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悪役王女からのお願い事 ③
「お父様、お母様、おやすみなさい」
「おやすみ、ユイリア。ちゃんと寝るんだよ」
「明日は朝から大忙しだから、寝坊しないようにね」
「はーい」
俺はそう言って部屋の扉を閉める。すっかり夜中になり明日7歳になる子供は寝ても良い時間だ。
だが俺はベッドには向かわず、兎のぬいぐるみを手に取る。
〈優衣、それをどうするの?〉
「魔法をかけるんだよ、神様。この世界に存在する魔法属性とかは、ぜーんぶ頭の中にインプットされている、からね」
ぬいぐるみに魔力を纏わせて、慣れない事をするからちょっと足元がおぼつくが、なんとか耐えてぬいぐるみを今のユイリアの姿に変化させる。
変身魔法。物を人の姿に変身させる魔法。体温や触り心地などを細部まで再現する事が出来る。
それにパジャマを着せてベッドに寝かせる。そして俺は、神様から貰った能力で元の世界の服を召喚して、それを着る。
鏡に映る今の俺は、ユイリアじゃなくて、
「うーん、痩せこけてない俺、見るの久しぶりだわ」
髪色と目の色以外は元の俺、簡単に言えば生前の佐々木優衣の姿がそこにあった。変身魔法を俺自身にかけて、佐々木優衣に返信したのだ。
久しぶりに見た健康な記憶にあった俺の姿にちょっと感動して、頬をつねってしまった。夢じゃないよな?って思いながら。
〈ツッコミ辛い事言わないでよ、優衣。それにしても使いこなしてるねぇ〉
〈私でもそんな簡単に出来ないのに〉
「うーん、、、、死にたくないなぁ、もし魔法があったらどうだったんだろうな。なら、魔法があった時に~、、、、って感じで、想像してたし」
〈〈重い重い重い重い重い重い〉〉
流石にこの発言も重かったらしい。そう思いながら、大きめの茶色と白のパーカーと着てジーンズを履き、部屋の大きな窓を開ける。
開けると、一気に夜風が部屋の中に入り、少し寒いと思って、体に体温を平温安定させる魔法と外部の風を防ぐ防御魔法を咄嗟にかける。
それを見て、おぉ、と言って驚く神様。神様だってこれぐらい出来るでしょ。
〈普通、転生してその日に魔法使いこなす子って中々居ないからね〉
「俺は天才って事ね」
〈ユイリア、どうしよう。ちょっと俺イラついた〉
〈どうどう、神様〉
イラついている神様は放っておいて、窓枠に足をかけて外に身を乗り出す。王宮内に感知魔法を貼り巡らすと、脳内に沢山の人の形が映って危うく酔いそうになった窓からは地面に真っ逆さまになりかけた。
危ない危ない。
認識阻害魔法を体にかけて、浮遊魔法で体を浮かして窓を閉めて俺は目的の場所に誰にもバレずに向かう。
なんかテキパキ1つの目的の為の作業が結構得意と言うか、誰にも邪魔されない事とか、好きな事になると能力発揮するタイプなんだよなぁ、俺。
満月を見つめながら、尻尾を揺らして浮かぶ俺の姿は他の人がもし見えていたら、おかしい限りだろう。
〈優衣って、多分1人でなんでもそつなくこなすタイプなんだろうね〉
〈分かりますわ。それ、私はやりたいけど出来ないタイプだし〉
「器用貧乏ってだけだし、それに異世界で生きるんだったら器用な方が良いと思う」
〈それじゃあ私はどうなるのかな〉
〈ぁーあ、優衣がユイリア、凹ました!〉
「そのまま凹んどけ」
俺はそう言いながら、目的地に向かい続ける。
ユイリアはゲーム内トップの不器用。人に気持ちを伝えるのも、言葉足らずて、愛情の伝え方さえも不器用でプレイヤーである俺がどれだけ、どれだけイラついたか、ユイリアお前は知らないだろう。
俺は脳内でそう聞こえているから、堂々と言う。それで更に凹んだ所でこっちの苦労を考えろ、と思うだけだ。
そして神様がユイリアの頭を撫でて慰めながら、俺に向かって、
〈優衣って人に容赦ないし、ドSだよね、、、、それでハッピーエンドいけそう〉
と、言われてしまったが、喜んで良いのか分からない奴は辞めて欲しい。
そう思っていたら、目的地の教会と王都の間にある崖の中間地点に付いた。そこには堂々と多分元凶である岩が複数あり、魔法がかけられているのが解析魔法で判定した。
「ふむふむ、時間魔法で、指定した時間に、トラップ魔法が発動して、岩が落ちるようになっている、、、、と」
〈これのせいで私、知らずに死んだって事よね、、、、ちょっとこれ仕掛けた奴に復讐したくなって来た〉
「それでも、これ仕掛けた奴ら明日には兵士が捕まえてますから、そうなるように、ちょっとやりますか」
〈〈何を?〉〉
「まぁ見てて下さいよ、ユイリア、神様。【絶対王政】の力を」
そう言って指パッチンをすると、王冠と王の椅子が現れた。俺はそれに一旦座って、王冠を被ってから自分の魔力を練ってから俺は王都と隣の教会のある街までの範囲を結界で囲う。
俺は椅子に座ったまま、半透明の設定表みたいなのを浮かび上がらせて、操作してとある映像が映し出されて流れる。
その光景をただただ唖然としながら見ている神様とユイリア。その視線がそろそろキツいので、一旦動画を止めて2人に話しかける。
「言いたい事があるなら言って」
〈それ何!?〉
「【絶対王政】だけど?」
〈私の知ってる、と言うか説明された【絶対王政】とはなんか違うんだけど〉
〈なんか使いこなしてるって言うか、、、、怖い〉
「言い方、、、、そもそも」
【絶対王政】って言うのは、言わばこの異世界の王、絶対的な王様に君臨する事が出来る言わばS級魔法。なのは神様もユイリアも分かる事だよね。
で、結界を作りその結界内に居る間、王である俺は何でも出来る。言わば無敵状態であり、その空間居る者は王である俺に絶対服従、反抗は出来ない状態にも出来る。
そして結界内限定で使えるのがスキルがあり、それが【事象改変】と言うスキルだ。俺が言った言葉が本当に起こる。例えば「眠れ」や「止まれ」と言われた者は結界内に居れば絶対に従ってしまう。
他にも生を死に、死を生にする事もこの魔法を無かった事にする事も、そもそも魔法が使えないようにする事も出来る言わば最強魔法なのだ。
そして結界の大きさは調節可能で、結界内で設定をすれば能力に干渉されるメンツとされないメンツを設定する事も可能。結界内ではあり得ない事も全然出来るので、結界内限定のカメラを作れたりそこから映像が見れたりも出来る。
「まぁ、だから、[ユイリア・モナーキーが作中最強のはずだった]って言われる所以、だよね」
〈私、そんな凄い力持ってたのか。でもはずだった、だしね、、、、、ねぇ、神様、相談なんだけど時って戻せます???〉
〈ユイリア、ごめんね。いくら何でもゲーム内で起こってた事とかゲームの設定を変えるのは、大き過ぎる干渉だから無理なんだ〉
〈使えね~〉
「まぁまぁ笑、それで今あの石に魔法をかけた犯人を、映像に映し出して見つけましたよ」
映像を戻して映っている如何にも犯人です、みたいなオジさん達。コソコソと山に入って岩を魔法で運んで時間魔法とかトラップ魔法をかけてる。
因みに、【絶対王政】の中身を何でこんなにも詳しいかって言うと、開発者側多分まさか使われないと思わなかったんだろうね、設定資料集にきめ細かく書かれてて入院生活中に、何回読み直したか、、、、今思い出しても、禍々しかったな。
そう思いながら、犯人達を視覚で確認出来たので、俺は椅子に座り直してから、また【事象改変】のスキルを使う。
「とりあえず、、、、ユイリア、犯人達どうなって欲しい?」
〈そりゃあちゃんと罪を償って欲しい〉
「〈本音は?〉」
〈地獄に堕ちて欲しい〉
「〈ユイリアのそう言う所大好き〉」
俺と神様はユイリアの本音を聞いてついそう言ってしまった。
何だろうね、改めて知れる過去に苦行を強いてきたユイリアの新たな一面を知れる感覚は結構楽しいし嬉しい。ドMなのかな、俺。
ちょっと内心複雑になってきたな、今まさに。
だけど素直になっている所を見ると、ちゃんと今までの自分の性格を治したい、とは思ってるんだろうな。まぁ、しょうがないか。
性格のせいで勘違いされて、悪役王女に仕立て上げられた人生だったし、、、、うん。
「まぁ、そうだな、、確実に逃げても捕まるように改変しておくか。あとは、、、、骨折させとこう」
〈地味な嫌がらせ〉
〈治す時に骨が戻る痛みに悶えれる、、、、良い提案ね〉
〈ユイリアには刺さったみたい〉
「それは良かった」
こうしてやるべき事を終えて、結界を解くとまだまだ夜空に月が輝いていた。
だけど、明日も早いので俺は浮遊魔法で優雅に王宮に誰にもバレずに戻り、ユイリアの姿をしたぬいぐるみを兎のぬいぐるみに戻して、俺も変身を解きユイリアの姿でパジャマを着てベッドにin
と言ってもすぐに眠れないので、ユイリアと神様につい話しかけてしまう。
「とりあえず、やるべき事はやったと思う」
〈優衣は寧ろ、経った1日で凄い成果を残したと俺は思うんだけど〉
〈神様奇遇ね、私もそう思ってた所なんだよね、今〉
「そんなに褒められても何も出ないんだけど、どうした?熱?」
〈優衣、私達に対しての扱い雑だよね?何で??仮にもその身体にいた中身だよ、私〉
〈俺の場合はこの世界作った神だよ!!?創造神!!もっと崇めてよ!!〉
「いや、こっちは死んだと思ったら転生して、また死んで変な事任されて死なないように頑張らないといけないんですけど」
〈〈本当にその通りです。俺/私が悪かったです〉〉
「よかろう」
俺からの扱いに不満があったが、結果的に俺の言葉で謝って来た2人。まぁ、事実本当に思っている部分はある。だけど、、、、新しい人生を記憶がある状態で迎えれてるのは、、、、結構、いやだいぶ嬉しいのも事実、なんだよね。
それに常に1人じゃないってのが嬉しい。嬉しいし、だけど恥ずかしい。
因みにこの心の声は聞こえてない。何でって?使い勝手の良い【絶対王政】使用中だから。聞かれたくない時はこれ使うのも良いかもしれないな。
そんなお茶目な考えをしながら、俺は新しい体を手に入れて初めての睡眠を取るのであった。
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