良くなり、貧血が治ったかと思うほどとてつもなく元気になる。
「っちゅぷはっ…!
んん~。。ヴァン…もっとぉ~…」
{勿論あげるとも。賢くお勉強をした後でね。}
ヴァンは甘やかすだけではない。
パーニャが清栄で聡明な淑女になれるよう、
血を与え、
治を与え、
智を与える。
パーニャはとりわけ智に貪欲で、知らないこと気になったことをなんでも質問する。
ヴァンとて何でも知っているわけではないのだが…パーニャの為に血から得た知識を絞り出し、予想と創作のエッセンスも加えて献上するようにしている。
…なのでパーニャの知識の多くはお花畑である。
…
日が高くなり、昼食を運んでくる使用人に見つからないように“かくれんぼ”するヴァン。
日が落ち、夕食を運んでくる使用人に見つかりそうになるヴァン。でも蝙蝠はかくれんぼが得意だたから大丈夫。
…
「ねーえヴァン教えて…?」
{なんだい?}
「赤ちゃんは何処から来るの?」
{…うーむ、とだね…}
実はヴァンは知っている。剣のくせに。
血にはその宿主の叡智が滲み出ているが、生物の叡智の源はずばり“欲”。
欲に関する知識が必然的に多く手に入るのだ。
同時にヴァンは、自身の体がそういった生命の営みと無縁であることももう知っている。
パーニャのことは愛しているがそれは肉体的にではない。ヴァンはパーニャの穢れなき魂を気に入っているのだ。
…さて、この無垢な問いにどう紳士的に答えよう…
{…蝙蝠…}
「え?」
{蝙蝠が運んで来るんじゃないかと思う。
愛し合う二人のもとに。}
「…えーっ!信じられない!」
…流石に無茶だったかな…?
{ごめんよ。
君がもっと素敵だと思う方法があったらそれでいいのさ。}
「ううん!とってもステキよ!絵本のお話みたい!」
{ハハ。何よりだね。}
「…ヴァンとずーっと一緒にいたら、ここにも蝙蝠さんが来るのかしら…?」
…それは無いよ。
{…君がその方が素敵だと思うのなら…}
「ねーえヴァン?」
{ん?}
チュ。
パーニャはおもむろにヴァンの宝石にキスをした。
{パーニャ?ワイン狩りはこれからだよ?}
「ううん…。ワインを貰うためじゃないわ。なんとなくなの。ダメ…?」
{…ふ。おませさんだが、嫌いじゃない。
さあ行こう。今夜はいきのいいワインの匂いがする。楽しみにしていたまえ?}
「うんっ♪
(蝙蝠さんが早く私たちのところに来ますように…)」
{ん?何か言ったかい?}
「///なーいしょっ♪」
🦇
🎁
この紳士的な発想が絵本になるのはもう少し後世のお話。
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