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第1章
第10話
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「まあこんなもんでいいだろ」
相当な時間を燻製したと思う。
蓋を開けてみればパリパリとは行かないながらも良い感じにジューシーに水分が抜けた肉があった。
匂いは臭くなく、どことなく香ばしいような匂いがする。あの独特な獣臭さも若干薄れていておいしそうだ。
「あとはこれをもっと乾燥させていこう」
乾燥はとてつもなく簡単だ。
私のアイテムボックスは空気があり、おそらくだが温度は一定。虫もわかないとおもうから絶好の乾燥場所だろう。
適当にぶち込んでおけば勝手に乾いていい感じになってくれるはず。燻製干し肉がアイテムボックスに入れているだけで出来るわけだ。
次の日、今日からは本格的に戦闘の訓練を積んでいくことにする。
いつまた強大な敵がやってくるかもわからない。常に危険にあふれたこの森の中で生きていくには力をつけなければならないのだ。
「魔法もなかなか曖昧でわからないなぁ。もう少し細かい原理もわかればいいのだけれど……」
魔力があるという感覚はわかるのだが、あまりに漠然としていて少し気になる。どの魔法がどのくらい魔力を消費するかわからない。いつ魔力切れが起こるのか感覚で掴んでは起きたい。
魔力切れが起こらないように使用する魔力を調整しながら戦えたら安全なのだろう。そこら辺は経験を積んでいくしかないな。
多分威力が強くて扱いが難しい魔法ほど魔力の消費量は多いんじゃないかなって思う。
後はイメージの正確さによっても変わるのだろうか。多分イメージが正確なほど魔法の威力は強いと思うんだけれど、威力が強いと魔力の消費量が上がるとするのならばイメージが正確なほど魔力が吸い取られてしまうということにもなるかもしれない。
しかしイメージが正確ならば余計なところに魔力を使わなくていいはずだから、そう考えると魔力の消費量は少なくなるのではないか?
「まあやってみるしかないかな」
この森の中、的なら大量に生えている。
少しくらい木が倒れたところで別に支障は無いし、倒れた木は薪としても使えるのだから大丈夫。バシバシ倒していこう。
まずは木に向かって大きな岩を飛ばすイメージをする。適当に岩をぶつけるイメージだけ。
作り出された丸い岩はそのまま木へと向かって飛んでいき、ドスンと言う音が鳴って砕けた。木には傷がついているものの、倒れるまではいっていない。
次に、どのような形の岩を、どのような速度でどこへと向かってぶつけるのかと行った細かいイメージを加えて打ってみる。
先ほどよりもさらに球に近い形状をした岩は一直線に、そして先ほどよりも早く木へと飛んでいき、先ほどよりも少し大きめの音と、こちらまで伝わってくる振動を起こしながら木を倒した。
「うん。明らかに威力上がったね」
どうやらイメージ次第で威力が変動するようだ。
「魔力は……、2回目の方が少なかったな」
イメージが正確なら魔力の消費量は減るようだ。
では今度は1回目のような適当なイメージで少し威力を上げて打ってみる。
先ほどと同じように飛んでいく丸い岩、ただ少し速度が上がっていてサイズも一回りほど大きい。
その岩が木にぶつかると、1回目よりも少し大きな音を出して今度は木が傾いた。
ミシミシという音を立てながらさらに木は傾いていって、最終的に地面に倒れた。
「威力は2回目よりも弱いな。でも1回目よりは強い。魔力の消費量は3回の中で一番大きい」
イメージが正確であれば正確であるほど魔法は強く、そして効率的に放てるみたいだ。
ある程度魔法の原理的な物はわかった。あとは例の本を読みながらひたすらに練習していこう。もっと強くならないと。
おそらくだけれど魔法よりも剣を使って戦う機会の方が多いような気がする。接近した状態ではまともに魔法のイメージなんて出来ないと思うし、落ち着いて詠唱なんて出来ない。
ただ剣は振っていればいいし楽だと思う。いくらパニックに陥っていたとしても剣なら振れる。魔法には実体がないけれど、剣には実体がある。
いざというときに実体があるものを持っているというのは精神的にもありがたい。
「う~ん、でも振れる気がしないなぁ」
とりあえず魔法で剣っぽいものを作ってみたけれど、現実世界で見た剣舞のようにうまく扱える気はしない。以外と重い。
上から下に剣を振ってみると、剣の先端に向かってからだが持って行かれるような感覚を覚える。
おそらくこのままでは私が剣を使うというのは絶望的だろう。
「身体強化魔法を使えばいいのかな」
例の本こと『異世界のすすめ』に書いてあったのは身体強化魔法というのはただ魔力を体にまとわせただけのいわば“魔力の鎧”だということ。
暇なときに試しに手にやってみたのだが、そんなにイメージをしなくても簡単にできた。本当にうっすらとだったからかもしれないが、魔力の消費量もそこまで多くない。なんなら魔力が減ったということを感じないレベルだ。
寝ている間には通常多くの魔力が回復するが、起きていても回復しないわけではない。ならば起きている間に回復する魔力量より少し少ない魔力量で常に全身の身体強化魔法を発動できればいいのではないか。
あと、昨日のオオカミの件で考えたことがあって、それはオオカミから魔力を吸収できたのならば、どこからでも魔力を吸収出来るのではないかということだ。
オオカミ以外にもウサギであったり、植物であったり、空気であったりなどからでも魔力を吸収できるのではないかと考えたのだ。
もしそれが出来るとすれば魔力切れは考えなくてもいい。いや、考えないといけないのだが、こまめに魔力を吸収していけばあまり考えなくても良くなるはずだ。
1発で体内の魔力量を超えるほどの魔法を放つのであれば話は別だが。
ただ、空気中の魔力を吸収するという感覚が想像できないのでおそらく植物から吸収することになると思う。
それは命を奪うことにもなるから出来ればやりたくない。自分の魔力回復量で頑張っていきたいのでこれは万が一の場合に限って使用しようと思う。
話を戻して身体強化魔法だが、イメージをひたすら正確にしていけば少ない魔力で強い強化が出来るはずだ。
ひとまず全身で身体強化魔法をやってみる。
自分が起きている間にどのくらい魔力を回復しているかは、完璧とは言わないものの、ある程度の感覚はつかめている。
それよりも少し少ない程度の魔力を全身にまとわせる。
「で、できた」
身体強化魔法は簡単だとは言っても、それが全身となれば話が違う。思ったよりも疲れる。
少し魔法を発動しただけなのに、うっすらと額には汗が浮かんでいる。
でも少し体が軽いような気がする。
試しに剣を握ってみると、先ほどよりも軽く、明らかに体も動きやすくなっている。
上から下に剣を振ってみると、先ほどあった体を持って行かれるような感覚が明らかに弱くなっている。
「これならいけるかも」
一度この感覚を覚えてしまえば、これをひたすらに練習するだけだ。
先ほどはイメージが弱かったが、もっと均等に魔力を割り当てるイメージをして、何でもはじくような、それでいて自身の身体能力を魔法でカバーするような。
そんなイメージをしていけばもっともっと強く出来るはずだ。
時間はある。それこそ無限に。
自分が満足するまで練習しよう。
相当な時間を燻製したと思う。
蓋を開けてみればパリパリとは行かないながらも良い感じにジューシーに水分が抜けた肉があった。
匂いは臭くなく、どことなく香ばしいような匂いがする。あの独特な獣臭さも若干薄れていておいしそうだ。
「あとはこれをもっと乾燥させていこう」
乾燥はとてつもなく簡単だ。
私のアイテムボックスは空気があり、おそらくだが温度は一定。虫もわかないとおもうから絶好の乾燥場所だろう。
適当にぶち込んでおけば勝手に乾いていい感じになってくれるはず。燻製干し肉がアイテムボックスに入れているだけで出来るわけだ。
次の日、今日からは本格的に戦闘の訓練を積んでいくことにする。
いつまた強大な敵がやってくるかもわからない。常に危険にあふれたこの森の中で生きていくには力をつけなければならないのだ。
「魔法もなかなか曖昧でわからないなぁ。もう少し細かい原理もわかればいいのだけれど……」
魔力があるという感覚はわかるのだが、あまりに漠然としていて少し気になる。どの魔法がどのくらい魔力を消費するかわからない。いつ魔力切れが起こるのか感覚で掴んでは起きたい。
魔力切れが起こらないように使用する魔力を調整しながら戦えたら安全なのだろう。そこら辺は経験を積んでいくしかないな。
多分威力が強くて扱いが難しい魔法ほど魔力の消費量は多いんじゃないかなって思う。
後はイメージの正確さによっても変わるのだろうか。多分イメージが正確なほど魔法の威力は強いと思うんだけれど、威力が強いと魔力の消費量が上がるとするのならばイメージが正確なほど魔力が吸い取られてしまうということにもなるかもしれない。
しかしイメージが正確ならば余計なところに魔力を使わなくていいはずだから、そう考えると魔力の消費量は少なくなるのではないか?
「まあやってみるしかないかな」
この森の中、的なら大量に生えている。
少しくらい木が倒れたところで別に支障は無いし、倒れた木は薪としても使えるのだから大丈夫。バシバシ倒していこう。
まずは木に向かって大きな岩を飛ばすイメージをする。適当に岩をぶつけるイメージだけ。
作り出された丸い岩はそのまま木へと向かって飛んでいき、ドスンと言う音が鳴って砕けた。木には傷がついているものの、倒れるまではいっていない。
次に、どのような形の岩を、どのような速度でどこへと向かってぶつけるのかと行った細かいイメージを加えて打ってみる。
先ほどよりもさらに球に近い形状をした岩は一直線に、そして先ほどよりも早く木へと飛んでいき、先ほどよりも少し大きめの音と、こちらまで伝わってくる振動を起こしながら木を倒した。
「うん。明らかに威力上がったね」
どうやらイメージ次第で威力が変動するようだ。
「魔力は……、2回目の方が少なかったな」
イメージが正確なら魔力の消費量は減るようだ。
では今度は1回目のような適当なイメージで少し威力を上げて打ってみる。
先ほどと同じように飛んでいく丸い岩、ただ少し速度が上がっていてサイズも一回りほど大きい。
その岩が木にぶつかると、1回目よりも少し大きな音を出して今度は木が傾いた。
ミシミシという音を立てながらさらに木は傾いていって、最終的に地面に倒れた。
「威力は2回目よりも弱いな。でも1回目よりは強い。魔力の消費量は3回の中で一番大きい」
イメージが正確であれば正確であるほど魔法は強く、そして効率的に放てるみたいだ。
ある程度魔法の原理的な物はわかった。あとは例の本を読みながらひたすらに練習していこう。もっと強くならないと。
おそらくだけれど魔法よりも剣を使って戦う機会の方が多いような気がする。接近した状態ではまともに魔法のイメージなんて出来ないと思うし、落ち着いて詠唱なんて出来ない。
ただ剣は振っていればいいし楽だと思う。いくらパニックに陥っていたとしても剣なら振れる。魔法には実体がないけれど、剣には実体がある。
いざというときに実体があるものを持っているというのは精神的にもありがたい。
「う~ん、でも振れる気がしないなぁ」
とりあえず魔法で剣っぽいものを作ってみたけれど、現実世界で見た剣舞のようにうまく扱える気はしない。以外と重い。
上から下に剣を振ってみると、剣の先端に向かってからだが持って行かれるような感覚を覚える。
おそらくこのままでは私が剣を使うというのは絶望的だろう。
「身体強化魔法を使えばいいのかな」
例の本こと『異世界のすすめ』に書いてあったのは身体強化魔法というのはただ魔力を体にまとわせただけのいわば“魔力の鎧”だということ。
暇なときに試しに手にやってみたのだが、そんなにイメージをしなくても簡単にできた。本当にうっすらとだったからかもしれないが、魔力の消費量もそこまで多くない。なんなら魔力が減ったということを感じないレベルだ。
寝ている間には通常多くの魔力が回復するが、起きていても回復しないわけではない。ならば起きている間に回復する魔力量より少し少ない魔力量で常に全身の身体強化魔法を発動できればいいのではないか。
あと、昨日のオオカミの件で考えたことがあって、それはオオカミから魔力を吸収できたのならば、どこからでも魔力を吸収出来るのではないかということだ。
オオカミ以外にもウサギであったり、植物であったり、空気であったりなどからでも魔力を吸収できるのではないかと考えたのだ。
もしそれが出来るとすれば魔力切れは考えなくてもいい。いや、考えないといけないのだが、こまめに魔力を吸収していけばあまり考えなくても良くなるはずだ。
1発で体内の魔力量を超えるほどの魔法を放つのであれば話は別だが。
ただ、空気中の魔力を吸収するという感覚が想像できないのでおそらく植物から吸収することになると思う。
それは命を奪うことにもなるから出来ればやりたくない。自分の魔力回復量で頑張っていきたいのでこれは万が一の場合に限って使用しようと思う。
話を戻して身体強化魔法だが、イメージをひたすら正確にしていけば少ない魔力で強い強化が出来るはずだ。
ひとまず全身で身体強化魔法をやってみる。
自分が起きている間にどのくらい魔力を回復しているかは、完璧とは言わないものの、ある程度の感覚はつかめている。
それよりも少し少ない程度の魔力を全身にまとわせる。
「で、できた」
身体強化魔法は簡単だとは言っても、それが全身となれば話が違う。思ったよりも疲れる。
少し魔法を発動しただけなのに、うっすらと額には汗が浮かんでいる。
でも少し体が軽いような気がする。
試しに剣を握ってみると、先ほどよりも軽く、明らかに体も動きやすくなっている。
上から下に剣を振ってみると、先ほどあった体を持って行かれるような感覚が明らかに弱くなっている。
「これならいけるかも」
一度この感覚を覚えてしまえば、これをひたすらに練習するだけだ。
先ほどはイメージが弱かったが、もっと均等に魔力を割り当てるイメージをして、何でもはじくような、それでいて自身の身体能力を魔法でカバーするような。
そんなイメージをしていけばもっともっと強く出来るはずだ。
時間はある。それこそ無限に。
自分が満足するまで練習しよう。
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