席替えから始まる学園天国

蒼 空馬

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ミツハナ脱退編

ペアでないと

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「なあシュウゴ。ちょっと相談がある」
 
 思い詰めた表情でヒデキが昼休みに近寄ってきた。
 ここでは話せない内容らしい。
 中庭に出て話を聞くことにした。

「どうした相談って?」
「相談というか、お願いだな。すまんがお前の名前を貸してくれ」
「俺の名前を貸す?」
 
 おいおい、俺の名前を使って悪さをしようとしてるんじゃないか?

「実はケイコ……、藤木とだな……」
「ケイコでいいぞ」
 
 ヒデキがこの頃、藤木さんのことをケイコと呼んでいることはクラスの皆が知っている。それより、藤木さんと何だ?

「ケイコと二人で一泊二日で夢の国に行くことになった」
「一泊二日? 泊まりでか?」
 
 何となく俺の名前を使う理由がわかってきた。

「そうだ。期末テスト終了後の週末にな。で、すまんが、お前の家に泊まったことにしてくれ」
 
 やっぱりな。
 俺の両親とヒデキの両親は俺とヒデキが友人であることくらいしか知らない。お互いの連絡先も知らないだろう。
 よって、うちに息子がお世話になっていますと言った挨拶をするようなことはない。
 実は俺もいつか、お泊まりする時にはヒデキに名前を借りようと思っていた。ここで恩をうっておこう。

「んー、まあお前の頼みだからな。いいぞ」
「え? いいのか。そんなにあっさりと」
「おう。だが一泊とはな。いつからそんなに仲が進んだんだ?」
「一泊って言っても夜行バスだ。深夜にこっちを出て、夜明け前には夢の国に到着しているやつ。じゃないとケイコがダメだって……」
「それ、一泊って言わないぞ」
「やっぱりか。まあいい。ケイコと二人で夢の国を楽しんでくる。お前も俺の名前を使っていいからな」
「それはありがたいが、藤木さんの家の方は大丈夫なのか?」
「サッチと行くことになっているから大丈夫だ。ちょっとケイコの家の人たちに対して心苦しいが……」
「サッチか。自分も行くって言わなかったのか?」
「それが夢の国は三人はダメらしい」
「三人がダメとは……?」
「アトラクションは基本ペアで乗るからな。一人がどうしてもあぶれることになる。だから二人で行って来いと」
「そうか……」
「まあ本当のことを言うと、奇数がダメらしく、それで、サッチのやつ、お前を誘って自分も行くって最初は言ってな」
「お、俺を?」
「そうだ。俺とケイコのペア、シュウゴとサッチのペアということだな。だがすまん。サッチがいると騒がしくていかん。またの機会にしてくれと頼んだ。お前、行きたかったか?」
「いや別に」
「そうか。お前も夢の国に行くなら、佐原か森崎、どちらか一人と行けよ。サッチも誘って四人で行くならともかく」
 
 うーん。サッチのことは抜きにして、奇数の弊害な……。
 夢の国に限らず、三人組ではなくペアで動いた方が都合が良いことは多い。
 そもそも一夫多妻制ではない日本だ。
 いずれ友巴ちゃんとか帆乃花ちゃんを選ばないといけない日がくるのか……。
 
 教室に戻るとその二人が楽しそうに話をしている。どちらも可愛いし、性格も良い。俺には選べないから、二人のうちどちらが俺のことを必要としているかで決めるしかないのだろう……。
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