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揺らぐ心
27. 露呈 〜ヴィンフリート〜
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ディルクの報告に俺は衝撃の余りその場に膝をついた。
「リーゼロッテが既に俺以外と婚約していた……?」
「正式には違います。婚約寸前まで話が進んでいたものの、直前になって白紙に戻ったようです。ただ、そういった話があったのは事実です」
「相手はどこの誰だ」
「クレマチスの隣国ホクシアの王太子です。クレマチス国王がホクシア側の騎士団長を通じて話をつけようとしていたそうです」
俄かには信じ難かった。
婚約式の後、リーゼロッテを心配しながら地上へ帰っていったクレマチス国王。リーゼロッテの義兄にあたると聞いていたが、リーゼロッテのことを話す時の眼差しは柔らかく、父親のようでもあった。
あの時も、ホクシアとの国境が危ないという話が漏れ聞こえていた。
(だからと言って、可愛がっていた義妹を敵側に渡すなど……それがあの男のやり方なのか)
優しい顔をしながら、目的のためには残忍な手段も厭わない。狡猾な男だ。
「リーゼロッテは人質というわけか」
「リングエラの王女姉妹の美しさは地上では有名で、その妹が嫁いでくることになりホクシア側は大喜びだったそうです。しかし……婚約を最終的に断ったのはホクシアの方です」
「一体何が気に入らなかったんだ」
争いが絶えない両国の間で取引される、美しい王女。俺より前に彼女を手に入れようとした男がいると考えるだけで胸が締め付けられる。
「停戦協定を結ぶ協議の合間に、それとなく当人同士が顔を合わせる場が設けられ、その何度目かでホクシアの王太子が断りを入れたと。理由はリーゼロッテ様のお人柄です。ホクシアにとってリーゼロッテ様は完璧すぎたのです」
「……どういうことだ」
ディルクはかすかに苦笑した。
「リーゼロッテ様は一般的な教養はほぼ完璧に身につけていらっしゃいます。テーブルマナーは言わずもがな、ダンスも読み書きも私が教える前からすべて完璧にこなせる方です。それだけではない、国の在り方についても深いお考えをお持ちで、クレマチス国王が折に触れリーゼロッテ様の意見を聞きたがるほどであったと。そのまま法案として成り立つこともしばしばあったそうです」
ディルクから次々と飛び出す事実に、俺は驚愕して目を丸くした。
「俺の前で見せたあの姿は……偽りだったということか」
「最初の城庭でもやり取りも、おそらく」
ただ驚くしかない心の片隅で、妙に納得している自分もいた。
食事の際の所作はいつだって完璧だった。身のこなしは洗練され品があり、最初からずっと心惹かれた。それなのに、これみよがしにユリウスを頼ろうとする様子は違和感しかなかった。
あの指輪も。ただ高価なだけではない、本当に良いものを選べる力がある。それだけ目が利くのは、単に見慣れているというだけではなく、王女が持ち得るはずのない、採石への見識があったからだろう。そのくせ読み書きもダンスも出来ないなんてことが、あるはずがない。
最初から彼女の言動や行動はちぐはぐで、不思議に思っていた。偽り隠し通そうとした部分と、自然に滲み出る知性。それらがごちゃ混ぜになって、おかしなことになっていたのか。
「ホクシアは、人形のようにただ美しくそばに置いておけるだけの王女が欲しかったのでしょう。ところが実際に会ってみれば、リーゼロッテ様は素晴らしく聡明な方です。多分……ホクシアの王太子よりも」
「それで破談になったと?」
「自分より賢い妻を貰いたがらないのが、地上の常識ですから」
「実に馬鹿げた常識だな」
生涯伴侶とする相手は、聡明ならその方が良いに決まっている。共に生きていくのに、足手纏いになっては困る。
自分より弱い相手を隣に置いてどうするというのだろう。独りよがりな優越感に浸ることで、自分自身の成長も止まる。上を見ず下だけを見て満足しているようでは何も変わらない。むしろ後退していく一方だ。
「そんなだから地上では下らない争いが絶えないのか」
「全く同感です。……王太子個人だけでなく国としても、ホクシアはリーゼロッテ様の利発さを恐れました。いつかリーゼロッテ様に国を乗っ取られるのでは、と。そこで婚約の話はなくなり、なし崩し的に休戦の話も断ち消えたとのことです」
「なるほどな。それであのクレマチス国王もホクシアに手を焼いているというわけか」
リーゼロッテ一人に一国が恐れを成すとは実に滑稽な話だ。ホクシアもホクシアなら、それだけの存在であるリーゼロッテをあっさり手放そうとしたクレマチスも、俺にとっては似たようなものだ。
(クレマチス国王は何故そうも簡単にリーゼロッテを自分の手駒として使おうとしたのか)
ホクシアが駄目になり今度はリングエラへと送り込まれたリーゼロッテは、何を思いながらここへやって来たのか。
「クレマチスにはまだ何かありそうだな」
「鋭意調査中です。何かわかり次第お伝え致します」
さっと敬礼した後、ディルクはゆっくりと顔を上げ視線を合わせた。
「殿下、私が申し上げたかったのは、リーゼロッテ様は殿下が思っておられるような方ではないということです」
「わかっている」
夜が明けリーゼロッテが回復したら、俺がやるべきことは一つだけだ。
「ディルクは引き続き、リーゼロッテを襲った奴を追え」
「かしこまりました」
予想していたより随分の早くユリウスがやって来た。そのまま部屋に戻るユリウスと一緒にリーゼロッテの元へ向かう。
「昨夜は出過ぎたことを言い申し訳ありませんでした」
ユリウスが歩みを止めないまま軽く頭を下げた。
「いやいい、気にするな。お前の言うことが正しいのだから俺に謝る必要はない」
驚いたように目を丸くするユリウスに、俺は心外だとばかりに眉根を寄せた。
ベッドに横たわったままのリーゼロッテは、今にも消えてなくなってしまいそうなほど弱々しく儚く見えた。
「出直そう」
「いえ、大丈夫です。こんな格好でお許しいただけるのでしたら」
ゆっくり起き上がろうとするリーゼロッテの手を取った。まだ熱を帯びてしっとり汗ばんでいる。
(なるほど、これは確かに……)
意識を集中させ丹念に探せば、まだリーゼロッテの内側に魔術を使った痕跡のようなものが、かすかに残っているのがわかる。しかしそこから犯人を突き止めるのはおそらく不可能だろう。それほどまでに力は凝縮され、目的を果たしたら跡形もなく消えるように緻密に作り込まれている。リーゼロッテに魔術をかけたのは相当の使い手だ。
(まさかこれだけのことをできる人間がリングエラにいるとは)
犯人の素性がわかったとしても、ディルクの手には追えないかもしれない。
リーゼロッテの視線を感じ、はっとして顔を上げた。
「体調はどうだ。辛くはないか」
「はい。一晩休んでだいぶ良くなりました。昨夜は大変申し訳ございませんでした。お誘いいただいたのに、台無しにしてしまって……」
「体調が悪かったなら無理もない。むしろ私の方が気づいてやるべきだった。すまない」
俺が謝罪の言葉を口にするとは思っていなかったのだろう。リーゼロッテがぽかんとした表情のまま俺を見つめる。
ユリウスといい、俺はそんなに頑固に見えるのだろうか。
「リーゼロッテが気にしていたのは、私が以前渡した、あれのことだろう」
初めてリーゼロッテの私室に足を踏み入れ、ぎょっとした。まだリーゼロッテのことをよく知らなかった俺が書いた『天空の厳しさを(以下略)』が、大仰な額縁に収まり、リビングの一番目立つ壁に飾られていたのだ。
「今日はそのことで話をしに来た」
リーゼロッテの青い瞳がゆらゆらと細波を立てた。その美しさに見入りながら目を細める。
「ディルクからリーゼロッテの話を聞いた。貴方は、私が思っているような人ではないらしい。だからあれを撤回したい」
リーゼロッテの本当の姿を知り、俺に婚約破棄の意思が全くない今、もうあれは必要ない。
リーゼロッテはひゅっと息を呑み、ぱちぱちと何度か瞬きした後、真っ直ぐに俺を視界に捉えた。
「ディルクが何を言ったか知りませんが、それはいけません。王子が一度出したものを取り下げるなんて、余程のことがない限り決してやってはいけません」
今までに見たことがない、強い思いを宿した瞳。お前はそれだけの責任を負っているのだ、と諭されている気がした。
「私は大丈夫です。そのお心遣いをお伺いできただだけで充分です」
優しい微笑。不意を突かれたように胸が苦しくなる。
(ああ、本当に……)
俺は今まで、彼女の何を見ていたんだろう。
何故見抜けなかったんだろう。
リーゼロッテはこんなにも美しく、強く、聡明だ。
彼女が欲しい、と心底思う一方で、それは一生叶わないような気がした。私は誰のものでもない、と主張した彼女の声が、今頃になって強く頭の中で響いた。
そして情けなくも切実な気持ちが零れ落ちる。
「リゼ……と呼ばれていたな」
リーゼロッテが倒れる間際の、ユリウスの叫び声。
クレマチス国王も、彼女のことを親しげにそう呼んでいた。
「俺も君をリゼと呼んでも良いだろうか」
彼女にもっと近付きたい。そばに寄り添ってその笑顔をいつまでも見つめていたい。この手で守りたい。
彼女はぱっと頰を朱に染め、こくりと頷いた。
「リゼ」
ありったけの想いを込めて、そう口にした。
初めてリーゼロッテの名を口にした時よりもずっと、心が弾んで煩かった。
「リーゼロッテが既に俺以外と婚約していた……?」
「正式には違います。婚約寸前まで話が進んでいたものの、直前になって白紙に戻ったようです。ただ、そういった話があったのは事実です」
「相手はどこの誰だ」
「クレマチスの隣国ホクシアの王太子です。クレマチス国王がホクシア側の騎士団長を通じて話をつけようとしていたそうです」
俄かには信じ難かった。
婚約式の後、リーゼロッテを心配しながら地上へ帰っていったクレマチス国王。リーゼロッテの義兄にあたると聞いていたが、リーゼロッテのことを話す時の眼差しは柔らかく、父親のようでもあった。
あの時も、ホクシアとの国境が危ないという話が漏れ聞こえていた。
(だからと言って、可愛がっていた義妹を敵側に渡すなど……それがあの男のやり方なのか)
優しい顔をしながら、目的のためには残忍な手段も厭わない。狡猾な男だ。
「リーゼロッテは人質というわけか」
「リングエラの王女姉妹の美しさは地上では有名で、その妹が嫁いでくることになりホクシア側は大喜びだったそうです。しかし……婚約を最終的に断ったのはホクシアの方です」
「一体何が気に入らなかったんだ」
争いが絶えない両国の間で取引される、美しい王女。俺より前に彼女を手に入れようとした男がいると考えるだけで胸が締め付けられる。
「停戦協定を結ぶ協議の合間に、それとなく当人同士が顔を合わせる場が設けられ、その何度目かでホクシアの王太子が断りを入れたと。理由はリーゼロッテ様のお人柄です。ホクシアにとってリーゼロッテ様は完璧すぎたのです」
「……どういうことだ」
ディルクはかすかに苦笑した。
「リーゼロッテ様は一般的な教養はほぼ完璧に身につけていらっしゃいます。テーブルマナーは言わずもがな、ダンスも読み書きも私が教える前からすべて完璧にこなせる方です。それだけではない、国の在り方についても深いお考えをお持ちで、クレマチス国王が折に触れリーゼロッテ様の意見を聞きたがるほどであったと。そのまま法案として成り立つこともしばしばあったそうです」
ディルクから次々と飛び出す事実に、俺は驚愕して目を丸くした。
「俺の前で見せたあの姿は……偽りだったということか」
「最初の城庭でもやり取りも、おそらく」
ただ驚くしかない心の片隅で、妙に納得している自分もいた。
食事の際の所作はいつだって完璧だった。身のこなしは洗練され品があり、最初からずっと心惹かれた。それなのに、これみよがしにユリウスを頼ろうとする様子は違和感しかなかった。
あの指輪も。ただ高価なだけではない、本当に良いものを選べる力がある。それだけ目が利くのは、単に見慣れているというだけではなく、王女が持ち得るはずのない、採石への見識があったからだろう。そのくせ読み書きもダンスも出来ないなんてことが、あるはずがない。
最初から彼女の言動や行動はちぐはぐで、不思議に思っていた。偽り隠し通そうとした部分と、自然に滲み出る知性。それらがごちゃ混ぜになって、おかしなことになっていたのか。
「ホクシアは、人形のようにただ美しくそばに置いておけるだけの王女が欲しかったのでしょう。ところが実際に会ってみれば、リーゼロッテ様は素晴らしく聡明な方です。多分……ホクシアの王太子よりも」
「それで破談になったと?」
「自分より賢い妻を貰いたがらないのが、地上の常識ですから」
「実に馬鹿げた常識だな」
生涯伴侶とする相手は、聡明ならその方が良いに決まっている。共に生きていくのに、足手纏いになっては困る。
自分より弱い相手を隣に置いてどうするというのだろう。独りよがりな優越感に浸ることで、自分自身の成長も止まる。上を見ず下だけを見て満足しているようでは何も変わらない。むしろ後退していく一方だ。
「そんなだから地上では下らない争いが絶えないのか」
「全く同感です。……王太子個人だけでなく国としても、ホクシアはリーゼロッテ様の利発さを恐れました。いつかリーゼロッテ様に国を乗っ取られるのでは、と。そこで婚約の話はなくなり、なし崩し的に休戦の話も断ち消えたとのことです」
「なるほどな。それであのクレマチス国王もホクシアに手を焼いているというわけか」
リーゼロッテ一人に一国が恐れを成すとは実に滑稽な話だ。ホクシアもホクシアなら、それだけの存在であるリーゼロッテをあっさり手放そうとしたクレマチスも、俺にとっては似たようなものだ。
(クレマチス国王は何故そうも簡単にリーゼロッテを自分の手駒として使おうとしたのか)
ホクシアが駄目になり今度はリングエラへと送り込まれたリーゼロッテは、何を思いながらここへやって来たのか。
「クレマチスにはまだ何かありそうだな」
「鋭意調査中です。何かわかり次第お伝え致します」
さっと敬礼した後、ディルクはゆっくりと顔を上げ視線を合わせた。
「殿下、私が申し上げたかったのは、リーゼロッテ様は殿下が思っておられるような方ではないということです」
「わかっている」
夜が明けリーゼロッテが回復したら、俺がやるべきことは一つだけだ。
「ディルクは引き続き、リーゼロッテを襲った奴を追え」
「かしこまりました」
予想していたより随分の早くユリウスがやって来た。そのまま部屋に戻るユリウスと一緒にリーゼロッテの元へ向かう。
「昨夜は出過ぎたことを言い申し訳ありませんでした」
ユリウスが歩みを止めないまま軽く頭を下げた。
「いやいい、気にするな。お前の言うことが正しいのだから俺に謝る必要はない」
驚いたように目を丸くするユリウスに、俺は心外だとばかりに眉根を寄せた。
ベッドに横たわったままのリーゼロッテは、今にも消えてなくなってしまいそうなほど弱々しく儚く見えた。
「出直そう」
「いえ、大丈夫です。こんな格好でお許しいただけるのでしたら」
ゆっくり起き上がろうとするリーゼロッテの手を取った。まだ熱を帯びてしっとり汗ばんでいる。
(なるほど、これは確かに……)
意識を集中させ丹念に探せば、まだリーゼロッテの内側に魔術を使った痕跡のようなものが、かすかに残っているのがわかる。しかしそこから犯人を突き止めるのはおそらく不可能だろう。それほどまでに力は凝縮され、目的を果たしたら跡形もなく消えるように緻密に作り込まれている。リーゼロッテに魔術をかけたのは相当の使い手だ。
(まさかこれだけのことをできる人間がリングエラにいるとは)
犯人の素性がわかったとしても、ディルクの手には追えないかもしれない。
リーゼロッテの視線を感じ、はっとして顔を上げた。
「体調はどうだ。辛くはないか」
「はい。一晩休んでだいぶ良くなりました。昨夜は大変申し訳ございませんでした。お誘いいただいたのに、台無しにしてしまって……」
「体調が悪かったなら無理もない。むしろ私の方が気づいてやるべきだった。すまない」
俺が謝罪の言葉を口にするとは思っていなかったのだろう。リーゼロッテがぽかんとした表情のまま俺を見つめる。
ユリウスといい、俺はそんなに頑固に見えるのだろうか。
「リーゼロッテが気にしていたのは、私が以前渡した、あれのことだろう」
初めてリーゼロッテの私室に足を踏み入れ、ぎょっとした。まだリーゼロッテのことをよく知らなかった俺が書いた『天空の厳しさを(以下略)』が、大仰な額縁に収まり、リビングの一番目立つ壁に飾られていたのだ。
「今日はそのことで話をしに来た」
リーゼロッテの青い瞳がゆらゆらと細波を立てた。その美しさに見入りながら目を細める。
「ディルクからリーゼロッテの話を聞いた。貴方は、私が思っているような人ではないらしい。だからあれを撤回したい」
リーゼロッテの本当の姿を知り、俺に婚約破棄の意思が全くない今、もうあれは必要ない。
リーゼロッテはひゅっと息を呑み、ぱちぱちと何度か瞬きした後、真っ直ぐに俺を視界に捉えた。
「ディルクが何を言ったか知りませんが、それはいけません。王子が一度出したものを取り下げるなんて、余程のことがない限り決してやってはいけません」
今までに見たことがない、強い思いを宿した瞳。お前はそれだけの責任を負っているのだ、と諭されている気がした。
「私は大丈夫です。そのお心遣いをお伺いできただだけで充分です」
優しい微笑。不意を突かれたように胸が苦しくなる。
(ああ、本当に……)
俺は今まで、彼女の何を見ていたんだろう。
何故見抜けなかったんだろう。
リーゼロッテはこんなにも美しく、強く、聡明だ。
彼女が欲しい、と心底思う一方で、それは一生叶わないような気がした。私は誰のものでもない、と主張した彼女の声が、今頃になって強く頭の中で響いた。
そして情けなくも切実な気持ちが零れ落ちる。
「リゼ……と呼ばれていたな」
リーゼロッテが倒れる間際の、ユリウスの叫び声。
クレマチス国王も、彼女のことを親しげにそう呼んでいた。
「俺も君をリゼと呼んでも良いだろうか」
彼女にもっと近付きたい。そばに寄り添ってその笑顔をいつまでも見つめていたい。この手で守りたい。
彼女はぱっと頰を朱に染め、こくりと頷いた。
「リゼ」
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