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探り合い
13. 真昼の逢引 〜リーゼロッテ〜
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「話というのは?」
ディルクは訝しげに私を見下ろした。既に上位のものを見る目つきではなくなっている。私は目線を上に向けるとディルクにだけ聞こえるようにそっと囁いた。
「貴方に協力してほしいことがあるの。リングエラにとっても悪い話ではないわ」
ディルクの顔色がさっと変わり、ますます目つきが鋭くなる。
「何をお考えですか」
「貴方に損することは何もないわ。もちろん殿下にも陛下にも。私を信頼してほしいの。……って言ってもいきなりは無理よね」
「何を仰っているのかさっぱりわからない」
小道から出てきた小さな荷馬車が目の前をさっと横切り、私達は立ち止まった。護衛達との距離がほんの少し縮まる。迷った末、私は更に声を落としてディルクに告げた。
「私は……クレマチスに帰りたいの」
荷馬車が通り過ぎても立ち止まったままのディルクの腕を取り、また歩き出す。
「……理由を聞いても?」
「ごめんなさい、そこは黙秘させてもらうわ」
「殿下が気に入らないのですか?」
「そういうわけじゃないの」
ヴィンフリート殿下の私への暴言や冷めた対応には憤りを感じるものの、そんなことで殿下自身を嫌いになることはない。そんな本質を見誤ったりはしない。
「ヴィンフリート殿下は容姿だけではない、人を惹きつける何かをお持ちとお見受けします。貴方という補佐役がいれば、きっと素晴らしい国王になられると思うわ」
それは本心だった。気安い態度でさっと相手の懐に飛び込んでしまうオリバー様とは違う。ヴィンフリート殿下は、姿を現しただけでその場の空気ががらりと変わってしまうような、不思議なオーラを持っている。人を強く惹きつける一方で、これ以上近寄れないという一線が確かに存在する。あれが王気と言われるものなのかもしれない。天空の崇高なる次期国王。
「殿下のことを認めておられるのですか。ならば尚更疑問ですね」
ディルクから刺々しい雰囲気が抜けた。アンナは殿下とディルクの関係はまだ薄いと言っていたけれど、案外うまく信頼関係を築き始めているのかもしれない。
「殿下がどんな方かは関係ないの。私自身の問題だから。これ以上の詮索は控えてもらいたいわ」
ディルクは少し考えるようなそぶりを見せて、
「リングエラにとって悪い話ではない、とは?」
「クレマチスに戦意はないということ。私がここにいなくても侵略などして来ないわ」
「確たる根拠は?」
「用意するわ。貴方が私を信じてくれるなら」
ゆっくり歩いているつもりだけれど、もう三つ目の角まで来てしまった。時間は限られている。
「話はわかりました。しかしそれが真実だったとしても、殿下との婚約をわざわざ解消する理由にはならないでしょう。この同盟を結ぶメリットは山ほどありますが、デメリットは双方ともありません」
「でもヴィンフリート殿下は、この婚約に不服があるんじゃなくて?」
「貴方は……そこまでご存知か」
ディルクは大きく息を吐き、恐れ入った、と零した。
「間諜をお持ちか。さすがは大国クレマチスの王女であらせられる」
「故郷が恋しくて必死なだけよ」
ディルクが婚約解消に向けて一緒に動いてくれるなら、もう彼の前では世間知らずなお姫様の演技は必要ない。
それはそれとして、ヴィンフリート殿下には嫌われておいた方が良い。殿下に徹底的に嫌われて直接婚約破棄される方が、あれこれディルクと裏で手を回すより手っ取り早い方法でもあるから。
「殿下には何も言わないでね。見たままの私をそのまま信じていてほしいから」
「良く思われたくないということですか」
「私はクレマチスに帰りたいの。どんな手を使っても」
ディルクの口から溜息が洩れた。
「貴方のような聡い方が殿下の隣にいて下されば我が国としてはどれほど心強いか」
「小賢しいの間違いでしょう。とにかく、ヴィンフリート殿下ご自身が私との婚約に乗り気でないなら、貴方は臣下としてそれに従うべきではないの? 私の話に乗るのは何の問題もないはずよ」
五つ目の角まで来た。ここを曲がればもうお店はすぐ。護衛に追い付かれてしまう。私はわざとハンカチをその場に落とし、蹲み込んだ。その様子をディルクが黙って見守る。
「少し考える時間をいただきたい」
ゆっくり立ち上がると同時に、そう呟く声が耳に届いた。
(よし、捕獲成功)
叫び出したいのを懸命に堪えて、私はにっこり微笑んだ。
「期待して待ってるわ。私のことを少しでも信じてくれる気になったら、王女ではなく名前で呼んでもらえるかしら。私の名前は」
「存じ上げております」
そこで会話は中断した。
「ねえディルク、天空は地上より太陽が近いのかしら。やけに日差しが強いように感じるのだけれど」
「それほど変わりないと思いますが。雲がないからでしょう」
さっと話題を変え声を張り上げる私に、ディルクも顔色一つ変えずすぐに話を合わせてくる。さすがは元宰相。
「雲がないなら雨や雪は降らないの?」
「ないですね。我々が雨や雪を目にするのは、地上に降りる時に通る雲の中だけです」
そのまま入った最初のお店で、それなりに値の張りそうな指輪を何点か購入した後、たまたま通りがかったカフェで焼菓子の詰め合わせも購入した。
(これはアンナとユリウスへのお土産用)
帰りの馬車の中、天空の世界についてあれこれ質問する私にディルクは何か言いたそうな顔をしつつも、懇切丁寧に答えてくれた。
馬車の中は密室とは言え、馬を走らせる御者の姿はすぐそこに見えているし、護衛も前後にぴったり張り付いている。あまり深い話はしたくない。
「それはそうとディルク。殿下からいただいたあれ、礼儀作法のことも書いてあったみたいだけど」
「ええ、ありましたね」
「ユリウスから聞いた? 私そういうのって尽く苦手で今まで避けてきちゃったのよね。でもそうも言ってられないものね。何から取り掛かりましょうか。読み書き? ダンス? それとも挨拶の基本動作?」
「確かに苦手と伺ってはいますが……」
本当か、と言いたげな視線をこっちに投げてくる。
もちろん、全部まるっきり嘘、大嘘。私だって曲がりなりにも王室育ち、大概のことは子どもの頃から叩き込まれている。
ヴィンフリート殿下が私のことをどの程度見下しているのか知らないけれど、これは殿下の方から与えて下さった絶好のチャンス。存分に利用しない手はない。こうなったらとことん頭の弱い王女様になり切ってやろうじゃないの、とあの夜三人で円陣を組んで改めて決起したのだ。
「かつて殿下の家庭教師を務めた者を呼びましょう。もう職を辞していますが実力は確かですので」
「必要ないわ。私は貴方から教わりたいの」
「……は?」
間の抜けた返事をするディルク。能面みたいな彼の色んな表情を今日一日で沢山引き出すことができた。達成感で笑えてくるのをぐっと堪える。
「ディルクだって大体何でも出来るでしょう?」
「まあ人並には。しかし王女に直接指導する程では」
「私こう見えて人見知りなの。新しい人だと馴染むのに精一杯で、肝心のお作法なんてきっと全然覚えられないわ」
窓の外からは泣いて見えるように、私は俯きながら肩を小刻みに震わせた。
「……では僭越ながら私がお相手致します」
「ありがとうディルク。予定は貴方にすべて合わせるから、また教えてね」
ばっと起き上がった私の瞳には、当然ながら涙なんて一滴も見当たらない。してやったり。ディルクががくりと肩を落とした。
るんるんと上機嫌で城に帰ってきた私を出迎えたのは、身体中に青痣や擦り傷を負ったユリウスと、その手当をするアンナだった。
「あ、姫様お帰りなさい」
「どうしたの、その傷」
「あいつにやられました」
ユリウスの口から悔しげにそう吐き出される。口の端も切れているようで赤黒くなっていた。
「あいつってヴィンフリート殿下のこと?」
「姫様安心して下さい。不意打ちを喰らったとか多勢に無勢だったとかじゃなく、ユリウスは一対一で正々堂々と王子に負けたんです」
「負けたとか言うな。あれは引き分けだ」
そう怒鳴るなり、ユリウスはぷいと横を向いてしまう。やれやれとアンナが首を振る。
「引き分けは王子の温情でしょうに」
私はユリウスの側に膝をつき、その傷を間近で確認した。それほど深い傷はないものの、全身くまなく赤くなったり青くなったりしている。ほぼ打ち身のようだ。
(これは剣技の傷ね)
ユリウスと殿下が二人で何をするんだろうとは思っていたけれど。鍛えられた肉体を持つ殿下に対し、ろくに剣術の心得もないユリウスは、なす術なく打たれ続けたのだろう。
「適当なことを言って逃げれば良かったのに。いつものユリウスならそうするでしょう?」
「姫様、これは男の矜恃というやつです」
「それにしたって……ユリウスが敵う相手じゃないわ。誰が見たって一目瞭然じゃない。何でそんな勝負受けたの?」
ユリウスは窓の方へそっぽを向いたまま、むっつりと黙り込んでいる。
「アンナは隠れて見てたのよね。何があったの?」
「姫様……今はそっとしておきましょう」
ぽんぽんと優しく背中を撫でられ、仕方なく私はひとまず引き下がることにした。
ディルクは訝しげに私を見下ろした。既に上位のものを見る目つきではなくなっている。私は目線を上に向けるとディルクにだけ聞こえるようにそっと囁いた。
「貴方に協力してほしいことがあるの。リングエラにとっても悪い話ではないわ」
ディルクの顔色がさっと変わり、ますます目つきが鋭くなる。
「何をお考えですか」
「貴方に損することは何もないわ。もちろん殿下にも陛下にも。私を信頼してほしいの。……って言ってもいきなりは無理よね」
「何を仰っているのかさっぱりわからない」
小道から出てきた小さな荷馬車が目の前をさっと横切り、私達は立ち止まった。護衛達との距離がほんの少し縮まる。迷った末、私は更に声を落としてディルクに告げた。
「私は……クレマチスに帰りたいの」
荷馬車が通り過ぎても立ち止まったままのディルクの腕を取り、また歩き出す。
「……理由を聞いても?」
「ごめんなさい、そこは黙秘させてもらうわ」
「殿下が気に入らないのですか?」
「そういうわけじゃないの」
ヴィンフリート殿下の私への暴言や冷めた対応には憤りを感じるものの、そんなことで殿下自身を嫌いになることはない。そんな本質を見誤ったりはしない。
「ヴィンフリート殿下は容姿だけではない、人を惹きつける何かをお持ちとお見受けします。貴方という補佐役がいれば、きっと素晴らしい国王になられると思うわ」
それは本心だった。気安い態度でさっと相手の懐に飛び込んでしまうオリバー様とは違う。ヴィンフリート殿下は、姿を現しただけでその場の空気ががらりと変わってしまうような、不思議なオーラを持っている。人を強く惹きつける一方で、これ以上近寄れないという一線が確かに存在する。あれが王気と言われるものなのかもしれない。天空の崇高なる次期国王。
「殿下のことを認めておられるのですか。ならば尚更疑問ですね」
ディルクから刺々しい雰囲気が抜けた。アンナは殿下とディルクの関係はまだ薄いと言っていたけれど、案外うまく信頼関係を築き始めているのかもしれない。
「殿下がどんな方かは関係ないの。私自身の問題だから。これ以上の詮索は控えてもらいたいわ」
ディルクは少し考えるようなそぶりを見せて、
「リングエラにとって悪い話ではない、とは?」
「クレマチスに戦意はないということ。私がここにいなくても侵略などして来ないわ」
「確たる根拠は?」
「用意するわ。貴方が私を信じてくれるなら」
ゆっくり歩いているつもりだけれど、もう三つ目の角まで来てしまった。時間は限られている。
「話はわかりました。しかしそれが真実だったとしても、殿下との婚約をわざわざ解消する理由にはならないでしょう。この同盟を結ぶメリットは山ほどありますが、デメリットは双方ともありません」
「でもヴィンフリート殿下は、この婚約に不服があるんじゃなくて?」
「貴方は……そこまでご存知か」
ディルクは大きく息を吐き、恐れ入った、と零した。
「間諜をお持ちか。さすがは大国クレマチスの王女であらせられる」
「故郷が恋しくて必死なだけよ」
ディルクが婚約解消に向けて一緒に動いてくれるなら、もう彼の前では世間知らずなお姫様の演技は必要ない。
それはそれとして、ヴィンフリート殿下には嫌われておいた方が良い。殿下に徹底的に嫌われて直接婚約破棄される方が、あれこれディルクと裏で手を回すより手っ取り早い方法でもあるから。
「殿下には何も言わないでね。見たままの私をそのまま信じていてほしいから」
「良く思われたくないということですか」
「私はクレマチスに帰りたいの。どんな手を使っても」
ディルクの口から溜息が洩れた。
「貴方のような聡い方が殿下の隣にいて下されば我が国としてはどれほど心強いか」
「小賢しいの間違いでしょう。とにかく、ヴィンフリート殿下ご自身が私との婚約に乗り気でないなら、貴方は臣下としてそれに従うべきではないの? 私の話に乗るのは何の問題もないはずよ」
五つ目の角まで来た。ここを曲がればもうお店はすぐ。護衛に追い付かれてしまう。私はわざとハンカチをその場に落とし、蹲み込んだ。その様子をディルクが黙って見守る。
「少し考える時間をいただきたい」
ゆっくり立ち上がると同時に、そう呟く声が耳に届いた。
(よし、捕獲成功)
叫び出したいのを懸命に堪えて、私はにっこり微笑んだ。
「期待して待ってるわ。私のことを少しでも信じてくれる気になったら、王女ではなく名前で呼んでもらえるかしら。私の名前は」
「存じ上げております」
そこで会話は中断した。
「ねえディルク、天空は地上より太陽が近いのかしら。やけに日差しが強いように感じるのだけれど」
「それほど変わりないと思いますが。雲がないからでしょう」
さっと話題を変え声を張り上げる私に、ディルクも顔色一つ変えずすぐに話を合わせてくる。さすがは元宰相。
「雲がないなら雨や雪は降らないの?」
「ないですね。我々が雨や雪を目にするのは、地上に降りる時に通る雲の中だけです」
そのまま入った最初のお店で、それなりに値の張りそうな指輪を何点か購入した後、たまたま通りがかったカフェで焼菓子の詰め合わせも購入した。
(これはアンナとユリウスへのお土産用)
帰りの馬車の中、天空の世界についてあれこれ質問する私にディルクは何か言いたそうな顔をしつつも、懇切丁寧に答えてくれた。
馬車の中は密室とは言え、馬を走らせる御者の姿はすぐそこに見えているし、護衛も前後にぴったり張り付いている。あまり深い話はしたくない。
「それはそうとディルク。殿下からいただいたあれ、礼儀作法のことも書いてあったみたいだけど」
「ええ、ありましたね」
「ユリウスから聞いた? 私そういうのって尽く苦手で今まで避けてきちゃったのよね。でもそうも言ってられないものね。何から取り掛かりましょうか。読み書き? ダンス? それとも挨拶の基本動作?」
「確かに苦手と伺ってはいますが……」
本当か、と言いたげな視線をこっちに投げてくる。
もちろん、全部まるっきり嘘、大嘘。私だって曲がりなりにも王室育ち、大概のことは子どもの頃から叩き込まれている。
ヴィンフリート殿下が私のことをどの程度見下しているのか知らないけれど、これは殿下の方から与えて下さった絶好のチャンス。存分に利用しない手はない。こうなったらとことん頭の弱い王女様になり切ってやろうじゃないの、とあの夜三人で円陣を組んで改めて決起したのだ。
「かつて殿下の家庭教師を務めた者を呼びましょう。もう職を辞していますが実力は確かですので」
「必要ないわ。私は貴方から教わりたいの」
「……は?」
間の抜けた返事をするディルク。能面みたいな彼の色んな表情を今日一日で沢山引き出すことができた。達成感で笑えてくるのをぐっと堪える。
「ディルクだって大体何でも出来るでしょう?」
「まあ人並には。しかし王女に直接指導する程では」
「私こう見えて人見知りなの。新しい人だと馴染むのに精一杯で、肝心のお作法なんてきっと全然覚えられないわ」
窓の外からは泣いて見えるように、私は俯きながら肩を小刻みに震わせた。
「……では僭越ながら私がお相手致します」
「ありがとうディルク。予定は貴方にすべて合わせるから、また教えてね」
ばっと起き上がった私の瞳には、当然ながら涙なんて一滴も見当たらない。してやったり。ディルクががくりと肩を落とした。
るんるんと上機嫌で城に帰ってきた私を出迎えたのは、身体中に青痣や擦り傷を負ったユリウスと、その手当をするアンナだった。
「あ、姫様お帰りなさい」
「どうしたの、その傷」
「あいつにやられました」
ユリウスの口から悔しげにそう吐き出される。口の端も切れているようで赤黒くなっていた。
「あいつってヴィンフリート殿下のこと?」
「姫様安心して下さい。不意打ちを喰らったとか多勢に無勢だったとかじゃなく、ユリウスは一対一で正々堂々と王子に負けたんです」
「負けたとか言うな。あれは引き分けだ」
そう怒鳴るなり、ユリウスはぷいと横を向いてしまう。やれやれとアンナが首を振る。
「引き分けは王子の温情でしょうに」
私はユリウスの側に膝をつき、その傷を間近で確認した。それほど深い傷はないものの、全身くまなく赤くなったり青くなったりしている。ほぼ打ち身のようだ。
(これは剣技の傷ね)
ユリウスと殿下が二人で何をするんだろうとは思っていたけれど。鍛えられた肉体を持つ殿下に対し、ろくに剣術の心得もないユリウスは、なす術なく打たれ続けたのだろう。
「適当なことを言って逃げれば良かったのに。いつものユリウスならそうするでしょう?」
「姫様、これは男の矜恃というやつです」
「それにしたって……ユリウスが敵う相手じゃないわ。誰が見たって一目瞭然じゃない。何でそんな勝負受けたの?」
ユリウスは窓の方へそっぽを向いたまま、むっつりと黙り込んでいる。
「アンナは隠れて見てたのよね。何があったの?」
「姫様……今はそっとしておきましょう」
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