線香花火の様に

紫陽花

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2.灯る火

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中庭のベンチ二度と顔をダラリとさげて、座っていた。

「なんて顔してるんだよ。君、何て名前?」

知らない男だ。

うるさいな。あたしがこんな目に会ってる時に失礼な奴だな。死ね。

一瞬のうちにスラスラと心の中で罵る。

あたしの癖。

心の中で罵りながら、無視をした。

「なあ、君に話しかけてるんだよ。僕は、タケルっていうんだ。君は?」

「うっさいな。お前キモいな。」

そう言いながら思わず奴の顔を見ようと頭を上げる。

「あっ。」

今度は声だけがでた。

 
そいつは低くてよく響く声とは余りにかけ離れていた。

一つ目の印象は、「綺麗。」

白くて透き通るような肌。すっと通ってて骨張った鼻筋。あたしよりずっと高い背。細い線をしたすらりとした身体。

二つ目の印象は、なんて言葉がぴったりなのか分からない。

なんていうか、
「まわりの動向に構わず急に消えてしまいそう。」そんな感じ。分かるかな、思わず手を伸ばして、繋ぎ止めたくなるようなそんな感じ。

「凛。」

無意識に答えてた。

名前なんて教えるつもりはなかったんだけど、答えたら繋ぎ止められる気がしたから。

「リンちゃん。いい名前だね。それじゃあ僕は行くから。」

せっかく名前を答えたのに、もう行っちゃっ た。だけど、消えたわけじゃないじゃから。

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