16 / 23
春日 秀紀
4
しおりを挟む
薮さんの家の次はもう少し山奥にある介護施設。
仕事を終えて施設を出たら、車に寄りかかってこっちを見てる雪矢くんがいた。
あれ?幻を見るほどまで怖がってたかな?
しかも高校生なんだから車の運転なんてできないはず。
あ、運転席に人がいる。寄りかかってるだけで雪矢くんの物に見えるんだから美形ってフシギ。
雪矢くんが警察手帳みたいに俺のスマホを見せた。
「駐車場に落ちてましたよ」
「え!?ありがとう。って、どこの?」
仕事中は車に置きっぱなしにしてて、最後に見たのは薮さんの家の駐車場。でもそれだとどうして雪矢くんが持ってるのか分からない。
「薮さんのですよ。
俺と雷打は数日前からそこの下宿人です」
そんな偶然ある!?
でもなるほど。雷ちゃんの癒しオーラは薮さんの笑顔まで引き出せるんだね。
「すごい偶然だね」
俺の言葉にも変わらず笑顔のままの雪矢くん。
「春日さんもどうですか?」
どういうつもりかも、なんて答えるのが正解かも分からなくて言葉が出ない。
雪矢くんが続ける。
「下宿できる部屋は4つあって、俺と雷打で一つ、」
言葉に続きがありそうなのに運転席のドアをノックした。運転手が静かに出てくる。
二人とも二月らしい服装。なんだけど。
ほわほわ暖かそうな服装の雪矢君と並んで立つと空気の重さが際立つ。
「薮さんの従弟と」
すでに運転手さんにされている従弟さんは雪矢くんのタイミングに合わせて挨拶をした。
「はじめまして」
声も言い方も意外と優しい。
免許持ってるってことは確実に雪矢くんより年上ってこと。俺と同じでこのオーラにやられたのかな。
分かるよその気持ちって親近感が湧く。
「どうも、はじめまして」
雪矢くんはさらに続ける。
「あとは薮さんの高校の先輩が4月から入ることが決まってます。
薮さんのお母さんが勝手に入居者を連れて来てしまう前に部屋を埋めたいんです」
「それで、俺?」
雪矢くんが可愛く頷く。
「薮さんとも知り合いなんですよね。さっき知ってびっくりしました。
それで春日さんがいいなって思って」
拝むように両手を合わせてほんの少しだけ首を傾けた。普段の完成されたオーラからのギャップでかわいさが際立つ。
「薮さんがそう言ったの?」
雪矢くんが一回首を振った。
「早く満室にしようっていうのは薮さんの先輩が。春日さんがいいなっていうのは俺が勝手に言ってるだけです。
いろんな事情でご飯を作るのは雷打って決まってて、知らない人だと雷打も気を使うだろうから心配で」
雪矢君が珍しく目を伏せた。
きっと家を広く使えるように家を出て、家事手伝いで家賃をゼロにしてるんだ。
雪矢君だってここから学校に通うのは大変だろうに、雷ちゃんのために入居したんだろうな。
優しい雷ちゃんも、これでいて本当に弟想いなだけの雪矢くんも守りたいと思った。
仕事を終えて施設を出たら、車に寄りかかってこっちを見てる雪矢くんがいた。
あれ?幻を見るほどまで怖がってたかな?
しかも高校生なんだから車の運転なんてできないはず。
あ、運転席に人がいる。寄りかかってるだけで雪矢くんの物に見えるんだから美形ってフシギ。
雪矢くんが警察手帳みたいに俺のスマホを見せた。
「駐車場に落ちてましたよ」
「え!?ありがとう。って、どこの?」
仕事中は車に置きっぱなしにしてて、最後に見たのは薮さんの家の駐車場。でもそれだとどうして雪矢くんが持ってるのか分からない。
「薮さんのですよ。
俺と雷打は数日前からそこの下宿人です」
そんな偶然ある!?
でもなるほど。雷ちゃんの癒しオーラは薮さんの笑顔まで引き出せるんだね。
「すごい偶然だね」
俺の言葉にも変わらず笑顔のままの雪矢くん。
「春日さんもどうですか?」
どういうつもりかも、なんて答えるのが正解かも分からなくて言葉が出ない。
雪矢くんが続ける。
「下宿できる部屋は4つあって、俺と雷打で一つ、」
言葉に続きがありそうなのに運転席のドアをノックした。運転手が静かに出てくる。
二人とも二月らしい服装。なんだけど。
ほわほわ暖かそうな服装の雪矢君と並んで立つと空気の重さが際立つ。
「薮さんの従弟と」
すでに運転手さんにされている従弟さんは雪矢くんのタイミングに合わせて挨拶をした。
「はじめまして」
声も言い方も意外と優しい。
免許持ってるってことは確実に雪矢くんより年上ってこと。俺と同じでこのオーラにやられたのかな。
分かるよその気持ちって親近感が湧く。
「どうも、はじめまして」
雪矢くんはさらに続ける。
「あとは薮さんの高校の先輩が4月から入ることが決まってます。
薮さんのお母さんが勝手に入居者を連れて来てしまう前に部屋を埋めたいんです」
「それで、俺?」
雪矢くんが可愛く頷く。
「薮さんとも知り合いなんですよね。さっき知ってびっくりしました。
それで春日さんがいいなって思って」
拝むように両手を合わせてほんの少しだけ首を傾けた。普段の完成されたオーラからのギャップでかわいさが際立つ。
「薮さんがそう言ったの?」
雪矢くんが一回首を振った。
「早く満室にしようっていうのは薮さんの先輩が。春日さんがいいなっていうのは俺が勝手に言ってるだけです。
いろんな事情でご飯を作るのは雷打って決まってて、知らない人だと雷打も気を使うだろうから心配で」
雪矢君が珍しく目を伏せた。
きっと家を広く使えるように家を出て、家事手伝いで家賃をゼロにしてるんだ。
雪矢君だってここから学校に通うのは大変だろうに、雷ちゃんのために入居したんだろうな。
優しい雷ちゃんも、これでいて本当に弟想いなだけの雪矢くんも守りたいと思った。
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる