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第3章
第44話
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「せっかくだから少し探索していこうか」
ご飯を食べ終わり、相変わらずの豪雨と言うことでこの洞窟を探索することにした。人工物の形跡があり、何かしらの遺跡の可能性がある。遺跡というのは人間の探究心をくすぐるものだ。
洞窟の構造としては、入り口付近は細くなっていて、しかし人一人ギリギリは入れるほど小さいというわけではない。十分な大きさだ。
ただ、その入り口からは想像できないほど中が広い。大きな空洞になっているのだ。雨が降っているからか、天井からはポツポツと水がしたたり落ちている。
入り口がすぼまっているために、その水音は洞窟内に反響し、ぽわーんぽわーんとなかなか聞かないような音を立てている。
広いと言っても、1つの空間として大きいだけであり、この洞窟自体が奥に続いているわけではない。門のような、鳥居のような物が入り口とは反対側に設置されていて、そこで洞窟は終わりになっている。
やはりどこか人工で掘られたような特殊な形の洞窟。時の経過によって風化はしているが、以前は神殿のような作りになっていたのだろう。そう感じさせるような作りだ。
地面を見ると、したたる水で平らになってしまったのだろうが、僅かに石畳のような跡が残っている。もしかしたら元々は地面に石畳が敷かれて居たのかもしれない。
「これはしっかりと調査してみた方が良いかもしれないな」
もしこれが相当昔に神殿などの施設として使われていた場合、まだ何かしらの機能が残されている可能性がある。これは是非とも調べたい。
別にこれを調べて何かをしたいというわけでも、調べて何かがあるというわけでも無いのだが、単純に私の無限の探究心はわくわくを求めている。
魔法をつかい、暗い洞窟の中を照らしていく。
暗くてよく見えていなかったのだが、よく照らしてみるとやはり人工物であろう面影が至る所に確認できる。
この場所は、先ほどいた町から相当離れた海岸だ。加えて町から伸びる道からも相当離れたところにある。私は今回道を無視して海岸線に沿って歩いてきた。
そんな海岸の、崖の中腹にあるのがこの洞窟で、場所を知っていないとなかなか見つからないと思う。
もしかしたら海で漁をしている人がこの穴を発見するかもしれないが、穴が開いているなぁ程度で終わらせられるような、外見はそんな感じの普通の穴。ありきたりな小さな洞窟だ。
ただ中は広い。手が加えられた形跡がある。
壁をじっくり照らすが、何か以前ここにあった物の手がかりのような物は見つからない。
やはりこの門のような物が解明の足掛かりになるのだろう。
入り口から入ってくる海の音。したたる雨の音に私の下駄の音。それらが洞窟内を反響して私の耳へと届く。別に緊張するようなものでもないのに多少の緊張を覚える。すべての感覚があの門に向いているような。そんな感覚。
じっくり観察してみると、門の奥は普通。ただ、その門の隣の壁が明らかにおかしい。
この洞窟の壁は平坦ではない。天然の洞窟のようにボコボコしている。もしかしたら風通に天然の洞窟なのかもしれない。
ただ、門の横にあるのは明らかに人の手が加えられた形跡。今では塞がっているが、何かが続いていたような。
「崩落……?」
この洞窟はもっと奥まで道が続いていた。ただ、崩落で埋まってしまった。そんな感じがする。
僅かに30センチほどへこんだその壁は、大きな岩が積み重なって道を塞いでいる。
その岩に手を当て、じっくりと魔力をしみこませてみる。こうして魔力を送り込み、魔力の広がり具合でこの奥がどうなっているのかを見るのだ。
じわじわと体の中から魔力を放出していくと、この壁の先が感覚として伝わってくる。
「やっぱり」
どうやらこれが崩落で出来た壁であることは間違いなさそうだ。
ただ、これは私が考えていたような道では無かった。深く先まで続く大穴。直径が10メートルにもなりそうな穴が、この崩落地点から少し行ったところにあいているのだ。その穴は明らかに人工的に掘られたもので、つるつるの壁面をしている。
落ちたら上がってこられないだろう。
「……これは下に何かがあるかも知れない」
何かは分からない。ただ絶対何かがある。
とりあえず門を調べてみよう。この下に続く手がかりがあるかもしれない。
門の柱はかくかくしていて、四角柱になっている。大きさは高さ2メートルくらいだと思う。横幅もそのくらい。
門にしては少し不格好だ。岩を組んで作られたようなその門は、何かをまつっているわけでも、何かこの先に続く道があるわけでもなさそう。ただ、その門の柱に何やら文字が刻まれている。
どこかで見たことあるような文字だ。
ただ、やはり風化が進んでいるのか、上手くその文字は読めなかった。
軽く指先で触れてみる。どうやらこの岩に直接掘られているみたいだ。
「え?」
そう、文字の上を撫でていると、突然私のブレスレットの魔石が光り出した。魔石からどんどん魔力が流れていくのを感じる。
ただ、何かが起こるわけでも無く、その謎の魔力吸収は10秒ほど続いた後、止まった。
「なんだったんだ?」
そう思いその文字を凝視するが、何かが起こるわけではない。
……もしかしたら。と思い、その門に入ってみる。入ったら何かが起きるかも。
何が起こるか分からない。いつもよりも全身に掛ける身体強化魔法を強くして万が一の備える。
ゆっくりと、一歩一歩門へと足を踏み入れる。
「やっぱりね」
案の定、門へと足を踏み入れると先ほどの文字が白く光り出した。どうやらこの門全体にあの文字が書かれていたらしい。
なにやら魔力の流れを感じる。どこかで見たことがある文字。これはおそらく魔方陣の文字だろう。
空気中の魔力がどんどんと門に吸い込まれていく。私の魔力への直接的干渉はないようだが、魔石からは同じように魔力を吸い込んでいるらしい。
ほんの数秒で、その魔力の吸い込みは終わった。そしてしばらく時間を空け、門から魔力が放出され始めた。
「くる」
そう言葉を発したその瞬間、私の目の前は真っ暗になった。
ご飯を食べ終わり、相変わらずの豪雨と言うことでこの洞窟を探索することにした。人工物の形跡があり、何かしらの遺跡の可能性がある。遺跡というのは人間の探究心をくすぐるものだ。
洞窟の構造としては、入り口付近は細くなっていて、しかし人一人ギリギリは入れるほど小さいというわけではない。十分な大きさだ。
ただ、その入り口からは想像できないほど中が広い。大きな空洞になっているのだ。雨が降っているからか、天井からはポツポツと水がしたたり落ちている。
入り口がすぼまっているために、その水音は洞窟内に反響し、ぽわーんぽわーんとなかなか聞かないような音を立てている。
広いと言っても、1つの空間として大きいだけであり、この洞窟自体が奥に続いているわけではない。門のような、鳥居のような物が入り口とは反対側に設置されていて、そこで洞窟は終わりになっている。
やはりどこか人工で掘られたような特殊な形の洞窟。時の経過によって風化はしているが、以前は神殿のような作りになっていたのだろう。そう感じさせるような作りだ。
地面を見ると、したたる水で平らになってしまったのだろうが、僅かに石畳のような跡が残っている。もしかしたら元々は地面に石畳が敷かれて居たのかもしれない。
「これはしっかりと調査してみた方が良いかもしれないな」
もしこれが相当昔に神殿などの施設として使われていた場合、まだ何かしらの機能が残されている可能性がある。これは是非とも調べたい。
別にこれを調べて何かをしたいというわけでも、調べて何かがあるというわけでも無いのだが、単純に私の無限の探究心はわくわくを求めている。
魔法をつかい、暗い洞窟の中を照らしていく。
暗くてよく見えていなかったのだが、よく照らしてみるとやはり人工物であろう面影が至る所に確認できる。
この場所は、先ほどいた町から相当離れた海岸だ。加えて町から伸びる道からも相当離れたところにある。私は今回道を無視して海岸線に沿って歩いてきた。
そんな海岸の、崖の中腹にあるのがこの洞窟で、場所を知っていないとなかなか見つからないと思う。
もしかしたら海で漁をしている人がこの穴を発見するかもしれないが、穴が開いているなぁ程度で終わらせられるような、外見はそんな感じの普通の穴。ありきたりな小さな洞窟だ。
ただ中は広い。手が加えられた形跡がある。
壁をじっくり照らすが、何か以前ここにあった物の手がかりのような物は見つからない。
やはりこの門のような物が解明の足掛かりになるのだろう。
入り口から入ってくる海の音。したたる雨の音に私の下駄の音。それらが洞窟内を反響して私の耳へと届く。別に緊張するようなものでもないのに多少の緊張を覚える。すべての感覚があの門に向いているような。そんな感覚。
じっくり観察してみると、門の奥は普通。ただ、その門の隣の壁が明らかにおかしい。
この洞窟の壁は平坦ではない。天然の洞窟のようにボコボコしている。もしかしたら風通に天然の洞窟なのかもしれない。
ただ、門の横にあるのは明らかに人の手が加えられた形跡。今では塞がっているが、何かが続いていたような。
「崩落……?」
この洞窟はもっと奥まで道が続いていた。ただ、崩落で埋まってしまった。そんな感じがする。
僅かに30センチほどへこんだその壁は、大きな岩が積み重なって道を塞いでいる。
その岩に手を当て、じっくりと魔力をしみこませてみる。こうして魔力を送り込み、魔力の広がり具合でこの奥がどうなっているのかを見るのだ。
じわじわと体の中から魔力を放出していくと、この壁の先が感覚として伝わってくる。
「やっぱり」
どうやらこれが崩落で出来た壁であることは間違いなさそうだ。
ただ、これは私が考えていたような道では無かった。深く先まで続く大穴。直径が10メートルにもなりそうな穴が、この崩落地点から少し行ったところにあいているのだ。その穴は明らかに人工的に掘られたもので、つるつるの壁面をしている。
落ちたら上がってこられないだろう。
「……これは下に何かがあるかも知れない」
何かは分からない。ただ絶対何かがある。
とりあえず門を調べてみよう。この下に続く手がかりがあるかもしれない。
門の柱はかくかくしていて、四角柱になっている。大きさは高さ2メートルくらいだと思う。横幅もそのくらい。
門にしては少し不格好だ。岩を組んで作られたようなその門は、何かをまつっているわけでも、何かこの先に続く道があるわけでもなさそう。ただ、その門の柱に何やら文字が刻まれている。
どこかで見たことあるような文字だ。
ただ、やはり風化が進んでいるのか、上手くその文字は読めなかった。
軽く指先で触れてみる。どうやらこの岩に直接掘られているみたいだ。
「え?」
そう、文字の上を撫でていると、突然私のブレスレットの魔石が光り出した。魔石からどんどん魔力が流れていくのを感じる。
ただ、何かが起こるわけでも無く、その謎の魔力吸収は10秒ほど続いた後、止まった。
「なんだったんだ?」
そう思いその文字を凝視するが、何かが起こるわけではない。
……もしかしたら。と思い、その門に入ってみる。入ったら何かが起きるかも。
何が起こるか分からない。いつもよりも全身に掛ける身体強化魔法を強くして万が一の備える。
ゆっくりと、一歩一歩門へと足を踏み入れる。
「やっぱりね」
案の定、門へと足を踏み入れると先ほどの文字が白く光り出した。どうやらこの門全体にあの文字が書かれていたらしい。
なにやら魔力の流れを感じる。どこかで見たことがある文字。これはおそらく魔方陣の文字だろう。
空気中の魔力がどんどんと門に吸い込まれていく。私の魔力への直接的干渉はないようだが、魔石からは同じように魔力を吸い込んでいるらしい。
ほんの数秒で、その魔力の吸い込みは終わった。そしてしばらく時間を空け、門から魔力が放出され始めた。
「くる」
そう言葉を発したその瞬間、私の目の前は真っ暗になった。
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