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王家の謎
35. 一夜 〜ヴィンフリート〜
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ベッドに横たわるリゼは、思ったより顔色が良く意識もはっきりしていて元気そうだった。
「容体は」
念のため傍にいるディルクに問う。
「解毒を施しましたので心配ございません」
「解毒?」
「妖の術をかけられたようで酷くうなされておいででした」
「妖か……」
実際には怪我一つ負わせることなく、かけられた人の感覚だけを乗っ取り苦しめる魔術。
ちらりとリゼの手元を見ると、俺が渡した指輪をしっかりはめているものの、指輪は青白く変色していた。俺がかけた魔術が発動した証の色。それでも完全に防ぎ切れなかったということは、ビアンカの魔力がそれほど強大だったということだ。元より魔術に免疫のないリゼには、ただ傷つけられるより余程辛かったに違いない。
「殿下ご無事でしたか。良かった」
俺を気遣う健気な姿に堪らずリゼに駆け寄り、膝を折ってその手をしかと握りしめた。
「あの二人には助けられた。礼を言おう。しかし何故わざわざ自分の臣下を差し向けたのだ。そんなことをしたらリゼが」
「私は大丈夫です」
ふわりと微笑むリゼの、その神々しいほどの美しさに目を奪わられる。
「ビアンカの狙いは殿下でしたから、私を殺しはしないだろうと。むしろもっと早くに気づくべきでした。申し訳ございません」
「リゼが謝ることじゃない」
リゼの手をそっと撫でた。ふんわりと柔らかい触り心地の中で、役目を終えた指輪の感触が冷たくざらざらとしている。
「俺がもっと早く奴等の考えに辿り着いていれば、リゼがこんな目に遭うこともなかった……すまない」
「殿下こそ、そんな風に仰らないでください。私のような者に軽々しく頭を下げてはいけませんわ」
リゼだから、他ならぬリゼだからこそ、自分の力で守り切れなかったことを心から悔いているのだ、と叫び出したいのを何とか堪えた。
「リゼ、一つだけ頼みがあるんだが」
「はい、何でしょう」
地上から来た美しく聡明な王女。
好きでもない相手との結婚を勝手に決められ、右も左もわからぬ異国に連れて来られた。結婚相手は冷たく横柄な上に、下らない政権争いに巻き込まれ怪しい奴に二度も襲われた。
この状況で、これ以上リゼに何を求められるだろう。嫌われこそすれ、好かれる要素はどこをどう探してもない。もう沢山だ、と今すぐこの場で婚約破棄されても、俺にはどうすることもできない。ただ受け入れることしかできない。
それでも。
「名前で呼んでくれないか」
「名前……ですか?」
可愛らしくきょとんとした表情を浮かべるリゼに、俺は小さく笑って頷いた。
ずっと一緒にいて欲しいとは言わない。言える立場ではない。そんなことは嫌と言うほどわかっている。
でもせめて今だけは、リゼの近くにいたい。今この瞬間だけは、誰よりも一番リゼのそばにいる男で在りたい。
そして願わくば、今こうして二人でいる時間が、少しでもリゼの記憶に残れば良い。
「ヴィンフリート……様……?」
「何故疑問形なんだ」
俯いてもごもご口ごもるリゼが何とも愛らしくて、つい吹き出してしまった。
「ヴィンで構わない。近しい者はそう呼ぶ」
「でも……私がそんな風にお呼びするのは」
「良いんだ。リゼにそう呼んで欲しい」
「では……」
ヴィン様、と耳をそば立てなければ聞き逃しそうなほどか細い声で、そう呼ばれた。
(様も必要ない、と言いたいところだが。まあそこは仕方ないか)
そこまで望むのは強欲だろう。恥ずかしがって首まで赤く染まっているリゼが見られただけで気持ちが高揚して抑えられない。
「リゼ、クレマチスとはどんな国だ?」
「どんな、とは?」
「俺は何度か地上に行ったことはあるが、クレマチスには行ったことがない。リゼのような立派な王女が育つくらいだ、きっと良い国なんだろう」
「そう仰られましても」
最初は萎縮気味だったリゼは、ぽつりぽつりと少しずつクレマチスのことを話し始めた。
リングエラほどではないが、日差しが暖かく過ごしやすい土地であること、鉱山や森から採れる自然が豊富なため、税金が軽く済み貴族から庶民まで押しなべて裕福であること、そのために近隣諸国から狙われることも多いが、それを理由に逃げ出す民はなく総じて愛国心が強いこと。
「オリバー様が国王になられてからは、特にその傾向が強いように思います。何故だか各地の特産物がしょっちゅう城に届けられていました」
「ほう、頼んでもいないのに勝手に来るのか」
「はい。オリバー様は、徴税でもないのに受け取れない、しかし遠方からはるばる送ってくれたものを突き返すのも申し訳ないと仰って、直接その地方へお礼を言いに行ったり、他の地方の特産物を送ったりしてました。そのお礼にと、また翌年には色んな地方から送られてきて、の繰り返しです」
「なるほどな、善意が巡り巡っているわけか」
クレマチスは清らかなリゼのイメージにぴったり合う。あの国王は何を考えているかいまいちよくわからないが。
「国王はリゼの義兄だったか」
「はい、オリバー様はフローラの……姉の夫です」
「婚約式では姉君は見かけなかった気がするが」
「はい、身重のため自粛させていただきました。飛行船での長旅は母体には負担かと思いまして。でもこちらに来てから何度か手紙のやりとりをしております」
一瞬だけ、リゼの澄んだ瞳の奥に寂しさの影が見え隠れした。
「姉君とは仲が良いのか?」
「そうですね。たった二人の姉妹ですし歳も近いので、親友のような関係でした。フローラは優しくて可愛くて、私の自慢の姉です」
俺からしたら、リゼほど外見も中身も兼ね備えた女性は他にいないだろうと言いたいところだが、リゼは嬉しそうに姉のことをあれこれ語って聞かせてくれた。二人が本当に親しいのが自然に伝わってくる。
リゼが生まれ育った国。
リゼが恋い慕う人。
この目で見たい。会ってみたい。
「行くか、クレマチスに」
リゼは朗らかな笑みを浮かべたまま、ぴしりと固まった。笑いを堪え見て見ぬふりをしながら言葉を続ける。
「父上の退位が完了してからになるだろうが、落ち着いたら共に行こう」
「……よろしいのですか?」
「そろそろ恋しい頃ではないのか? ユリウスとアンナも連れて行くか。正式に結婚した後は、帰れないこともないが色々手続きが面倒になるからな。今のうちに一度里帰りした方が良かろう。俺としてもクレマチスには元々興味があったからちょうど良い」
他にもそれらしい理由を幾つか並べ立てていくうちに、リゼの顔に安堵の色が広がる。
「そういうことでしたら、お言葉に甘えさせていただきます」
今日一番の心から嬉しそうな笑顔。
それが俺のためのものではないとしても、向けられているのは今は俺だけだ。
歪んだ満悦感の中で、一抹の不安もある。
(リゼをクレマチスに帰らせたら、もうリングエラには戻って来ないかもしれない)
一度故郷に帰れば、その居心地の良さに身も心も癒され、やはり天空の世界は怖い、もうこりごりだと、そのまま婚約破棄に至るかもしれない。
それでも、リゼとずっと一緒にいたいという気持ちと同じくらい、もう二度とリゼを危険な目に遭わせたくないという思いもある。
選ぶのはリゼ自身であるべきだ。俺がリゼをここに縛り付けることはできない。
「では、事前学習ということでもっと話を聞かせてもらおうか。例えばリゼと姉君だけの秘密の話とかはないのか」
「それはあっても申し上げられません。第一クレマチスとは関係ない個人的なお話です」
「ちっ、うまく引き出せるかと思ったが」
リゼがおかしそうにお腹を抱えて笑い出した。
その後も何とは無しに取り留めのない会話が弾み、気づけばいつの間にか夜が明け始めていた。カーテンの向こうから見えた薄明かりと、朝の到来を告げる小鳥達の囀りでお互いにはっとした。
「随分長居をしてしまったようだな。すまない」
「いえ、こちらこそお引き留めして申し訳ありませんでした」
急に気まずくなり、どちらともなく声も小さくなる。何故だかこんな時に限って、ディルクは姿が見えずユリウスやアンナの乱入もない。
「……ではこれで失礼する」
立ち上がり扉に手をかけて、ふと後ろを振り返った。俺の背中を見ていたであろうリゼと視線が重なった。
「また……」
「はい、また……」
リゼの優しく柔らかい笑みにつられて、俺もつい口元がにやける。慌てて濃紺のマントを翻し、リゼの寝室を出た。
扉の先はリビング。やたら殺気立ったユリウスと、気持ち悪い笑みを浮かべ興奮気味のアンナが待ち構えていた。
「リゼ様の部屋で夜を明かすとは……見損ないましたよ殿下。いくら婚約してるからって何もこんな日に。俺には理解できません」
「は? お前こそ何考えてるんだ。誤解も甚だしいわ」
「え? 違うんですか? あんなにベタ惚れの姫様と一晩中二人っきりで何もなし? うわーそれはそれで甘酸っぱすぎるわあ。ていうか王子って実はヘタレ?」
「お前はお前で少し黙れ」
この二人が揃うとどうも苦手だ。
「容体は」
念のため傍にいるディルクに問う。
「解毒を施しましたので心配ございません」
「解毒?」
「妖の術をかけられたようで酷くうなされておいででした」
「妖か……」
実際には怪我一つ負わせることなく、かけられた人の感覚だけを乗っ取り苦しめる魔術。
ちらりとリゼの手元を見ると、俺が渡した指輪をしっかりはめているものの、指輪は青白く変色していた。俺がかけた魔術が発動した証の色。それでも完全に防ぎ切れなかったということは、ビアンカの魔力がそれほど強大だったということだ。元より魔術に免疫のないリゼには、ただ傷つけられるより余程辛かったに違いない。
「殿下ご無事でしたか。良かった」
俺を気遣う健気な姿に堪らずリゼに駆け寄り、膝を折ってその手をしかと握りしめた。
「あの二人には助けられた。礼を言おう。しかし何故わざわざ自分の臣下を差し向けたのだ。そんなことをしたらリゼが」
「私は大丈夫です」
ふわりと微笑むリゼの、その神々しいほどの美しさに目を奪わられる。
「ビアンカの狙いは殿下でしたから、私を殺しはしないだろうと。むしろもっと早くに気づくべきでした。申し訳ございません」
「リゼが謝ることじゃない」
リゼの手をそっと撫でた。ふんわりと柔らかい触り心地の中で、役目を終えた指輪の感触が冷たくざらざらとしている。
「俺がもっと早く奴等の考えに辿り着いていれば、リゼがこんな目に遭うこともなかった……すまない」
「殿下こそ、そんな風に仰らないでください。私のような者に軽々しく頭を下げてはいけませんわ」
リゼだから、他ならぬリゼだからこそ、自分の力で守り切れなかったことを心から悔いているのだ、と叫び出したいのを何とか堪えた。
「リゼ、一つだけ頼みがあるんだが」
「はい、何でしょう」
地上から来た美しく聡明な王女。
好きでもない相手との結婚を勝手に決められ、右も左もわからぬ異国に連れて来られた。結婚相手は冷たく横柄な上に、下らない政権争いに巻き込まれ怪しい奴に二度も襲われた。
この状況で、これ以上リゼに何を求められるだろう。嫌われこそすれ、好かれる要素はどこをどう探してもない。もう沢山だ、と今すぐこの場で婚約破棄されても、俺にはどうすることもできない。ただ受け入れることしかできない。
それでも。
「名前で呼んでくれないか」
「名前……ですか?」
可愛らしくきょとんとした表情を浮かべるリゼに、俺は小さく笑って頷いた。
ずっと一緒にいて欲しいとは言わない。言える立場ではない。そんなことは嫌と言うほどわかっている。
でもせめて今だけは、リゼの近くにいたい。今この瞬間だけは、誰よりも一番リゼのそばにいる男で在りたい。
そして願わくば、今こうして二人でいる時間が、少しでもリゼの記憶に残れば良い。
「ヴィンフリート……様……?」
「何故疑問形なんだ」
俯いてもごもご口ごもるリゼが何とも愛らしくて、つい吹き出してしまった。
「ヴィンで構わない。近しい者はそう呼ぶ」
「でも……私がそんな風にお呼びするのは」
「良いんだ。リゼにそう呼んで欲しい」
「では……」
ヴィン様、と耳をそば立てなければ聞き逃しそうなほどか細い声で、そう呼ばれた。
(様も必要ない、と言いたいところだが。まあそこは仕方ないか)
そこまで望むのは強欲だろう。恥ずかしがって首まで赤く染まっているリゼが見られただけで気持ちが高揚して抑えられない。
「リゼ、クレマチスとはどんな国だ?」
「どんな、とは?」
「俺は何度か地上に行ったことはあるが、クレマチスには行ったことがない。リゼのような立派な王女が育つくらいだ、きっと良い国なんだろう」
「そう仰られましても」
最初は萎縮気味だったリゼは、ぽつりぽつりと少しずつクレマチスのことを話し始めた。
リングエラほどではないが、日差しが暖かく過ごしやすい土地であること、鉱山や森から採れる自然が豊富なため、税金が軽く済み貴族から庶民まで押しなべて裕福であること、そのために近隣諸国から狙われることも多いが、それを理由に逃げ出す民はなく総じて愛国心が強いこと。
「オリバー様が国王になられてからは、特にその傾向が強いように思います。何故だか各地の特産物がしょっちゅう城に届けられていました」
「ほう、頼んでもいないのに勝手に来るのか」
「はい。オリバー様は、徴税でもないのに受け取れない、しかし遠方からはるばる送ってくれたものを突き返すのも申し訳ないと仰って、直接その地方へお礼を言いに行ったり、他の地方の特産物を送ったりしてました。そのお礼にと、また翌年には色んな地方から送られてきて、の繰り返しです」
「なるほどな、善意が巡り巡っているわけか」
クレマチスは清らかなリゼのイメージにぴったり合う。あの国王は何を考えているかいまいちよくわからないが。
「国王はリゼの義兄だったか」
「はい、オリバー様はフローラの……姉の夫です」
「婚約式では姉君は見かけなかった気がするが」
「はい、身重のため自粛させていただきました。飛行船での長旅は母体には負担かと思いまして。でもこちらに来てから何度か手紙のやりとりをしております」
一瞬だけ、リゼの澄んだ瞳の奥に寂しさの影が見え隠れした。
「姉君とは仲が良いのか?」
「そうですね。たった二人の姉妹ですし歳も近いので、親友のような関係でした。フローラは優しくて可愛くて、私の自慢の姉です」
俺からしたら、リゼほど外見も中身も兼ね備えた女性は他にいないだろうと言いたいところだが、リゼは嬉しそうに姉のことをあれこれ語って聞かせてくれた。二人が本当に親しいのが自然に伝わってくる。
リゼが生まれ育った国。
リゼが恋い慕う人。
この目で見たい。会ってみたい。
「行くか、クレマチスに」
リゼは朗らかな笑みを浮かべたまま、ぴしりと固まった。笑いを堪え見て見ぬふりをしながら言葉を続ける。
「父上の退位が完了してからになるだろうが、落ち着いたら共に行こう」
「……よろしいのですか?」
「そろそろ恋しい頃ではないのか? ユリウスとアンナも連れて行くか。正式に結婚した後は、帰れないこともないが色々手続きが面倒になるからな。今のうちに一度里帰りした方が良かろう。俺としてもクレマチスには元々興味があったからちょうど良い」
他にもそれらしい理由を幾つか並べ立てていくうちに、リゼの顔に安堵の色が広がる。
「そういうことでしたら、お言葉に甘えさせていただきます」
今日一番の心から嬉しそうな笑顔。
それが俺のためのものではないとしても、向けられているのは今は俺だけだ。
歪んだ満悦感の中で、一抹の不安もある。
(リゼをクレマチスに帰らせたら、もうリングエラには戻って来ないかもしれない)
一度故郷に帰れば、その居心地の良さに身も心も癒され、やはり天空の世界は怖い、もうこりごりだと、そのまま婚約破棄に至るかもしれない。
それでも、リゼとずっと一緒にいたいという気持ちと同じくらい、もう二度とリゼを危険な目に遭わせたくないという思いもある。
選ぶのはリゼ自身であるべきだ。俺がリゼをここに縛り付けることはできない。
「では、事前学習ということでもっと話を聞かせてもらおうか。例えばリゼと姉君だけの秘密の話とかはないのか」
「それはあっても申し上げられません。第一クレマチスとは関係ない個人的なお話です」
「ちっ、うまく引き出せるかと思ったが」
リゼがおかしそうにお腹を抱えて笑い出した。
その後も何とは無しに取り留めのない会話が弾み、気づけばいつの間にか夜が明け始めていた。カーテンの向こうから見えた薄明かりと、朝の到来を告げる小鳥達の囀りでお互いにはっとした。
「随分長居をしてしまったようだな。すまない」
「いえ、こちらこそお引き留めして申し訳ありませんでした」
急に気まずくなり、どちらともなく声も小さくなる。何故だかこんな時に限って、ディルクは姿が見えずユリウスやアンナの乱入もない。
「……ではこれで失礼する」
立ち上がり扉に手をかけて、ふと後ろを振り返った。俺の背中を見ていたであろうリゼと視線が重なった。
「また……」
「はい、また……」
リゼの優しく柔らかい笑みにつられて、俺もつい口元がにやける。慌てて濃紺のマントを翻し、リゼの寝室を出た。
扉の先はリビング。やたら殺気立ったユリウスと、気持ち悪い笑みを浮かべ興奮気味のアンナが待ち構えていた。
「リゼ様の部屋で夜を明かすとは……見損ないましたよ殿下。いくら婚約してるからって何もこんな日に。俺には理解できません」
「は? お前こそ何考えてるんだ。誤解も甚だしいわ」
「え? 違うんですか? あんなにベタ惚れの姫様と一晩中二人っきりで何もなし? うわーそれはそれで甘酸っぱすぎるわあ。ていうか王子って実はヘタレ?」
「お前はお前で少し黙れ」
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