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吸血魔の徒然
【前編】マジの最強執行者、吸血鬼と遭遇!? まさかの結末…
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『Mobius Cross_メビウスクロス徒然:
マジの最強執行者、
吸血鬼と遭遇!?
まさかの結末…』【前編】
帝都の夜を脅かす“吸血魔”の噂。
ある者は全身の血を抜かれ、またある者は無残に喰い散らかされていたという…。
「はいというわけで、今回は俺…
最強執行者☆ロンギース
が!吸血魔の調査に!行ってみたいと思います!🎉」
いきなり自己紹介をするいかにも調子者なこの男。
派手なマントを羽織り、長い旗鎗を担いで、男女を数人ハベらせ、他にひと気が無い帝都の夜道を闊歩。
「ロンギ~…大丈夫ですかね~?(;´Д`)」「死ぬ?今日こそ死ぬのか?!」「うおー!ロンギ頑張れー!」「~!」
取り巻きの声援にロンギースはヘラヘラと応える。
「大丈夫!皆の応援と協力はマジ最っ強!今日もよろしく~っ?」
「そ、そ~ですよね!ロンギが負けるとかありえないですもんね?」「うおー頑張れー!」
…案の定…
渦中の夜を賑やかして進む彼らの行く手から、一人の少女と一本の大剣が歩み寄る。
「…っなんだか楽しそうな人達ね。ヴァン。」
{そうだねパーニャ。人出が減ってるかと思ったが、ああいう輩がいる内は安泰だ。
今夜も君の為に活きの良い“ワイン”が沢山獲れるぞ…。}
ロンギース一行もその存在に気付く。
「…ん?何だ?女の子?女の子がいるぞ?!
ちょっとちょっと君、危ないよ?吸血魔って知ってる??
…え…?何そのクソデカいの…剣…??」
パーニャはヴァンと目線を合わせ(ヴァンに目は無いが)、肩を少し上げて呆れた。
そうしてヴァンが、パーニャの手からフワリと浮き上がる…。
{心配御無用。吾輩達がその吸血魔とやらだろう。}
「え!?ちょっwマジ?!
剣が喋った!?!
ちょっ、ドッキリとかだったら勘弁ね?ほんとに。」
{では吾輩が今から嘘でないことを証明して見せよう…
まずは特に賑やかで…
珍味の匂いがする貴様からだ…!!}
ヴァンがビュンと飛び出す…!!
ガギンッッ
ロンギースは旗鎗でヴァンを受け流した!
…おや……?
「うーわ!マジだ!!剣だけ襲ってきたんだけど!
いきなり本物に出会っちゃうとかこんなことある?!」
{ふん…不運なことだな。}
「…いや?
“幸運”っしょ!!
じゃあ皆さん!あっちの娘を捕まえちゃってーください!」
{…なんと…!}
ヴァンは耳を疑ったが(耳無いが)、取り巻き達は喜び勇んでパーニャににじり寄る。
「うおー!任せろー!」「だ、大丈夫ですかね…貴族っぽいけど…この娘も狂暴だったりしませんよね~?(;´Д`)」「死なぬなよ?絶対に死ぬなよ?」「~!」
肩をすくめながら後退るパーニャ。
{パーニャ逃げなさい。今の君なら大丈夫だ。吾輩の心配は無用!
さぁ!よういどん!}
「…っう…うん!」
パーニャ走り出す!
取り巻きは3人追っていき、残りはロンギースとともにヴァンを取り囲む。存外統制の取れた動きをする連中だ。
ヴァンは静かに憤る。
{取り巻きを少女に差し向けるとは…恥を知れ。}
ロンギースは旗鎗を小粋に振り回して構える。
「へっ!あの娘も吸血魔っしょ?じゃー捕まえるしかないっしょ!
まさかあんなお嬢様だとは思わなかったけど!」
{…
そんなレディを捕えてどうしようというのだ…?}
「さあ?
また楽しい企画にでも参加してもらうさ。
悪役お嬢様が正義の鉄槌を受けてざまーみろってのは、好きな客も多いんだ。」
{悪趣味だなッ!!}
ヴァンが高速で飛びかかる!
ギャンッ
ギャギャンッ!
!?
ロンギースはヴァンの大突きを弾き、続く鋭い2連突きも受け流し、打ち払った!
…もはや勘違いではない…
強い!!ロンギースは強い!!
その軽薄な態度からは想像もできないほど…!
「人の血い吸うヤツに趣味をとやかく言われたくないんですけどww」
{…
君らとて豚の血肉を食すだろう。何故人はそんなに人を神聖視するのだ?神に選ばれたとでも思っているのかね?}
意外な問い掛けに眼を左上に寄せて考えるロンギース…
{答えてみたまえよッ!}
ヴァンは再び襲いかかる!
今度は油断も無い、突きから横凪、宙を舞い、直閃と弧閃を無数に浴びせる。
が、
ロンギースは華麗にそれを受け流しながら喋る。
「…いや答えはあるんだけどね?けっこー哲学的なこと聞くねー?
簡単だよ?人は神に選ばれるんじゃない。人に選ばれるのさ。(※個人の意見です)
だから人ってのは怖がらせるもんじゃない。楽しませるもんさ♪俺みたいに…ね!!」
ッガァン!とヴァンを弾き飛ばすロンギース。ヴァンは回転しながら壁に突き刺さる。それを観てギャラリーは熱狂した。
ヴァンは、ズク…と抜け浮かび、問答を続けた。
{…楽しませる…か。その友人達をかね…?}
「ん?小せえ小せえwもっと沢山だよ。帝国の人みーんなかな?」
{笑止。皆の中にあの娘が入っていないではないか。}
「あw忘れてたw
…まー、人じゃない剣くんに教えといてあげまーす…
“敵”は、“人”じゃあ無いんだよねー…。俺ら、神聖なる軍人だから。」
取り巻き達は衣類の中に隠し持っていた斧や鎚を取り出し、構えた。
「せめてその命で人を楽しませてよね?」
それを聴いたヴァンの中でナニかがキレた。
{…成程。よく解った…。大多数を楽しませたい欲望。たった一人の少女を楽しませることしか考えていない吾輩には理解できそうにない。}
「ぷw小っちぇーねw…ま、人じゃないしいいんじゃない?」
{…ではそんな貴様の欲望に吾輩から一つ評価を贈らせて貰おう…}
ヴァンの刀身や柄の宝石が紅く光る…!
{BAD!
不愉快だ!せめてその血を美しく散らせるが良いッ!!}
ヴァンは今まで以上のスピードで深くロンギースに切り込んだ!
しかしロンギースは尚も余裕をもってそれを迎撃していく
「っよく言うよwwあんただって愉快犯だろ?
俺は皆が楽しんでくれることなら何でもやるぜ?♪
魔物退治してみたり、グルメを巡ってみたり、救世主に挑んでみたり…!…アイツ強くて盛り上がったなぁ…。
おわっと?!」
ヴァンは柄をロンギースの顔めがけて振るい、それを防がせることで隙を作らせた!
相手の鎗を軸に回転して首を狙う!
{がめつくて反吐が出るッ!}
ガギャリッ!!
{ム…!?}
ロンギースの首を目前に旗が翻った。ヴァンは旗ごと切り捨てようとしたが…
切れない!その旗は、鉄輪を編んで作られた鎖帷子のような素材で出来ていたのだ。
ロンギースはさらに旗をヴァンの刀身に巻きつけ、鎗ごと地面に叩きつけて足で踏みつける。
{ックッ…!}
力で抜け出せないヴァンに、取り巻きの部下達が武器を構え迫る。
「バイバーイ。叩き折って無力化するけど、できれば死なないでね?ちょっとのあいだは見世物として皆を楽しませられるっしょ。
この世は楽しませたもん勝ちなんだよねー♪まー剣にはわかんないだろーけどーw」
{…
その志…もはや見事だな…。}
「お?wちょっとは人の心がわかりましたか??w」
{…だが…
貴様に圧倒的に足りないものが一つある。
それは
品性だ。}
その時、ヴァンが体を小刻みに震わせた。鋼鉄の刃が鉄の布地と高圧力下で摩擦される時何が起こるか…
耳を劈く金切り音!!
「ッ…うるせ…ッ!!」
ロンギースは堪らず鎗と足を緩めてしまう。その隙にヴァンは体をきりもみ回転、拘束を解き、ロンギースに向かって飛びかかる!
ガギャリッ
そんな状態でもロンギースはヴァンを受け流す。ヴァンの攻撃は彼の肩を少し切っただけだった。しかしヴァンはもうそんなことを気にかけてはいられなかった。
ヴァンはパーニャのもとへと飛び去っていった。
取り巻きが残念がる。
「ああ…逃げちゃった。。」
しかしロンギースはさほどショックではないらしい。何故なら…
「…ま、いいっしょ。俺らが最初の生き残りー♪これでさらに話題が拡がる。楽しみが増える。声援が増える。退治した時の感動も称賛も増える。
さて、あの人ら上手くやったかなー…?」
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マジの最強執行者、
吸血鬼と遭遇!?
まさかの結末…』【前編】
帝都の夜を脅かす“吸血魔”の噂。
ある者は全身の血を抜かれ、またある者は無残に喰い散らかされていたという…。
「はいというわけで、今回は俺…
最強執行者☆ロンギース
が!吸血魔の調査に!行ってみたいと思います!🎉」
いきなり自己紹介をするいかにも調子者なこの男。
派手なマントを羽織り、長い旗鎗を担いで、男女を数人ハベらせ、他にひと気が無い帝都の夜道を闊歩。
「ロンギ~…大丈夫ですかね~?(;´Д`)」「死ぬ?今日こそ死ぬのか?!」「うおー!ロンギ頑張れー!」「~!」
取り巻きの声援にロンギースはヘラヘラと応える。
「大丈夫!皆の応援と協力はマジ最っ強!今日もよろしく~っ?」
「そ、そ~ですよね!ロンギが負けるとかありえないですもんね?」「うおー頑張れー!」
…案の定…
渦中の夜を賑やかして進む彼らの行く手から、一人の少女と一本の大剣が歩み寄る。
「…っなんだか楽しそうな人達ね。ヴァン。」
{そうだねパーニャ。人出が減ってるかと思ったが、ああいう輩がいる内は安泰だ。
今夜も君の為に活きの良い“ワイン”が沢山獲れるぞ…。}
ロンギース一行もその存在に気付く。
「…ん?何だ?女の子?女の子がいるぞ?!
ちょっとちょっと君、危ないよ?吸血魔って知ってる??
…え…?何そのクソデカいの…剣…??」
パーニャはヴァンと目線を合わせ(ヴァンに目は無いが)、肩を少し上げて呆れた。
そうしてヴァンが、パーニャの手からフワリと浮き上がる…。
{心配御無用。吾輩達がその吸血魔とやらだろう。}
「え!?ちょっwマジ?!
剣が喋った!?!
ちょっ、ドッキリとかだったら勘弁ね?ほんとに。」
{では吾輩が今から嘘でないことを証明して見せよう…
まずは特に賑やかで…
珍味の匂いがする貴様からだ…!!}
ヴァンがビュンと飛び出す…!!
ガギンッッ
ロンギースは旗鎗でヴァンを受け流した!
…おや……?
「うーわ!マジだ!!剣だけ襲ってきたんだけど!
いきなり本物に出会っちゃうとかこんなことある?!」
{ふん…不運なことだな。}
「…いや?
“幸運”っしょ!!
じゃあ皆さん!あっちの娘を捕まえちゃってーください!」
{…なんと…!}
ヴァンは耳を疑ったが(耳無いが)、取り巻き達は喜び勇んでパーニャににじり寄る。
「うおー!任せろー!」「だ、大丈夫ですかね…貴族っぽいけど…この娘も狂暴だったりしませんよね~?(;´Д`)」「死なぬなよ?絶対に死ぬなよ?」「~!」
肩をすくめながら後退るパーニャ。
{パーニャ逃げなさい。今の君なら大丈夫だ。吾輩の心配は無用!
さぁ!よういどん!}
「…っう…うん!」
パーニャ走り出す!
取り巻きは3人追っていき、残りはロンギースとともにヴァンを取り囲む。存外統制の取れた動きをする連中だ。
ヴァンは静かに憤る。
{取り巻きを少女に差し向けるとは…恥を知れ。}
ロンギースは旗鎗を小粋に振り回して構える。
「へっ!あの娘も吸血魔っしょ?じゃー捕まえるしかないっしょ!
まさかあんなお嬢様だとは思わなかったけど!」
{…
そんなレディを捕えてどうしようというのだ…?}
「さあ?
また楽しい企画にでも参加してもらうさ。
悪役お嬢様が正義の鉄槌を受けてざまーみろってのは、好きな客も多いんだ。」
{悪趣味だなッ!!}
ヴァンが高速で飛びかかる!
ギャンッ
ギャギャンッ!
!?
ロンギースはヴァンの大突きを弾き、続く鋭い2連突きも受け流し、打ち払った!
…もはや勘違いではない…
強い!!ロンギースは強い!!
その軽薄な態度からは想像もできないほど…!
「人の血い吸うヤツに趣味をとやかく言われたくないんですけどww」
{…
君らとて豚の血肉を食すだろう。何故人はそんなに人を神聖視するのだ?神に選ばれたとでも思っているのかね?}
意外な問い掛けに眼を左上に寄せて考えるロンギース…
{答えてみたまえよッ!}
ヴァンは再び襲いかかる!
今度は油断も無い、突きから横凪、宙を舞い、直閃と弧閃を無数に浴びせる。
が、
ロンギースは華麗にそれを受け流しながら喋る。
「…いや答えはあるんだけどね?けっこー哲学的なこと聞くねー?
簡単だよ?人は神に選ばれるんじゃない。人に選ばれるのさ。(※個人の意見です)
だから人ってのは怖がらせるもんじゃない。楽しませるもんさ♪俺みたいに…ね!!」
ッガァン!とヴァンを弾き飛ばすロンギース。ヴァンは回転しながら壁に突き刺さる。それを観てギャラリーは熱狂した。
ヴァンは、ズク…と抜け浮かび、問答を続けた。
{…楽しませる…か。その友人達をかね…?}
「ん?小せえ小せえwもっと沢山だよ。帝国の人みーんなかな?」
{笑止。皆の中にあの娘が入っていないではないか。}
「あw忘れてたw
…まー、人じゃない剣くんに教えといてあげまーす…
“敵”は、“人”じゃあ無いんだよねー…。俺ら、神聖なる軍人だから。」
取り巻き達は衣類の中に隠し持っていた斧や鎚を取り出し、構えた。
「せめてその命で人を楽しませてよね?」
それを聴いたヴァンの中でナニかがキレた。
{…成程。よく解った…。大多数を楽しませたい欲望。たった一人の少女を楽しませることしか考えていない吾輩には理解できそうにない。}
「ぷw小っちぇーねw…ま、人じゃないしいいんじゃない?」
{…ではそんな貴様の欲望に吾輩から一つ評価を贈らせて貰おう…}
ヴァンの刀身や柄の宝石が紅く光る…!
{BAD!
不愉快だ!せめてその血を美しく散らせるが良いッ!!}
ヴァンは今まで以上のスピードで深くロンギースに切り込んだ!
しかしロンギースは尚も余裕をもってそれを迎撃していく
「っよく言うよwwあんただって愉快犯だろ?
俺は皆が楽しんでくれることなら何でもやるぜ?♪
魔物退治してみたり、グルメを巡ってみたり、救世主に挑んでみたり…!…アイツ強くて盛り上がったなぁ…。
おわっと?!」
ヴァンは柄をロンギースの顔めがけて振るい、それを防がせることで隙を作らせた!
相手の鎗を軸に回転して首を狙う!
{がめつくて反吐が出るッ!}
ガギャリッ!!
{ム…!?}
ロンギースの首を目前に旗が翻った。ヴァンは旗ごと切り捨てようとしたが…
切れない!その旗は、鉄輪を編んで作られた鎖帷子のような素材で出来ていたのだ。
ロンギースはさらに旗をヴァンの刀身に巻きつけ、鎗ごと地面に叩きつけて足で踏みつける。
{ックッ…!}
力で抜け出せないヴァンに、取り巻きの部下達が武器を構え迫る。
「バイバーイ。叩き折って無力化するけど、できれば死なないでね?ちょっとのあいだは見世物として皆を楽しませられるっしょ。
この世は楽しませたもん勝ちなんだよねー♪まー剣にはわかんないだろーけどーw」
{…
その志…もはや見事だな…。}
「お?wちょっとは人の心がわかりましたか??w」
{…だが…
貴様に圧倒的に足りないものが一つある。
それは
品性だ。}
その時、ヴァンが体を小刻みに震わせた。鋼鉄の刃が鉄の布地と高圧力下で摩擦される時何が起こるか…
耳を劈く金切り音!!
「ッ…うるせ…ッ!!」
ロンギースは堪らず鎗と足を緩めてしまう。その隙にヴァンは体をきりもみ回転、拘束を解き、ロンギースに向かって飛びかかる!
ガギャリッ
そんな状態でもロンギースはヴァンを受け流す。ヴァンの攻撃は彼の肩を少し切っただけだった。しかしヴァンはもうそんなことを気にかけてはいられなかった。
ヴァンはパーニャのもとへと飛び去っていった。
取り巻きが残念がる。
「ああ…逃げちゃった。。」
しかしロンギースはさほどショックではないらしい。何故なら…
「…ま、いいっしょ。俺らが最初の生き残りー♪これでさらに話題が拡がる。楽しみが増える。声援が増える。退治した時の感動も称賛も増える。
さて、あの人ら上手くやったかなー…?」
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