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第4章:休戦の末に
第38話:最後は私が責任を取らなくちゃ
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司令官室を出た4人の中隊長は揃って格納庫群まで向かう。道すがら、フレミングが口を開いた。
「マクスウェル先輩、私達がD-10からD-12格納庫を使ってもいいですか?」
ベンガヴァルにある3列の格納庫群のうち、第1滑走路北辺にあるB格納庫群は001Wが、第2滑走路西辺にあるC格納庫群は010Wが、そして第2滑走路東辺にあるD格納庫群は000Wが、それぞれ利用している。各格納庫群はそれぞれ12の格納庫から構成されており、D格納庫群については、ファラデー中隊がD-1からD-3、テイラー中隊がD-4からD-6、フレミング中隊がD-11とD-12格納庫をそれぞれ利用している。ゆえに、現在のところ空いているD-10格納庫をフレミング中隊が、D-7からD-9格納庫をマクスウェル中隊が利用することはほぼ規定路線である。
「あぁ、アタシは別に構わないぞ」
従ってフレミングが敢えて断るまでもなくマクスウェルは快諾するが、まぁこれは、フレミングなりの仁義の示し様なのであろう。
3人の先輩達と分かれてから、いや本当は司令官室にいる時から、中隊編成の件がフレミングの頭の中を占めている。再編方針には基本的に3つのパターンが考えられる。補充された4人で新小隊を構成し、既存の2個小隊はそのまま残すパターン。トリチェリ先輩を新小隊の小隊長にして、補充の4人を適宜フレミング小隊とトリチェリ小隊に充当するパターン。そして、ガリレイ先輩を新小隊の隊長にするパターンの3通りである。それぞれ、『新小隊案』、『トリチェリ小隊案』、『ガリレイ小隊案』とでも名付けることができようか。
新小隊案の最大のメリットは、既存2小隊に全く手を加える必要がないことである。何しろ、8機で22対0のスコアを挙げたフレミング中隊である。既存2個小隊の連携運動には不安材料が見当たらない。むしろ、今後も最大の戦果を期待するのであれば、この2個小隊を残しておくことが望ましい。しかしながら、新設される小隊には不安が残る。何しろこの小隊はバーラタ航空宇宙軍初の、42期生だけの小隊になるからである。フレミング小隊ですら、小隊長は42期生のフレミングではあるが40期のトリチェリ先輩がフォローしてくれている。ましてや、実戦経験もない新卒パイロットだけで小隊編成をしてもよいものであろうか。マクスウェル中隊にはマクスウェルを含めて6人の41期生-実戦経験者-が配属されているのだから、せめてこのうち1人くらいはフレミング中隊に廻しても良さそうなものであるが、この辺り、司令官閣下はどのように考えているのであろうか。
トリチェリ小隊案のメリットは、少なくともパパン小隊には手を加えずに済むことと、新設小隊の小隊長に実戦経験のある40期生を任命することができること。逆にこの案の最大のデメリットは、トリチェリ編隊を放出したフレミング小隊が42期生だけの小隊になってしまうことである。「私なら大丈夫」などという傲慢さとは今のところ無縁の中隊長ではあるが「キルヒーがいてくれれば大丈夫」であるようには思える。実際のところフレミングとキルヒホッフのコンビは、過去2度の実戦においてそれぞれに戦果を挙げてきたことは周知の事実であり、フレミングのこの観測を傲慢と捉えるものはいないであろう。尚、この案の派生としてはキルヒホッフを編隊長にする案も考えられるが、赤髪と金髪の連携効果を最大限に活かすのはどちらであろうか。思案どころではある。
ガリレイ小隊案は他の2案に比べると非常にバランスが良い。各小隊に均等に40期生と実戦経験者が配置されている。パパン小隊の戦力低下は否めないが、中隊の中核たるフレミング小隊が固定されているのは心強い。あれでガリレイ先輩は意外と面倒見が良い、とはトリチェリ先輩の評であったが、そうであれば小隊長の任も充分に果たしてくれるに違いない。幻影は瞬間湯沸かし器の暴走を抑える役割を果たしてきたとも聞いていたフレミングであるが、訓練や実戦を見る限りは、ガリレイ先輩の不在がパパン先輩を不安定にさせる心配は無さそうである。
あとは実際に配属された4人と各案をどのように組み合わせるか。幸いなことに司令官閣下は、フレミング中隊に配属させた4人の42期生について、特別な配慮をしてくれていたようである。
補充要員の1人目は42期席次15位のボースである。ボースはあの空戦実技競技会におけるキルヒホッフの緒戦の対戦相手であった。キルヒホッフを相手に敗退したとは言え、16人しか参加できない決勝トーナメントに進出した彼女の操縦技術の確かさは、彼女の愛機の機種左側に描かれている校章が示していると言えよう。幼い頃からフィギュアスケートを習っていたという彼女の得意技は4回転サルコウ。フィギュアスケートで鍛えた空中での平衡感覚が、彼女の操縦技術の根幹を支えている。
2人目は席次27位のミリカン。航空士官学校時代はボースの僚機を務めていた。実験狂との綽名がつけられている彼女は、例え講義で学習した機動であっても実際に自分で試してみるまでは信用できないという根っからの実戦派である。本人は論理的思考を得意とすると自負しているようであるが、周囲の評価はいわゆる『脳筋』、すなわち体で覚えるタイプである。ミリカンの、金属のような光沢をもつ美しい銀灰色の髪は42期で5本の指に入ると評判の美しさであるが、本人は「白黒はっきりしない色だから嫌い」と不満であると言う。そんなところも彼女が、自分自身の理性と感性のギャップに違和感を覚えていることの証明であろうか。
3人目は席次41位のトムソン。42期随一の「ばらまき女王」と呼ばれる彼女が派手にばら撒く物はミサイルと機銃弾。周囲からは無駄弾が多いと批判されることもあるが、当の本人は「全ては所詮確率論」と涼し気である。尤も航空士官学校では、その機銃掃射による弾幕の厚さを教官達から高く評価されていたものでもあった。そんなトムソンの好物はぶどうパン。本人曰くその理由は「だって、どこにいるか分からないけど、食べた時に口に入ると嬉しいでしょ?」とのことであったが、級友が「それならチョコチップクッキーだって一緒じゃない?」と問うた際の返答は、要領を得ないものであったらしい。同期生達の専らの噂ではトムソンの自己愛が理由、すなわちドメーヌワインのように明るい紫赤の髪を自分自身気に入っているから『ぶどう』なのだ、ということになっている。
4人目の補充要員は席次68位のマイトナーである。航空士官学校時代にはトムソンの僚機であった彼女の機動は、よく言えば基本に忠実で堅実、有り体に言えば教科書的に過ぎて機動が読みやすい、との評価であった。一方で、編隊長の動きをよく見てこれに追随することは得意としており、小隊長あるいは編隊長に人を得れば彼女の実力は充分に発揮されることであろう。マイトナー本人は「綽名をつけるのが得意」と自負しており、そんなところにも他人をよく観察している彼女の性質が出ているようではあるが、残念なことに彼女にはそのつけた綽名を流行らせる能力が備わっていないようであった。彼女がつけた綽名の中で最も人気があったのは『ラグ』。これは本名の『ラグランジュ』より呼びやすいとの理由であったが、その他に考案した『フレみん』『キルキル』『ケプたん』『ボルティー』などはみな不採用であった。今のところトムソンとのコンビは良好のようである。
さて、要するに司令官閣下の特別な配慮とはこういうことである。4人の42期生のうち、ボースとミリカン、トムソンとマイトナーはそれぞれ、航空士官学校時代から編隊を組んでいる関係にあるのだ。少なくとも、編隊機動の訓練に関しては、充分とは言えないまでもそれなりの飛行時間を経験している4人である。ここはそれぞれのコンビを温存する方が吉であろうし、司令官閣下も恐らく、フレミングの負担を軽くするためにこの4人を配属してくれたことであろう。少なくともこれで、中隊の最小単位である編隊編成は定まった。あとはどのような小隊を構成するか……
あるいはパイロットは、大別すると感覚派と理論派に分けられるかもしれない。無論両者は二律背反の関係ではないが、どちらの成分がより多くを占めているかはパイロットによって異なる。例えばフレミングは感覚派の最右翼である一方、トリチェリ先輩やケプラーは理論派であり、キルヒホッフは両者のバランスが程よく取れたバランス派であると言えよう。このような見方をした場合、小隊編成は同じ派で固めた方が好ましいのか、あるいはバランスよく配置した方が好ましいのか。フィギュアスケートで培った平衡感覚を重んじるボースと『脳筋』ミリカンは共に感覚派、確率論を重んじるトムソンと堅実機動のマイトナーは理論派に分類することができようが、さてこの辺りをどのように考えるべきか。
フレミングは中隊にいる3人の先輩達に相談しようかとも考えたが、それは止めることにした。仮に3人の先輩がそれぞれ違うことを言った時、結局最後に悩むのはフレミング自身なのだ。しかもその時には、現在の悩み事に新たな心配事が加わってしまう。そう、誰の意見を採用するのか、採用されなかった先輩はどう思うのか、と。あるいは先輩達の意見と自分の考えが違った時、自分はどちらを優先すべきなのか、先輩の意見に従った結果について、自分は責任を取る覚悟があるのか、という心配が。パルティル司令官は『全責任は私が取る』と言ってくれたが……
「最後は私が責任を取らなくちゃ」
そう決意した赤髪の中隊長は、誰にも-無論、ファラデー先輩や他の中隊長にも-相談せず、一人で結論を出すことにした。
******************************
フレミングは、自身が出した結論について事前に司令官閣下に報告した後、整備士を含む全中隊メンバーをD-12格納庫に集めて説明することにした。司令官閣下はフレミングの案に賛意を示した後改めて「全責任を取るから安心しろ」と言ってくれたが、今やフレミングに迷いはない。
赤髪の中隊長が中隊メンバーへの報告を開始する。
「まずは報告ね。うちの中隊にも1個小隊が補充されたわ。使用する格納庫はD-10からD-12格納庫ね」
おぉっ、という声がどこからともなく挙がる。ようやくフレミング中隊も通常編成になるのだ。こやっさんなどは既に「お嬢が正規の中隊長に」などと言って瞳を潤ませているようである。
「それでは、新任のパイロットを紹介するね。みんな、前に出てきて」
4人の42期パイロットを促したフレミングは、1人づつ紹介していく。
「まずはボース少尉。42期の席次は……何位だっけ? まっ、いっか。ボースはフィギュアスケートやってたんだって。凄いよね」
中隊長に紹介されたボースが一歩前に出て挨拶する。
「ボース少尉です。中隊長のご紹介通り、フィギュアスケートをやってましたので、空中感覚には少し自信があります。どうぞよろしくお願いします」
「次は実験狂のミリカン少尉。学生時代ミリカンはボースと組んでたんだよね。うちでも2人で組んでもらうから、よろしく」
ボースに続きミリカンが一歩前に出て挨拶する。
「ミリカン少尉です。ボース少尉の僚機を務めていました。どうぞよろしく」
「そう言えば、ボースとミリカンって、髪の色もどことなく似てるよねぇ?」
ボースの霜青色の髪とミリカンの銀灰色の髪は、光の加減によっては似た色合いに見えなくもない。中隊長の個人的な感想に一瞬場が和むが、一部の勘の鋭い整備士には嫌な予感が襲い掛かっているようである。
「その次はトムソン少尉ね。トムソンはぶどうパンが好きなんだって。ねぇ、どうして?」
そんな雑な紹介にも関わらず、真面目な顔をしてトムソンが挨拶する。
「トムソン少尉です。機銃弾をばら撒くのが趣味です。ぶどうパンは……とにかく、よろしくお願いします」
「ばらまき女王って呼ばれてたあれ、趣味だったんだぁ~。でも先生からの評価は結構良かったよね?」
遅ればせながらの中隊長のフォローに、トムソンがはにかみながら頷く。
「最後はマイトナー少尉。マイトナーは私のことを『フレみん』って呼ぶんだけど、そんな呼び方するのはマイトナーだけなの」
だんだん雑になる紹介を意に介さず、マイトナーが挨拶する。
「マイトナー少尉です。航空士官学校ではトムソン少尉の僚機でした。よろしくお願いします」
大事なことを言い忘れていたフレミングが慌てて付け加える。
「あぁ、そうだった。言うの忘れてた……トムソンとマイトナーには、うちの中隊でも組んでもらうね」
両少尉が無言で頷く。
「そう言えば、2人の髪の色も同じ系統だよね」
トムソンの紫赤とマイトナーの辰砂色はどちらも赤系統の色合いである。
「じゃぁ、みんな。とりあえず4人の着任を、拍手でお祝いしてくれる?」
一斉に拍手が鳴り始める中、4人の少尉が頭をさげる。
「さて……」
中隊長が口を開くと場が一斉に鎮まる。中隊長の本題はここからなのだ。
「それじゃぁ、小隊編成のことなんだけど……ガリレイ先輩に小隊長をお願いしたいんですけど、引き受けてもらえますか、先輩?」
フレミングは『ガリレイ小隊案』を選択したのである。3案の中では最もバランスに優れた案であろう。
「ガリレイに任せて」
常のガリレイには珍しく、短いが力強い同意が返ってきた。トリチェリ先輩の言ってた通り、ガリレイ先輩は後輩想いなのだろう。フレミングの決断を全力で応援してくれるというその意思が、ガリレイ先輩の返答には込められていたようである。
「ガリレイ先輩、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げたフレミングが続ける。
「ガリレイ先輩の僚機にはプランク少尉、よろしくね!」
この2人の連携は、今やこの2人しか実現できない芸術の領域に近づいている様子である。
「Black Jack !」
相変わらずよく分からないプランクの返答であるが、恐らく『最善手』くらいの意味合いなのであろう。何故『Royal Flush』でもなければ『天和』でもないのか不明だが、少なくとも『Burst!』と返されるよりはましであろう。
「ガリレイ先輩とプランク少尉には申し訳無いのだけれど、ガリレイ小隊にはD-10格納庫を使ってもらいます」
無言で頷く2人を見て安堵したフレミングは、次の指示に移る。
「それから、パパン先輩の小隊にはボース-ミリカン編隊に、ガリレイ先輩の小隊にはトムソン-マイトナー編隊に、それぞれ加わってもらいます」
パパンもカルマンも、どちらかと言えば-パパン先輩の熱い性格を除けば-理論派に分類されよう。一方のガリレイとプランクは、こちらは誰がどう見ても感覚派。この2つの小隊を編成するに当たってフレミングは、ここでもバランスを重視した。すなわち、理論派のパパン編隊には感覚派のボース編隊を、感覚派のガリレイ編隊には理論派のトムソン編隊を、それぞれ組ませることとしたのである。
「明日からの訓練は、この新しい編成で行います。みんな、今日の内によくミーティングしておいてね」
明日からはこの12人でファラデー先輩やテイラー先輩、マクスウェル先輩の中隊と、中隊規模のシミュレータ訓練を行うことになる。また明日になれば、こやっさんに頼んでおいた新機能も追加されることであろう。
「休戦明けまであと3日、3日後の21日1200時を過ぎれば、敵はまた攻撃を再開してくるわ。残された時間は少ないけれど、少しでも練度を上げておこう」
その場にいる全員が中隊長に敬礼する。捧げられた赤髪は少し恥ずかしそうに答礼しながら口を開いた。
「みんな、よろしくね」
フレミングが解散を宣言しようかと思ったその時、澄み切った清流のような透明感のある声が格納庫内に響いた。
「中隊長、意見具申!」
珍しくケプラーが率先して挙手をしているのを見たフレミングは、嬉しそうに問う。
「なぁに、ケプラー?」
意見具申、などと言っておきながらケプラーは、4人の新任パイロットに向かって宣言する。
「みんなが配属になったロリポップ中隊では、乗機をパーソナルカラーで仕上げるのが決まりなんだよ」
そうなの?と不思議そうな目つきでケプラーを見る4人の新人中隊メンバーを代弁するかのように、愛機を激しく明るいオレンジ色
に塗装している先輩が口を挟む。
「ちょっ、ケプラー、そんな決まりは別に……」
「えぇ、パパン先輩ぃ~、だって副司令官からの命令だって聞いてますよ。ねぇ、フレミングちゃん、そうだよねぇ~?」
今や中隊長に対する口調を忘れてしまった水色に、赤髪のルームメイトが中途半端な返答をする。
「え? あぁ……多分……そうかな?」
「ほらぁ~、中隊長もそう言ってるんだし、パーソナルカラーは私が決めてあげますね!」
今やロリポップ中隊の専任カラーデザイナーを自任するケプラーが宣言する。そんなケプラーの様子に力なく頷くフレミングを見たケプラーが、次々に機体色を指定していく。
「ボースちゃんは霜青色、白立ち上げのグラデーションで」
「ミリカンちゃんは光沢仕上の銀灰色」
「トムソンちゃんはマット塗装の紫赤」
「マイトナーちゃんは辰砂色、つや消しと光沢のツートンで」
それぞれの指定色を慌ててメモする機付長達の姿も、今やフレミング中隊の名物となっていた。
「マクスウェル先輩、私達がD-10からD-12格納庫を使ってもいいですか?」
ベンガヴァルにある3列の格納庫群のうち、第1滑走路北辺にあるB格納庫群は001Wが、第2滑走路西辺にあるC格納庫群は010Wが、そして第2滑走路東辺にあるD格納庫群は000Wが、それぞれ利用している。各格納庫群はそれぞれ12の格納庫から構成されており、D格納庫群については、ファラデー中隊がD-1からD-3、テイラー中隊がD-4からD-6、フレミング中隊がD-11とD-12格納庫をそれぞれ利用している。ゆえに、現在のところ空いているD-10格納庫をフレミング中隊が、D-7からD-9格納庫をマクスウェル中隊が利用することはほぼ規定路線である。
「あぁ、アタシは別に構わないぞ」
従ってフレミングが敢えて断るまでもなくマクスウェルは快諾するが、まぁこれは、フレミングなりの仁義の示し様なのであろう。
3人の先輩達と分かれてから、いや本当は司令官室にいる時から、中隊編成の件がフレミングの頭の中を占めている。再編方針には基本的に3つのパターンが考えられる。補充された4人で新小隊を構成し、既存の2個小隊はそのまま残すパターン。トリチェリ先輩を新小隊の小隊長にして、補充の4人を適宜フレミング小隊とトリチェリ小隊に充当するパターン。そして、ガリレイ先輩を新小隊の隊長にするパターンの3通りである。それぞれ、『新小隊案』、『トリチェリ小隊案』、『ガリレイ小隊案』とでも名付けることができようか。
新小隊案の最大のメリットは、既存2小隊に全く手を加える必要がないことである。何しろ、8機で22対0のスコアを挙げたフレミング中隊である。既存2個小隊の連携運動には不安材料が見当たらない。むしろ、今後も最大の戦果を期待するのであれば、この2個小隊を残しておくことが望ましい。しかしながら、新設される小隊には不安が残る。何しろこの小隊はバーラタ航空宇宙軍初の、42期生だけの小隊になるからである。フレミング小隊ですら、小隊長は42期生のフレミングではあるが40期のトリチェリ先輩がフォローしてくれている。ましてや、実戦経験もない新卒パイロットだけで小隊編成をしてもよいものであろうか。マクスウェル中隊にはマクスウェルを含めて6人の41期生-実戦経験者-が配属されているのだから、せめてこのうち1人くらいはフレミング中隊に廻しても良さそうなものであるが、この辺り、司令官閣下はどのように考えているのであろうか。
トリチェリ小隊案のメリットは、少なくともパパン小隊には手を加えずに済むことと、新設小隊の小隊長に実戦経験のある40期生を任命することができること。逆にこの案の最大のデメリットは、トリチェリ編隊を放出したフレミング小隊が42期生だけの小隊になってしまうことである。「私なら大丈夫」などという傲慢さとは今のところ無縁の中隊長ではあるが「キルヒーがいてくれれば大丈夫」であるようには思える。実際のところフレミングとキルヒホッフのコンビは、過去2度の実戦においてそれぞれに戦果を挙げてきたことは周知の事実であり、フレミングのこの観測を傲慢と捉えるものはいないであろう。尚、この案の派生としてはキルヒホッフを編隊長にする案も考えられるが、赤髪と金髪の連携効果を最大限に活かすのはどちらであろうか。思案どころではある。
ガリレイ小隊案は他の2案に比べると非常にバランスが良い。各小隊に均等に40期生と実戦経験者が配置されている。パパン小隊の戦力低下は否めないが、中隊の中核たるフレミング小隊が固定されているのは心強い。あれでガリレイ先輩は意外と面倒見が良い、とはトリチェリ先輩の評であったが、そうであれば小隊長の任も充分に果たしてくれるに違いない。幻影は瞬間湯沸かし器の暴走を抑える役割を果たしてきたとも聞いていたフレミングであるが、訓練や実戦を見る限りは、ガリレイ先輩の不在がパパン先輩を不安定にさせる心配は無さそうである。
あとは実際に配属された4人と各案をどのように組み合わせるか。幸いなことに司令官閣下は、フレミング中隊に配属させた4人の42期生について、特別な配慮をしてくれていたようである。
補充要員の1人目は42期席次15位のボースである。ボースはあの空戦実技競技会におけるキルヒホッフの緒戦の対戦相手であった。キルヒホッフを相手に敗退したとは言え、16人しか参加できない決勝トーナメントに進出した彼女の操縦技術の確かさは、彼女の愛機の機種左側に描かれている校章が示していると言えよう。幼い頃からフィギュアスケートを習っていたという彼女の得意技は4回転サルコウ。フィギュアスケートで鍛えた空中での平衡感覚が、彼女の操縦技術の根幹を支えている。
2人目は席次27位のミリカン。航空士官学校時代はボースの僚機を務めていた。実験狂との綽名がつけられている彼女は、例え講義で学習した機動であっても実際に自分で試してみるまでは信用できないという根っからの実戦派である。本人は論理的思考を得意とすると自負しているようであるが、周囲の評価はいわゆる『脳筋』、すなわち体で覚えるタイプである。ミリカンの、金属のような光沢をもつ美しい銀灰色の髪は42期で5本の指に入ると評判の美しさであるが、本人は「白黒はっきりしない色だから嫌い」と不満であると言う。そんなところも彼女が、自分自身の理性と感性のギャップに違和感を覚えていることの証明であろうか。
3人目は席次41位のトムソン。42期随一の「ばらまき女王」と呼ばれる彼女が派手にばら撒く物はミサイルと機銃弾。周囲からは無駄弾が多いと批判されることもあるが、当の本人は「全ては所詮確率論」と涼し気である。尤も航空士官学校では、その機銃掃射による弾幕の厚さを教官達から高く評価されていたものでもあった。そんなトムソンの好物はぶどうパン。本人曰くその理由は「だって、どこにいるか分からないけど、食べた時に口に入ると嬉しいでしょ?」とのことであったが、級友が「それならチョコチップクッキーだって一緒じゃない?」と問うた際の返答は、要領を得ないものであったらしい。同期生達の専らの噂ではトムソンの自己愛が理由、すなわちドメーヌワインのように明るい紫赤の髪を自分自身気に入っているから『ぶどう』なのだ、ということになっている。
4人目の補充要員は席次68位のマイトナーである。航空士官学校時代にはトムソンの僚機であった彼女の機動は、よく言えば基本に忠実で堅実、有り体に言えば教科書的に過ぎて機動が読みやすい、との評価であった。一方で、編隊長の動きをよく見てこれに追随することは得意としており、小隊長あるいは編隊長に人を得れば彼女の実力は充分に発揮されることであろう。マイトナー本人は「綽名をつけるのが得意」と自負しており、そんなところにも他人をよく観察している彼女の性質が出ているようではあるが、残念なことに彼女にはそのつけた綽名を流行らせる能力が備わっていないようであった。彼女がつけた綽名の中で最も人気があったのは『ラグ』。これは本名の『ラグランジュ』より呼びやすいとの理由であったが、その他に考案した『フレみん』『キルキル』『ケプたん』『ボルティー』などはみな不採用であった。今のところトムソンとのコンビは良好のようである。
さて、要するに司令官閣下の特別な配慮とはこういうことである。4人の42期生のうち、ボースとミリカン、トムソンとマイトナーはそれぞれ、航空士官学校時代から編隊を組んでいる関係にあるのだ。少なくとも、編隊機動の訓練に関しては、充分とは言えないまでもそれなりの飛行時間を経験している4人である。ここはそれぞれのコンビを温存する方が吉であろうし、司令官閣下も恐らく、フレミングの負担を軽くするためにこの4人を配属してくれたことであろう。少なくともこれで、中隊の最小単位である編隊編成は定まった。あとはどのような小隊を構成するか……
あるいはパイロットは、大別すると感覚派と理論派に分けられるかもしれない。無論両者は二律背反の関係ではないが、どちらの成分がより多くを占めているかはパイロットによって異なる。例えばフレミングは感覚派の最右翼である一方、トリチェリ先輩やケプラーは理論派であり、キルヒホッフは両者のバランスが程よく取れたバランス派であると言えよう。このような見方をした場合、小隊編成は同じ派で固めた方が好ましいのか、あるいはバランスよく配置した方が好ましいのか。フィギュアスケートで培った平衡感覚を重んじるボースと『脳筋』ミリカンは共に感覚派、確率論を重んじるトムソンと堅実機動のマイトナーは理論派に分類することができようが、さてこの辺りをどのように考えるべきか。
フレミングは中隊にいる3人の先輩達に相談しようかとも考えたが、それは止めることにした。仮に3人の先輩がそれぞれ違うことを言った時、結局最後に悩むのはフレミング自身なのだ。しかもその時には、現在の悩み事に新たな心配事が加わってしまう。そう、誰の意見を採用するのか、採用されなかった先輩はどう思うのか、と。あるいは先輩達の意見と自分の考えが違った時、自分はどちらを優先すべきなのか、先輩の意見に従った結果について、自分は責任を取る覚悟があるのか、という心配が。パルティル司令官は『全責任は私が取る』と言ってくれたが……
「最後は私が責任を取らなくちゃ」
そう決意した赤髪の中隊長は、誰にも-無論、ファラデー先輩や他の中隊長にも-相談せず、一人で結論を出すことにした。
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フレミングは、自身が出した結論について事前に司令官閣下に報告した後、整備士を含む全中隊メンバーをD-12格納庫に集めて説明することにした。司令官閣下はフレミングの案に賛意を示した後改めて「全責任を取るから安心しろ」と言ってくれたが、今やフレミングに迷いはない。
赤髪の中隊長が中隊メンバーへの報告を開始する。
「まずは報告ね。うちの中隊にも1個小隊が補充されたわ。使用する格納庫はD-10からD-12格納庫ね」
おぉっ、という声がどこからともなく挙がる。ようやくフレミング中隊も通常編成になるのだ。こやっさんなどは既に「お嬢が正規の中隊長に」などと言って瞳を潤ませているようである。
「それでは、新任のパイロットを紹介するね。みんな、前に出てきて」
4人の42期パイロットを促したフレミングは、1人づつ紹介していく。
「まずはボース少尉。42期の席次は……何位だっけ? まっ、いっか。ボースはフィギュアスケートやってたんだって。凄いよね」
中隊長に紹介されたボースが一歩前に出て挨拶する。
「ボース少尉です。中隊長のご紹介通り、フィギュアスケートをやってましたので、空中感覚には少し自信があります。どうぞよろしくお願いします」
「次は実験狂のミリカン少尉。学生時代ミリカンはボースと組んでたんだよね。うちでも2人で組んでもらうから、よろしく」
ボースに続きミリカンが一歩前に出て挨拶する。
「ミリカン少尉です。ボース少尉の僚機を務めていました。どうぞよろしく」
「そう言えば、ボースとミリカンって、髪の色もどことなく似てるよねぇ?」
ボースの霜青色の髪とミリカンの銀灰色の髪は、光の加減によっては似た色合いに見えなくもない。中隊長の個人的な感想に一瞬場が和むが、一部の勘の鋭い整備士には嫌な予感が襲い掛かっているようである。
「その次はトムソン少尉ね。トムソンはぶどうパンが好きなんだって。ねぇ、どうして?」
そんな雑な紹介にも関わらず、真面目な顔をしてトムソンが挨拶する。
「トムソン少尉です。機銃弾をばら撒くのが趣味です。ぶどうパンは……とにかく、よろしくお願いします」
「ばらまき女王って呼ばれてたあれ、趣味だったんだぁ~。でも先生からの評価は結構良かったよね?」
遅ればせながらの中隊長のフォローに、トムソンがはにかみながら頷く。
「最後はマイトナー少尉。マイトナーは私のことを『フレみん』って呼ぶんだけど、そんな呼び方するのはマイトナーだけなの」
だんだん雑になる紹介を意に介さず、マイトナーが挨拶する。
「マイトナー少尉です。航空士官学校ではトムソン少尉の僚機でした。よろしくお願いします」
大事なことを言い忘れていたフレミングが慌てて付け加える。
「あぁ、そうだった。言うの忘れてた……トムソンとマイトナーには、うちの中隊でも組んでもらうね」
両少尉が無言で頷く。
「そう言えば、2人の髪の色も同じ系統だよね」
トムソンの紫赤とマイトナーの辰砂色はどちらも赤系統の色合いである。
「じゃぁ、みんな。とりあえず4人の着任を、拍手でお祝いしてくれる?」
一斉に拍手が鳴り始める中、4人の少尉が頭をさげる。
「さて……」
中隊長が口を開くと場が一斉に鎮まる。中隊長の本題はここからなのだ。
「それじゃぁ、小隊編成のことなんだけど……ガリレイ先輩に小隊長をお願いしたいんですけど、引き受けてもらえますか、先輩?」
フレミングは『ガリレイ小隊案』を選択したのである。3案の中では最もバランスに優れた案であろう。
「ガリレイに任せて」
常のガリレイには珍しく、短いが力強い同意が返ってきた。トリチェリ先輩の言ってた通り、ガリレイ先輩は後輩想いなのだろう。フレミングの決断を全力で応援してくれるというその意思が、ガリレイ先輩の返答には込められていたようである。
「ガリレイ先輩、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げたフレミングが続ける。
「ガリレイ先輩の僚機にはプランク少尉、よろしくね!」
この2人の連携は、今やこの2人しか実現できない芸術の領域に近づいている様子である。
「Black Jack !」
相変わらずよく分からないプランクの返答であるが、恐らく『最善手』くらいの意味合いなのであろう。何故『Royal Flush』でもなければ『天和』でもないのか不明だが、少なくとも『Burst!』と返されるよりはましであろう。
「ガリレイ先輩とプランク少尉には申し訳無いのだけれど、ガリレイ小隊にはD-10格納庫を使ってもらいます」
無言で頷く2人を見て安堵したフレミングは、次の指示に移る。
「それから、パパン先輩の小隊にはボース-ミリカン編隊に、ガリレイ先輩の小隊にはトムソン-マイトナー編隊に、それぞれ加わってもらいます」
パパンもカルマンも、どちらかと言えば-パパン先輩の熱い性格を除けば-理論派に分類されよう。一方のガリレイとプランクは、こちらは誰がどう見ても感覚派。この2つの小隊を編成するに当たってフレミングは、ここでもバランスを重視した。すなわち、理論派のパパン編隊には感覚派のボース編隊を、感覚派のガリレイ編隊には理論派のトムソン編隊を、それぞれ組ませることとしたのである。
「明日からの訓練は、この新しい編成で行います。みんな、今日の内によくミーティングしておいてね」
明日からはこの12人でファラデー先輩やテイラー先輩、マクスウェル先輩の中隊と、中隊規模のシミュレータ訓練を行うことになる。また明日になれば、こやっさんに頼んでおいた新機能も追加されることであろう。
「休戦明けまであと3日、3日後の21日1200時を過ぎれば、敵はまた攻撃を再開してくるわ。残された時間は少ないけれど、少しでも練度を上げておこう」
その場にいる全員が中隊長に敬礼する。捧げられた赤髪は少し恥ずかしそうに答礼しながら口を開いた。
「みんな、よろしくね」
フレミングが解散を宣言しようかと思ったその時、澄み切った清流のような透明感のある声が格納庫内に響いた。
「中隊長、意見具申!」
珍しくケプラーが率先して挙手をしているのを見たフレミングは、嬉しそうに問う。
「なぁに、ケプラー?」
意見具申、などと言っておきながらケプラーは、4人の新任パイロットに向かって宣言する。
「みんなが配属になったロリポップ中隊では、乗機をパーソナルカラーで仕上げるのが決まりなんだよ」
そうなの?と不思議そうな目つきでケプラーを見る4人の新人中隊メンバーを代弁するかのように、愛機を激しく明るいオレンジ色
に塗装している先輩が口を挟む。
「ちょっ、ケプラー、そんな決まりは別に……」
「えぇ、パパン先輩ぃ~、だって副司令官からの命令だって聞いてますよ。ねぇ、フレミングちゃん、そうだよねぇ~?」
今や中隊長に対する口調を忘れてしまった水色に、赤髪のルームメイトが中途半端な返答をする。
「え? あぁ……多分……そうかな?」
「ほらぁ~、中隊長もそう言ってるんだし、パーソナルカラーは私が決めてあげますね!」
今やロリポップ中隊の専任カラーデザイナーを自任するケプラーが宣言する。そんなケプラーの様子に力なく頷くフレミングを見たケプラーが、次々に機体色を指定していく。
「ボースちゃんは霜青色、白立ち上げのグラデーションで」
「ミリカンちゃんは光沢仕上の銀灰色」
「トムソンちゃんはマット塗装の紫赤」
「マイトナーちゃんは辰砂色、つや消しと光沢のツートンで」
それぞれの指定色を慌ててメモする機付長達の姿も、今やフレミング中隊の名物となっていた。
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