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時偶市
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大昔に親戚が「二日市は二の付く日にやっていたから二日市なのだ」と言っていた。二日市は大体鳥栖と博多の中心にあって、大体の列車が止まる。ある時にクラス・メイトの稀代君と呉服店の御庭を見に行った。
学校が終わって、そのまま鳥栖駅に行った。鳥栖駅からは快速列車で3駅、普通列車で6駅だったと思う。列車を待っていると稀代君が居なくなったと思ったらアイスを買ってきた。「おい、僕のは無いのかい」「君のはない。欲しいなら僕から割高で買うか、売店まで行って買ってこい」と言う。美味しそうにモナカのアイスを貪っている。別に食べる気はないから良い。そう思っている間に列車が動き出した。座席では稀代君がアイスを貪っているから座りたくない。見ていると腹が減って腹が立つ。田代、弥生が丘は警笛を鳴らして通過。基山で特急列車を躱してから、再び調子に乗って、けやき台を通過してそこそこ渋滞している国道三号線を尻目に原田に停車。続く天拝山は通過である。天拝山と言う駅は確かに天拝山には近いが近いと言うには少し離れている。ついでに言えば天拝山も天からは程遠い。そういえば千年の昔に官公がここでお参りした話を聞いたことがある。「官公が飛ばされなかったら武蔵山だったのか知ら」としかめっ面で考えているとまだアイスを貪っている稀代君が「なんだ怖い顔をして、もう着くぞ」と言った。知らない間にタバコの工場も過ぎていたらしい。もう列車は、二日市駅三番線に入ろうとしていた。
二日市駅はかつての総理大臣、佐藤栄作が駅長をしていたと言う話しを聞いたことがある。彼の偉業は二日市駅を構内から見て左手にある石碑にて刻んである。「腹が減った、早く出よう」とアイスの殻を持った稀代君を急かして改札を出ると夏らしい空が一杯に広がっていて、夏雲や青空が今にも溢れ出しそうなほどである。裏路地から大通りを渡って、商店街に入る。商店街はJR二日市駅から西鉄二日市駅までを曖昧に連絡している。だから人通りも少ない事はない。ちょっと歩いて「信濃庵」と言う蕎麦屋に入った。小さな蕎麦屋に身長181センチの稀代君は腰を曲げて入った。「大きいと、大変だね」「大変なんてもんじゃない。腰がすり減ってしまうから中身は老人だ」「なるほど」次の話題を切り出そうとした所で蕎麦屋のおやじが私の盛りそばを持ってきた。「君が先か」「待つよ」そう言ったらすぐに持ってきた。天ざるだった。そばを啜ることに集中して、20分かからない程度で出た。「今から御庭を見に行こう」そう言って2つ隣の「谷呉服店」というところに入った。
「こんにちは」「いらっしゃいまし。お探しものでしょうか」「いや、御庭を見学させて頂きたいのです」「なるほど、ではそちらで履物を脱がれてどうぞ奥へ」言われるがままに動いて、奥の和室に通された。「立派だな」「立派だな」「立派でしょう」「外にも出られますよ、どうぞ下駄をお履きになって」下駄なんぞ庭には無いと思っていると真下に下駄とスリッパがある。不意に稀代君が「僕はスリッパが良い。下駄は君が履け」と言った。「構わんが」「うん、馬鹿みたいだ」店員は少し進んでいる。「早くいらっしゃいまし」地面には飛び石が敷かれていて、下駄だからカツカツ言う。3つ4つ飛んで行くと青々しい紅葉が枝垂れていて、大男の稀代君は顔をしかめて、腰を屈んで潜った。抜けた所にそこそこ大きい蔵があって、「ここが蔵でございます」「古そうですね」「明治からじゃないか知ら」「成程」店員が蔵を開けた。色々物が転がっている。私と、稀代君と、店員と3人が蔵前で突っ立っていたので家宅捜索か差し押さえにあったような感じであった。店に帰る時、「ここは奈良式だか京都式だと庭師が言ってました」「素人には違いがわかりませんな」「そうだね」「私共もわかりません。」曖昧に話して、下駄を脱いで店に上がったら冷房が効いていて、だいぶ涼しかった。靴を履いて店を出た時に、「秋は紅葉が綺麗です。またお待ちしております」と店員が言っていた。「それじゃまた来ましょう。どうもありがとうございました」そう言って、駅に戻った。駅には梅ヶ枝餅を売っているので、2,3個買って電車を待つ間に頬張った。稀代君が羨ましそうにこちらを眺めていたが当然やらなかった。「汝、何故我に梅ヶ枝餅を与えんか?」「然るにモナカアイスの恨みは深いからである」「成程」曖昧に待っていると電車がホームに入ってきた。私と稀代君、それに幾数名を追加で乗せて8つ連なった鉄の箱は、再び動き始めた。
学校が終わって、そのまま鳥栖駅に行った。鳥栖駅からは快速列車で3駅、普通列車で6駅だったと思う。列車を待っていると稀代君が居なくなったと思ったらアイスを買ってきた。「おい、僕のは無いのかい」「君のはない。欲しいなら僕から割高で買うか、売店まで行って買ってこい」と言う。美味しそうにモナカのアイスを貪っている。別に食べる気はないから良い。そう思っている間に列車が動き出した。座席では稀代君がアイスを貪っているから座りたくない。見ていると腹が減って腹が立つ。田代、弥生が丘は警笛を鳴らして通過。基山で特急列車を躱してから、再び調子に乗って、けやき台を通過してそこそこ渋滞している国道三号線を尻目に原田に停車。続く天拝山は通過である。天拝山と言う駅は確かに天拝山には近いが近いと言うには少し離れている。ついでに言えば天拝山も天からは程遠い。そういえば千年の昔に官公がここでお参りした話を聞いたことがある。「官公が飛ばされなかったら武蔵山だったのか知ら」としかめっ面で考えているとまだアイスを貪っている稀代君が「なんだ怖い顔をして、もう着くぞ」と言った。知らない間にタバコの工場も過ぎていたらしい。もう列車は、二日市駅三番線に入ろうとしていた。
二日市駅はかつての総理大臣、佐藤栄作が駅長をしていたと言う話しを聞いたことがある。彼の偉業は二日市駅を構内から見て左手にある石碑にて刻んである。「腹が減った、早く出よう」とアイスの殻を持った稀代君を急かして改札を出ると夏らしい空が一杯に広がっていて、夏雲や青空が今にも溢れ出しそうなほどである。裏路地から大通りを渡って、商店街に入る。商店街はJR二日市駅から西鉄二日市駅までを曖昧に連絡している。だから人通りも少ない事はない。ちょっと歩いて「信濃庵」と言う蕎麦屋に入った。小さな蕎麦屋に身長181センチの稀代君は腰を曲げて入った。「大きいと、大変だね」「大変なんてもんじゃない。腰がすり減ってしまうから中身は老人だ」「なるほど」次の話題を切り出そうとした所で蕎麦屋のおやじが私の盛りそばを持ってきた。「君が先か」「待つよ」そう言ったらすぐに持ってきた。天ざるだった。そばを啜ることに集中して、20分かからない程度で出た。「今から御庭を見に行こう」そう言って2つ隣の「谷呉服店」というところに入った。
「こんにちは」「いらっしゃいまし。お探しものでしょうか」「いや、御庭を見学させて頂きたいのです」「なるほど、ではそちらで履物を脱がれてどうぞ奥へ」言われるがままに動いて、奥の和室に通された。「立派だな」「立派だな」「立派でしょう」「外にも出られますよ、どうぞ下駄をお履きになって」下駄なんぞ庭には無いと思っていると真下に下駄とスリッパがある。不意に稀代君が「僕はスリッパが良い。下駄は君が履け」と言った。「構わんが」「うん、馬鹿みたいだ」店員は少し進んでいる。「早くいらっしゃいまし」地面には飛び石が敷かれていて、下駄だからカツカツ言う。3つ4つ飛んで行くと青々しい紅葉が枝垂れていて、大男の稀代君は顔をしかめて、腰を屈んで潜った。抜けた所にそこそこ大きい蔵があって、「ここが蔵でございます」「古そうですね」「明治からじゃないか知ら」「成程」店員が蔵を開けた。色々物が転がっている。私と、稀代君と、店員と3人が蔵前で突っ立っていたので家宅捜索か差し押さえにあったような感じであった。店に帰る時、「ここは奈良式だか京都式だと庭師が言ってました」「素人には違いがわかりませんな」「そうだね」「私共もわかりません。」曖昧に話して、下駄を脱いで店に上がったら冷房が効いていて、だいぶ涼しかった。靴を履いて店を出た時に、「秋は紅葉が綺麗です。またお待ちしております」と店員が言っていた。「それじゃまた来ましょう。どうもありがとうございました」そう言って、駅に戻った。駅には梅ヶ枝餅を売っているので、2,3個買って電車を待つ間に頬張った。稀代君が羨ましそうにこちらを眺めていたが当然やらなかった。「汝、何故我に梅ヶ枝餅を与えんか?」「然るにモナカアイスの恨みは深いからである」「成程」曖昧に待っていると電車がホームに入ってきた。私と稀代君、それに幾数名を追加で乗せて8つ連なった鉄の箱は、再び動き始めた。
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