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海底の隧道
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甘木と下関に行った。お金がなかったので在来線で行った。門司で乗り換えてから下関に向かう。「関門トンネルは、通ったことはあるかい」「国道だけだから電車はないよ」一寸単語ちょっと嘘をつこうと思う。「ははぁ、じゃ君はこのトンネルがガラス張りってのは知らないんだね」と言うと「本当かい!僕は魚が好きなんだ!」と言ってる間に下関行きの海底電車が這入ってきた。このトンネルは開通が戦時中で当時から電車での運行が基本だったようである。電車に乗り込むと電圧切替の試験を行って、出発した。惰性で「デットセクション」を通過して関門トンネルに突入した。左にカーブして、海底に潜り込む。甘木が声をかけてきた。「ねぇ」「なんだい」「魚が見えないのだが」「嘘だよ」と言うと腹を立てて下関に着くまで口を利いてくれなかった。そういえばこのトンネルは米軍が爆破しきれなかったらしい。 水滴がぽとぽと落ちてきているし、トンネルの中は良く冷えているので気持ちが良い。奥にトンネルの出口がキラキラ光っているのが見えて電車は警笛を鳴らして下関市彦島に出てきた。寝起きの様な気持ちで清々しいけど馬鹿に眩しい。車窓には決闘の地、巌流島やさっきまで居た九州が金波銀波の向こう側に、はっきりと見えた。
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